絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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一くん、禁手解禁。

今回少し長いです。収まりがつかなくなってしまいました。


五領域目 俺の禁手は規格外だった

 歯車が噛み合い、グルグルと回りだしたような感覚が襲ってきた。気分は悪くない、むしろいいくらいだ。だがもう一つナニカがある。だがまだコレは動かなそうだ。

 

 

「まさか………このタイミングて至ったというのか!?」

「そうだよ曹操」

「肉声………だと………? それになんだいその格好は?」

「………言うな」

 

 

 禁手化(バランス・ブレイク)した俺の服装は、かなり変わっていた。

 

 狐のお面はなくなり、羽織っていた外套もなくなった。ここまでは別にかまわない。問題はここからだ。黒のチノパンは膝上15cmのホットパンツに変わったのだ。そしてなぜか履いている、黒ニーソ。履き心地はかなりいい。

 

 いや、絶対領域は観測するものであって自分が展開するものじゃないんだよね。ましてや俺、男だし。

 

 だが動きやすさは抜群だ。チノパンみたいに膝が引っかかったりしないのはありがたい。それとこのニーソ、かなり丈夫にできていてちょっとやそっとの攻撃では傷一つつかないらしい。

 

 さて、とりあえず黒歌を治療しよう。このままだと血を流し過ぎて危険だ。『傷を完治』と念じて、黒歌の傷を完治させる。ただ意識は戻らない。血を流し過ぎたのか、それとも魔力弾を受けたせいか………どちらにせよ、しばらくはゆっくりしてもらわないとね。

 

 

「何をした? 君の神器(セイクリッド・ギア)の能力の効果範囲は、君を中心とした半径5mぐらいだろう? 猫又との距離は10m以上ある………まさか―――――」

「そのまさかだと思うよ。禁手(バランス・ブレイカー)に至ったおかげで能力の効果範囲が凄まじく広くなったんだ」

「面を取ったのにも意味があるのか?」

「ある」

 

 

 お面を取らなかったら禁手(バランス・ブレイカー)に至れなかったからね。

 

 禁手(バランス・ブレイカー)―――――《桃源郷の発見者(ディスカヴァラー・シャングリラ)》の能力は―――――

 

『自分を中心とした自分が認識できる距離を半径とした範囲を完全に支配する』

 

 ―――――凄まじいパワーアップだろ? 

 

 この能力なら視認できる女の子にニーソを履かせることができる!! 絶対領域をつくることができる!! もちろん最高の絶対領域(エスペシャリー・ワン)は黒歌が展開してくれる絶対領域だよ。これだけは譲れない。

 

 丁度いい肉付きにだからこそ現れる「ぷにっ」っと感。ニーソが太ももを締め付けることによって生まれる「ぷにっ」っと感。そしてそこに頭を乗せることによって初めて感じ取れる、吸い付くような肌のハリ。どれも素晴らしいものなのだよ。

 

 黒歌以外のものは基本的にコレクションなのだよ。あくまでも観測をする為のものであって、黒歌みたいに見て、触って、感じ取るものではない。これだけは譲らない。まぁたまに我慢できなくておさわりしちゃうかもしれないけど。

 

 

「よし、俺のすることはこれで終わった。白龍皇、後はまかせた」

「あぁ………任されたッ!!」

 

 

 あくまでも黒歌の治療をするために俺は曹操と戦っていたのだ。黒歌が治療できたのだから曹操を相手取る必要はない。

 

 とりあえず黒歌にそばにいようと思う。いくら俺の絶対領域内にいるとしても、やっぱりこの手に感触がないと不安だ。

 

 白龍皇が曹操と戦闘を始めたのを確認して、黒歌に二人の『黒歌、白音に対する戦闘の余波を無効』と念じながら黒歌に近づいていく。途中で黒い霧が身体に纏わりついてきたけど、『霧散しろ』って念じたら大人しく霧散してくれた。黒い霧は《絶霧(ディメンション・ロスト)》でつくられたものらしい。まぁ関係ないけどな。

