絶対☆領域 【凍結】   作:-Msk-

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五領域目 俺は頑張ったよ

 ソーナさんから指示がとんできた。後退して学校の周囲に集合しろってね。どうやらゲンドゥルたち魔法使いによる新型の転移魔法陣の完成が間近に迫ってるらしい。すごいね。

 

 禁手化(バランス・ブレイク)しているので、視認できた量産型邪龍を『塵になれ』と念じて塵にしながら、俺、白音―――あとおまけに匙は学校の眼前まで到着した。さきに到着していたみんなは量産型邪龍相手に奮闘していた。

 

 木場とゼノヴィアさんは邪龍をバッサバッサ一刀両断している。ただ、木場はあまり調子がよろしくないようだ。魔帝剣グラムを使ったんだろう。

 

 続々と合流してくるメンバーは皆、激しい戦闘のせいか服はボロボロで疲れた表情をする者ばかりだった。ただギャスパーはヴァルブルガを追っているようで、この場に来ていない。

 

 その後、俺たちは学校の前で防衛戦を展開した。この学校の周囲を丸ごとイッセーの壌土で強化済みのソーナさんの水の結界が覆っていて、邪龍の火炎が飛んできても相殺できるようになっていた。近辺にもあらゆる場所に捕縛用トラップを仕掛けてあり、敵が近寄るだけで発動してくれる。

 

 でも俺たち自身、何もしないわけじゃない。俺は視認できた量産型邪龍を片っ端から塵にしている。他の皆も消耗が激しいものは後衛からの援護、体力の余っている者が前衛で攻撃をしてる。

 

 でもまぁ、基本的には全て俺が塵にしている。気を目に集中させて視力を上げてるから、俺の絶対領域もそれなりに増えてるしね。

 

 正直に言えば前衛が俺オンリー―――じゃないね。白音が俺の膝で膝枕して横になってるし、アリスがいるからね。俺以外全員が後衛だ。皆が皆、消耗してるからね。俺は全くと言っていい程消耗していない。ただ念じてるだけだし。

 

 

「あー………面倒だなぁ………」

「………我慢してください。一兄さまが頑張らないと他の皆の体力が回復できないんですから」

「俺の体力だって無尽蔵じゃないんだよ?」

「………そこはまぁ、一兄さまですから」

 

 

 何それ横暴。ひどいよ白音!! 俺は人間なんだよ!! なのになんで悪魔たちにこき使われないといけないんだよ!! でも黒歌と白音は除くからね!! なんでもお申し付けください!!

 

 俺の場合、白音が俺の膝でまどろんでくれてるだけで体力と精神力は回復するんだけどね。

 

 それからしばらくして、転移の光が学校を包み込むように大きく広がっていった。これを利用すれば、この場にいる住民を町の外に連れ出すことが出来るらしいけど………そこまでうまくはいかなかった。

 

 全然転移が始まらないんだよね。白音も不安そうに周りを見回している。俺もそれにつられて辺りを見回したんだけど………皆が皆、訝しげに首を傾げてるんだよ。あのソーナさんですら。

 

 ソーナさんに事情を訊きに行くために立ち上がろうとした時だった。

 

 魔法陣が怪しき輝きを放ち始めて、一筋の光線をあらぬ方向に飛ばした。その光線が向かう先を向くと、空中都市アグレアスがあった。

 

 大きく広がる転移魔法陣の光がアグレアスに放たれ続けていくなか、高笑いが辺りに響き渡った。

 

 俺の視線の先にはヴァルブルガがいた。ギャスパーも追って到着したが、どうやら仕留めきれずに逃げ回られたようだ。

 

 ヴァルブルガは口元に手をやり笑い続ける。

 

 

「おほほほ、残念でしたわねぇ。アグレアスとここを攻めると言うのは建前ですのん」

 

 

 ソーナさんが言う。

 

 

「―――納得しました。本当の狙いはアグレアスそのもの、ですね? あれは、旧魔王時代から存在する浮遊島です。いまだ島の原理を現政府―――アジュカ・ベルゼブブさまの研究者たちが解析中のものでした。旧魔王―――つまり、前ルシファーの息子たるリゼヴィム・リヴァン・ルシファーはあの島自体を欲していたということです」

「おほほほ、さすがはシトリー次期当主さま。えぇ、そのとーりですのん。リゼヴィムおじさまはどうやら空に浮かぶあの島自体に興味がおありのご様子でしてねん。今回、このような方法でいただくことにしましたのよん。―――この町に集う長たる魔法使いの皆さんの転移魔法を利用することで。あの魔法使いのなかにわたくしたちと通じている者がおりましてよん!! いままさに発動するというギリギリの瀬戸際で、皆で作った魔法陣を、アグレアスに向かて放つよう調節しましたのよーん!! 作戦は成功みたいですわねん」

 

 

 なんだよ、魔法使いの中に敵がいたのかよ。魔法使い共はなにやってんだよ。もうちょっとしっかりしてくれよぉ………本当に頼むよぉ………

 

 アグレアスは………まぁ転移していったよ。別に俺がどうこうする必要はないと思った。いや、話を聞いてても全くその重要性が分からなかったんだもん。旧魔王の技術だっけ? それがどうしたの?

