一領域目 俺は天界に入った
二学期の終業式がやっと終わった。と、言ってもそこまで終業式は長くないんだけどね。校歌を歌って、校長の話を聞いて、それで―――終わりだね。三〇分ぐらいだったよ。
終業式が終わったので、家に帰って昼食を食べたと思ったら、兵藤家の上階VIPルームに集合しろとの命令ががきた。
この部屋にいるのは、俺、黒歌、結衣さん、オカルト研究部のメンバー、イリナさん、アザゼル、グリゼルダさんだ。
イリナさんが代表して今回の週かいの主題を口にした。
「そのようなわけで、クリスマスを通じて、この駒王町の皆さんにプレゼントを配るの!!」
そうなんだよ………俺たち―――『D×D』を中心として、この駒王町に集まる三大勢力の面々はクリスマスにある企画を立ち上げたんだ。
その企画というのは、天界と冥界がタッグを組んで、皆にプレゼントを配るというものなんだ。そしてそのプレゼントを配るメンバーが『D×D』を中心とした俺たちというわけだ。
ここでイリナさんが最高の爆弾を投下していってくれた。
「もちろん、クリスマスらしくサンタクロースの格好で配るわ!!」
サンタクロース………だと………!? も、もちろんミニスカだよね? という事は防寒対策にニーソを………!?
今まで季節外れだからと言う理由で手を出していなかったミニスカサンタ………それを拝めるというのか!?
あぁ………黒歌のミニスカサンタ姿………ニーソは何色がいいかな? 白? 赤? そ・れ・と・も―――王道の黒?
形状はノーマル? レース? シースルー? 幾何学模様? くぅぅぅ!! 待ち遠しいわ!!
まずはこのクリスマスのプレゼント配りの企画の立案理由から簡単に説明しよう。
この町―――駒王町では、今年に入ってからありえないほど様々なことが起きた。それこそ、町が丸ごと消滅してもおかしくない事件も頻発している。今までそれを未然に防いでいたんだけど………知らないうちに一般住民の皆さんに結構な迷惑をかけているのも事実だ。騒音とか、震動とか、閃光とか。
ならばクリスマスぐらい、住民にプレゼントを渡してやっても―――いいんじゃないかなぁ? という意見が、若手悪魔から上がった。それに各陣営のトップはノリノリで、資金も全面的に支援した。『D×D』のメンバーも、ポケットマネーからお金を出し合った。俺は………まぁ、それなりに。最高級ロードレーサーでも買えるんじゃない?
用意したプレゼントは多種多様。事前にそれとなくサーチをかけて住民の隅々まで欲しい物をリストアップしたかったらしいけど、そんな時間は無い。結局、当たり障りのないものだけど、もらうとうれしいものがプレゼントの中心となった。
幼女には児童アニメの魔女っ子変身セット。これに関しては、一切の妥協をしなかった。アニメを研究に研究しつくして、細部までこだわりを入れて、魂を込めてミシンを動かした。手作りですけど何か? ちなみにレヴィアたんも協力してくれました。
働く親父には、ネクタイやマッサージ店のサービス券などだ。親父にはその程度で十分。マッサージチェアでも贈れ? おいおい………置く場所に困ってリサイクルショップ行きになるのが落ちだ。
それに、あんまり高価なものをおくると超常現象として広まる可能性があるしね。この程度が無難だよ。
この企画に、皆はテンションが高めになった。自分がサンタクロースになってプレゼントを配るっていう体験は滅多にできるものじゃないからね。
黒歌とゆっくり過ごすクリスマスが良かったなぁ―――って思ったんだけど、よく考えると、それだと今までと変わらないんだよね。たまにはこういうことを黒歌と一緒にするのもいいかもしれないと思ったんだよ。
そういえば、シスコンの尋問はグレイフィアさんがしているみたいだ。それもかなりのもので、とても苛烈らしい。それでもシスコンはグレイフィアさんと話せるのでご機嫌だそうだけど。
尋問で得た情報では、クリフォトには隠れ家がいくつかあるらしい。そしてすでに各勢力へエージェントの派遣も終わっているらしい。だから………そろそろ本格的に奇襲が始まるかもしれないって………はぁ………面倒だ。
このあと、一度グリゼルダさんによって天界に連れて行かれる。そこで企画の中身―――プレゼントの確認と、ミカエルから年明け前のあいさつをもらうんだって。
ミカエルのあいさつ………長ったらしいのはごめんだ。校長の話、PTA会長の話、どれもこれも長くて嫌いだ。
ミカエルのあいさつはともかく、天界には興味がある。冥界みたいに、紫色で毒々しい空じゃないんだろうね。黄金に輝いたりして………
ちなみにアザゼルは天界に行く―――というよりも戻るかな? 元天使だし。戻らないらしい。今更戻れるか? ―――とのことだ。
「さて、地下の魔法陣から天界に行くわよ!!」
ノリノリなリアス・グレモリーの号令で兵藤家地下へ移動することになった。
†††
