ここからさらにパワーインフレが起きると思うんですよね。
一領域目 俺の新たな技
目の前では、結衣さんが初代孫悟空と模擬戦をしていた。
結衣さんが使っている槍は、何の変哲も無いただの薙刀だ。地力を上げる為の模擬戦なので、槍の能力に頼ったら意味がないからだ。
それに、仮にブリューナクを普通に使ったとしよう。振るうたびに穂先から必殺のレーザーが五つも放たれるんだよ? この空間にいる人が全員死ぬよ。
ちなみに二人とも本気で戦っているわけではない。本気で戦い始めたらこの空間は数秒も持たずに崩壊していくだろう。
結衣さんが立華流と使って攻め立てているが、それでも初代孫悟空は觔斗雲に乗りながら最小限の動きでいなしている。
さすが初代孫悟空。チートだね!!
ただその初代孫悟空に食って掛かる結衣さんは一体何なんだろう。只者じゃないのは分かるけど………それでもやっぱりまだ結衣さんのおじいちゃんより
「一くん………お待たせ………」
「お疲れ、結衣さん」
「うん………すごいよ。おじいちゃんと同じくらい強いんだもん」
待ってくれ結衣さん………
初代孫悟空と同等の強さな結衣さんのおじいちゃんって………そりゃあリリンを追い返すこともできるよね。
「次はお前さんか」
「よろしく」
「好きに攻めてきなさい」
す、好きに攻めてきていいって言ったって………返り討ちに会うビジョンしか浮かばないんだけど。
この模擬戦は
どう考えても無理ゲーだろ。俺が今まで各上を相手にできたのは《
まぁやるだけやってみるしかないよね………
気で身体強化をする。そして自分の気を出来るだけ周囲の気に一体化させていく。これで少しは気配を隠せると思う。まぁ仙術をマスターしている初代を欺くのは無理だと思うけど。
小細工を使ってもどうせ避けられるので、真正面から思いっきり突っ込んでいく。そしてその勢いを利用して右ストレートを放つ。
初代は俺の右ストレートを左手で受け止めようとしている。初代の手が俺の右拳に触れた瞬間、一気に全身に気を流し込んで爆発的に力を底上げする。
「―――――ほう?」
これには初代も少しだけ驚いてくれたようだ。でも俺の右ストレートはバッチリ受け止められている。余裕ですね? わかります。
初代が右腕を引き絞った。それを見た瞬間、退避しようと拳を引くんだけど………初代の手が離れない。
初代マジ馬鹿力。さすが人外だね。
初代の右拳がえぐるように俺の横腹をめがけて放たれる。俺はとっさに《
俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域の展開を確認。よし、これでノックバックで済む。
―――――ドゴォォォォォォォォッ!!
初代の拳が俺の脇腹を捉えた。それと同時に弾き飛ばされるように吹っ飛ぶ俺。ポーンと飛ばされて、地面に着地。そこからゴロゴロゴロゴロと地面を転がること数一〇秒。岩にぶつかってようやく止まった。
あ、危なかった………俺の絶対領域を展開してなかったら確実に肋骨はコナゴナだったよ。いや、肋骨だけで済んだのかな………? なんせノックバックだけでこれだからね………
「すまん、少しばっかり力を入れ過ぎたようじゃ」
「あー………そうですか」
これで少し!? これで少しですか!? 一体どれだけ化物なんだ初代は。これが気を極めし者なのか!?
