絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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昨日は11/28―――――イイニーハイの日でしたね。
出来れば昨日、投稿したかった………


二領域目 俺はもうお家に帰りたい

 広い。すごく広い。その広い室内の床には、真っ赤で大っきな絨毯が敷かれている。そしてその絨毯には扉のレリーフと同じデザインの魔物の刺繍が金色に輝いている。

 

 絨毯の先にある一段高い場所に玉座が起かれている。

 

 ちなみに《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》は発動させたままだ。俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域も展開されていて絶好調だ。まぁ突然攻撃されるかもしれないからこの程度は当たり前。

 

 玉座に座っているのは少女。その玉座から少し離れた位置に若い男も列席している。全員が人形のように綺麗すぎる顔立ちだった。

 

 玉座に座る少女は砂色の色合いが強いブロンドを一本に束ねて、あまり派手さの無いドレスに身を包んでいる。やさしそうな微笑みを浮かべているけど、どうもそれは自分の意思ではなさそうだ。目が虚ろだからね。だが結衣さんのハイライトが消えた瞳みたいな恐ろしさはない。

 

 それにしてもあの玉座に座っている少女………着せ替えたいな。写真会の開催を求む。黒ニーソはもちろんのこと、白ニーソ、しましまニーソ、淵がレースの大人っぽいニーソも似合いそうだ。妄想が膨らむね………

 

 

「ごきげんよう、皆様。私はヴァレリー、ツェペシュと申します」

 

 

 少女が自己紹介をした。なんでだろう………微笑んでるのにあまり萌えない。

 

 

「あ、えーと、いちおうツェペシュの現当主―――――王様をすることになりました。以後、お見知りおきを」

 

 

 急に話し方が柔らかくなった………情緒不安定なの? 操られているから? 俺の絶対領域内に侵入すれば一気に終わるけど………無理だろうね。

 

 少女の視線はおぼろげで誰も正確に捉えられていない。でも、唯一ギャスパーには視線を定めた。見知っているからだろう。

 

 ギャスパーはヴァレリーに近づき、ヴァレリーは近づいてきたギャスパーを抱きしめた。これだけを見ると相思相愛のカップルに見える。

 

 ヴァレリーはそのまま二言三言ギャスパーと話した後に、あらぬ方向に顔を向けて訊いたこともないような言語で、何もない空間に一人話しかけたんだ。

 

 その何もない空間には、とてつもない質の陰気が集まっている。ということは………結構マズイものが見えているということだね。

 

 あー………なるほど、聖杯のせいか。聖杯に取り憑かれたからか。

 

 

「一くん………何か気味が悪いよ………」

 

 

 結衣さんが震えながら右腕に抱き着いてきた。この前散々ゲイ・ボルグで無双して敵を血塗れにしてたのに………

 

 ヴァレリーがギャスパーと話終えたことによって本格的に仕事の話になった。

 

 今回の件の首謀者は、ツェペシュ王家継承第五位のマリウス・ツェペシュらしい。マリウスは暫定政府の宰相で、神器(セイクリッド・ギア)研究最高顧問という大層な肩書きも持っている。本職は神器(セイクリッド・ギア)研究最高顧問で、宰相っていうのはおじさんに頼まれてやっているそうだ。

 

 系図的にはヴァレリーの兄らしいが………どうもヴァレリーのことはそこまで想っていないようだ。精々使い勝手の良い捨て駒程度だろう。

 

 許せない………あぁ、許せないさ。あんなにニーソが似合いそうな女の子を捨て駒扱いだよ? 捨て駒にするくらいなら俺にください!! お願いします!! そうしたら毎日黒歌と着せ替えしたいなぁ………っと、いかんいかん。

 

 今クーデターを起こした理由は、マリウスが聖杯で好き勝手にできる環境を整えているだけにすぎないようだ。マリウスは聖杯に興味があり、いろいろと試しているだけ………実験をしているだけだと。そのため、前王―――――マリウスの親父や、兄が邪魔で殺したらしい。

 

 それを聞いたヴァレリーが微笑んだままって言うのには少し萌えた。無表情も萌えるけど、微笑みが崩れないって言うのもなかなかだ。新たなジャンルがたった今できたね。

 