 

 白龍皇と曹操は黒歌からどんどん離れている。多分、白龍皇が意識してやってるんだと思う。正直、ありがたい。

 

 

「白音、あとは任せて」

「はい………すいません………」

「きにする必要はないさ。黒歌が自分自身の意思で、白音を護ろうと前に出たんだもん」

 

 

 がしがしと白音の頭を撫でてから黒歌をお姫様抱っこする。お姫様抱っこにした理由? そんなのムードに決まってるじゃないか。あと、太ももの感触最高です。

 

 スタスタとリアス・グレモリーの横を歩いて行く。リアス・グレモリーは俺の顔を見て目を見開いたが、何も言わなかった。多分俺が駒王学園の生徒だってことを知っている。でも、今はそれを追及している場合ではないと瞬時に判断したんだろう。なかなか有能だ。

 

 できるだけ生ごみ(アザゼル)から離れたソファに黒歌を寝かせる。そして俺の太ももに黒歌の頭をのせる。所詮、膝枕だ。いつもしてもらっているからね。たまにはね。

 

 黒歌の頭を撫でながら白龍皇と曹操の戦いを観戦する。ただ撫でるだけではなく、陽気を当てて自然治癒力を底上げさせる。まぁ気休めなんだけどね。

 

 白龍皇と曹操の戦いは、簡単に決着がついた。途中で呪文を唱え始めた白龍皇をサマエルが喰らった。すごくあっけなかった。

 

 ゲオルグが魔法陣を展開させてサマエルを操っただけで白龍皇対曹操は終わってしまったのだ。

 

 白龍皇は満身創痍だ。全身から血を吹き出し、床にぶっ倒れた。アザゼルよりひどいな。

 

 アーシアさんは忙しなくあっちへ行ったりこっちへ行ったりして負傷者の治療をしている。まぁこれは仕方のないことだ。回復要因が一人しかいないのだから。

 

 今度は木場が曹操に突っ込んだが、すぐにやられた。当たり前だ。相性が悪すぎる。曹操の聖槍の能力の一つ、輪宝(チャッカラタナ)を使われたら武器は破壊されるんだぞ? 剣を使わないと戦えない木場ではどうあがいても勝てない。まぁ木場が実力者だったら話は別だったんだけどね。

 

 曹操とゲオルグが何かを話し、曹操がフィンガースナップをすると疑似オーフィスを包んでいた黒い塊が四散していった。つながっていた舌もサマエルの口に戻っていった。役目を終えたのか、サマエルは魔法陣の中に沈んでいった。

 

 

「オォォォォォォォオオオオオォォォ………」

 

 

 相変らずな不気味な呻き声だ。あと、もう少し声量を落としてもらいたい。黒歌が起きちゃったらどうしてくれるんだ。あぁ、でも今の黒歌は気絶している状態だからいいのか? 

 

 そんなことを考えていると、後ろから誰かに抱き着かれた。思わず投げ飛ばしそうになったけど、とどまった。抱き着いてきたのがオーフィスだったからだ。疑似オーフィスは未だに曹操達の方で何かしてる。

 

 

「どうしたの? オーフィス」

「一、一つ解いた。もう一つ、ある」

「それは禁手(バランス・ブレイカー)のこと?」

「そう」

 

 

 禁手(バランス・ブレイカー)で一つか………もう一つって何なんだ? まぁとりあえずは禁手(バランス・ブレイカー)に至れたからいいんだけど。

 

 何やら慌ただしいので、リアス・グレモリー達がいる方を見たのだが………曹操とゲオルグがいない。オーフィスと話している間に大分物事が進んでしまったようだ。

 

 リアス・グレモリーがこっちにやってきた。………これからについてだろうな。

 

 

 

†††

 

 

 

