絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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五領域目 俺の正体はバレなかった

 グレモリー眷属を相手するのは嫌だなぁ………これはさっさと逃げた方がいいね。

 

 外套のホルスターに黒歌からもらった簡易転移魔法陣がかいてある御札があったはず。あったはずなんだけど………どこにもないんだけど。

 

 あれぇ? も、もしかして昨日洗濯したときに取り出して、そのまんまだった? くそったれ!! なんでこんなところでミスしたんだよ………あーマジでどうしよ。

 

 リアス・グレモリー―――サーゼクスの妹の眷属だから殺したらサーゼクスにドヤされるだろうし………

 

 気絶させるか。最悪手足の二、三本はもらおう。

 

 

「おりゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 なんかイッセーが叫びながら突っ込んできたので、回し蹴りを放つ。もちろんしっかりと水月を狙ってね。イッセーは儀式場の端まで吹っ飛んで行った。

 

 

「よくもイッセーくんを!!」

 

 

 今度は木場が剣を振るってきた。「よくもイッセーくんを!!」って言われもさ、理由をちゃんと話したのに信じなかったのはそのイッセーくんだよね? だから俺は悪くないよね?

 

 木場の振るってきた剣を逆手に構えた《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》―――ナイフで弾く。そのたびに驚愕して剣を振るうスピードを上げるのはやめてもらいたい。でもサーゼクスの眷属の誰だったかな? えーっと、あぁ、沖田総司だった。あの人の方が全然速いから止まって見えるんだけどね。いやぁ流石、新撰組一番隊組長及び撃剣師範だった者だね。あの人の剣の速さは俺の絶対領域で防ぐしかなかったもん。

 

 おっと、今はそんな事よりも木場だね。

 

 気を一気に全身に巡らせる。巡らせる量が多いせいか、身体の周りに桃色のオーラが―――って桃色? な、なぜに桃色? そこは紅とか蒼とかかっこいい色があるのに………もしかして《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》の影響? 萌え要素が俺の身体にしみついて桃色になっちゃったの? ま、まぁいいさ。俺は結構桃色好きだし。

 

 俺の桃色のオーラを見て木場が警戒をしている。今がチャンスだ!!

 

 木場へ向かって一直線に駆ける。木場は一瞬目を見開いたけど、すぐに剣を構えてこっちに向かって来た。多分カウンターを狙っているんだろう。

 

 甘いね。俺がわざわざ剣を使う相手にナイフで挑むわけがないじゃないか。

 

 木場が俺の絶対領域に侵入したのを確認してすぐに念じる。『気絶しろ』ってね。木場はこっちに向かって来た勢いのまま崩れ落ちた。そのせいでゴリゴリと地面に顔面を擦りつけていた。うーん、痛そうだね。それにイケメンフェイスが台無しだ。気にしないけど。

 

 残りは白音―――小猫だけか。いやぁ、どうしても白音って言っちゃう。今まで散々黒歌から白音って聞いてきたからだろうね。もう白音でいいや面倒だから。声に出すときに小猫って言えばいいしね。

 

 

「………やっと来てくれました」

 

 

 その言葉に俺は固まった。視線をゆっくりと上にあげるとそこには紅がいた。

 

 ………リアス・グレモリーが来ちゃったお。

 

 

「ごきげんよう。この前もあったわね」

 

 

 話しかけられちゃったよ………《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》で声質を機械的なものに変えないと。………よし。

 

 

『うん。そうだねリアス・グレモリー』

「一体こんなところで何をしているのかしら? 随分と私の眷属をかわいがってくれたようだけど」

『いやいや、先に絡んできたのはイッセーって奴だよ。俺が十字架に磔にされていた金髪美少女を助けたら何を勘違いしたのか俺を攻撃してきてね。きちんと理由を話したのにもかかわらず』

 

 

 あ………リアス・グレモリーの顔が歪んだ。きっと俺から攻撃してきたとでも思っていたんだろうね。残念でした。先に攻撃してきたのはそっちのかわいいかわいい眷属でした。

 

 

「小猫。あいつが言っていることは本当なの?」

「………本当です。イッセー先輩が『問答無用!! セイクリッド・ギアァァァァァァァァ!!』と、叫びながら攻撃をしました」

「そ、そう………はぁ………」

 

 

 いや、溜息を吐きたいのはこっちなんですけど。金髪美少女助けたら問答無用で攻撃される。理不尽すぎだろ。

 

