三つの選択肢   作:新人作家

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ネタが思い付かないのでこちらに。


アストレア・レコード
IF アストレア・レコード 


 

 血尿(失禁)しながら白目を剥いて胃酸を吐くような、とある大派閥との【戦争遊戯(ウォーゲーム)】を控えた今日この頃。

 作戦会議と自身の修行を交互に繰り返し気絶、そして起きる。そんなブラック企業勤めの社畜みたいな生活を送っていた。

 色々ヤベェ恋人(エリス)ですらナニもしてこないのは時間が合わない、という理由もあるが一番の理由は疲れからである。ベル同様成長補正スキル持ちの彼女を遊ばせる余裕はない。スパルタ妖精と化したフィルヴィス・シャリアとのマンツーマンで修行をしてもらっている。涙目でダンジョンへ行っていたエリス。お疲れ様ですホントに。

 そして俺、アラン・スミシーは何度目かの気絶からの覚醒し、違和感を覚えていた。

 

 「ここは······城壁か? え?なんで?」

 

 【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)気絶した(就寝した)はずなのだが······とうとう夢遊病になったか、と背中に嫌な汗をかくがそうじゃないっぽい。

 オラリオを見れば、破壊されて修復すら忘れられたような建物がチラホラ確認できる。ついでに爆発して火災が発生した。

 俺の知らない間に世紀末?それとも、美の女神の指示で奴らが暴れだした······いや、それはないか。うん、ない。

 俺がここにいる理由は分からないが、取り敢えずオラリオへ向かおう。そしてベル達と合流だな。アイツらはダンジョンへ行ってないし。

 

 ······なんか身体と足取りが遅い気がする···寝すぎかな?

 

 体に鞭打って大通り(メイン・ストリート)へと走った。

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 「はぁ···はぁ···おぇ。おいおい、なんだこりゃ···」

 

 建物だけじゃない。露店の天幕もビリビリに引き裂かれ、売り物がぐちゃぐちゃにされていた。通行人の数が少なく、道行く人も元気がない。なんだろ、何かに怯えてる?好奇心の権化である神々が絶対に居るはずなのに、姿が見えない。

 情報収集するために人に尋ね···ゲホッ、ちょ待って、急に走ったから吐き気がするオェ。

 あんな距離、前世ならともかく今は第二級冒険者ぞ。なのにこんなに疲れるなんて···戦争前に不調ですか?嘘だろオイ。

 肩で息しつつ心の中で悪態を吐く器用な真似をしてたら、絶叫が聞こえた。そして耳を疑った。

 

 「()()()()()()()()()()!!」

 

 「え? うわあああああ!!」

 

 「きゃあああああ!!」

 

 は?

 

 「死に晒せェ、冒険者ァ!」

 

 「我が同士よ、一人でも多く道連れにしろォ!」

 

 え?

 

 逃げ惑う住民の背には、ギンギンに血走った目をして迫る全身白ローブの男達。

 以前見たことがある。呪いを振り撒き【ロキ・ファミリア】に刃を向け、そして、邪神が【穢れた妖精】の栄養として生け贄にした(壊滅させた)邪教徒ども。

 救いを求める者、大切な人を失った者、強い復讐心を抱く者。そこに娯楽に餓えた神々がいる限り再び現れるだろう、とラクシュミーから聞いたけど、()()()()()()()()()()()

 奴らの本拠地はもう潰された。だから潜める場所なんてもう無いだろ!?

 

 「!? お、おい!そっちは逆方向だぞ!?」

 

 誰かの静止が聞こえたけど、俺は無視して走り出す。人殺しはキツイけど、それは悪逆を無視する理由にはならない。

 俺は自分の愛剣(レイピア)を虚空から取り出し、て······うぇっ!?

 

 「()()()()()()()()()()()······」

 

 それだけじゃない。二つ目の武器である槍も、使用用途が未だにあやふやなバンダナも、魔法の【癒光の羽衣】もスキルの【気配察知】ですら。

 ああそうか。ようやく気づいた。気づきたくなかった不調の原因。それは、

 

 

 ───【恩恵】の剥奪

 

 

 それが意味することとは。

 

 

 「ラクシュミー······!」

 

   

 もっとも最悪な想像が、神の送還。

 確認できない。する余裕がない!

 

 「死ねぇえええええ!!」

 

 「───」

 

 あっという間に凶刃が迫る。

 頭上から振り落とされるソレに、今の俺じゃあ反応すらできない。

 ラクシュミーが送還されたのなら、ダンジョンにいるエリスの生存は絶望的。フィルヴィスが居るならと考えたけど、極論を言えば俺のスキルの一部だ。剥奪されてるのなら一緒に消滅しているはず。

 

 ハハ、アハハ、アハハハハハハハハ!見てみろ!動きがゆっくりだ!そして思考が加速する!死ぬ直前のアレじゃん!やべぇ、ハイになる!

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん、守れなくって。

 

 

 目を瞑る。

 俺もそっちに逝くよ、と思いながら。

 

  

 「させません!」

 

 知ってる声が聴こえた気がしたけど、確認できず意識が遠退いた。

 




オリ主は現実だと思ってる。
時系列は原作より七年前。つまり暗黒であり、最終決戦が起こる年。
ラクシュミー→まだ天界。
エリス→まだ冒険者じゃない。
フィルヴィス→まだ健在。なお一年後。

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