絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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二領域目 俺は京都を歩く

 修学旅行二日目の朝。

 

 キングサイズのベットで横になっている俺と九重ちゃん。この状態を見られたら「おまわりさんこっちです」が本当に起きてしまいそうだね。

 

 九重ちゃんは自分の尻尾を枕にして寝ているんだけどね、すごく可愛いんだ。黒歌といい九重ちゃんといい、俺はケモ耳や尻尾がある子が好きなのかね? 正直わからない。

 

 

「とりあえず起きて九重ちゃん」

 

 

 九重ちゃんのほっぺをプニプニとして起こしにかかる。

 

 

「う、うぅん………ふぁぁぁ………むぅ? 一か?」

「そうだよ。あと一時間でウチの学校の生徒も起き始めるから準備してね」

「わかったのだ」

 

 

 フラフラとベットから洗面所に向かって歩いて行く九重ちゃん。それを見送って俺も着替え始める。着替えはもちろん駒王学園の制服。

 

 制服に着替えた俺は、九重ちゃんと入れ替わるように洗面所に行く。九重ちゃんが出会ったときのミニスカ巫女服に白ニーソを着ていて目を奪われたのはナイショだよ。

 

 洗面所で身だしなみを整えた俺は九重ちゃんと朝ごはんと食べる。なんか勝手に持ってきてくれたんだよね。追い返すだなんて無粋なことはしませんよ。

 

 朝ごはんを食べ終わったので、九重ちゃんにこれからどうするか聞いてみよう。まさか一緒についてくるなんてことはないだろうし。

 

 

「九重ちゃんはこれからどうするの?」

「一と一緒に行くぞ!!」

「………それ本気?」

「うむ。本気じゃ」

 

 

 まいった。これはまいった。

 

 今日は結衣さんと行動することになってるんだ。九重ちゃんがいたら何が起きるかわからない。どうしよう………

 

 

「考え直すことは?」

「ありえないのじゃ!! 別にわらわがついていくくらいいいだろう?」

「うーん………」

 

 

 教師に見つかったらまず間違いなく説教される。本当に通報される。「おまわりさんこっちです」じゃあすまない。

 

 結衣さんは―――――考えたくないかも。まぁ瞳からハイライトは消えるよね。体の周りに闇色のオーラを纏うでしょ? はい、終了。どうあがいても生き残れる気がしません。

 

 でも小さい子だからってことで了承されるかもしれないよね。ていうかそれを願うしかない。あ、依頼主ってことで説明すればいいのか。なんだ、簡単なことじゃないか。まぁそれで結衣さんが納得してくれるとは限らないんだけどね。

 

 

「わかったよ。じゃあ時間になったら先にホテルのロビーで待っててね。それで一緒に行こうか」

「うむ、わかったのじゃ」

 

 

 これでどうにかなればいいけど………

 

 

 

†††

 

 

 

「一くん、可愛いねこの子!!」

「は、離すのじゃ!! えぇい無礼者め!! 一!! わらわを助けるのじゃ!!」

「あ、あはは………」

 

 

 時間になったので、ホテルのロビー九重ちゃんと合流したんだ。合流したのはよかったんだけどさ、結衣さんが九重ちゃんを見るとすぐに抱き上げて頬ずりを始めちゃったんだ。

 

 結衣さんには九重ちゃんのことをロビーに来る前に話をしたんだ。そうしたら結衣さんも依頼を手伝うって言われちゃってさ。まぁ了承しましたよ。するしかありませんでしたよ。

 

 

「ほら、結衣さん。いい加減にしないと京都を散策できないよ?」

「そ、そうだね。もったいないけど………」

「うぅ………やっと解放されたのじゃ。一!! なんで助けてくれなかったのじゃ!!」

「まぁまぁ落ち着いて。案内してくれるんでしょ? よろしくね、九重ちゃん」

「うむ、任せるのじゃ!!」

 

 

 ご、誤魔化すことができた………

 

 ホテルを出た俺達は京都駅に向かった。そして京都駅から清水寺行きのバスに乗る。いやぁ清水寺付近までバス一本で行けるのはいいね。乗り換えするのは面倒だからね。

 

 目的のバス停で降りた俺達は、周辺のことを九重ちゃんに説明を受ける。ちなみに九重ねちゃなんは俺の左方に乗ってます。俺の肩がお気に入りなようです。

 

 坂を上って清水寺を目指してるんだけど、ここで九重ちゃんの説明が入った。

 

 

「ここは三年坂と言っての、ころぶと三年以内に死ぬと言われているのじゃ」

「………なんか九重ちゃんが言うと本当のことのように聞こえるんだけど」

「うん………私も思った」

 

 