 

『というわけで俺はもう帰るね』

「待ちなさい。魔王様に連絡したのだけど、あなたの正体を教えてもらえなかったわ。どうやらあなたが口止めをしているようね」

『うん。あたりまえじゃん。正体をバラせって言うならもう少し待ってね。そのうち―――そうだね、焼き鳥が君達に接触した時にバラすよ』

「焼き鳥………?」

 

 

 焼き鳥といったらフェニックスに決まってるだろ。まったく、これだからお姫様は困る。

 

 

『そうだよ。じゃあね』

「あ、待ちなさい!!」

 

 

 待ったをかけるリアス・グレモリーを無視して、一気にこの儀式場につながっていた通路へ駆ける。背後から魔力弾が飛んでくるけど、全部俺の絶対領域内に侵入した瞬間『塵になれ』と念じて塵にする。

 

 そのまま先にある階段を駆け上がって、聖堂へ出る。そしてすぐに聖堂から出る。でもまだ安心はできないよね。

 

 すぐに近くの家の屋根に向かって飛ぶ。このまま屋根の上を走って家に帰ろう。

 

 

 

†††

 

 

 

「た、ただいま………」

「おかえりにゃ!! 一、怪我はない? 大丈夫?」

 

 

 あいさつをしたのと同時にリビングから黒歌がすっ飛んできた。凄い聴覚だね。

 

 

「うん。大丈夫だけどへとへとだよ………」

「何かあったのかにゃ?」

「堕天使を殺した後、十字架に磔にされていた金髪美少女を助けたらイッセーに問答無用で攻撃された」

「エロガキぶっ殺してくるにゃ」

「まてまてまて!!」

 

 

 黒歌の目がマジだった。瞳からハイライトが消えていたし。加えて濃厚な殺気の放っていたし。

 

 

「いいよそんなことしなくて。それより背中流してくれない? 気を使い過ぎで身体を洗う気力もないんだ」

 

 

 ダメ元で黒歌にお願いしてみる。まぁダメだろうな。いつもは黒歌からだからOKだったけど。

 

 

「もちろんにゃ。さ、早く風呂場に行くにゃ」

「いいの?」

「にゃ。私もそう言おうと思っていたところにゃ。………それに一から誘ってくれたのは初めてだったし」

 

 

 顔を赤くしながら呟く黒歌さんマジ天使!! あ、勘違いしないでね? 聖書の神LOVEのキチガイ天使じゃないらね?

 

 その後、黒歌に背中を流してもらった俺は自分の部屋で悩んでいた。

 

 何を悩んでいたかというと、正体をバラすタイミングだ。焼き鳥と会ったとき、って言ったけどその中でもタイミングがある。グレモリー眷属と焼き鳥眷属が全員そろっているときとか、戦闘中とか、誰かに紹介されてとか。

 

 別に紹介してもらえるならそれでいい。助っ人的な感じでね。でも自分からバラすってなると………難しいものがあるよね。気分的な問題で。

 

 正直に言えば、焼き鳥と会うときではまだ早すぎる。悪魔、天使、堕天使の陣営が和平を結ぶときにバラすのが最高のタイミングだと思うんだよね。俺的には。

 

 まぁまだいいか。焼き鳥が来るのはまだ先のことだし。

 

 そう思った時だった。サーゼクスから電話が来た。

 

 このタイミングでの電話は、嫌な予感しかしない。きっとリアス・グレモリーから連絡が来たんだろう。

 

 

「なんだよ」

『妹から―――リアスから連絡があったよ。君の正体が結局わからなかったってね』

「それで?」

『そろそろ正体をバラそうと思っていると言ったよね? 今度フェニックス家の三男がリアスの下へ向かう。その時にグレイフィアを仲裁役として送るんだけどね? そのときにある提案をしてもらおうと思っているんだ』

 

 

 ある提案ってなんだよ。もしかして焼き鳥との婚約破棄するための方法か? グレモリー眷属と焼き鳥眷属でレーティングゲームでもするんじゃないの? ていうかそれと俺の正体をバラすのに何の関係があるんだ?

