一領域目 俺は焼き鳥を塵にしたい
「おはよう一くん」
「おはよう結衣さん………」
いつも通り結衣さんとあいさつをして自分の席に座る。
「どうしたの? なんか疲れてるみたいだけど」
「いや………なんでもない―――――わけじゃないんだけどね。最近寝不足でさ」
「何かあったの? 私で良ければ力になるけど」
「ありがとう。でもさ、この悩み事は自分で解決しないといけないから」
最近、黒歌と一緒に寝ることが増えた。それも黒猫の姿じゃなくて人の姿で。いつも右腕に抱き着いて寝るわけでして………腕が素晴らしい感触に包まれるんだ。ここまではいい。でもそのおかげで目が覚めちゃうわけでして………まったく眠れないのだ。
ま、まぁ黒歌と寝れるならこの程度なんでもないさ。
あとね、今日は結衣さん黒ニーソ履いているんだ。理想的な絶対領域も存在していて、ガン見したいわけで………まぁガン見したいんだけどチラ見で我慢しているんだ。それも一つの悩みなんだよね。結衣さん、無防備なところがあるからさ。
朝のホームルーム後、すぐに屋上へ向かった。今日は黒歌はいない。黒歌は街に探知結界を張るって言ってたし。
屋上は誰もいなかった。いつもの場所で横になる。今日も晴天だね。たまに吹くそよ風が心地いい。このまま寝てしまおう。そう思った時だった。
「ここで何をしているんですか?」
誰かに声を掛けられた。何だろう。この声、どこかで聞いたような気がするんだけど………確か集会の時だったような………
ゆっくりと起き上がり、声のした方を向く。そこには―――
「生徒会長………」
生徒会長のソーナ・シトリーがいた。普段は『
「何をしてるかって言われると………昼寝ですね」
「今は授業中のはずですが?」
「別に出るも出ないも俺の自由でしょ? 出席日数は足りているはずですし、テストでもしっかり点数取ってますよ」
ソーナ・シトリーの顔が引きつった。
あれれ? 俺は別に変なことを言った覚えはないんだけどね。だってやることちゃんとやってるし。出席日数がギリギリでもしっかりテストで点取ってるんだからいいじゃん。
推薦をもらって大学進学するならまだしも、俺は大学に行く予定は無いし。ていうか今の俺の状況で行けるとでも? 無理だ。
「そうですね………でも―――」
「でもじゃない。生徒会長にとやかく言われる筋合いはないんだよ」
「―――ッ!?」
ぐちぐち言ってきそうだったから殺気を込めながら先に言わせてもらいました。なんかそれで驚いてたみたいだけど………俺程度の殺気で驚いちゃうだなんて、この悪魔大丈夫かね。
「わかったら回れ右してお仕事に戻ってね」
「わかりました………今日は諦めます」
そう言い残し、ソーナ・シトリーは屋上から出て行った。
今日は諦めますだと? ということは明日、
まぁいいや。今は寝よう。さすがに眠い………
†††
―――ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
急に俺の危険を知らせる警報が鳴り響いた。めっちゃザワザワ言ってた。
日が沈み始めてる………もう放課後か。どんだけ寝てたんだよ俺………。まぁそれだけ寝不足だったってことだろうね。
でも今はそんなことを考えている場合じゃない。
すぐに《
(一様、そろそろお呼びしてよろしいでしょうか?)
この声はグレイフィアさん? これって念話ってやつ? 俺って念話出来たっけ? 念話の仕方は分らないし………普通に話してみるか。
「グレイフィアさん? 呼ぶってなんで? 今日ってなんかあったっけ?」
(今日はお嬢様の婚約者であるフェニックス家の三男との―――)
「あー………思い出した。確か焼き鳥とレーティングゲームするからその手伝いだっけ?」
(少し違いますが大体はその通りです)
ていうか普通に話してもつながるんだね、念話。いやぁ、流石グレイフィアさん。規格外だね。
「ちょっと待って。今すぐ
すぐに俺の絶対領域内に狐のお面と軍服みたいな外套を創造して身に纏う。よし、変装完了。それで声を電子音にして―――
『グレイフィアさんいいよ』
(かしこまりました。では)
グレイフィアさんがそう言った瞬間、俺の足元に銀色の魔法陣が現れた。これはきっと転移魔法陣だろう。
風景が変わった。室外から室内へ、新校舎から旧校舎へ。そして目の前では―――
「へー、受けちゃうのか。俺は構わない。ただ、俺はすでに成熟しているし、公式のゲームも何度かやっている。いまのところ勝ち星の方が多い。それでもやるのか、リアス?」
「やるわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!!」
「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」
―――と、こんな感じで茶番劇が行われていた。ぷぷぷ………はぁ、笑い堪えるのが大変だった。きっとあの金髪のホストくずれが焼き鳥家の三男だね。なんかリアスがライザーって言ってたけどそれが名前かな?
「承知いたしました。お二人のご意志は私グレイフィアが確認させていただきました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」
「えぇ」
「あぁ」
グレイフィアの問いにリアス・グレモリーと焼き鳥家三男がうなずいだ。
そんなことより俺を呼んだんだから早く話をしてもらいたい。話をしないんだったらさっさと家に帰して。黒歌が、黒歌が俺を待っているんだ!! ………待ってくれてるよね?