 リアス・グレモリーがヴァレリーを開放できるかマリウスに訊いたが、答えはもちろんNOだった。

 

 それを聞いたゼノヴィアさんが、話し合いは無駄だからさっさとマリウスを消して帰ろうという脳筋的思考でデュランダルを亜空間から取り出そうとした。

 

 マリウスはそんなゼノヴィアを見ても平然と笑みを浮かべるだけだった。

 

 

「怖いですね。では、ボディガードをご紹介いたしましょうか。私が強気になれる要因の一つをね」

 

 

 フィンガースナップをするマリウス。刹那、俺の研ぎ澄まされた面倒事センサーがビンビンに反応した。

 

 コレはこの前のグレンデルと同じ感じの………

 

 

(グハハハハハハ!! 随分と面白れぇ奴が出てきたじゃねぇか!!)

(話しかけるんだったらもう少し静かに話しかけてくれない? 意識なくすよ?)

(ス、スマン………)

 

 

 この声の主は、懐にある《大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴンズ・オーブ)》に封印されているグレンデルだ。この通り、調教もバッチリ完了しているので危険はない。

 

 今まで全く会話できなかったのに、ここ最近会話できるようになった。まぁうるさくなっただけで大した利益は―――――あ、あった。グレンデルが自分の能力について教えてくれたよ。

 

 現れたのは青年だった。いや、青年の皮を被った化物だ。金と黒が入り乱れた髪。双眸は右が金で左が黒のオッドアイ。そして黒ずくめだ。あぁ、そうだ。こいつは間違いない―――――中二病だ。おっと、間違った間違った………邪龍だ。

 

 俺以外の全員が息を呑んだのが分かった。圧倒的な力量差を確認して、油汗を顔に滲ませていた。俺? 俺別にそんなことない。だってグレンデルと同類だろ? 

 

 

(あいつはクロウ・クルワッハだ。あいつは結構やる奴だ)

(グレンデルが他の奴を認めるなんて珍しいね)

(まぁな………しっかしあいつが吸血鬼のボディガードをやってるとはなァ。なぁ一、あいつと―――――)

(戦わせないから)

(なんでだよ!! いいじゃねぇか少しぐらい!!)

(意識なくすぞ)

(スマン………俺が悪かった)

 

 

 全く………グレンデルも戦闘狂で困る。一回白龍皇と同じ空間に閉じ込めてもらって一日中戦わせておくか? そうすればグレンデルも少しは静かになるだろう。

 

 ―――――パンパン

 

 マリウスが柏手を打った。

 

 

「今日はここまでにしましょうか。お部屋をご用意しています。皆様もしばしご滞在ください。あぁ、そうでした。ヴラディ家の当主様もこの城の地下室に滞在しておりますので、お会いになるとよろしいでしょう」

 

 

 それは監禁って言うんじゃないか? 

 

 

 

†††

 

 

 

 王の間を出た俺達は、用意された部屋まで現在進行で案内されていた。

 

 

「………吸血鬼とは思えない異端の男だな」

 

 

 アザゼルがぼそりと言った。それに反応したのはリアスだ。

 

 

「えぇ、誇りや血筋よりも己の欲求を満たす為に動いている吸血鬼なんてそういないわ」

 

 

 そうなんだ………あまり吸血鬼については知らないからそういうものだと思ったんだけど。

 

 確かにマリウスはエルメとは明らかに違う性質だった。己の欲望に忠実で素直って感じだ。

 

 結衣さんはさっきからどこか表情が暗い。まぁ目の前で吸血鬼の汚いところを見てしまったのもあるだろうが、それ以上に別の理由がありそうだ。深くは突っ込まないさ。無駄に傷口を抉ってもしょうがないでしょ。

 

 部屋に着くまでにアザゼルが話しているのを聞いたんだけど、ヴァレリーがさっき話していたのは、あの世の亡者らしい。人間だけじゃなくて、それ以外の異形のものもいるらしく、混同しすぎて元が何なのか、今がどういう状態なのか、それすらも分からない存在と話していたらしい。

 