「しかしよく無事じゃったの」
「頑張ったからね」
「頑張ればどうにかなるもんかねぃ………」
頑張ったよ………冷静に判断して《
頑張ることは大切だよ。頑張れば頑張るほど黒歌がサービスをしてくれるんだ。どんなサービスかは俺だけのお楽しみだけど。
「しかしお前さん、なかなか気の扱いがうまいのぅ」
「そう? やっぱり師匠がよかったのかな」
「誰じゃい、お前さんの師匠は」
「黒歌だよ」
「あぁ………猫の嬢ちゃんか」
初代を納得させるほどの力量を黒歌は持っているだと!? それだけ黒歌は努力したんだろうなぁ………
「お前さんはもうちょい細かい気のコントロールを練習しなさい」
「りょーかい」
細かいコントロールか………仙術を本格的に習得し始めるか。
今までは気をそのまま使っていたけど、それを仙術という技術を用いて変化させてから使う。この練習をしよう。仙術は細かいコントロールが必要だからね。
気の細かいコントロールを練習するついでに仙術を覚える………まさに一石二鳥だね。特しかない。
光遁術―――――というのをまず始めに習得しようと思う。
光遁術とは、自分の体を光の矢と化して、宙を飛びながら瞬時に移動をする術だ。移動できるのは10kmまでで、遮蔽物を通過することはできないが僅かでも隙間があるか、ガラスのように光を通す物があればそこから移動できるというなんともチートな仙術だ。
ちなみに拘束されていても、その拘束具のみを残して移動することができる。また、光遁術で移動した者を追いかけることができるのは、光遁術のみらしい。
光遁術のことを仙術が記されている巻物で見つけた時は、それはもう喜んだね。転移魔法陣を自分で展開できない俺からしてみれば、最高の移動手段だ。
《
というわけで練習することにしました。
イメージするのは光の矢と化した自分。イメージをして、そして固める。俺は光の矢………俺は光の矢………俺は―――――
「―――――光の矢だ」
瞬間、景色が変わった。今までの岩石地帯から森林地帯へ。およそ10kmを移動した。
これは結構クる………疲れる。今のでかなり気を持っていかれた。これは
今回は目的地を思い浮かべなかったせいか、適当な場所に移動してしまった。今度はしっかりと移動する場所を思い浮かべないと。………そう考えると移動先が河川地帯じゃなくてよかったな。
次は黒歌のところに移動しよう。
黒歌を思い受かべながら、さっきと同じように気をそうさする。さすがに覚えてるよ………さっきやったばっかりだからね。
黒歌を思い浮かべながら、さっきと同じように気を操作する。全身を気で圧縮して光の矢にするイメージだ。
瞬間、また景色が変わった。
「にゃにゃっ!?」
「ごめん黒歌。驚かせちゃったね」
「う、うん。それよりどうやってここまで来たにゃん?」
「光遁術を練習し始めてね」
「それですぐに出来たの?」
「うん」
「さすが一にゃん………」
そんなに褒めないでよ黒歌。そんなに褒めても黒歌に履いてもらいたいニーソしか出てこないぞ☆
それにしても―――――
「疲れたぁ………」
「だ、大丈夫!?」
倒れそうになる俺を支えてくれる黒歌。そのたわわに実った胸が俺を癒すんだろ? 知ってる。
たった二回光遁術を使っただけで倒れちゃうか………まだまだ実戦投入は先だね。あぁ………初代が言っていたのはこのことか。細かいコントロールをすることによって気の消費を最小限にしろってことだったのか。
黒歌はそのまま俺の頭を自分の膝に乗せてくれた。そうだよ………これだよこれこれ。膝枕が一番体力回復にはいいんだ。
ムチムチふわふわぷーにぷに。あはは、ここに桃源郷はあったよー………
†††
みんなの特訓が一段落して、家に帰る前の最期のミーティングタイムになっていた。
「―――――以上が、私達ウィザード組からの報告。つまり、私の必殺技はいまだに溜めの時間が省略できずじまい。朱乃の方は腕輪なしでも堕天使化が可能になりつつあるってことよ」
リアス・グレモリーからの報告を受けたので、次は俺達―――――俺と結衣さんの無所属でイレギュラー組の番になった。
「俺はそうだね………一つ仙術が使えるようになった。まだまだ消費が激しいから実戦投入は無理だけどね」
「私は………初代様と模擬戦ばかりしてたからそれなりに。あ………普通の薙刀でも初代様に一撃入れられるようになったかな」
結衣さんの成長速度が速すぎて怖い。あの初代に今日一日で一撃入れられるようになるってどれだけだよ。みんなも若干引いてるよ。
俺達の報告を終えて、今回のミーティングが終わるわけだけど………
「……………………………………」
リーダーのデュリオは半分寝ているようだ。
毎度毎度特訓に顔を出すんだけど、ミーティングタイムになるといつもこうだ。
「………ジョーカーがこの手のものに毎回参加するだけ、軌跡だってシスター・グリゼルダもおっしゃっているから、許してあげて!!」
イリナさんが謝罪のポーズをしながら訴えた。
確かにこの様子を見るに参加するだけでもマシだと言えるね。正直なことを言えば、俺もミーティングをサボろうと思ってたし。
だがみんなデュリオを咎めることはしなかった。これが実力者という建前があるかないかの違いか………
リアス・グレモリーが俺達を見渡しながら話題を切り替えた。
「ソーナの建てた学校でおこなわれているオープンスクールを手伝うってことは、みんなも既に知っているでしょうけれど、実は今夜、兵藤家にお客様がいらっしゃるの。その学校で生徒や親後さんに向けて特別授業をおこなう講師の方よ。急遽、兵藤家への訪問を決めたと連絡を受けているわ」
どうして講師が兵藤家にわざわざ来るんだろう? その必要性を俺は感じないんだけど。
イッセーがロスヴァイセさんの方をチラチラ見てることから考えるに、ロスヴァイセさんが関係してるんだね。まぁ深くは考えないでおこう。悪魔の事情だからね。
一くん、仙術を練習する。
一くん、光遁法をどうにか使えるようになる。
結衣さん、成長速度異常が発覚。
結衣さんのおじいちゃん、やっぱりチートだった。