外伝のあのキャラが不憫なので救います。かなり強引ですけどね(笑)
祭りから二週間が経過した。バベルにいる美の女神は、俺にも視線を飛ばされていたから何かしら干渉してくると踏んでいたのだが、特になかった。てか最近、視線が飛んでくることが極度に少なくなった。よっぽどベルにお熱らしい。
そうそうベルといえば、
「今日もよろしくお願いします!」
俺達とパーティを組むことになった。エイナさんが彼と組んでくれと頼んで来たからだ。まあ、ソロより複数人で行動した方が安心だしね。
原作崩壊を防ぐため断ろうと思ったが、リリルカは現在こちらと組んでいる。だから断った場合、主人公はソロになりどこかで・・・いかん。それこそ原作崩壊で世界が終わる。
仲間達には俺の説得で了承してもらった。ベルの成長速度はスキルの効果で俺より速い。足手まといになるのはむしろ俺じゃね?
「今日はどうする?ベルがいるから下の階層?」
「ん~、様子を見ながら上げていこうかな。リリはどう思う?」
「数日組んで分かりましたが、ベル様の成長速度は異常です。それこそ十階層に通じるほどです」
だから大丈夫では?と言った。装備はヘスティア・ナイフとあの兎鎧。
「うん。なら前衛がエリス、中衛が俺とベル、その中衛を援護する形でリリ。これのフォーメーションで行ってみようか」
俺達よりアビリティが高いエリスがメイン。取り零したモンスターを俺とベルが倒す。不意打ちなどをリリルカがカバー。完璧じゃね?
俺の提案で全員が了承した。
それとリリと言えば、何か盗まれると思ったけどそんなこともなく。エリスとベルの人柄に絆されているように感じた。俺は二週間も経ったのだ。脱退のための作戦を思い付いた。後は、もしものための軍資金が必要であることだけだ。
現在のステータスは、
アラン・スミシー(16) Lv.1
力:(エリス入団時)E530→(二週間後の現在)D611
耐久:(以下同文)E512→(以下同文)D601
器用:F420→E503
敏捷:E501→D610
魔力:I0
“魔法”
“スキル”
【
・会話や文字の自動翻訳
【
・三つの中から一つ獲得
・選んだモノの貯蓄と引出し
・一週間後に再選択
・貯蓄(1.篭手2.レイピア3.【刀剣乱舞】4.湿布(New)5.バンダナ(New))
エリス・キャルロ(16) Lv.1
力:(エリス入団時)B766→(二週間後の現在)B781
耐久:B720→B739
器用:A801→A830
敏捷:A847→A865
魔力:C642→C677
“魔法”
“
“スキル”
【犬人咆哮】
・獣化
・全能力値に高補正
こんな感じだ。二週間あったとはいえ、エリスを見比べて、俺のアビリティはやっぱ伸びすぎだと思う。それとなくラクシュミーに聞いたけど、魔法はおろかスキルも発現してないという。この体スゲーってことで納得している。
それとスキルで獲得した二つの湿布とバンダナ。この二週間は外れの選択肢で、以前より落差が激しい。もうすぐ一週間が経過する。何がでるんだろ。魔法が欲しいと常々思う俺だった。
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時刻はダンジョンから帰った夕方に移る。消費した回復薬を買おうと、ナァーザさんがいる【青の薬舗】に行ったのだが・・・。
「おい小僧!金ならやるからこの調合書を儂等に寄越せ!」
「これディアン。アランが困っているだろう」
「ジジイ、いい度胸してる・・・!」
老人の男神に詰め寄られていた。内容は例の調合書について。隣に控える小柄の少女はディアンケヒトを止めているが、視線はこちらに向いている。可愛いこの人がアミッドさん?聖女属性とか唆るぜこれは(某科学者風)
「取り敢えず落ち着いて話をしましょう。丁度主神団長当事者も揃っているみたいだし・・・?」
「うむ、そういうことなら・・・」
「ああ、そうだな」
ディアンケヒトは俺から離れる。爺さんに詰め寄られるなんて誰得だよ。
「これは確認なんですが、欲しいのは調合書ですよね。何か凄いもんなんすか?」
「凄いも何もあれがあれば従来の回復薬より遥かに優れた物が作れるのだ!」
「更に言えば不治の病に対する特効薬も調合可能です」
「うそん」
「嘘じゃない・・・私も嘘だと思ったけど、実際作ったら本当だった」
「アランよ。あの調合書はどこで手に入ったのだ?」
うわぁ、どうしよ。スキルで手に入りましたー!なんて答えられるわけがない。神は嘘を見破れるとはいえ、簡単に話していいものじゃない。
だから、
