三つの選択肢   作:新人作家

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アンケートの中間結果。オリ主、ベル、放置の順です!少し見ない間に三桁突破してビックリしました。ご協力感謝します!
 やばい、文章が難しいよう・・・。


価値を知っておけば億万長者だったのに・・・

 

 【怪物祭】とは、客の前でモンスターをテイムする催しで、都市の治安を守る【ガネーシャ・ファミリア】が主導で行っている。

 モンスターを地上に出すのはどうかと思うが、意外にもあのギルドが協力し、神々の楽しければそれでよし!というスタンスがあるだけで、別に反対意見はなかった。

 

 「まあ、どうでもいいけどね」

 

 「? 何か言ったアラン?」

 

 「いいや、それより今日も稼ごうか」

 

 そう、俺ことアラン・スミシーは祭りとは無縁のダンジョン・・・少しはあるかな?稼ぐためにそこに来ており、人混みが少なくなるであろう夕方、そこでラクシュミーと合流して祭りに参加することになった。

 

 「ええ、いっぱい稼ぎましょう!今日は冒険者は少ないのでモンスターが狩り放題ですよ!」

 

 変わったことと言えば、サポーターとしてリリルカ・アーデとパーティを組んだことだ。とはいえ、現時点では仮契約期間の様子見と言ったところ。そうなった理由としては、役に立つと思ったら採用してほしいと彼女から懇願されたため。

 原作主人公と関わるのは祭りの後。だからまだ原作崩壊しないはず!・・・隙を見せて盗まれてみるか?

 

 「うん!私もアビリティ伸ばしたいし、今日も元気に頑張ろー!」

 

 エリスの掛け声で出発した。

 ちなみに、リリルカとエリスは面識がある。エリスにとってリリルカは同じ派閥だった同胞で、だから【ソーマ・ファミリア】の現状を知っているエリスは、稼ぎの七割を提供すると言い出した。これには俺もリリルカも驚いた。そしてリリルカは反対したが、脱退したいのなら受け取ってほしいと説得した。

 リリルカは覚えてないが、エリスは昔彼女と組んだことがある。ボウガンを使用した戦い方もリリルカから見て覚えた方法だ。恩返しって意味もあると思う。

 

 「・・・金で本当に脱退できるのか分からんがなぁ」

 

 【ソーマ・ファミリア】を仕切るザニスは、悪人気質で根っからの守銭奴。更にいえば、リリルカの変身魔法を使って()()()()()()()()()と接近して誘拐と密売をし、金稼ぎを企んでいたほどに。なので易々と手放すとは思えない。関係ないが、末端の団員のエリスはよく抜けられたな・・・てっきり足元見られると予想していた。

 リリルカの脱退に関しては、スキルでもう一冊魔導書が出れば大丈夫だと思うが、都合よく現れるものじゃない。リリルカには我慢させるようで悪いが、原作通りにベルに頼るしかないと思う。

 俺は流れに身を任せることにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 日時は祭り終了の数日後。

 二人のエルフがオラリオにある建物に入る。そこは魔導士が使う杖など、魔法に関わる魔道具を専門に扱うお店で、レノアという老齢の女性が経営していた。

 入店したのは【九魔姫(ナインヘル)】リヴェリア・リヨス・アールヴと、弟子の【千の妖精(サウザンド・エルフ)】レフィーヤ・ウィリディス。どちらも()()()()()()()を扱う規格外の魔導士。この店に訪れた理由は、遠征後に修理に出した杖を受け取るため。レフィーヤはリヴェリアの連れ添いである。

 

 「魔導士の杖は魔力を高め魔法の威力を変えちまう。魔法石はその要であたしら魔術師にしか作り出せない貴重品なんだよ」

 

 「分かってる。無下に扱ったりしないさ」

 

 どうやら修理とは魔法石の交換らしい。リヴェリアは店主から忠告を聞き入れた。

 

 「えっ!あれって魔導書(グリモア)ですよね!?」

 

 「まさかレノア、お前が作ったのか?」

 

 「いひひっ、あたしがそんな大それた魔術師(メイジ)かい?魔法大国(アルテラ)に知り合いがいてね。よしみで一冊分けて貰ったのさ」

 

 「す、すごい値段ですね・・・」

 

 レフィーヤは驚きで口が開く。魔導書とは魔法の強制発動書。高額で取引されても仕方のない代物なのだ。店に置いてあった魔導書は、競売に出されて現在億を超えていた。

 

 「あれ?これも魔導書ですよね?これは売らないんですか?」

 

 競売品のすぐ隣。もう一冊の魔導書に気が付いたレフィーヤは、店主のレノアに質問する。先ほどの物より厳重に保管されているので、信じがたいが億単位で取引される物より更に高価な物・・・なんですかね?

 

 「いひ、いひひ!いひひひひひひっ!それは非売品さ!そこに置いてある競売品の物よりも、()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 「「!?」」 

 

 突如笑いだし熱弁するレノア。これにはレフィーヤだけでなく、リヴェリアまでもが驚いた。それに、魔法大国を凌ぐほどの魔導書?ならば同じ魔法大国の──。

 

 「違うさ!ああ、違うとも!何せその魔導書を作成できる魔術師なんて、魔法大国にだっていやしないさ!」

 

 「馬鹿な・・・!では何故ここにある?かの魔法大国の魔術師にも作れない逸品なのだろう?」

 

 リヴェリアの指摘は至極もっともな意見。魔術師の中でも高名の者でしか作れない代物で、レノアほどの人脈ならば宛ぐらいあるだろう。でも彼女は分からないと言った。ここに置いてあるのはおかしい。

 その答えにレノアは、

 

 「()()()()()

 

 「え?」

 

 「これを売ってきた若僧は価値を知らぬ愚か者。その者に聞けば、団員が脱退のために用意してきた物らしい。だから、どこから入手したのか不明なのさ」

 

 ちなみに、買取価格は六千万さ。とレノアは付け加えた。金額の多さに驚くが、億を超えた競売品の値段を優に超えるから安い買い物じゃ。とも言った。レノアの言う愚か者がこの魔導書の価値を知っていたならば、たかが六千万で買えなかっただろう。眼鏡を掛けたあの愚か者にマジ感謝。

 疑問が残るが、用が済んだので店を出た。毎度ありと言ったレノアの喜色を含んだ声を残しながら。

 




愚か者。
 酒神の眷属にして団長。トレードマークの眼鏡を着用している。本来ならば、脱退した団員に難癖付けようとしていたのだが、六千万というあまりの金額に驚き見逃してやった。価値を知ってれば億単位で取引できたのに・・・まあ、価値を知れるのは魔術師だけだから仕方ない。

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