吸血鬼との会談から数日が経った。
どうやらリアス・グレモリー、木場、アザゼルは、ルーマニアに飛んだようだ。使ったのは飛行機じゃなくて小型ジェットだそうだ。自家用ジェットとは………サーゼクスのシスコンめ。
アザゼルから新しい情報も入ってきた。どうやらここ最近フェニックスの関係者が拉致されているようだ。理由は分からないらしい。だが、フェニックスの関係者を拉致をしているのははぐれ魔法使いらしい。
はぐれ魔法使いは、はぐれ悪魔同様はぐれた魔法使いだ。簡単に言えば、はぐれ悪魔の魔法使い版だ。
そんでもって、今日も今日とて、いつもと変わらずに学校生活を送っている。
神話を読んでいたら結衣さんに話しかけられる。チャイムがなって、先生が朝のホームルームを始める。ルーティーン化されてきているような気がする。
二時間目が終わり、次の三時間目の授業は体育だ。最近は力をセーブするのが難し過ぎて困る。イッセーが悪魔になりたてのころは、本気でやっても運動部に所属している奴らとドッコイドッコイだった。だが今では、本気でやったらグランドが滅茶苦茶になる。
いい例がサッカーだ。ハーフラインから本気で蹴る。ボールが炎を纏って、ゴールキーパーに突き刺さる。そしてゴールネットを突き破った。だが安心してくれ。ゴールキーパーはイッセーだから。
制服からジャージに着替えてグランドに移動する。冬は寒くて困るな。まぁ夏は夏で暑いんだけどな。
グラウンドに出ると、先に来ていた奴らがサッカーをしていた。さすがにそれに混じるほど馬鹿ではない。俺が混じった時点でサッカーが超次元サッカーにランクアップしてしまう。
しかし野郎しかいなくてむさくるしいな。見るに堪えないものがある。
グランドをぼーっと見ていると、ローブを着こんでいて明らかに場違いな奴らがいた。コスプレではないだろうな。こんな季節にコスプレして出かける人はいないし、気配が人間の気配と若干違う。足下に魔法陣が展開されているところから考えるに――――――魔法使いか。それもはぐれ魔法使い。
とうとう俺に日常を壊しにかかってきたか………これはおこだぜ。激おこだ。
「―――――
いきなり
俺が
だが魔法を見た一般生徒がは騒ぎ出した。そりゃそうだ。何もないところからいきなり炎が出たんだぞ。普通の神経している一般人が見たら卒倒する。
すぐに『消えろ』と念じて魔法を消滅させる。そして『気絶しろ』と念じて、魔法使い三人と、裏のことを知らない一般生徒を気絶させる。さらに『忘れろ』と念じて、一般生徒の記憶から今起きたの出来事を忘れさせる。
俺の
「は、一………何したんだ?」
「イッセーか………
「なるほど………ナイス、なのか?」
ナイスだろ。明らかナイスだろ。もしこのまま俺が気絶させなかったらパニックになって、怪我人が出たかもしれない。魔法はそのまま飛んでいき、校舎を破壊したかもっ知れない。一般生徒に当たったかもしれない。
そしてはぐれ魔法使いは分ってるのか? 駒王学園の日常を侵した意味が。
「―――――一くん」
「な、何? 結衣さん」
「さっき魔法をこっちに向かって発動させてきた奴って………何?」
おこだよ。結衣さん、激おこだよ。だってはぐれ魔法使いのことを何、だってよ。誰じゃなくて、何。物扱いだからな。
†††
放課後になった。
俺と結衣さんは、オカルト研究部の部室に来ている。他にはリアス・グレモリーと木場以外のオカルト研究部のメンバーと生徒会のメンバーがいる。ただ、草下さんは情報を同盟スタッフと相互連絡できるように別室にいる。
全員が全員、険しい表情をしている。結衣さんは驚くほど無表情だ。逆に怖い。
真羅さんが、皆に報告をし始めた。
「一くんのおかげで、一般生徒に被害はありませんでした。同様に、学校の設備の破損個所もありませんでした。念のために、全校生徒は全て下校させました。侵入してきた者については、尋問のエキスパートに方々に任せておりますので、すぐにアジトも見つかるはずです」