 裏を知っている俺達だからこその感情かもしれないね。本当にそういう術式がありそうで怖い。

 

 

「まぁもちろん嘘じゃが」

「「だよね」」

 

 

 そんなこんなで坂を上りきり、仁王門を潜る。清水寺に到着だ。

 

 一番初めに出てきたのは清水の舞台だ。下を眺めてみるけど大した高さじゃないね。

 

 

「ここから落ちても助かることの方が多いのじゃ」

「うんまぁ………納得かも」

「そうだね」

 

 

 確かに木とか生えているから突き刺さるかもしれないけど、岩が隠れているからそこに頭をぶつけるかもしれないけど。ていうか普通にしていれば落ちることはないでしょ。

 

 先に進むと、安全と合格の祈願、恋愛成就を願う小さなお社とかがあった。

 

 賽銭箱に一〇五円入れて、二礼二拍手一礼をする。『大切な者と静かに安全で楽しくすごせますように』ってお願いした。小さなお社でも確かな神格を感じるから、ある程度はかなえてくれそうだね。

 

 

「一、恋みくじはやらぬのか?」

「うん。必要はなさそうだしね」

 

 

 ていうかこれで変な結果を出してみなよ。結衣さんがどうなるやら………

 

 

 

†††

 

 

 

「そういえば一。アザゼルとセラフォルーという魔王が母上の捜索の手伝いをしてくれるようだぞ」

「ぶふっ!? ………今アザゼルって言った? それにセラフォルーっていうのも聞こえたんだけど………」

「うむ、言ったぞ」

 

 金閣寺の境内にあったお茶屋で九重ちゃんが言った。。

 

 これはマズイねぇ。アザゼルだけならどうにかなったかもしれないけどセラフォルーはマズイよ。

 

 セロフォルーは勘が鋭いから、すぐに俺がいるのもバレちゃう。やけにからんでくるんだよねあの人。別に嫌じゃないんだけどさ。

 

 

「もうしばらくしたら裏京都へ行くぞ。そこでアザゼル達と会談をするのじゃ」

「まぁ探索者(エクスプローラー)としていればまずバレることはないし、結衣さんはまた立華(りっか)として一緒にいればいいしね」

「アザゼル………それにセラフォルーって………」

 

 

 結衣さんが恐る恐る、といった感じで訊いてきた。

 

 

「堕天使と悪魔、それぞれのトップだね」

「やっぱり? うぅ、なんか緊張するなぁ」

 

 

 結衣さん、緊張しているところ悪いけど、二人ともとても頭とは思えないほど軽いからね。すごくフランクだからね。敬語? そんなの必要ないよ。

 

 ていうか覚えてたんだ。さすが結衣さんだね。

 

 

「さて、そろそろ時間じゃ。裏京都へ行くぞ」

 

 

 九重ちゃんに連れられるがままに境内の人気のない場所へ向かう。そこにある鳥居をくぐると、裏京都に転移した。

 

 裏京都は、江戸時代の町並みとすごく似ている。実際に江戸時代の町並みは見たことないよ。教科書とか、サーゼクスの自室に飾ってあった写真からの判断だからね。

 

 その建物の窓やら通り道やらから、妖怪が顔を覗かせていた。

 

 この裏京都はすごく不気味です。薄暗い空間に、独特の空気。古い町並みにそこから顔を覗かせる妖怪達。ちょっとしたお化け屋敷だね。

 

 妖怪は、一つ目に大きな顔、河童らしき頭部に皿のある妖怪、立って歩く狸とか、まぁアレだね。お化け屋敷そのまんまだね。

 

 会談場所に着いた俺達は、それぞれ席に座る―――――けどすぐに立ち上がる。まだ制服のままだったのを忘れてたよ。

 

 俺は《桃源郷の探索者(エクスプロールシャングリラ)》を発動させる。俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域の展開を確認する。『狐のお面二つ』『軍服みたいな外套二つ』と念じる。すると俺の絶対領域内に狐のお面が二つに、外套が二つ出現する。

 

 ワンセットを結衣さんに渡して、それぞれそれを着る。

 

 探索者(エクスプローラー)の格好になった俺は、武器確認をする。

 

 例の新武器―――――ワルサーP99ADカスタムを右太もものホルスターに収め直す。予備のマガジンも五つ外套の懐に入れる。

 

 これで準備は万端だ。チラッと結衣さんの方を見たけど、結衣さんも準備は完了しているらしく、席に座っていた。ちなみに九重ちゃんもミニスカ巫女服から戦国時代のお姫様が斬るような豪華な着物を着ていた。

 

 

「む、来たようだな」

 

 

