三つの選択肢   作:新人作家

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タイトル通り呆気ないです。

 ごもっともな意見をいただいたので編集させていただきます。


呆気ない終わり

 

 「回復薬を三つください」

 

 「はいどうぞ。アラン、いつもありがとね」

 

 俺は今、【青の薬舗】という店でポーションを購入した。この店は【ミアハ・ファミリア】が経営しており、主人公馴染みの店でもある。とある事情で借金生活を余儀なくされており、それに少しでも貢献したいと考えた俺は、足繁く通って常連となった。あとナァーザさん結構好きだし(本音)

 それとエリスと組むにあたって、資金に余裕が生まれ始めたので、いつも買う本数より多くしてみた。どっちかが怪我してもこれで平気だし。

 

 「いえいえ、何か困ったことがあれば言ってください。それじゃ俺はこれで」

 

 「またね」

 

 原作では新薬完成させて持ち直してたけど、今はまだ開発段階なのかな?素材がいるんなら取ってきますよ!

 

 「あ、そういえば・・・」

 

 スキル【三択からどうぞ(サード・ワン)】で選んだ中に調合書なるものがあったはず。あれは使えるのだろうか?ほら、あのスキルは地球のものも出るから、向こうの薬の場合作れないじゃん。一回も目を通してないから分からないけど、使えないのなら辞書の方がまだ役立つよ。

 

 俺はう~んと考えながら帰路に着いた。一回読んでみようかと思うが、明日からまた探索開始だ・・・し?

 

 「おや?そなたはラクシュミーのところのアランではないか」

 

 「あ、ミアハ様こんばんは」

 

 「うむ、こんばんは。何やら下向いて顎を触っているが、悩み事でもあるのか?よければ聞くぞ」

 

 おぉ、これが善神か。善意かつ無条件で悩みを聞いてくれるとは。他の神様も見習ってどうぞ。

 悩み事・・・までとはいかないが、今考えているのは使い道のない調合書のことだ。あっても使わないので押しt・・・ゲフンゲフン、差し上げよう。

 

 「実はですね・・・」

 

 「なるほどな。使い道のない本ではあるが、なかなかもったいなくて捨てられずにいると。確かに探索系には使い道はないな」

 

 「ええ。ですからミアハ様が貰ってくれませんか?」

 

 「よいのか?こちらからあげられる物はないが・・・」

 

 「よくポーション貰ってるので、それでチャラにしてくれるとありがたいっす」

 

 通い始めたのだってポーション貰ったからだし。

 

 「そういうことなら。うむ、承った」

 

 「ありがとうございます」

 

 俺は調合書を手渡した。ミアハ様から別れ際、こんな分厚い本をいつも持ち歩いてたのか?と言われた。いっけね。

 本を断捨離できたのでルンルン気分。もうすぐ()()()りが始まるね。行こっかなぁ。行くまいかなぁ。どうしようかなぁ~。

 

 「・・・ま、ダンジョンで金稼ぎだな。んで、ラクシュミーに誘われたら祭りに行く。うん、そうしよう」

 

 今日の晩飯なーにかなぁ♪ハンバーグがいーなぁ♪なんて、呑気に歌う俺だった。

 

 

 

 この時の俺はことの重大さに気が付いてなかった。あの調合書を巡って、ポーション革命が起きることを俺はまだ知る由もなかったのだ・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 ちなみに【豊穣の女主人】に行きました。案の定ベルは飛び出し、俺にもとばっちりが来るかなぁなんて、思ってたけど全然だった。

 リューさんきれい。シルさんこわい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 「しゃあ!一週間経過でスキルの時間だぜ!」

 

 待ちに待った一週間。例の三択が今表示される。俺的にはそろそろ魔法を獲得してもいいと思ってる。パーティ最高。

 ちなみにラクシュミーは朝イチから留守にしている。神々が集いし宴の準備があるのだとか。本人は別に行かなくていいと言っていたが、こういう時にはしっかり美味しいものを食べてくれ。俺の言葉で渋々了承した。

 

 「本当はラクシュミーの意見を聞きたいけど、別にいいよね!一週間くらい!」

 

 我慢できない俺を許したまえ。優雅にティータイム(特売茶)を極め込んだ。

 

 ①ヒール(回復魔法)  

 ②成長補正(スキル)

 ③魔導書

 

 「ぶふぅっ!?」

 

 ゲホッゲホッ!?・・・は!?

 

 「なんだこのラインナップは!?イカれてんのか!」

 

 魔法にスキルに魔導書。しかもスキルに関しては例のあれ。いつかは現れるとは思ったが、今来るのか!これが!?

 

 「こんなん②一択だろ・・・」

 

 強くなれるのなら②を即効で選ぶ。成長補正なんて喉から手が出るくらい魅力的だし、俺は②を・・・待てよ?

 俺の頭には獣人の女の子が映る。③なら解放できるのではないか。魔導書と言えば魔法を強制発現させるための本。それ故に高額で取引される代物だ。ならば取れる手は一つ。

 

 「俺は───」

 

 

 

 

 「お疲れさん。どうだった?」

 

 【ソーマ・ファミリア】がある屋敷前。その屋敷から出てきた女の子に、俺は声を掛けた。

 

 「ザニスが、『本当は一千万ヴァリスだが、この魔導書一冊と取引しようじゃないか。なに、仲間に対する恩情というものだ』だってさ」

 

 ちなみに魔導書は一千万ヴァリスを軽く超える値段。このセリフからザニスがどんな奴かが分かる。

 ま、そんなことはどうでもよくて。

 

 「脱退おめでとうがいい?それとも、今までご苦労様のがいi『ガバッ!』うおっと!?」

 

 俺の言葉に我慢できなかったのか、エリスは俺に飛び付いた。俺の胸に顔を埋めて表情が分からないが、その体は小刻みに震えていた。

 成長補正のスキルは正直もったいないと思うが、まあこれはこれで良かったのかもしれない。

 

 「よしよし。これからもよろしくな」

 

 「うん!アランに報いるよ、この命に代えてもね!」

 

 こうして、エリスが仲間に加わった。長年派閥に拘束されていた彼女の顔はとても嬉しそうだった。

 




オリ主的には最高の判断ではないが、最善の判断だと思ってる。
調合書を一回も読んでいないことにします。読んでも専門的なので分からないと思うが。

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