いやぁ………マジで混戦になったわ。
あの後、結衣さんによる結衣さんだけの為のゲイ・ボルグでの乱舞が始まったんだ。右手左手両方の手にゲイ・ボルグを創造し始めてさ。そのまま一度に二本ずつ投擲していったんだ。
曹操も焦ってたよ。まぁそりゃそうだろうね。三〇×二の鏃が秒間一秒足らずで降り注いでくるんだもん。
それでね、その後にルフェイっていう魔女っ娘が来たんだ。ゴグマゴグとかいうゴツいゴーレムを連れて。
ルフェイさんは正真正銘天然の魔女っ娘だった。セラフォルーみたいなエセじゃない。ただ一つ残念なことに、ニーソを履いていない。絶対似合うんだけどなぁ………
でもルフェイさんの登場はあまり意味がなかったんだ。
そりゃそうだよね。現在進行で結衣さんが無双してるんだもん。伝説の槍を惜しみなく創造しては投げを繰り返してるんだもん。
でもそれだけで終わるわけがなかったよね。
べろんべろんに酔っぱらったロスヴァイセさんがやってきたんだ。そんでもって北欧の攻撃魔法を滅茶苦茶に放ちまくってさ………こっちにも結構飛んできたよ。
まぁ結論を言えば、逃げられました。
どうやら今夜京都で八坂さんを使って二条城で実験をするらしい。それでね、それを止めるために参加してくれって。頼まれなくても参加するけどね。
そして現在は結界が解けて観光客で満ち溢れた渡月橋にいるんだ。
「………母上。母上は何もしていないのに………どうして………」
身体を振るわせて泣きながら呟く九重ちゃん。
俺は静かに抱き上げて頭を撫でる。
『安心して――――――っていう方が無理だけどさ、安心してよ。珍しく俺が殺る気だしたんだもん。助けてみせるよ』
「うむ………頼む………母上を、助けてくれ………」
絶対に助ける―――――とは言えなかった。世の中の絶対は絶対領域だけだから。
†††
ホテルに戻った俺は、相変らずのルームサービスで夜ごはんを済まして戦いの準備をしていた。ちなみに結衣さんもいます。
相手が今までとは違って人間なんですよね。今までは人外共だったんだけど。
相手が人間ということは
「結衣さん、相手は全員
「うん。わかった」
「どんなに弱くても
「うん………」
結衣さんはもう集中しまくってるからこのへんにしておこう。余計なことを言って惑わさせちゃってもしょうがないしね。
九重ちゃんは今ベットで寝てます。起こすのはかわいそうだからそのままにしてる。昼にいろいろ一度に知っちゃったから疲れたんだろうね。
今回は最初から全力全開で行こうと思ってる。
エクスカリバーをフル運用させて、状況に合わせて《勝利の剣》も使えばいいか。正直エクスカリバーだけでどうにかなりそうだけど。
「
結衣さんが狐のお面を顔につけながら言った。もうそんな時間か。
俺も
次に、俺の絶対領域にエクスカリバーを創造する。右手にエクスカリバーが収まったのを確認―――――準備は万端。
『行こうか
『―――――うん』
九重ちゃんを起こさないように窓から飛び降りようと窓に向かった。向かったんだけど―――――
「どこへ行くのじゃ?」
先回りされてました。
いやいやいや、いつの間に起きたの九重ちゃん。さっきまでベットの中でスヤスヤ寝てたじゃんよ。
『今から二条城に行くんだよ』
「母上を助けにか?」
『うん』
九重ちゃんが何かを決心したような瞳で俺のことを見上げてきた。
「わらわも………わらわもついて行く!!」
そう言うと思ったよ。
正直、九重ちゃんは連れて行きたくない。戦場では何があるかわからないからね。それに俺が九重ちゃんから離れられなくなるってのもある。九重ちゃんを抱きかかえながら戦うのはツラい。
でも九重ちゃんの気持ちを考えると連れて行きたいよね。
『じゃあ一緒に行こっか九重ちゃん』
そんなことを考えていたら結衣さんに先を越された。まぁ俺も同意見だからいいんだけど。
「い、いいのか………?」
『いいよね?
