早速行動を始めた俺たち。
まず、オカルト研究部、生徒会メンバーでこの学校にいる子供たち、父兄に講師たちを臨時の避難場所に誘導した。避難場所は学校の地下だ。万が一、こういうことが起きるかもしれないと想定していたソーナさんが地下深くに強固なシェルターを用意していた。
ソーナさんマジ有能。さすがだねっ。
避難が完了するまでにかかる時間はおおよそ三時間。長いような短いような………なんて言うか、微妙?
アリスは「長い~」って文句を言っている。バグ精霊アリスさんにかかれば、リリン倒すのに三時間もいらないのよっ!! ―――ってことでしょ? 知ってる。
町からの脱出は難しそうだった。この一帯を囲う遮断の結界とは別に、この町も丸ごと障壁を張られているのだ。さらに例の紫炎の十字架が街を囲んでいるのだ。障壁と紫炎の十字架の二重シールドは一瞬吹き飛んだだけですぐに修復してしまった。
試したのはゼノヴィアさんとロスヴァイセさん。ゼノヴィアさんはエクス・デュランダルで『聖』オーラの砲撃。ロスヴァイセさんは攻撃魔法、または解呪術式でのこの町を囲う障壁と炎炎の十字架にアタックしていたど、まったく効果がなかった。ちなみに地下にも紫炎の十字架が伸びていて、地下を掘っての脱出は不可能だって。ゼノヴィアさんが試したらしい。
封印されていない術式を応用して、集会に集った魔法使い全員が地下シェルターで新しい公式での転移型魔法を作り出そうとしているみたいだけど………無理だろうね。そんなに簡単に新しい魔法がつくれたら今頃はもっと魔法が優遇されているはずだ。
それと………空中都市の周りを量産型邪龍が囲んでいるらしい。少なく見積もって三桁はいるらしい。もうイヤになってきた………
ただ、空中都市にはバアル眷属とアガレス眷属、皇帝もいるみたいだから心配はなさそうだ。心配ないよね………? イヤだよ、空中都市までわざわざ行って、量産型邪龍の処理を手伝うなんて………
そして現在、ソーナさんが俺たちの前に出てきている。場所は校庭。もうすぐ戦闘開始というわけだ。
「今から、作戦通り、この学園を中心に八方に散らばってもらます。
作戦立案者のソーナさんが一歩前に出て言った。作戦はアウロス学園を中心に散りあり、飛来してくる邪龍を迎え撃つ。組み合わせはこうだ。
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『
『
………おかしいだろ!! なんで人間である俺が一人なんだよ!! それと白音と匙を一緒にしただと!? 白音に何かあったらどうするんだ!! 黒歌が怒ったら匙なんてワンパンだぞ!! ソーナさん、眷属一人減りましたね。
基本的には『火力+守備またはサポート』という、前衛後衛で展開できるようになってるけど………納得いかない。ちなみにソーナさんとギャスパーは校庭に陣取ってる。ギャスパーがスーパーギャスパー―――闇化して、獣たちをできるかぎり量産してソーナさん指示のもと、全方位に配る予定らしい。
アーシアさんはイッセーの使い魔である船に乗せてもらって、戦場を駆けまわって怪我人を回復させるらしい。護衛はロスヴァイセさんがやるようだ。確かに動き回る回復薬ほど狙われやすい者はいないからね。
校庭にひとつの魔法陣が展開され始めた。連絡用の大きな魔法陣だ。それに魔法使いの使う形式だね。
魔法陣が一人の人影を映写した。
そこに映し出されたのは、紫色のゴスロリ衣装を身に纏った若い女性だった。ゴシック調の紫色の日傘をくるくると回す女性。見た目は二十代前半で、人形のような風体。怪しい美しさを持っている。ていうか、完全に悪意ムンムンだよね。オーラが凄いよ。
いや、でも被写体としてはかなり優秀なんじゃないか? ゴスロリの丈を短くして、紫色のレースのニーソを履かせれば―――うん、いんじゃないかな。怪しい美しさと、絶対領域の共演は見て見たいね。
女性はにこりと微笑んであいさつをくれる。
『ごきげんよう、悪魔の皆さん。わたくし、「
ソーナさんの呟きを盗み聞きしたんだけど、どうやらヴァルブルガは《
『リゼヴィムのおじさまの命令で、邪龍の皆さんと一緒にぃ、あなたたちを燃え萌えにしにきましたわん。わたくしに萌えてくださると、燃やしがいあるというものですわねん』
こいつ………やりおる。二十代前半のくせにこのきゃぴきゃぴ声………なかなかだ。でもその分性格はキツそうだけど。
『もうじき、戦闘を開始する予定なのですが、皆さん準備はよろしいのかしらん?』
俺以外の全員がヴァルブルガを睨んでいる。だが俺は違う。俺はヴァルブルガがニーソを履いた姿をもう―――げふんげふん………なんでもないよ。
睨まれたせいなのか、ヴァルブルガは怖がったふりをした。
『いやーん、怖いですわねん。悪魔の皆さん、激おこですわ♪ うふふ、楽しくなりそう♪』
ほぉら………やっぱりね。ヴァルブルガさんマジ怖い。
それかえらヴァルブルガは、ロスヴァイセさんを無事に連れ帰るようにユーグリットに言われたことを俺たちに言った。だからなんだって話なんだけどね。
ヴァルブルガはスカートの裾をあげて、別れのあいさつをする。
『では、皆さん。よいバトルをしましょうねん』
それだけ言って、魔法陣は消滅していった。
いやー………助かったね。わざわざ向こうから顔を見せてくれるなんてね。しかも
リアス・グレモリーとソーナさんはそれぞれ自分の眷属に気合を入れていた。
†††
俺は
(一、カス邪龍たちが来たよ)
(カス邪龍って―――あぁ、量産型邪龍のことね)
(そうとも言う!!)