 

 ソーナさんがアグレアスをつかってどうするかヴァルブルガに訊いた時だった。白い空にひびが入った。つまり………この一帯を覆う大規模結界に何かが生じた証拠だ。

 

 そのひびはしだいに広がり、大きくなって、徐々に結界を砕いていく。そして―――冥界特有の紫色の空が見えた。結界が壊されたんだ。

 

 結界が壊されたと思ったらこんどは、一条の閃光が校庭に突き刺さった。………あれ? あれって《黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)》じゃん。曹操はハーデスのとこに捨てられたって聞いてたんだけど。

 

 聖槍は勝手に転移していってしまった。持ち主が現れないってことは………どういうことなんだろうね? まだ………時期ではない―――的な?

 

 ヴァルブルガが嘆息する。

 

 

「………まさか、ここでこんなことになろうとは。けれど、もう遅いですわん」

 

 

 ヴァルブルガがフィンガースナップをした。すると、残っていた量産型邪龍が一斉に集結して、学校を囲んだ。あれだけ塵にしたのにまだあと百数十体はいそうだね。まったく………作戦が成功したんだからさっさと帰ってもらいたいんだけど………

 

 ヴァルブルガはゾクゾクしちゃうような笑みを浮かべながら言い放つ。

 

 

「わたくし、殲滅するのが大好きですのん。お疲れのようですけれど、もう少しわたくくしと遊んでくださいましねーん♪」

 

 

 ふざけた口調でそう言うヴァルブルガは、傘を振り下ろした。それが合図なのか、量産型邪龍共が一気に俺たちの方に降下し始めた。

 

 皆はある程度回復した身体にムチを打って量産型邪龍に迎え撃っている。その中で、俺はヴァルブルガをずっと見ていた。

 

 そのヴァルブルガが手元を学校の方へ向けた。刹那、校庭に炎の十字架が上がった。そして一部の施設が吹き飛ばされた。

 

 

「学校がっ!! ダメェェェェェッ!!」

 

 

 ソーナさんが悲鳴に近い声を上げた。ソーナさんは校庭の方に走っていくんだけど………あの炎を受け止めたら死ぬよね? なんて言ったって、悪魔の天敵聖遺物(レリック)の炎だからね。

 

 いつもの冷静なソーナさんらしくない。それもしょうがないか。宿願だった―――自分の夢だった学校が目の前で燃やされる。とても耐えられるものじゃない。

 

 俺の場合は違は………目の前で絶対領域が―――絶対領域を展開してくれていた女の子が炎に呑みこまれる………アカン!! 絶対に助けねば!! ソーナさんはこの気持ちと同じ気持ちなんだろう………なら手伝うしかないだろ!!

 

 ―――って思ったんだけど、どうやら匙が頑張るくれるようです。その悪魔の身ひとつで炎を受け止めているではありませんか。

 

 でも匙の黒い炎は紫色の炎を相殺しきれていません。

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

 この通り、苦痛の叫びを上げています。ていうかこっちの方まで聞こえてくるってかなりの声量だね。

 

 一生懸命ソーナさんが匙に何かを言っているようだけど、匙はそれを無視して炎を受け止めていた。さすが男だね!!

 

 そのまま何か叫んだと思ったら、突然匙の横に黒い大蛇が出現した。ヴリドラかな? ヴリドラが出現したと思ったら、匙の身体を異様なオーラが包み込み始めた。

 

 これは………あれだね。禁手(バランス・ブレイカー)の前兆じゃない? 木場の時もこんな感じだったような気がするんだよね。

 

 案の定、禁手(バランス・ブレイカー)に至ったようだ。匙は全身黒い鎧に身を包んでいた。

 

 いやぁ………それにしても凄まじい。匙の周りに視認できるほどの呪詛が浮かび上がってるんだ。それが空一面に広がって―――なんて悪夢だよ。でもその勢いで量産型邪龍も呪い殺してくださいお願いします。

 

 匙が禁手(バランス・ブレイカー)に至ってヴァルブルガと戦っている間に、こっちではファーニブルによる『ディアボラ風アーシアたんのおパンティー揚げ』の調理実習が終わった。

 

 簡単に説明すると、ファーブニルがアーシアさんの脱ぎたてのパンティーをくんかくんかして、高温の油でカラッと上げて食べただけ。それを見ていた量産型邪龍は涙ぐんでファーニブルの洗脳を受けていた。

 

 量産型邪龍は皆パンツが好きになりましたとさ、ちゃんちゃん。でもすぐに次の面倒事がやってきてしまった。

 

 

「しかし、邪龍を止めるとは………二天龍と龍王たちは読めませんね」

 

 

 こ、この声は………っ!! ユーグリット―――いや、シスコンだなっ!!