 俺達がいるこの部屋は、六〇階まであるホテルのちょうど真ん中―――――三〇階まで移動し、その階層を丸ごとルフェイちゃんが強靭な結界を幾重にも覆って陣地としてる。やろうと思えばこの一帯全域を防御結界で覆うこともできるそうだ。だが、そうすると一定以上の防御力を確保するとなると階層まるごとが限界らしい。それでも俺はすごいと思う。俺では神器(セイクリッド・ギア)を使わないとできないからな。

 

 黒歌は意識は戻ったが、まだ休んでいる。大事を取ってね。もしもがあったらイヤだからさ。まぁもしもがあったら俺がどうにかするけど。現在絶賛膝枕中だ。

 

 白龍皇はサマエルの呪いに身体を蝕まれてる。ルフェイちゃんが解呪の術をかけたらしいが、サマエルの呪いが強力なせいで、ちょっとやそっとじゃ解けないらしい。ちなみに俺は解呪するつもりはない。自分で「任されたッ!!」って言ったんだぞ? 自己責任だ。

 

 アーシアさんは連続で治療し続けたせいで疲れたのだろう。隣の部屋で仮眠を取っているらしい。

 

 さて、どうやってここから出るかだ。

 

 アザゼルの話では、この空間はゲオルグがつくりだした空間らしい。《絶霧(ディメンション・ロスト)》の禁手(バランス・ブレイカー)―――――《霧の中の理想郷(ディメンション・クリエイト)》は、霧を使って固有の結界を創りだすことができるらしい。その力を使って、このホテルを中心に駐車場と周囲の風景も丸ごと疑似空間に創りだしたようだ。

 

 気の流れを読んでみたんだけど、圧倒的に陽気が少ないのだ。代わりに陰気が凄まじい量漂っているのだ。死神が近くにいるせいだと考えるのが妥当か………これだと気を扱えない者に影響がでそうだな。

 

 

「なんかこうして黒歌とゆっくりするのも久しぶりだよね」

「うん………最近、一は忙しそうだったから………」

 

 

 趣味に突っ走ってたよ。学園祭のコスプレ衣装がいい例だ。それに加えてオーフィスのお持ち帰り。黒歌と二人っきりで―――――っていうのが少なくなってた。

 

 

「ごめんね………俺があの時、足を滑らせてなかったら―――――」

「違うよ」

 

 

 黒歌が俺の唇に人差し指を押し付けながら言った。

 

 

「一のせいじゃない。私が、自分の意思で白音の前に出たの。だから一は悪くない」

「うん………」

 

 

 ここで反論するのは何かダメなような気がした。

 

 

「一の禁手(バランス・ブレイカー)はどんなのにゃん?」

「それ、聞いちゃう?」

「もちろんにゃん」

 

 

 個人的にはあまり他人にホイホイ教えられるものではないと思う。でも黒歌だからいいか。黒歌だから。

 

 

「能力は『自分を中心とした半径5.040mを完全に支配する』から『自分を中心とした自分が視認できる距離を半径とした範囲を完全に支配する』にグレードアップしたよ」

「グレードアップなんて次元じゃないにゃん!!」

「それでなぜか服装が変わるんだ。シャツは変わらないんだけどさ、ズボンが変わるんだ。膝上15cmのホットパンツに黒ニーソに」

「ぶふっ!? あ………でも一は足が綺麗だから大丈夫にゃん」

「そういう問題!?」

「そういう問題にゃん」

 

 

 何か何気にうれしいんだけど………俺の足、綺麗だってよ。

 

 ―――――コンコン

 

 

「そろそろ出るぞ」

「アザゼル………中から返事があるまで扉を開けるなよ」

「あぁ………スマンな」

 

 

 もし俺と黒歌がナニかしてたらどうするんだよ。俺はソッコーでアザゼルを塵にするぞ。

 

 

 

†††

 

 

 

