イッセーがルフェイちゃんと契約したらしい。うらやましいったらありゃしない。あの魔女の衣装にニーソを履かせたら素晴らしんだろうなぁ………
でもそれだけだから魔法使いと契約する利点は無いんだよね。魔法使いとの契約は基本的にギブ・アンド・テイクだから、こっちも契約した魔法使いにナニカをあげないといけない。そう考えるとなぁ………
そうそう、最近白音が俺の家に引っ越してきた。なんでも、せっかく仲直りできたんだから一緒に住みたいらしい。それに加えて、黒歌の近くにいれば仙術の教導も受けられるという理由があるんだって。
まぁどうちらにせよ、白音が家に来るのは構わない。俺のことを「一兄様」って呼んでくれるし、むしろ居てもらいたいくらいだ。
はっはっは!! これで夢の黒歌と白音の姉妹丼撮影ができる!! でもまだ先になりそうだなぁ………だって―――――冥界に来てるんだもん。
現在、冥界のアガレス領に来ている。
シトリー眷属―――――ソーナさんの宿願だった『誰でも通えるレーティングゲームの学校』がアガレス領にあるからだ。
普通はソーナさんが望んでいるんだから、シトリー領に建設されるはずだ。でもここにも
ソーナさんがその学校を建設するということは、姉さんであるレヴィアたんの意思が少なからず絡むのではないか? ―――――と邪推する馬鹿共が出てくるからだと。もちろん、ソーナさんのことを全面的に支援しているレヴィアたんは、学校の建設に好意的だった。
けど、それは古くから血筋を重んじる政治家―――――と言う名のおっさん共を刺激してしまう。その人達から見れば『階級に関係なく誰でも通えるレーティングゲームの学校』というのは、決して面白いものじゃない。当然、反対意見、圧力というものが降りかかってくるわけだ。ここでレヴィアたんが意固地になって異を唱えればそれは『レヴィアタンの政治目的』と判断されてしまう。
リアス・グレモリーが介入して、援助できなかったのもそれだ。リアス・グレモリーの兄はサーゼクス―――――サーゼクス・
そこで現れたのがアガレスだ。
―――――間を取って我が領土で建設して、
アガレスの現当主は俺と気が合いそうだった。
でもさすがは中間管理職。各魔王の派閥に属する政治家からの大公アガレスへの信頼は大きかった。血筋としては最上位に位置する大王家の支持すら勝ち取った上で、『誰でも通えるレーティングゲームの学校』第一号が建設された。
そんなわけで
グレモリー城からさらに転移すること数回。やっとアガレス領に入ることができた。今日と明日と泊りがけのスケジュールとなる。
学校が建てられた場所は、グレモリーとバアルがレーティングゲームをおこなったらしい空中都市アグレアスから目と鼻の先にある町だ。
アウロス―――――それがその町の名前だ。冥界でも随一と称されるアガレス領を体現する町の一つなんだって。簡単に言えば、農耕中心の田舎町。
俺達が転移した先は、町の中心にある監視塔の最上階。塔の窓から広大な町の風景、遠くに臨める空中都市アグレアスを視認することができた。作物を育てる様々な畑が町の周囲一面に広がり、風車小屋も多く目立っている。派手さはないけど、のどかで静かなところだね。
学校を建てるにはもってこいの場所だ。緑が豊かだから空気はうまいし、都会のようにがやがやしていなくて、騒音の問題もない。
転移魔法陣の前で待っていた町の役員に連れられて監視塔を降りていく。下で待っていたのは匙だった。
案内役が役員から匙にバトンタッチして、俺達は町を進んだ。
畑と風車小屋、ヨーロッパ風の住宅に似た石造りの家々、都市部の喧騒めいたものは一切聞こえてこない本当にのどかな町だね。