 

 

『その提案とはね、リアスの眷属とフェニックス家の三男の眷属とのレーティングゲームなんだ』

「それで?」

『今のままでは確実にリアスは負ける。だからリアスたちを鍛えてほしいんだ』

 

 

 サーゼクスは大馬鹿のようです。なんでよりにもよって俺にそれを頼むかね。俺がある程度戦えている理由なんて神器と黒歌から教えてもらった気のおかげだよ? そんな俺が他人に戦い方を教える? そんなの―――

 

 

「無理だろ」

『そう言うと思ったよ。でも模擬戦の相手としては充分だろう?』

「いやいや、俺の神器を模擬戦で使ったら模擬戦にならないでしょ」

『気があるじゃないか。今のきみは気だけの戦闘で十分リアス達を圧倒できるよ』

 

 

 気があるじゃないかって………確かにあの程度なら余裕だけど。フルボッコに出来るけど。あぁ、そうか。フルボッコにして現時点の自分たちの実力を思い知らせるわけね。人間にボコボコにされるほど弱いって。

 

 

「そうだね。できるね。でも俺の正体をバラすのと何が関係あるの?」

『その模擬戦の相手として探索者の姿で君が行く。それで、レーティングゲームが終わった後にでも―――』

「バラせばいいと? 流石に無理がない? というかさ、まだ本当はバラしたくないんだけど」

『どうしてだい?』

 

 

 どうしてってそりゃねぇ? イッセーと同じクラスなんだからからまれることが多くなる。という事は俺まで変な目で見られる。絶対にそんなのは嫌だ。

 

 せっかく静かに、目立たずに、なおかつ結衣さんというすばらしい友達がいる学園生活を送っているのに、そこにイッセーという変態が入り込んで来たら………考えただけでも発狂するわ。

 

 

「この先いくらでもバラすタイミングはあるでしょ? 例えば和平を結ぶ時とか」

『まぁそうだね。でもいつになるかはわからないよ? それなら―――』

「それでもだよ。その時が一番楽だしね。一回の説明で全員に俺の正体をバラせるから」

『確かにいちいち他の陣営に伝えるのも面倒だね』

 

 

 いちいちバラバラに説明していたら勧誘とかうっとおしい。一応俺は何処の陣営にも所属してないし。サーゼクスと仲良くやっているのは黒歌のことがあるからだけだし。サーゼクスのおかげでどうにか身元は保証されてるけどそれがなかったら今頃どうなってたんだろう? きっと戦いに明け暮れてただろうな。俺の力を狙ってくるクソ共相手に。

 

 

「ということえまだバラしはしないとうことで」

『わかったよ。和平を結ぶときにね』

「じゃ」

 

 

 サーゼクスとの通話を終わりにする。

 

 いやぁ、実に面倒なことになってきた。どうにか正体をバラすのを先延ばしにできたけど、更にバラすタイミングがひどい事になった。悪魔、天使、堕天使のお偉いさんがそろったタイミングで正体をバラす。いやぁ、本当に―――なんでこんなことになっちゃったんだろう。俺はただ黒歌と静かで、平和で、楽しい生活を送りかっただけなのに。

 

 まぁいいや。とりあえず今日はもう寝よう。明日も学校があるしね。そう思って目をつぶった瞬間だった。

 

 

「一、起きてる?」

 

 

 黒歌が少し開けられた扉から顔を出して言った。

 

 

「起きてるけどどうしたの?」

「い、一緒に寝てもいい?」

 

 

 一緒に寝ていい? 黒歌は確かにそう言ったよね? そんないい決まってるじゃないか。

 

 

「もちろん!!」

「ありがとにゃ」

 

 

 黒歌はのそのそとベットに入ってきて、俺に抱き着いてきた。ちなみに右腕ね。胸の感触がすばらしい………そ、そんな事されたら寝れないんだけどね………

 

 

「今日は本当に心配したんだにゃ」

「ごめんね。でも俺は黒歌と静かに、平和に、楽しく暮らしたいんだ。その障害になるならたとえ神でも殺す」

「うん。わかってるにゃ。でも今度からは私も連れてくにゃ。そうすれば少しは一の役にたてるにゃ」

「それは………うん。そうだね。今度からは(できるだけ)一緒にいこう」

 

 

 黒歌の俺を抱きしめる力が強くなった。

 

 

「じゃあおやすみ」

「おやすみにゃ」

 

 

 なんでだろう。色々面倒なことがあったはずなのに全部忘れちゃったよ。

 




2014/12/24 文頭に空白設置。文章表現の変更。『―――』の長さを調節。

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