 別の部屋から窓の外を見る。漆黒のローブを着こんだ不気味な奴らが多数こっちを見上げていた。

 

 フードを目深く被っているせいで、どいつもこいつも顔はわからない。だが、眼光だけはギラギラと輝いているのが分かる。殺意、敵意が伝わってくる。これでは陰気も充満するよな。

 

 手に持っているのはセンスを疑うような装飾がされた大鎌。とても気持ち悪く、生理的に受け付けない。

 

 死神(グリム・リッパー)だ。生命の死を司るとされる神で、冥府においては魂の管理者とされている者。

 

 鎌に掠るだけでも生命力を持っていかれるらしい。実に厄介である。俺の絶対領域ならノックバックで済むと思う………だが、神格があるから微妙だ。禁手(バランス・ブレイカー)すれば心配は無いけどな。

 

 ここから出る方法は三つあるらしいが、実現可能なのは一つらしい。その一つが、結界を支えている中心点を破壊する事らしい。ただ視界に入らないので、念じて塵にするのは無理だ。

 

 中心点―――――結界装置は、駐車場、ホテルの屋上、ホテル内部の二階ホール会場に一つづつの合計三つあるらしい。形状は尾を口にくわえたウロボロスの像らしい。

 

 場所がわかったなら後は簡単だ。槍投げして消しとばせばいいんだから。

 

 イッセーが屋上と二階ホールにある結界装置を破壊するらしい。俺? 俺は特に何も言われていない。アザゼルも黒歌の件があるから気を使ってくれたのか? でもアザゼルが気を使うなんてことはできないよな………

 

 

「―――――術式、組み終わりました」

 

 

 いつの間にか、ルフェイちゃんが魔法陣を展開していた。ルフェイちゃん、イリナ、ゼノヴィアの足元に魔法陣が展開されたことから、転移魔法陣だということが分かった。

 

 白音が窓際に移動した。作戦スタートだ。

 

 イッセーがすぐに『僧侶(ビショップ)』にプロモーションした。ただでさえゴツゴツしていた鎧が、ものすごくゴツくなった。両肩に砲撃戦用のキャノンだってよ。どこが僧侶だよ。治療できないだろ、その砲撃用キャノンじゃ。

 

 

「いっけぇぇぇぇぇぇっええええええええっ!! ドラゴンブラスタァァァァァァッ!!」

 

 

 ―――――ズオオオオオォォォォォォォォォオオオオッ!!

 

 凄まじい音を発しながら左右のキャノンから膨大な赤いオーラが発射された。この攻撃は受けたくないな………トラウマになりそうだ。だがイッセー、叫ぶのはどうかと思うぞ。黒歴史になりかねない。

 

 天井と床に大きな穴が空いた。見事な円だ。まるでコンパスを使ったみたいだ。

 

 

「屋上とホールに設置されていた結界装置が破壊されました!! 周囲にいた死神の方々ごとです!! これで残るは駐車場の一つだけ!! 転移の準備も完全に整いました!!」

 

 

 刹那、転移魔法陣の輝きが増し、ルフェイちゃん達を光が包み込んだ。それぞれイッセーに声をかけて、転移していたった。

 

 

「よし!! これであとはあいつらをぶっ倒して装置も破壊すればしまいだ!! いくぞ、お前らッ!!」

 

 

 アザゼルが光の槍を横薙ぎして部屋の大きな窓を破壊した。今ので確実にここにいるのがバレてしまった。

 

 俺と黒歌以外の全員が翼を広げて割れた窓から外に飛び出していった。行先は、死神が群がっている駐車場。

 

 イッセー達が死神と戦っているのを眺める俺と黒歌。もちろんただ眺めている訳ではない。《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》を発動させて、いつでも応戦できる状態だ。

 

 

「みんな凄いにゃん」

「そうだね………みんな綺麗にパワー型だよ」

 

 

 砲撃、砲撃、砲撃。ふどこを見ても砲撃の嵐だ。お前らはそれ以外に攻撃方法を知らないのかってぐらい砲撃しか見えない。

 

 ―――――バチッ!! バジッ!!