アリスは結構な歳のはずなのに言動は子供じみてる。またそこかわいいんだけどね。あー………実体化させられたらなぁ………着せ替えできるのに。いや、でも俺が念じれば案外服装ぐらい変えられそうだよね。
―――オオオオオオオオォォォォォォォォォンッ!!
空から獣の叫び声が聞こえてきた。アリスが言った通り邪龍の群れが来たようだ。指定された三時間後になった合図なんだろう。
滞空していた多数の邪龍が一斉に飛来してきた。………なんだか蛾の群れが飛んでるみたいだね。
(アリスは俺の
(んー………そういえば知らないね。ていうか教えてくれてないよ)
(確かに教えてなかったね………じゃあ見ててよ。これが俺の
(おー!! 楽しみ!!)
(正確には
ただアリス………座っている状態で俺の肩に座るのはやめてもらいたい。なんとなく変な感じがするんだよね。これが憑かれるということなのか………?
「アリスも見てるしさっさと殺るよ―――『塵になれ』」
言い放つのと同時に、『塵になれ』と念じる。すると、俺の視界から邪龍が消えた。もちろん、背後の邪龍も。
(どう? すごいでしょ?)
(いやー、結構容赦ないね)
(アリスがそれ言う?)
(あははー………)
あははー、って。誤魔化されませんけど。
視界から邪龍は消えたといっても、どんどん湧いてくるから気を抜くわけにはいかない。ていうか、視認できる範囲までしか塵にできてないからね。視認できない距離にいる邪龍は塵にできなかったし。いっそのことゲイ・ボルグで投擲するか? それなら視認できない場所にいる邪龍も殺せそうだよね。
そんな感じで悩んでいる時だった。
耳に入れていたインカム代わりの魔力装置から声が響いた。ソーナさんからだった。
『………北側より、聖十字架使いが襲来しました。リアスたちだけで相対するのは厳しいでしょう。一旦、防衛範囲を狭めて四人一組を作ってください。皆さん、一度、後退を始めて―――』
―――ドオォォォォォォォォォン!!
ソーナさんの声を遮って、白音がいる方向から爆音と黒煙が上がった。この気は………邪龍だね。
『こちら、南西方面担当の小猫です。………邪龍ラーデゥンと量産型邪龍が多数出現しました』
それを聞いた瞬間、身体強化を本気でして俺は足を動かしていた。身体の周りにはピンク色のオーラが迸っている。
『五秒で行く。待ってて白音』
『………了解です。一兄さま』
白音の声が少しうれしそうだったのは俺の気のせいじゃないよね?
†††
さすがに五秒は無理だった。六秒はかかったね。俺が白音のところに到着したとき、ちょうど白音が量産型邪龍たちに攻撃されようとしているところだった。
すぐに『塵になれ』と念じて、白音を襲おうとしていた邪龍共を塵にする。そして白音の前に着地して一言。
「大丈夫?」
「………はい。信じてましたから」
絶対決まったでしょ。白音も応えてくれたし。ただいつまでもそれに浸っているわけにはいかなそうだ。
目の前に巨大な木のドラゴンがいる。顔らしき部位が大きく裂けた。多分裂けたところが口なんだろう。くぼみの中で赤く輝いているのが眼だね。
その赤い眼が俺を捉えて声を発した。
『初めましてでしょうか。「
やっぱり邪龍だったのか………じゃあやることは一つだね。
「………一兄さま」
「任せられた」
白音に返事をしながら懐から宝石を取り出す。そして『宝玉に封印』と念じる。するとラーデゥンは霧状になり、右手に収まっている宝玉に集まってきた。
『こ、れは………!? な、にを………し、た………?』
「ただ封印するだけだよ」
『まさ、か………こ、んな………一瞬、で………』
その疑問はごもっともだ。でも事実なんだからしょうがないよね。
この宝玉は『
いやー………こう考えるとクロウ・クルワッハってかなりの力量だったんだね。
一くん、義妹のピンチにはソッコーで駆けつけます。
一くん、ラードゥンをワンパンしました。