まず一言………マジで逃げたい。
なんだよこの無理ゲー。人外の皆々様満身創痍でボッロボロですよ? 普通で貧弱な人間の俺にどうしろと?
まぁ《
だけどまぁ………やるしかないでしょ。
そういえばイッセーにミョルニルあげたよね? ミョルニルをブーストすればロキを相手出来るような気がするんだけど………
よし、ロキはイッセーに完全に任せよう。俺はフェンリルに集中しよう。
右手に持っていたフラガラッハを消滅させる。そして俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域内に新しく剣を創造する。
『―――――エクスカリバー』
このエクスカリバーはきちんと七つの能力がありますからね。前にイリナさんやゼノヴィアさんが持ってきたゴミみたいなのとは違うからね。
今回は相手が相手だから初めから全力全壊で行くよ!!
『
『
『
『
『
『
『
『
「くうぅぅぅぅぅん」
「ぺろぺろ」
なんてことでしょう。エクスカリバーの能力の一つ、『
俺の姿は『
このフェンリルはとりあえずは大丈夫だね。さて、イッセーの方はどうなったかな?
『………キモッ』
イッセーの方を向いた俺は思わず呟いてしまった。
イッセーの近くにはなんか蛇みたいなドラゴンがたくさんいたんだけど、それが全部黒い炎に包みこまれてるんだ。それがもう驚くほど気持ち悪い。
よし、今は俺の出番じゃないらしいから今のうちにフェンリル二匹を使い魔にしよう。黒歌から方法は聞いたことがあるからやり方は知ってる。俺のゴミみたいな魔力でもできるらしいし。
俺の絶対領域の外に声が漏れないように『防音結界』と念じる。すると、俺の絶対領域の範囲ぎりぎりに球状の結界が展開された。よし、これなら電子音で話さなくても大丈夫だ。なんかね、肉声じゃないとダメらしいからさ。面倒だけど仕方ないよね。
「佐藤一の名において命ず。汝、我が使い魔として、契約に応じよ」
俺の目の前にピンク色の魔法陣が二つ展開さて、それぞれ中央にフェンリルがいる。フェンリルの首に魔法陣が巻き付き、そしてなんか紋章みたいななった。首輪の紋章………なんかカッコイイ。
「スコル、ハティ」
「わうっ」
「ぐるる」
二匹ともどうやらちゃんと使い魔になったようだね。あー良かった。成功しなかったらどうしようかと思ったよ。まぁその時は―――――ね?
『―――――よし。いくか』
声を肉声から電子音に変えるのと同時に防音結界を解除する。
さてさて、あの気持ち悪い黒い炎はロキを飲み込んでいるみたいだけど、このまま続いてもロキは倒せない。イッセーは何を考えてるのか知らないけど全然ミョルニルを使わないし………
と、思ったらイッセーが動き出した。
ロキの魔力弾も無視して特攻してる。男らしいね。胸、腹、腰、足………おぉう、痛そうだ。俺と違ってノックバックだけじゃ済まないんでしょ? 俺だったらきっと気絶してるね。
このままイッセーが突っ込んで一撃入れるか? って思ったらロキは黒い炎を振り払って結構な高さまで浮かび上がった。
「我は一時退却する。ふははははは!! しかし、三度ここに訪れて渾沌を―――――」
このタイミングで逃げるの? ていうか今更逃がすとでも? そう思ってスコルとハティに指示を出そうした時だった。
―――――ビガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアアガガガガガガガガガッ
雷光が煌いて、特大の一撃がロキを飲み込んだ。
雷光を放ったのは誰か探るために辺りを見回すと、朱乃さんとバラキエルがお互いに手を取り合っているのが目に入った。それも―――――二人とも黒い堕天使の翼を出して。
なるほど。朱乃さんから感じとれた悪魔じゃない人外の気配って堕天使のものだったんだ。なんで今まで雷光を使わなかったんだろう? 使えるならもっと早くに使ってもらいたかったよ。
煙を上げながら落下してるロキが滑稽過ぎて笑える。ギャグマンガみたいだね。
黒い炎が再びロキを包み込んだ。ロキも学習能力がないね。一度くらったんだからさ、すぐに対処しないと。まぁ学習能力がないおかげでこっちは大助かりなんだけどね。
「おりゃああああああっ!! 俺式ミョルニルゥゥゥゥゥッ!!」
イッセーが俺が渡したミョルニルをやっと使ってくれた。
ただの金槌サイズだったミョルニルがなんか漫画とかアニメでしか見たことないような大きさになったんだけど。
その大きくなったミョルニルがロキの身体に打ち込まれた。そうだな………全身複雑骨折は免れないね。
―――――BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!