展開された魔法陣はいつもと違うものだった。いつもは悪魔文字で展開していたが、今回はイリナさんとグリゼルダさんが、祈りのポーズをしながら聖書の一節を口にしていった。悪魔たちが頭を重そうにしているからわかったんだけどね。ザマァ。
天界でも行動できるように事前に『D×D』メンバー限定の輪っかをもらった。頭上に輪っかをかざすと、浮いて光り出した。天使になった―――というよりも、死んで天国に来たような気分だ。
あぁ、黒歌が輪っかをつけたらなんとも言えなくなったよ。黒歌はどちらかと言えば小悪魔お姉さん系でしょ? だからね。
結衣さんに関しては………うん、ニアッテルトオモウヨ。瞳にハイライトもあるしね。
これで天界で天使以外の種族が動いても、聖書の神が遺した『システム』にさほど影響を与えなくなるみたい。存外便利なものだ。
この輪っかには俺たちの細かなIDやら何やら―――個人情報が登録して当て、唯一無二なんだって。
アーシアさんとゼノヴィアさん―――元教会組はとてもはしゃいでいた。アーシアさんはすごく似合ってるんだけど、ゼノヴィアさんは………微妙? 感想を出すのが難しかった。
そんなことを考えていると、転移室に巨大な両開きの扉が現れたた。白亜でできていそうな見事な門構えだ。
扉が音を立てて開いていった。
「さぁ、どうぞ」
グリゼルダさんが俺たちに門を潜るように促してきた。一足さきにイリナが中に入っていった。
「ほらほら!! 皆も早く!! これ、上までいく天使用のエレベーターなの!! 遠慮なく入ってちょうだい!!」
イリナさんテンション最高潮だね。そのせいで少し疲れてきたよ。まぁ自分のホームグランドの天界に『D×D』のメンバーを招くんだもんね。はしゃぎたくもなるか。それに加えて今回のクリスマス企画を誰よりも気合い十分に臨もうとしてたし。
俺たちも天界へのエレベーターだという門を潜ると、白い空間に飛び出した。すると、足下に金色の紋様が輝きだしていった。
次の瞬間、浮遊感が俺を襲った。周囲の風景が一変して、神々しい光が俺たちに照らされる。周りを見渡すと―――雲の上!? ………雲の上!? 見上げれば白く輝く広大な天上。そして、前方には巨大な門が現れていた。
天界の空は白かった………冥界の空は紫だった………人間界の空は蒼かった………三界全て制覇した………なんだろう、この謎の達成感。
そんなことを考えているうちに、巨大の門が開いて行った。
イリナさんとグリゼルダさんが開かれていく門を背に俺たちへ言った。
「「ようこそ、天界へ!!」」
綺麗な笑顔だね………王宮とかに飾ってある壁画とかに描かれていそうな程ね。
(いやー、天界も変わってないね)
肩に引っ憑いているアリスが念話を送ってきた。
(そうなの?)
(うん。まぁ一万年と二千年前のことだけどね)
どこかで聞いたことのあるフレーズだと思うのは決して気のせいじゃないと思う。
巨大な門―――天界の前門を潜ると、そこにあったのは石畳の白い道、ずらりと並ぶ石造りの建物、空に浮かぶ建造物、行き交う純白の翼をもった天使たち。
天使のお姉さんが展開している絶対領域は神々しいね。なんて言うのかな………あれだ、邪まな感じがないって言うのかな? わからないけどいつも見ている絶対領域と感じが違うのは間違いないね。
先導しているグリゼルダさんから天界についての説明があった。
天界は全部で七層ある。現在俺たちがいるここは第一層―――第一天と呼ばれるところだそうだ。最上部の第七天は神の住まう場所とされて
今は神の軌跡を司る『システム』だけが存在している。
ミカエルやセラフの者は第六天にいるようだ。天界の本部がそこにあるからだって。イリナやグリゼルダさんのような末端の天使なんかは第一天にある最前線基地に行くことが主らしい。ちなみにアザゼルは第五天にいたようだ。
その第五天は現在、研究機関の多い層になっているそうだ。『
そのまま天界を観察しながら、俺たちは上階層に上がるためのエレベーターのもとにたどり着いた。警護の天使による厳重なチェックと、幾重もの熱い扉を越えてさっき体験したエレベーターでさらに上へ上がっていく。
上がるたびに巨大な門が現れてそこを抜けて先に進む。階層ごとに巨大な門とチャックがあるそうだから、上層に上がるためには相当な資格がないといけないんだろうね。
第二天や第三天などの様子は見ることができなかった。門を潜ったらすぐエレベーターの方へ移動していたからだ。
そのため、グリゼルダさんが説明をしてくれた。
一般的な天国と呼べる場所は第三天に存在する。ちなみに一番広い階層だそうだ。広大過ぎて端がどこにあるのかわからないとさえ言われているらしい。そこに悪魔が行くと、信徒の魂が騒ぐ可能性があるようだ。
信徒って怖いね。魂だけの存在になっても悪魔に反応するなんて。それだけ教会―――天界の刷り込み教育のクオリティが高いということだろうね。
第四天は別名エデンの園。アダムとイヴの話のアレだ。『生命の樹』に『知恵の樹』といった世界に影響しかねないものがあるのかな?