「いいところだろ? 冥界の田舎町!! けど、無名ってごどじゃない。今回の魔法使いの週かいが開かれるように、いろんなシンポウジウム、プレゼンテーションがこの町で開催されるんだってさ。なんでもこの町の初代町長が、そういう集まりをおこなうのが好きだったみたいで、今じゃ知る人ぞ知る町になってる。それに、近くにレーティングゲームの大舞台アグレアスも一望できるし、環境は最適とさえ言える」
匙が言った。
確かにそう思う。俺も黒歌とここに住もうかな………でも無理か。誰の眷属悪魔でもない俺が冥界の特定の領土に定住することはできないか。それなら黒歌に『
適当に町並みを眺めながら歩くこと十数分、町の南端に新造の建築物が現れた。
………まんま駒王学園じゃないか。規模は駒王学園と比べると若干小さめだけど、体育館みたいな建物や運動場の位置といい、敷地内は駒王学園に倣った配置になっていた。
校門の表札には悪魔の文字で『アウロス学園』と記されていた。この町の名前を学校名にしたんだね。いいんじゃいかな。下手にシトリーとか出したらおっさん達がうるさそうだし。
校門を潜り、本館へとチカヅイテイク。
運動場で、さっそく子供達が走ったり、魔力の競い合いをしているようだった。よく見ればシトリーやバアルの眷属達が子供達に付き添っている。あの子達は体験入学に参加しているんだろうね。
本館に入ると、玄関でソーナさんが出迎えてくれた。
それからソーナさんはリアス・グレモリーと二言三言話すと、ソーナさん先導のもと、校内に歩くことになった。
廊下を子連れの親が行き交い、バアル眷属が講師となって子供たちに何かを教えているのが教室のそとからでも見学できた。子供達はそれを興味深そうに真剣に講師の話に耳を傾けていた。それを教室の後ろから見守る親御さん達の表情も真剣そのものだ。
ソーナさんの話では、子供だけで一五〇人ぐらい来ているらしい。父兄も含めると、校内に居る人は四〇〇人を超えるらしい。
口コミで情報を広げたわりいは大盛況だ。それだけ平民が通える学校が珍しいということだろう。
一つ気になることがあるんだ。それは―――――
「なんで俺に握手をしてって言ってくる子がいるんだ?」
「―――――ッ!?」
「イッセー。そんなに油汗かいてどうしたの?」
「い、いや………その………」
どうやらイッセーは理由を知っているらしい。
「正直に言え。そうしたら塵にするのはヤメてやる」
「………俺が主人公のアニメ、乳龍帝おっぱいドラゴンに参加してもらってる」
「ぶふぉっ!!」
これが噴出さずにいられるか!! 乳龍帝おっぱいドラゴンだってよ!! これ以上イッセーに合う二つ名がある? ないだろ!! でもね―――――
「何で勝手に俺を出してるの?」
「さ、サーゼクス様が監督だから俺は知らない」
サーゼクスぅぅぅぅぅ!! 貴様………覚えていろ!! グレイフィアさんに言いつけてやる!! そしてグレイフィアさん、俺に絶対領域を展開したお姿を拝ませてください。
渡り廊下を越えて、体育館に入っていくと、一気にむさくるしい声が聞こえてきた。
「いいか!! パンチというのは腰をおとして、体全体から撃ちだすように一直線に前へ突き出すのだ!!」
「「「「「はいッ!!」」」」」
体育館で子供達に正拳突きを教えているのは、サイラオーグだった。
子供達もサイラオーグの付きに合わせて、たどたどしくも元気にパンチを繰り出していた。
ていうかパンチって腰をおとして体全体で撃ちだすように一直線に前を突き出すんだね………初めて知ったよ。だから今まで力がうまく伝わらなかったのかな? いや、でもはぐれ悪魔は簡単に吹き飛ばせてたしなぁ………
正拳突きを子供達と一緒に打ち出すサイラオーグが俺達に気づいた。構えを解いて、朗らかな笑みを見せた。
「見ろ、おっぱいドラゴン達だ」
子供達がその一言を聞いて一斉にこっちに興味を注いだ。もう………分かるだろ? お祭り騒ぎになったよ。おっぱいドラゴンのサイン&握手会になったよ。
†††