 聖杯を酷使したせいで、相当な精神汚染が進んでいる。だから表情も不自然だったんだろう。

 

 聖杯は生命の理に触れ、命とは、魂とは、それらがどういうものか、神器(セイクリッド・ギア)を使えば使うだけ、その『作り』を強制的に知ることになるようだ。命の情報量は膨大だ。聖杯を使うたびに生きた者、死んだ者、様々な者たちの精神、概念、そういうものを取り込んでしまう。自信の心に、魂に。

 

 無数の他者の意識が心に流れ込み、浸食するんだ。壊れないはずがない。

 

 そう考えると聖杯はあまり使い勝手が良くないね。使うたびに自分が壊れていくんだよ? まぁ俺に移植して、《桃源郷の探索者(エクスプロール・シャングリラ)》との同時発動ならギリギリ使えそうだ。それか、俺の絶対領域内での使用。そうすれば汚染されないように念じていれば大丈夫だろう。こうやって考えると、俺がいれば諸刃の剣も使えるってことか。

 

 

「………まずは聖杯、神器(セイクリッド・ギア)の活動自体を―――――」

 

 

 アザゼルが口をつぐみ、歩み止めた。前方から誰かが歩いてきたからだ。

 

 廊下の先から来るのは、銀髪の中年男。そして身に纏っているのは―――――魔王が、サーゼクスがいつも着ている服と似ているものだ。

 

 待て………待て待て待て!! コイツはマズイ!! 俺でも分かる。白龍皇と良くにた質の悪魔の気配だ。

 

 結衣さんを俺の後ろに隠して、『顔を俺の肉親レベルに変更』『気配を俺と似たものに変更』と念じる。気休めぐらいにしかならないだろうけど、やらないよりマシだ。

 

 背後にいる結衣さんも勘付いている。血が騒ぐんだろう。橘の血が。

 

 

(おい一………面倒なのが出てきやがったぞ………)

(そうだね………)

 

 

 グレンデルがこう言うのも無理はない。無理もないさ………だって、だってコイツは―――――

 

 

「………こいつのクソったれな顔は忘れられねぇよ。なぁ―――――リリン、いや、レゼヴィム・リヴァム・ルシファーッ!!」

 

 

 ―――――橘家が代々戦ってきた『魔』、リリンだから。

 

 アザゼルが叫んだ。それと同時にここにいる全員の身体が強ばった。

 

 

 アザゼルとリアス・グレモリーがヤツの相手をしている間に俺はいろいろと準備を進める。相手に悟られないように周囲の気を徐々に俺と結衣さんの周囲に集めていく。

 

 

「は、一くん………アイツって………」

 

 

 結衣さんが俺にだけ聞こえる声量で話しかけてくる。

 

 

「そうだよ………」

「やっぱり………」

 

 

 それからもアザゼルはリリンと会話を続ける。内容は聞こえて来ても全く頭に入らない。それどころじゃないんだ。

 

 ただ一つ、目が離せないものがあった。リリンの隣りにいる少女だ。容姿はそのままオーフィスだ。

 

 

「奪ったオーフィスの力を再形成して生み出した我が組織のマスコットガール―――――リリスちゃんだ。よろしくね~♪ 俺のママンの名前をつけてみたのよ。いいでしょー」

 

 

 これは頭に残った。奪ったオーフィスの力を再形成した? 俺がフェイクにつくった疑似オーフィスで? それしてはやけに強そうじゃないか。龍の覇気がビンビン伝わってくるし。それほど俺がつくった疑似オーフィスの出来がよかったのか? ………なんでだろう、少しうれしい。

 

 リリンは会話をアザゼルとの会話を終えたのか、俺達の横を通り―――――すぎなかった。

 

 

「およよ~? ふんふん、ま、いっか♪ じゃね~♪」

 

 

 俺の真横で止まって言った。でもすぐに歩いて行った。

 

 バ、バレなかったのか? いや、違うな………偽造していたのがバレたんだ。でもその理由は気にしなかった、ってところか? それだとありがたい………

 

 あぁー………もうヤダ。俺、お家帰っていい? 

 




結衣さん本格参戦?

今章は結構なことになりそうです。
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