尋問のエキスパートのことが気になるのは俺だけではないだろう。イッセーもキモい顔晒しながらクネクネしてるからな。
真羅さんに続いて、ソーナ・シトリーが口を開いた。
「一くん、一体何をしたのでしょうか?」
「何をした、とは?」
「魔法が消滅し、一般生徒とはぐれ魔法使いが気絶し、一般生徒から今日の襲撃の記憶が消えていました。どうやったのか知りたいのですが………」
「全て
「………そういえばあなたの
「教えるとでも?」
教えるはずがない。まだ俺は手札を教えるほど悪魔に馴染んでない。特に駒王学園の生徒に関しては。あぁ、白音は別だから。
向こうは知らなくてもこっちはいくらでも情報が入ってくる。はぐれ魔法使いが襲撃して来てからずっと《
俺は扉の前で全員が部屋に入るのを待っていたんだ。すると、俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域内に全員が一度侵入することになる。後は分かるだろ? 全員の情報が手に入ったんだよ。
「そうですか………」
あっさりと諦めるソーナ・シトリー。多分、今日の件もあるから今日はこの辺にしておいてやるってことだろうな。
それからも会議は続いた。途中でロスヴァイセさんがおばあちゃんから電話がかかってきて、方言丸出しで受け答えしているのに少し萌えた。俺は別に方言萌えではないんだけどな………
ロスヴァイセさんはどうやら魔法の使い手だったおばあちゃんに、強固なセキュリティーを突破できる術式について聞いたらしい。返ってきた返答は裏切り者がいるかもしれないという、まさかの事実。
この地域一帯は三大勢力の同盟関係にあり、数多くのスタッフが在任しているらしい。駒王学園を中心に町全体に協力な結界が張られており、怪しい物が足を踏み入れるとすぐに誰かが察知できるようになっているらしい。ただ、侵入して姿をくらまされると察知しにくいという点がある。よってここに入るにはいくつか可能性が絞られるわけだ。
一つ目は、無理矢理の侵入。これは力があるものであれば可能だ。だがこれは侵入がすぐに発覚するので、今回の件とは違う。
二つ目は、この町に住む者、またはスタッフの者が結界の外に出かけ、そこで敵対組織に捕らわれてしまい、操作されて侵入される。これに関しても、現在は住民、全校生徒、スタッフに反応は出ていないらしい。
三つ目は、裏切り者が仲介をして、学園まで侵入させたことになる。これしか残っていないので、自動的にこれになる。
裏切り者か………なぜか全員俺の方を向いているんだが………気のせい―――――
「お前が裏切り者なんじゃねぇのか!!」
―――――ではなかったようだ。
俺を指さしながら叫んだのは、ソーナ・シトリーの『
さっき手に入った情報によると、『
《
《
《
《
意外に使えそうなものばかりだが、俺は念じるだけで全て出来る。チートがいくつ集まっても、バグには勝てないのだよ。
「仮に俺が裏切り者だったとしたらさ―――――今頃君達全員塵になってるよ」
「「「「「―――――ッ!?」」」」」
当たり前だ。なんていったって裏切るんだから。後腐れがないように、徹底的に消すさ。まぁ裏切ることはないけど。ないといいなぁ………相手の出方によるからな。それに、現在だって敵対していないだけで、仲間になったわけじゃないからな。
「分かったら早く敵のアジト見つけてね。早くしないと―――――」
「会長!!」
なんてタイミングだ。バッチリじゃないか。さては外で盗み聞きしていたな? このいやらしい奴め。
「襲撃してきたはぐれ魔法使いの仲間らしき者から、連絡がありました」
向こうからアクションをかけてくるということは………罠か。それなら―――――
「丁度いいので、帰らせてもらいますね」
ソファを立ち上がって、結衣さんの手を引いて部室からさようなら―――――
「行かせませんよ」
「おっふ………」
「むぅぅぅ………」
―――――できなかった。
ソーナ・シトリーに腕を掴まれてしまった。結衣さんがそれを見て、口をぷくーっとさせた。萌えるな。