『うん。一つだけ約束してね。絶対に俺から離れないって』
「わかったのじゃ!!」
『それじゃあちょっとゴメンね』
そう言いながら九重ちゃんをお姫様抱っこする。
「な、なにをするのだ………?」
少し恥ずかしそうな九重ちゃんマジ可愛い。って今はそんなことを 考えている場合じゃなかったね。
結衣さんにアイコンタクトで「行くよ」と送る。すると向こうもくみ取ってくれたのかうなずいてくれた。
俺は開け放ってある大き目の窓に向かって走る。そしてそこから外に飛び出す。
九重ちゃんがギュッとしがみついて、萌えた。小さな手で一生懸命外套にしがみつく姿に萌えた。………待て、俺はロリコンじゃない。落ち着け。ただ愛でる対象としてだけなんだろう? そうだろう? そうだと言ってくれ!! そうですけど(笑)
地面に着地する寸前で『衝撃の無効化』と念じて衝撃を完全に消す。俺の足は………守られた。
結衣さんが後から落ちてきたので、九重ちゃんを地面に下ろして受け止めた。もちろん『速度の遅延』って念じたよ。そうしないと俺が怪我するからね。
『ありがとうね』
『いえいえ』
辺りを見回すと、アザゼル達を発見した。丁度これから出るところだったんだろう。よし、便乗しよう。
九重ちゃんと手をつないでアザゼル達がいる方に歩いて行く。途中で向こうも気づいたのか、すごく引き攣った顔で俺達を見てきた。いや、正確には結衣さんかな?
もう少しで会話ができる距離―――――というところで変化が起きた。
足下に薄い霧が立ち込めてきた。これはあれですね。この前、渡月橋で経験したやつだね。ほら、ぬるりと生暖かい感触もしてきた。
結局俺達は昼の二の舞にあったようです。
†††
気づいたら新幹線から降りた場所―――――京都駅のホームにいた。
一緒にいるのは九重ちゃんと結衣さん。そしてそれ以外の
「………こ、ここは京都駅のホームか?」
手をつないでいる九重ちゃんが言った。
『そうだね。俺達が東京から来たときにここで降りたし。どうやら昼間と同じ現象が起きたらしい』
「じゃ、じゃあ、ここも別の空間に創られた疑似京都なのか? きゃつらの持つ技術は凄まじいのぅ」
まぁ
『とりあえず二条城に向かおう。実験するのは二条城って言ってたからね』
「うむ、わかったのじゃ!!」
九重ちゃんが俺の肩に乗りながら言う。もう俺の肩は九重ちゃんの特等席です。
そういえばさっきから結衣さんが一言も発してないんだけど………大丈夫かな?
『
『わかった。―――――ブリューナク』
結衣さんは返事をしながらブリューナクを創造した。ブリューナクを創造したってことは本気ですね。一番使い慣れてる槍を使うってことはマジですね。
目で訴えて来てるもん。マジでおこだよ―――――って。
エクスカリバーの形状は剣のままの方がいいよね。太刀だと建物内で振り回しにくいからね。
気で最低限の身体強化をしながら歩みを進める。
京都駅から出た瞬間だった。圧倒的な敵意を向けられた。
辺りを見回―――――さなくてもすぐに見つかった。英雄派の制服を着た野郎がこっちに歩いて来てるし。
でもね、そんなにゆっくり歩いていていいのかな?
俺は静かに九重ちゃんの目を手でおおった。
「どうしたのだ?」
『ここからはR-15指定だよ』
そう言った瞬間だった。
稲妻が―――――駆けた。
理由は簡単、結衣さんがブリューナクを投擲したのだ。手から離れたブリューナクは稲妻となって敵に向かって飛んでいく。敵もかわそうと動くんだけど………まぁ意味ないよね。
だって生きていて意思を持っていて、自動的に敵に向かって飛んでいくんだもん。
結果はまぁあれですよ………血しぶきを上げることすら許されず焼き死にましたよ。マジでおこな結衣さん怖い………一切の容赦がないもん。
†††
そんなこんなで着きました二条城。現在地は
とりあえず声をかけるか。
『アザゼル。今どういう状況?』
「うおっ!?
『いやいやホテル出た時にはもういたぞ。気づきなよ堕天使の総督(笑)』
「今俺の事を馬鹿にしなかったか?」
『気のせいだよ』
変なところに鋭い奴だね。
―――――ゴゴゴゴゴゴゴゴ
変な音が聞こえてきたなぁ、と思って辺りを見回したら巨大な門が開け放たれる音だったらしい。
『向こうも俺達のことを待っていたようだね』
『そうだね………』
なんか結衣さんの雰囲気がいつもと違う。ゾクゾクしちゃう。
門が完全に開ききるのと同時に、全員二条城駆けだした。周りの話し声を聞くに、曹操は
たどりきましたのは日本家屋が建ち並ぶ場所。綺麗に整備された庭園も見える。それをライトが照らしていて、にくいほど綺麗に見えた。世界よ―――――これが日本だ。
「
庭園に曹操の姿を確認。それと同時に結衣さんから膨大な殺気が放たれました。見ておくれ、俺の膝がガクガク―――――笑ってないんだなこれが。
今はそれどころじゃなかった。
「母上!!」
九重ちゃんが叫んだとおり、俺の視線の先にも八坂さんがいるんだ。
さてさて、俺が出張ったんだから実験させるとは思うなよ曹操。