第六天に続くエレベーターに入ったときだった。グリゼルダさんが思い出したかのように言った。
「天界のルールなのですが………人間界や冥界ほど、俗世のものに強くはありません」
人差し指を一本立てて続ける。
「つまり、邪まなものに酷く脆いのです」
要するにエロは禁止ということだね。………待てよ? 絶対領域のことを想うのはどうなんだ? 別にいやらしくはないけど、絶対領域には抑えきれないエロスがある。仕方がないことだと思うんだけど………まぁ崩れたら崩れたでいいか。
(いやよくないでしょ)
肩に引っ憑いているアリスから鋭いツッコミが入った。
(珍しいね、アリスがそんなこと言うなんて)
(世界をガタガタになると面倒なだけだもん)
(なるほど)
それに関してはアリスに同意だ。世界のバランスが崩れて人間界まで影響がでたら困るし。
第六天に上がると、一際大きい門と壁が現れた。見渡す限り壁、壁、壁て、つまらない。
門を通ると、先に見えたのは金色に輝く光輪を背にした神殿のような建物。
しかも目にするだけで御利益がありそうなほど、『聖』の波動を建物全体が放ち続けている。
そこでグリゼルダさんから説明が入った。
「あそこがセラフの方々が住まわれている現天界の中枢機関―――『ゼブル』です。建物のことも私たちはそう呼んでおります。ここより上の階層―――最上階たる第七天はセラフ以外立ち入りが禁止なのです。ですから、基本的に私たちが足を踏み入れられるものもここまでとなっています」
ミカエルはこんなところに住んでいるんだね。『ゼブル』かぁ………人前では絶対に言いたくない名前だ。
普通の人に、「俺『ゼブル』に住んでるんだよね」って言ってみなよ。絶対白い目で見られるから。
真っ直ぐ前に進んで『ゼブル』に入るのかな―――と思ったら、途中の道を曲がっ『ゼブル』に続く正面の道から外れて行った。
「実は、現在『ゼブル』は内装工事中でして、セラフの方々はそれぞれ別のところに行かれているのです。ミカエルさまはこちらにお待ちなのですよ」
グリゼルダさんはそう言いながら前に進む。
工事中………天界の建物を工事………夢を壊さないでもらいたい。そんな現実的なことを………小さい子供が聞いていたらどうするんだまったく。
さらに進むこと数分、そこは中庭らしく、多種多様彩り鮮やかな草花が咲き誇り、水が流れていたりしている。庭園みたいだね。
テラスとなっている小屋のテーブルに奴はいた。こっちを確認するなり、立ち上がって柔和な笑みを見せた。
「これは皆さん。お久しぶりです」
金色の翼をもった美男子―――ミカエル。この腹黒天使長め!! その笑みで何人の女を堕としてきた!!
(ミカエルの笑顔は相変らず安っぽいね)
ほら見ろ。アリスもこう言ってるじゃないか。
これから週に一度の更新になりそうです。
原作のストックも残すは19巻のみになりましたし、このままでは大きい矛盾が生じそうで怖くて。
代わりに別作品『喰種は無限龍神に寄り添う』の方の更新をしていきたいと思います。
『絶対☆領域~もしもの御話集~』に関してはもうしばらくかかりそうです。
『Fate/stay night Unlimited Blade Works』の再開は四月からですし………
まぁあのクオリティを保つためなら仕方のない事ですよね。
他にも一応書いてはいるんです。
『緋弾のアリア』『東方Project』『魔法科高校の劣等生』『東京レイヴンズ』『魔法少女リリカルなのは』などなど。
ただ学園ものは辛い。
どうすれば原作に関われるのかが分かりません。
あくまでも下書き段階なので投稿するとは限らないんですけどね。
というわけで、これからも『絶対☆領域』をよろしくお願いします。
長文、失礼しました。