 九重がそう言ったかと思うと、感じ慣れた気配が近づいてきたのがわかった。アザゼルとセラフォルーだね。

 

 

探索者(エクスプローラー)!? なんでお前がこんなところにいるんだよ!!」

 

 

 アザゼルが俺を視界に入れた瞬間叫んだ。なんかアザゼルの驚いている顔ってなかなか見れないから、なんかいいね。

 

 

「あら探索者(エクスプローラー)ちゃん? もしかしてあなたも呼ばれちゃったの?」

『まぁね。詳しい説明は全員そろってからするよ』

 

 

 俺は電子音で答える。

 

 ちなみにアザゼルはいつもの格好、セラフォルーは着物を着ていた。セラフォルーは黒髪だから似合ってるね。

 

 それから何分だろうか? 二、三〇分後ぐらいにイッセー達がやってきた。

 

 

探索者(エクスプローラー)様、お久しぶりです」

「久しぶりだね。元気だった?」

「はい。おかげさまで。では失礼いたします」

 

 

 イッセー達を連れてきた狐のお姉さんに声をかけられた。

 

 どこかで見たな、って思ってたんだけどやっぱりそうだったんだね。八坂さんのところまで連れいってもらったときにもあのお姉さんが案内してくれたんだよね。

 

 ちなみにお姉さんはドロンと炎を出現させて消えました。いかにも妖狐って感じだね。

いよいよ会談が始まります。

 

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪達を束ねる者―――――八坂の娘、九重と申す」

 

 

 椅子から立ち上がった九重ちゃんはそう言い、深く頭を下げた。

 

 

「早速じゃが本題に入らせていただく。母上を助ける為に力を貸してくれるとは本当か?」

「あぁ、それに関してはその通りだ。だがそこの狐の面を付けている二人は何だ? どちらも人間のようだが」

 

 

 アザゼルが目ざとく俺と結衣さんのことを指摘した。こういうところだけは組織のトップみたいだね。

 

 

「うむ。わらわが依頼したのじゃ。母上を助ける為にの。それに探索者(エクスプローラー)とは昔からの仲なのじゃ」

「なに!? おい探索者(エクスプローラー)。姫さんが言ったことは本当か?」

『いきなり話をふられても困るんだけど………まぁ本当だね。ある一件で仲良くなったし』

 

 

 俺の返答にアザゼルは目を見開いた。

 

 そこまで驚くことじゃないと思うんだ。だって、悪魔に力を貸して、天使に力を貸してるんだよ? 今更京都の妖怪とつながりがあるからって驚く程のことじゃないよね?

 

 結衣さんの存在に関しては誰からも質問をされなかった。それに関しては本当に助かったね。

 

 それから本格的な会談が始まった。

 

 事情を聞いたアザゼルが出した結論は、八坂さんはまだこの京都にいるという事だ。

 

 八坂さんが京都から出てしまうと、京都全域の気が乱れるんだって。九尾の狐はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在だかららしい。だから九尾が京都を離れるか、殺されてしまうと京都に異変が起きてしまうらしい。更にその予兆すら起きていないので、八坂さんは無事で、さらった奴も京都にいる可能性が高いってことなんだって。

 

 セラフォルーさんの部下―――――悪魔側のスタッフにも動いているらしいけど、まだまだ情報が手に入っていないらしい。

 

 そこでアザゼルが出した結論が、イッセー達にも動いてもらうという事だ。

 

 基本的には修学旅行を楽しむ。だけど、戦力や人手が必要になったらイッセー達も動くというわけだ。

 

 ここまで言い終えたあと、イッセーがエロい顔になってた。多分八坂さんを助けてご褒美でももらおうと思っているんだろうね。まぁまず無理だろうけど。

 

 話すことを話終えたのかイッセー達は全員帰っていった。でも俺と結衣さんはまだ帰らない。

 

 狐のお面を外す。そして九重ちゃんの方を向く。

 

 

「京都に八坂さんがいるってわかっただけでもよかったよ。探す範囲が限定されるからね」

「うむ。わらわもそうではないかとは思っていたのだ」

 

 

 九重ちゃん、それも言ってもらいたかったよ。多分でもいいからそういう情報はあったほうがいいからね。

 

 

「さて、そろそろホテルに戻らないとね」

「あ、ホントだ!! もうこんな時間!!」

「じゃあ九重ちゃん。俺達はホテルに―――――」

「わらわも行くぞ!!」

「―――――デスヨネー」

 

 

 わかるよ。だって右手にバック持ってるんだもん。それって絶対に着替えとか入ってるよね。

 




2014/09/26 狐のお姉さんの「一様、お久しぶりです」→「探索者(エクスプローラー)様、お久しぶりです」に変更。
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