IF アストレア・レコード
作戦会議と自身の修行を交互に繰り返し気絶、そして起きる。そんなブラック企業勤めの社畜みたいな生活を送っていた。
色々ヤベェ
そして俺、アラン・スミシーは何度目かの気絶からの覚醒し、違和感を覚えていた。
「ここは······城壁か? え?なんで?」
【ヘスティア・ファミリア】の
オラリオを見れば、破壊されて修復すら忘れられたような建物がチラホラ確認できる。ついでに爆発して火災が発生した。
俺の知らない間に世紀末?それとも、美の女神の指示で奴らが暴れだした······いや、それはないか。うん、ない。
俺がここにいる理由は分からないが、取り敢えずオラリオへ向かおう。そしてベル達と合流だな。アイツらはダンジョンへ行ってないし。
······なんか身体と足取りが遅い気がする···寝すぎかな?
体に鞭打って
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「はぁ···はぁ···おぇ。おいおい、なんだこりゃ···」
建物だけじゃない。露店の天幕もビリビリに引き裂かれ、売り物がぐちゃぐちゃにされていた。通行人の数が少なく、道行く人も元気がない。なんだろ、何かに怯えてる?好奇心の権化である神々が絶対に居るはずなのに、姿が見えない。
情報収集するために人に尋ね···ゲホッ、ちょ待って、急に走ったから吐き気がするオェ。
あんな距離、前世ならともかく今は第二級冒険者ぞ。なのにこんなに疲れるなんて···戦争前に不調ですか?嘘だろオイ。
肩で息しつつ心の中で悪態を吐く器用な真似をしてたら、絶叫が聞こえた。そして耳を疑った。
「
「え? うわあああああ!!」
「きゃあああああ!!」
は?
「死に晒せェ、冒険者ァ!」
「我が同士よ、一人でも多く道連れにしろォ!」
え?
逃げ惑う住民の背には、ギンギンに血走った目をして迫る全身白ローブの男達。
以前見たことがある。呪いを振り撒き【ロキ・ファミリア】に刃を向け、そして、邪神が【穢れた妖精】の栄養として
救いを求める者、大切な人を失った者、強い復讐心を抱く者。そこに娯楽に餓えた神々がいる限り再び現れるだろう、とラクシュミーから聞いたけど、
奴らの本拠地はもう潰された。だから潜める場所なんてもう無いだろ!?
「!? お、おい!そっちは逆方向だぞ!?」
誰かの静止が聞こえたけど、俺は無視して走り出す。人殺しはキツイけど、それは悪逆を無視する理由にはならない。
俺は自分の
「
それだけじゃない。二つ目の武器である槍も、使用用途が未だにあやふやなバンダナも、魔法の【癒光の羽衣】もスキルの【気配察知】ですら。
ああそうか。ようやく気づいた。気づきたくなかった不調の原因。それは、
───【恩恵】の剥奪
それが意味することとは。
「ラクシュミー······!」
もっとも最悪な想像が、神の送還。
確認できない。する余裕がない!
「死ねぇえええええ!!」
「───」
あっという間に凶刃が迫る。
頭上から振り落とされるソレに、今の俺じゃあ反応すらできない。
ラクシュミーが送還されたのなら、ダンジョンにいるエリスの生存は絶望的。フィルヴィスが居るならと考えたけど、極論を言えば俺のスキルの一部だ。剥奪されてるのなら一緒に消滅しているはず。
ハハ、アハハ、アハハハハハハハハ!見てみろ!動きがゆっくりだ!そして思考が加速する!死ぬ直前のアレじゃん!やべぇ、ハイになる!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん、守れなくって。
目を瞑る。
俺もそっちに逝くよ、と思いながら。
「させません!」
知ってる声が聴こえた気がしたけど、確認できず意識が遠退いた。
オリ主は現実だと思ってる。
時系列は原作より七年前。つまり暗黒であり、最終決戦が起こる年。
ラクシュミー→まだ天界。
エリス→まだ冒険者じゃない。
フィルヴィス→まだ健在。なお一年後。