『それじゃあ一〇分以内に戦闘準備を整えてここに来てね。解散』
「「「「「は、はい………」」」」」
俺は今、サーゼクスに言われた通りにリアス・グレモリーとその眷属のみんなを一応鍛えようとしている。模擬戦という形でね。
リアス・グレモリーに連れてこられるがままに別荘とやらに来たんだけど、ここまで来るのにひと悶着あったんだ。
イッセー、木場、小猫は自分の身長の二倍近い大きさのリュックを背負って別荘までの山道を歩いていた。でもリアス・グレモリーと朱乃さんと金髪美少女―――――確かアーシアさんだったけ? は何も持たずに山道を歩いていたんだ。
俺は疑問を抱いたね。だってサーゼクスが俺に言ったのは『リアス
「何でお前達二人は何も背負ってないんだ?」と言ってやったんだ。そしたら「何で私たちが荷物を背負わなきゃいけないんもかしら?」って返してきたんだ。一体誰のための鍛練だよ………。まぁすぐに50kgの重りを背負わせたんだけどね。そのせいでここに来るまででかなり疲れちゃったらしい。普段から運動しないからだね。
あ、そういえばアーシアさんって悪魔になったんだね。やっぱりイッセーに惚れちゃったのかな? なんたって一番前に立って助けてくれたわけだからね。
丁度ぴったり一〇分後にリアス・グレモリーたちは戻ってきた。全員駒王学園のジャージだね。
『それじゃあ始めようか。うーんそうだね………一人ずつ俺と模擬戦をしよう。ルールは気絶するか降参したら負けでどう?』
どのくらい強くて、どんなことができるのかが分からないと鍛練の計画が練れないからね。でもやらなくてもわかることが一つだけある。それは俺がここにいる全員の中で強いことだ。うぬぼれじゃないよ? だってサーゼクスだって言ってたし。
みんな自分の力量と相手の力量の差が測れなさすぎる。だって測れてたとしたらリアス・グレモリーと焼き鳥家の三男とのレーティングゲームに勝利することが不可能なのがわかって、何か言っているはずだ。「勝てる確率は低いので別の方法にしましょう」とか、「準備期間をもう少しもらいましょう」とかね。
正直、一〇日間で何ができるわけでもない。一〇日間は長いようで短い。多分、自分の成長の方向を見つけて、そこから少しだけその道を進む程度だろうね。いわゆる、少し齧った程度ってやつだね。でもそうさせないために俺がいる。
模擬戦で成長の方向を俺が見つけて、道を創る。そしてその道を残りの時間できるだけ前に進ませる。もし焼き鳥家の三男を倒す程度の力が付かなかったら、時間が足りなかったら―――――時間を止めちゃえばいいじゃない♪ 時間を止めてでも、無理やりにでも進めさせる。最悪、俺の神器で身体イジるかね。本人が望めばだけど。
「いいわ。初めはイッセーでいいかしら?」
「えぇ!? 俺ですか?」
自分の顔を指さして驚いているイッセー。イッセーといったらお前しかいないだろうに。
『順番はどうでもいいから早くやろうよ。時間がないんだから』
「わかりました………よろしくお願いしまッ!?」
『何ボーっとしてるの? すでに模擬戦は始まってるんだよ? それに実際の戦闘では相手の準備が終わるまで待ってくれないよ』
俺にあいさつをしてきたイッセーの腹を蹴り飛ばす。イッセーは木にぶつかって止まったようだ。あ、ちなみに
「ぐふっ………ごほっごほっ………くそったれが!! いきなり何しやがる!!」
『だからもう模擬とはいっても戦いは始まってるんだって』
「ガハッ!?」
木に寄りかかりながら立ち上がったイッセーに追い打ちをかける。右アッパーを水月にプレゼントしてあげた。そしたら気絶しちゃったらしくて、そのまま木に寄りかかってオネンネしちゃったようだ。
鬼畜って言われちゃうかもしれないけど仕方ないよね。だってこれは模擬とはいっても戦い。向こうを倒さないと、自分が倒される。