急遽開催されてしまった『おっぱいドラゴン』のイベントがやっと終わった。現在は中庭にあるベンチで寝っころがっている。
結局イッセーは
なんだか周りが騒がしいと思い、周囲を見渡してみると校庭の真ん中に見覚えのある人がいた。そう―――――
校庭の真ん中に皇帝がいた。
相変らずただならぬ雰囲気を身に纏ってるね。どうも俺は皇帝が好きになれない。絶対アイツは腹の底が真っ黒だ。
その皇帝が校庭からいなくなると、再び授業が始まった。イッセーによる『
ベンチで寝返りをうつと、視線の先にしゃがみこんでいる女の子がいた。
綺麗な白髪ロングを二つの三つ編みして、前に持ってきている。着ている服は白いゴスロリ調のドレス。
………あーくそ。なんか放っておけない。なんでだろう………凄く親近感が湧くんだよね。
驚かせないように静かに女の子に歩み寄っていく。
「だ、大丈夫?」
「ひぃっ!! あ、あれ………? 私のことが見えるの?」
「見えるけど?」
「やっと会えた………やっと私が見える人に会えたよぉ………」
そう言い、泣きながら俺に抱きついてくる女の子。ふむ………悪いものではないね。むしろグッジョブ!!
「それで、君は一体何なの?」
「私はアリス。おとぎ話の精霊なの」
「精霊ですか」
「精霊だよ」
精霊ってあれだろ? 草木、動物、人、無生物などひとつひとつに宿っている、とされる超自然的な存在だろ? おとぎ話の精霊って………何?
「ちなみにどんなことができるの?」
「このままだと何もできないの。あなたに憑依すればいろいろとできるよ」
「例えば?」
「結界を張って人を閉じ込めて、徐々に記憶を無くして存在を消滅させることができるよ」
「怖っ!!」
「えへへ♪」
えへへ♪ じゃない。強すぎて怖いよ。本当におとぎ話の精霊なの? おとぎ話ってほら、子供がよく読むやつでしょ? そんなに怖くていいの? あー………でもおとぎ話って深く理解するとすごく怖いんだった………
「でも私ひとりじゃ何もできないし、私を見つけられる人も滅多にいないんだよ」
「そうなの?」
「うん♪ 前に私を見つけてくれたのは三〇〇〇年ぐらい前かな?」
「本当に見つからないんだね………」
三〇〇〇年前って言ったら………西暦が始まるよりも前じゃないか。ていうかそれだけの間この子―――――アリスは一人だったんだ………
「そうだ。お兄さん、私と契約してよ」
「えぇ………」
「なにその面倒くさそうな感じ」
だって、ねぇ? 契約って悪魔がよくやってるやつでしょ? ギブ・アンド・テイクが基本のやつ。
アリスみたいな規格外な精霊と契約したら一体ナニを対価に求められるか分からないじゃん。
「契約って何するの?」
「んー? ただ死ぬまでずっと一緒にいてもらうだけだよ?」
「それだけなの?」
「そうだよ」
うーん………それなら特に問題はないのかな?
「ちなみに断ったら?」
「呪い殺しちゃうかも♪」
「契約しましょう。いや、させてください」
「うん、よろしくね」
断れるとでも? ものすごいイイ笑顔で「呪い殺しちゃうかも♪」って言われて断れるとでも?
一くん、精霊(バグ)と契約しました。
一くん、波乱に巻きこまれます。
実はこの精霊(バグ)、かなり重要ポジションです。
対リリンのリーサルウエポンになるでしょう。
こころ当たりのあるキャラがいるかもしれません。
その通りだと思ってもらって結構です。
基本的にはね。
「全部忘れて消滅しちゃう結界」の要素だけいただいて、その他はオリジナルにしようと考えています。
精霊の憑依………決してSuperでRobotな上にGreatなWarに出てきたものじゃないですからね。
とりあえず伏線的なナニカでも撒いてみました。
精霊(バグ)は、のちのちすさまじく需要ポジションになります。
初めにも言いましたけどね。
ほら、
2014/12/24 誤字修正。