 

 赤い閃光が俺たちの横を通り過ぎて、会長とロスヴァイセさんのいる校庭へと落ちて行った。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

 会長を吹き飛ばして、赤い閃光はロスヴァイセさんを包み込んだ。光が止んだ先にいたのはレプリカの《赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)》を身に纏っているシスコン!! とてもダイナミックな登場だ。

 

 シスコンはロスヴァイセさんを抱き寄せていた。ロスヴァイセさんは抵抗しているけど、強くつかまれているため、逃れることは叶わずにいた。

 

 

「ごきげんよう、『D×D』の皆さん」

「―――ユーグリット!!」

 

 

 叫んだのはイッセーだ。するとシスコンは肩をすくめた。

 

 

「ごきげんよう―――赤龍帝」

 

 

 シスコンはロスヴァイセさんを抱く力を強めて言う。

 

 

「ロスヴァイセとあの島は我らクリフォトが活用させてもらいます。アグレアスの転移も済みましたし、この一帯の不穏さに気づいて冥界の軍が来てしまう前にとっととおいとまさせてもらいたいところですが、そうはさせてくれないでしょうね」

 

 

 イッセーたちが素早くシスコンを掻くむように陣取った。でもそれは無意味だ。だって―――

 

 

「『気絶しろ』―――これだけで終わるんだから」

 

 

 そう言い放つのと同時に『気絶しろ』と念じる。すると、シスコンだけ気絶した。そして気絶したシスコンをロスヴァイセさんは蹴り飛ばした。シスコンはそのまま地面に叩きつけられ、数回バウンドして地面に倒れ伏した。

 

 

「これにて一件落着だね☆」

 

 

 俺の一言に、全員が俺の方を向いた。

 

 

「………あり変わらず理不尽ですね」

「「「「「うん」」」」」

 

 

 白音の一言に、全員が同意した。

 

 いや、俺は別に悪い事してないって。一瞬で片付けただけだから。時間削減できたでしょ?

 

 

 

†††

 

 

 

 戦闘後の処理となったアウロス。

 

 町は至るところに邪龍の爪痕が残っていた。学校周辺は特に酷かった。ていうかこの周辺でまともな家屋や畑を探す方が難しいね。

 

 学園自体は大したことがなかった。シスコンをさっさと気絶させたおかげかもね。あとはソーナさんや匙の頑張りのおかげ。二人は文字通り命を懸けて学校を守ってたし。

 

 爪痕を神器(セイクリッド・ギア)の力で直そうと思ったんだけど止めた。冥界の兵士が調査及び瓦礫撤去にわざわざ来てくれたみたいだからね。ちなみに、こっちで三時間以上経過していたんだけど、外では三分ぐらいしか経ってなかったらしい。奴らは本当に一時間=一分にしてたんだね。

 

 シスコンは魔王領へ転送された。もちろん気絶したままね。解き方はサーゼクスが知ってるから問題ないって言っておいた。

 

 ヴァルブルガはアジ・ダハーカや残った量産型邪龍と一緒にすぐに転移魔法陣で退散したようだ。シスコンの登場が盛大すぎてヴァルブルガの存在をすっかり忘れていたよ。

 

 消耗が激しかった匙、それに一緒に戦ってくれていたっていう子供たちの親父さんたちはアーシアさんに外傷を治してもらった後、医療班に連れられて病院に転送された。命に別状はないみたいだけど、しばらくは入院生活かもしれないって。

 

 そして現在、俺は瓦礫撤去の手伝いをしている。もう面倒だから『消えろ』と念じて瓦礫を消滅させてるからね。

 

 くいくい、と服の裾が誰かに引っ張られた。振り向くとそこには白音がいた。

 

 

「………一兄さま。一兄さまの神器(セイクリッド・ギア)ってどういう能力なんですか?」

「んー? 急にどうしたの白音」

「………さすがにおかしいです。強い口調で言った通りに現実を捻じ曲げるなんて………ただの神器(セイクリッド・ギア)だなんて………」

「想いの力だよ」

「え………?」

 

 

 絶対領域を想う―――ただそれだけさ。

 

 

「さーて、さっさと終わらせますか。ほら、さっさと終わらせて黒歌のおいしいご飯を食べよう」

「………そうですね」

 

 

 早く黒歌のご飯が食べたいなぁ………膝枕………絶対領域………お風呂………ナニ………

 




原作17巻終了!!

さーて、クリスマス話だぞー。
頑張るぞー。
やっと黒歌とのイチャラブが―――自分の力量でかけるのかなぁ………
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