―――――Transfer!!
結構なブーストを掛けられたミョルニルは、とんでもない量の雷を発生させた。もはや天災だね。
特大の一撃をジャストミートさせられたロキはもうボッロボロだ。地面に墜落していっている。
「………聖書に記されし神が、なぜ
知らんがな。ロキ、そんなこと知らんがな。
ロキは完全に意識を失ったようだ。おめでとうイッセー。見事に神を打倒したね。これで君も各陣営に名が知れ渡るよ。それと同時にいろいろと面倒なことも増えるだろうけどね。
†††
「ただいま………」
家の玄関を開けてそう言った瞬間、ドタドタと走る音がリビングの方から聞こえてきた。
「おかえり!! 大丈夫だった!? どこも怪我してない!?」
黒歌が俺を抱き着きながら言った。あー………この感触、凄く落ち着く。
「わうっ」
「ぐるる」
「にゃにゃっ!? フェ、フェンリル!? どうしてここに!?」
足に体を擦りつけてくるスコルとハティに黒歌が気づいて声を上げた。そりゃあ驚きますよね。なんせフェンリルですから。神獣ですから。
「使い魔にしたんだ。一応子供だからスペックは少し落ちてるらしいけど」
「………一体なにがあったんだにゃ」
「とりあえずさ、お風呂入ってからでいい?」
「一緒に?」
「もちろん」
お風呂の中ではナニもなかったよ。ホントダヨ。
お風呂から上がった俺と黒歌は、いつも通りソファに座って牛乳を飲んだ。そして本題の今日あったことを話すことになった。
「今日―――――っていうか今夜かな? それを説明するには少し時間を溯るんだけど、俺はオーディンの護衛をしていたんだ」
「オーディン!? 北欧の主神の!?」
「うん。それで成り行きでロキとフェンリルを相手することになった」
「成り行きで!?」
成り行きだよね? オーディンの乗った馬車を襲撃したのがロキとフェンリルで、俺は一度逃げたんだけど、アザゼルにオーディンの護衛を最後までしろって言われたからしょうがなくまたロキとフェンリルの相手をしたわけだし。まぁ基本的にはフェンリルだけだったけど。まぁそのおかげでフェンリルの子共二匹を使い魔にできたんだけど。やったね、番犬ができたよ。
ちなみにフェンリルは俺の絶対領域内にいるときに『浄化』って念じて綺麗にしたよ。すごく汚れてたからさ。
「フェンリルが番犬………」
「いいでしょ?」
「確かに安心できるにゃ。私を襲ってこなければ………」
「大丈夫だよ」
もし黒歌を襲うようなことがあったら何してやろうか。まぁそんなことはありえないんだけど。
スコルかハティ、片方を結衣さんの家に置いておいた方がいいかな? あ、でも家では結衣さんのおじいちゃんがいるから心配ないか。でも神格が来ちゃうといくら結衣さんのおじいちゃんでもつらいよね? フェンリルなら俺が着くまでの時間稼ぎくらいはできるはずだし………でもフェンリルがいることで襲われるかもしれないし………うーむ。今度結衣さんに相談しよう。
今回俺は改めて感じたよ。神格が相手だとかなりつらい。
まぁ俺の絶対領域内で創造した武器は問題なく効果があるからまだいいんだけど、俺の絶対領域内に侵入させて念じたこと通りにするのは無理がある。効かないわけじゃないよ? でも効果時間が短かったりだとか、ワンランク効果が下がったりするんだ。それは戦闘中に大きな隙になる。そこを狙われて―――――いやだなぁ………
まぁ基本的に逃げるからあまり心配しなくていいんだけどね。俺の絶対領域が展開されていればくらった攻撃は全部ノックバックだけで済むし。
今回が特殊だったんだよ。依頼だからってロキとフェンリルの相手をしたけど、なにもここまでしなくても良かったはずだし。
はぁ………ブレまくってるね、俺。しょうもない。
あ、そうだ―――――
「―――――黒歌」
「にゃん?」
「白音と話、してみるか?」
「にゃにゃ!? ………うん。もういい加減白音と話したいもん」
驚いてからしんなりとする黒歌。
俺もさ、いい加減に黒歌と白音には元の仲に戻ってもらいたい。白音に本当のことを話してさ………もうそろそろ幸せになってもいいと思うんだ。黒歌も、白音も。
今が幸せじゃないとは言わないよ? でもさ―――――家族と一緒にいられないってつらいじゃないか………
一くんのゴミみたいな魔力でもスコルとハティを使い魔にできたのは、エクスカリバーの『
フェンリルは神獣ってことにしました。