「
「っ!!話せないだと!それは何故だ!」
「話せば絶対に自身のステータスを明かすことに繋がるからです」
「あの調合書は、そなたのステータスに関係してるのか?」
「まあ、はい」
やべぇ、アドリブだけどダメだろ。四人とも疑ってるよ。
まあ、疑いだけでも晴らそうか。
「調合書は俺のです。決して悪事に手を染めて手に入れた物ではありません」
「ふむ、嘘ではないな」
「うむぅ・・・」
俺の言葉に嘘はなかった。ミアハ様はいつものように善意の顔を浮かべる。いや善意の顔ってなんだよ。ディアンケヒトは眉間に皺を寄せて険しい顔をしている。
「話を戻しましょう。あの調合書を譲ってくれませんか?もちろんそれなりの礼をします」
「っ!アミッド、あれはアランがくれた物。もう私達【ミアハ・ファミリア】の所有「待った」ミアハ様?」
「我らが作れる数なんてたかが知れてる。なのでディアンの所の方が相応しいと思っている自分がいるのだ。しかしな、私もこの店を経営する身。私の一存で決められない」
だからアランが決めてくれ。善神ならではの葛藤がそこにあるのだろう。ミアハ様から決定権を譲られた。
「・・・どんな結末になっても恨みませんか?」
「約束する。この名に誓って。ナァーザも納得できないと思うが頼む」
「ミアハ様・・・」
ミアハ様は誓いを立てた。それなら俺の答えは決まっている。
「分かりました。お譲りします」
「クハッハッハ!小僧、人を見る目はあるようだな!」
高笑いするディアンケヒトと、信じられないという視線を送るナァーザさん。普通に考えればどっちがいいのか決まってることだ。
ま、俺には関係ない話だがな。
「ただし条件があります」
「ハッハッハ!何だ言ってみろアランとやら!」
「ええ───十億ヴァリスで売りましょう」
「「「「!?!?」」」」
あまりの金額に四人は目を開いてこちらを見る。思わず笑い声を止めるほどに。
「じゅ、十億だと?貴様、ふざけているのか・・・!」
「いえいえ、大真面目ですよ」
ハッハッハと俺は笑う。ディアンケヒトには悪魔に見えてるのではないだろうか?
「それはいくらなんでも高過ぎです!せめて七割、いえ半額にしてくれませんか・・・?」
五億ヴァリスとな?それはポンッと出せるものではないので分割払いになりそうだ。
「お断りです。聞けば回復薬の常識を変える代物なんですよね?貴方達にとって、これは半額で見合う物なんですか?」
「そ、それは・・・しかし、この調合書があれば救える命だってあります!」
「でしょうね。でもそれって──
「なっ!」
「き、貴様ぁ・・・!」
アミッドの顔が怒りで赤くなる。金の亡者であるディアンケヒトと違って、アミッドは人命優先。彼女にとって許せない言葉のはずだ。
・・・よし、俺のターンはまだ続いている!
「だから代替案を提案します」
「「!!」」
「啓示する案は──」
①作成可能な薬は【ミアハ・ファミリア】が独占する。
②【ミアハ・ファミリア】の借金を帳消しにする。
③【ミアハ・ファミリア】と俺にそれぞれ一千万ヴァリスを支払う。
④俺のファミリアを優先して治療する(もちろん治療費は支払う)。
内容の説明
①の場合、上層で採れる素材や店で販売している素材など、簡単に手に入る素材で作れる薬ならば【ミアハ・ファミリア】だけで作成するというもの。つまり独占販売。
②の場合、言わずもがな。抱えている借金を消す。
③の場合、俺と【ミアハ・ファミリア】にお金を差し出すこと。一千万もあればたくさん素材を買えるだろう。
④の場合、【ラクシュミー・ファミリア】は探索系。これから深く潜れば潜るほど怪我だってする。その時は優先してね。
「この四つを誓ってくれるのなら俺は差し上げますよ。もちろん変える気はないです」
そう、タダではあげない。三者三様得する方法で解決しなければ。とはいっても【ディアンケヒト・ファミリア】の損が多いけど。
「うぐぅ・・・!」
「受け入れないのならこの提案は無かったことに──」
「分かりました。その条件を呑みます」
「アミッドォ!?」
「ディアンケヒト様、仕方ないかと」
うん、仕方ないね。ここで駄々こねられて断られたら本当に利益無しで損することに繋がる。それでも聖女様の英断だと思う。
俺は最初に無茶苦茶な要求をして、次にハードルを下げるという交渉術を使った。
【ディアンケヒト・ファミリア】に恨まれるだろうが、
───これで軍資金は手に入った。奴らが罠に掛かればいつでも仕掛けられる。
今日の0時にアンケートを締め切ります。それによってルートを決定します!