 

 ちょっと待て………今の音って空間が軋んでいる音だろ!? 砲撃で空間を軋ませるとか………パワーバカ過ぎるだろう。

 

 あぁ………イッセーがリアス・グレモリーと朱乃さんに譲渡した………うわぁ………死神がゴミのようだ。

 

 

「鬼畜にゃん………」

「これ、下手したらこっちにも飛んでくるよね?」

「………大丈夫だよね?」

 

 

 黒歌が震え声で訊いてくる。

 

 

「大丈夫だよ。黒歌は俺が守る。そのために至ったんだ」

「一………」

 

 

 そんなキラキラした目で見ないでくれ………黒歌を守るために禁手(バランス・ブレイカー)に至ったって言ったけど、あの時は絶対領域のことしか考えてなかったんだ。すまない。

 

 

「あれ………誰にゃん? 結構な強者にゃん」

「京都で見たような気がする。確か魔剣を使ってたような気がする………」

「魔剣………魔剣士?」

「そうだと思う」

 

 

 詳しくは分からない。ていうかそろそろ参戦してさっさとここから出るか? さすがにここだと落ち着いて黒歌と居られない。ソワソワする。

 

 俺が立ち上がるのと同時に、やけに陰気が集まっている死神が出現した。

 

 

「黒歌………あの死神、ヤバくない?」

「ヤバいなんてもんじゃない………最上級死神のプルートだにゃん」

 

 

 最上級死神か………厄介な者が出て来てくれたもんだ。

 

 木場が魔剣士を、アザゼルがプルートの相手をしている。よし、今のうちに禁手化(バランス・ブレイク)して片付けよう。いつまでもここにいるのはイヤだ。

 

 

「―――――禁手化(バランス・ブレイク)

 

 

 俺のチノパンがホットパンツに変わり、靴下が黒ニーソに変わった。そして俺の絶対領域が広がった。

 

 

「………何気に似合ってるにゃん」

「本当? それならいいんだけど………」

「足が綺麗だから大丈夫にゃん」

 

 

 ここで黒歌にボロクソに言われたら泣く。間違いなく泣く。

 

 

「死神の皆さん、わざわざご苦労様です―――――『塵になれ』」

 

 

 声に出したのと同時に『塵になれ』と念じる。すると、みんなが戦っていた死神が全員塵になった。

 

 全員の視線が俺に注がれる。なんだこのアウェー感。俺は死神を塵にしただけだぞ? これで最後の結界装置を壊しやすくなっただろ? いい仕事したなぁ。

 

 残る敵はジークフリートにゲオルグのみ。一緒に塵にしても良かったのだが、それだと勿体ない。

 

 ジークフリートは強大な魔剣を、ゲオルグは神滅具(ロンギヌス)でも上位の《絶霧(ディメンション・ロスト)》を持っている。抜き出さないなんて勿体ないじゃないか。

 

 魔剣はコレクションにするとしても、《絶霧(ディメンション・ロスト)》は黒歌に上げてもいいと思うんだ。黒歌は『僧侶(ビショップ)』の駒二つで悪魔になったから、使いこなせると思うし。

 

 神器(セイクリッド・ギア)も魔剣も、持ち主が死んだらどこかへ行ってしまうだろうから、死ぬ前に抜き出さないと。

 

 まずは逃げられないように、『何も考えるな』と念じる。こうすれば何も考えることができないから、転移することもできないし、立っていることもできない。

 

 窓から飛び降りて回収しようとした時だった。

 

 ―――――バチッ!! バジッ!!