イッセーはまだ本当の戦いを知らないからね。一度こんな風に理不尽にボコボコにしないとわからないだろうからね。特にイッセーは口で言ってもわからないからね。この前の教会での出来事で俺は学んだよ。
『次は誰?』
「僕が相手をするよ」
少し殺気をにじませながら木場が一歩前に出てきた。木場が一歩前に出て少しした後、アーシアさんがイッセーの元に駆け寄って、治療をしていた。きっとアーシアさんの神器だろう。今度情報を《
木場は確か剣を使うんだったよね。だったらこっちも剣もどきで相手をしよう。
《
木場もどこから出したは知らないけど剣を持っていた。きっと神器の仕業だね。という事は空間制御系か創造系だね。
「ハァァァァァァァァァァ!!」
木場が凄い気合の入った叫び声を上げながらこっちに走ってきた。それも結構な速さで。でもまだ余裕で捉えられる。
木場が俺の背後に周り剣を上から下を振るってきた。それをナイフから伸びている気の刃で防ぐ。すると木場の剣が折れた。もろいね………もろいもろい。もろ過ぎるよ。
『そんなにもろかったら実戦じゃあ使えないよね。あとさ、壊れたらすぐに次のを出さないと』
「くっ!!」
苦虫を噛み潰したような顔をした木場は、新しい剣を手にしていた。今確信したぞ。木場は空間制御系の神器じゃない。創造系だ。空間制御系特有の能力発動時の空間の歪みが全くなかったもん。
ここまでわかればもう木場はいいや。
木場が俺を中心とした半径5.040m―――――俺の絶対領域内に侵入したのを確認して念じる。『気絶しろ』ってね。
木場は俺に突っ込んできた勢いのまま気絶したので、そのまま転んだ。そして教会の時と同じように顔面を地面にゴリゴリとこすり付けていた。いやぁ、痛そうだね。
『次は?』
「………私です」
次の相手は白音か。黒歌の妹だからって容赦はしない。
白音は拳士らしい。名乗り出た直後に俺に殴り掛かってきた。小さい体を生かした素早い攻撃だね。確か白音は『
幸い、白音は拳士なので常に俺の絶対領域に侵入してくれている。頃合い―――――気絶させても危なくないタイミングで念じる。『気絶しろ』と。
白音はガクッと崩れ落ちる。それを腕で抱き止める。そしてゆっくりと地面に下ろす。
『はい次』
「私が相手しますわ」
今度は朱乃さんが相手か。『雷の巫女』の力がどの程度なのか楽しみだね。
開始早々、朱乃さんが雷を俺に向かって落としてきた。もちろん俺の絶対領域に阻まれて俺まで攻撃が届くことはなかったけど。それを見て朱乃さんが驚いている。この程度で驚かれても困るんだけど………
朱乃さんは次々雷を放ってくる。でも全部俺の絶対領域に阻まれる。………朱乃さんの課題、分かりやすすぎるでしょ。
気で身体強化をして一気に朱乃さんに近づく。それに気づいた朱乃さんは雷を滅多クソに放ってくる。俺の絶対領域内に朱乃さんが侵入したのを確認するのと同時に『気絶しろ』と念じる。
気絶して崩れ落ちていく朱乃さんを支えながらリアス・グレモリーの方を向く。
『模擬戦はここまでにしよう。正直、想像していたよりもひどい。元々リアス・グレモリーとは模擬戦をするつもりはなかったしね』
「ひどっ―――――はぁ………なんで私とは模擬戦をしてくれないのかしら?」
『だってあんたは「
「う………た、たしかにそうだけども―――――」
『だったらぐちぐち言わないの』
これで各々の課題は分ったね。どうやってその課題を克服させよっかな♪ うぅん、楽しみだね。………なんだかんだいって楽しんじゃってない? 俺。
†††
『それじゃあ各々に課題とそれに対する鍛練方法を教えるね』
別荘の中に入って、ソファに座りながら言う。ちゃんと俺以外も座ってるからね。
『まずイッセーから。とりあえず基礎力を上げる。筋トレのメニューを渡すからそれをやってね。で、それが終わったらグレモリー眷属全員と一対一の模擬戦ね』