「なぁ、リアス。まさか、ここにいるメンツがキミの下僕なのか?」
焼き鳥家の三男が余計なことを言いだしやがった。これじゃあ話が延びるだけじゃないか。いい加減にしてもらいたいね。
「だとしたらどうなの?」
「これじゃ、話にならないんじゃないか? キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」
焼き鳥家の三男はそう言いながら、パチンと指を鳴らした。すると魔法陣が出現した。
その瞬間、俺は察知した。これを成功させたら面倒な事になると。幸い、出現した魔法陣は俺の絶対領域内に侵入している。条件は満たしてるね。『消滅しろ』と念じて魔法陣を強制的に消す。
「「「「「―――ッ!?」」」」」
この部屋にいる俺とグレイフィアさん以外の全員が目を見開いて驚いた。みんな同じリアクションって見てておもしろいね。その後リアス・グレモリーが、キョロキョロと部屋を見回していた。そして俺を見つけて、ワナワナと震えていた。
「なんであなたがいるのかしら?」
「お前は!!」
リアス・グレモリーに続いてイッセーまで声を上げた。
グレイフィアさんの方に顔を向けると、うなずいてくれた。これはOKの合図だね。
『久しぶり。えっと、魔王サーゼクス・ルシファーから依頼を受けた
「お兄様から!? ………それで? その依頼とは何?」
「それは私がご説明いたしますリアスお嬢様」
ナイスだよグレイフィアさん!! ここで俺に説明を任せたら大変なことになることをわかってらっしゃっる。
グレイフィアさんの説明を簡単にまとめるとこうだ。
サーゼクスはリアス・グレモリーが焼き鳥家の三男との婚約を拒否するだろうと考えていた。その条件としてレーティングゲームが提案されるだろう。そうしたら眷属もそろっていなくてレーティングゲームをしたことがないリアス・グレモリーは不利すぎる。なら準備期間を設けよう。そうだね、十日間ぐらいかな。そうだ、準備期間にコーチをつけよう。そしてそのコーチがこの俺、
かなり
『というわけでよろしくね。リアス・グレモリーとその眷属のみんな』
「え、えぇ………よろしく」
釈然としない感じでリアス・グレモリーが返事してきた。きっとまだ納得してないんだろうね。眷属をボコボコにした張本人にコーチされることを。でもしょうがないよね、魔王様に言われちゃったんだから。
そういえば焼き鳥家の三男はどうしたんだろ? 結構な時間相手にされなかったわけだけど。
「話は終わったか?」
すごいキメ顔で忘れられていた焼鳥家の三男が話しかけてきた。
「リアス、お前さえ良かったらお前のコーチであるソイツもお前のチームとして出場させてもいいぞ? まぁ人間が参加してもボロボロにされるだけだろうがな」
ハハハ、と笑いながら言う焼鳥家の三男。
この野郎………塵にしてやろうか? あー久しぶりだぜ、こんなに塵にしたいと思ったのは。でも、俺のことを初見でちゃんと人間ってわかったんだね。そこだけは褒めてやろう。
『リアス・グレモリーどうする? 俺は別に構わないけど』
「………お願いしてもいいかしら? 正直、戦力不足だから」
「部長!! こんな奴いなくても―――」
「イッセー。あなたの言うこんな奴たった一人にあなたと祐斗は負けたのよ?」
「う………」
そうだぞイッセー。人間の俺に勝てないのに不死の焼き鳥を相手にできるわけないだろまったく。現実を知りなさいよ。
『それじゃあ俺も参加するってことで。いいよね? グレイフィアさん』
「はい。サーゼクス様にもお伝えしておきます。それでは失礼いたします」
グレイフィアさんはそれだけ言って転移していってしまった。
「それじゃあ俺も帰るとするか。リアス、次はゲームで会おう」
今度はキメ台詞を残して焼鳥家三男が転移していった。やべぇ………どこまで俺を笑わせてくれるんだろ。
†††
「黒歌、俺、レーティングゲーム出る」
「ぶふっ!? えぇ!? レーティングゲームに出るの!?」
「うん。なんか焼き鳥が俺のことをバカにしてきてムカついたから」
「それならしょうがないにゃ。しっかり焼き鳥を塵にしてくるにゃ」
「もちろん」
家に帰ってシャワーを浴び終えた俺は、黒歌にレーティングゲームに参加することを伝えた。すごく驚いていたけど、俺がバカにされたことを知った瞬間、「塵にしてこい」っていってくれた。さすが黒歌。わかってるね。
「それでね、なんか明日から十日間合宿するらしい」
「やっぱりレーティングゲーム出ちゃダメにゃ」
「でもサーゼクスに言われたことだからさ………」
「むぅ………じゃあ今のうちに一を堪能するにゃ!!」
そう言いながら黒歌が抱き着いてきた。正面からね。黒歌のすばらしい胸が俺の理性をガリガリと削っていく。
「黒歌………」
「今日も一緒に寝るにゃ」
「うん」
黒歌は正面から移動して右腕に抱き着いてきた。そのまま俺の部屋まで言ってベットへ横になった。なんかベットに横になった瞬間眠気が………最近色々ありすぎて身体が疲れてるんだろうな………
「ごめん黒歌………もう寝るね………」
「にゃ。おやすみにゃ」
「おやすみ………」
翌朝、なぜか服が全部脱がされていた。一体何があったんだろう………あ、でもかろうじてパンツは履いていたよ。
2014/12/26 文頭に空白設置。誤字脱字の修正。『―――』の長さ調節。