 

 またこの音か………空間が軋む音だ。今回は穴が空いたようだ。

 

 穴から出てきたのは俺が知らない人。ただ、結構な実力者なのは確かだ。

 

 

「久しいな、赤龍帝。それとヴァーリ」

 

 

 赤龍帝と白龍皇の知り合い………嫌な予感しかいない。

 

 どうやら新しく出てきた奴は、シャルバという名前らしい。そのシャルバは、手元に禍々しいオーラを放っている小型魔法陣を展開して、ショタの身体に近づけた。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

 ショタは絶叫した。苦悶の表情を浮かべている。それと同時にショタの陰が広がっていき、フィールド全体を覆うほどの規模になった。

 

 

「ふははははははっ!! 《魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)》とは素晴らしく、理想的な能力だ!! しかも彼はアンチモンスターを作るのに特化していると言うではないか!! 英雄派の行動を調べ、人間界で別動隊と共に動いていた彼を拉致してきたのだよ!! 別動隊の英雄派構成員に多少抵抗されたのでころしてしまったがね!! それでは作ってもらおうか!! 現悪魔どもを滅ぼせるだけの怪物をッ!!」

 

 

 ―――――ズオォォォォォォ

 

 気味の悪い音と同時に、ショタの影から何かが生み出された。影を大きく波立たせて、巨大なものが頭部から姿を現した。

 

 規格外な程にキモい頭。無駄にデカい胴体。胴体に不釣り合いなほど太い腕。それらを支える物理的には理解できない脚。こ、こいつはマズイ………吐きそうだぜ。

 

 

「ゴガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 鼓膜が張り裂けそうだ………だが問題ない。俺の絶対領域があれば問題ない。『防音』と念じて、咆哮をシャットアウトする。

 

 しかし大きいな。200mはありそうだ。ここまで大きいと、塵にしてもかなりの量になりそうだ。片づけが大変だな。

 

 次々と生み出される怪物の足元に巨大な魔法陣が出現する。あれは多分、転移魔法陣だな。

 

 ここで転移されたらたまったもんじゃない。絶対俺に依頼が来る。『消滅しろ』と念じる。瞬間、シャルバと創造された魔獣達が跡形もなく消滅した。

 

 

「はい終了。最初からこうすれば簡単だったんだ。さっさとここから帰ろう、黒歌」

「相変らずデタラメだにゃん………」

「えへへ………」

「褒めてないにゃん」

 

 

 黒歌を連れてアザゼルの下へ向かう。魔力で足場を階段状につくって、そこをゆっくりと歩いて行く。これが勝者の余裕って奴だ。ドヤァ。

 

 アザゼルの元には他の奴らも集まっていた。だが、皆が皆マヌケな顔をしていた。

 

 

「どうしたの? アザゼル。アホみたいな顔をして」

「どうしたの? じゃねぇ!! なんだ今の!!」

「何って………消滅させただけだよ」

「消滅させただけ!? だけじゃねぇよ!!」

 

 

 あぁ、圧倒的なチートを見せつけたね。

 

 

「―――――ドヤァ」

「ドヤ顔してんじゃねぇよ!!」

「じゃあ、また今度ね。アデュー」

 

 

 懐から黒歌がくれた簡易転移魔法陣がかかれた御札を取り出し、気を流し込む。はぁ………疲れた。黒歌に膝枕してもらおうっと。

 




オーフィスのステルススキルがハンパない件について。

一くんの禁手どうですか? チートでしょう? 元がチートですからね。

イッセーがシャルバと戦ったことに関しては、原作6巻の件が大半の理由です。
あくまでも、疑似オーフィスはオマケですかね。
あと、決着をつけ切りたかったという、戦闘狂理論です。

まだ、禁手が安定していない一くん。
これからの成長に期待です。
桃源郷を………理想郷をつくってくれるんでしょうね。

2014/11/14 『自分を中心とした自分が視認できる距離を半径とした範囲を完全に支配する』→『自分を中心とした自分が認識できる距離を半径とした範囲を完全に支配する』に変更。

2014/11/14 後半の内容を大幅に変更。
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