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
『待たない。次に木場ね』
視線をイッセーの方から木場にずらして言う。木場の目つきがなんか怖いんだけど………もしかして俺に剣で負けたとでも思ってるのかな? 俺は神器を使って強制的に気絶させただけなんだけど。
『木場には剣の創造の速度を上げてもらう』
「速度………ですか?」
ここでなぜ自分の神器の系統がわかったかを聞かないのが凄いよね。俺だったら絶対訊くもん。だって言ってないのに知ってるとか気持ち悪いじゃん。
『そうだよ。きみは創造した剣を使い捨てにするみたいだからね。折れた瞬間にすぐに次の―――――換えの剣を創造できるようにしてもらう』
「なるほど………分かりました」
『次は小猫ちゃんだね』
視線を木場から白音に移しながら言う。なんか白音の目が不安そうな目をしてるんだけど………
『小猫ちゃんは「
この質問をした瞬間、白音の眉がピクッと反応した。まだ黒歌のことを気にしているのだろう。何があったか詳しくは俺も訊いてないけど。
「………魔力でお願いします」
『そう言うと思ったよ。気の方が手っ取り早いんだけど………まぁいいや。じゃあ魔力を使う方を教えるね。今はちょっと無理だから後で実際に見せて教えるね』
「………わかりました」
『じゃあ次は朱乃さんね』
視線を白音から朱乃さんに移しながら言う。なんか朱乃さんの回りの空気がどんよりしてるんだけど………
『朱乃さんは雷系の攻撃が得意なんだよね? だったらその雷を応用して、身体を動かしている神経の電気信号の増幅をしてもらおうと思う。その他にも
「はい………」
『そんな落ち込まないでよ。朱乃さん力はまだまだ他の人―――――まぁイッセー以外のだね。に、比べたら応用が利く。それを武器にできるように頑張ってね』
「はい………」
朱乃さんは俺の話を聞いてくれているのだろうか。さっきから「はい」しか言わないんだけど。
朱乃さんからアーシアさんに視線を移す。視線を向けた時にビクッと跳ねた。なんか可愛いな………
『アーシアさんにはひたすら魔力量を上げる鍛練をしてもらう』
「魔力量ですか?」
『うん。魔力量が上がれば神器の力の質も上がると思うからね。あくまで推測だけど。あと、鍛練中に怪我した人の治療ね。これは神器の扱いに早く慣れてもらうのが目的だよ』
「わ、わかりました!! が、頑張ります!!」
な、なんかアーシアさんって見てるだけで癒されるんだけど………
最後はリアス・グレモリーか。この人にはやってもらうことがたくさんあるからね。睡眠時間がなくなるかもしれないね。
アーシアさんからリアス・グレモリーの方に視線を移す。
『最後にリアス・グレモリー。きみには過去のレーティングゲームを見てもらう』
「私もそのつもりだったわ」
『そう? あぁ、でも普通に見るんじゃないからね? 二つの試合を同時に、二倍速で見てもらうから』
「え………?」
リアス・グレモリーの表情が固まった。
『二つの試合を同時に、二倍速で見てもらうから。そうしないと時間が足りない。それで、必ず試合を見終わった後に参考になりそうな戦術をノートに書きだすこと』
「わ、わかったわ………」
顔を盛大にひきつらせながらうなづくリアス・グレモリー。こうでもしないと、まだまだ『
リアス・グレモリーはきっと戦術『
だから俺は戦術『
切り捨てし過ぎるのもダメだけど、出来なさすぎるのもそれはそれでダメだ。ある程度でいい―――――自分が生き残るために切り捨てることができるようにならないと、リアス・グレモリー達の実力では焼き鳥家の三男には勝てないだろうね。
まぁ、サーゼクスから頼まれたんだし、最低でも焼き鳥家の三男と相討ちになれる程度までには仕上げよう。
嫌々受けたことだことだったけど、なんだかんだいって楽しみだな。たった一〇日間でどこまで成長するんだろう。