三つの選択肢   作:新人作家

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 誤字脱字報告&高評価&感想ありがとうございます!
 評価はかなり下がりましたが、これからも投稿を続けます!文章を鍛えるためですから。




絶望から希望へ 鍵は【鼻】

 

 「確認します」  

 

 中層手前の十二階層で、リリルカは仲間達に作戦の確認をする。俺の装備は一新されてはいるが、デザインは変わらなかった。その代わり性能は上がっているとのこと。

 ちなみに全員サラマンダー・ウールを着用している。

 

 「まずは前衛にヴェルフ様とアラン様。中衛にベル様とエリス様。後衛にリリが担当します」

 

 「前は俺達でいいのか?」

 

 ベルと専属契約を結び、新たに仲間になったヴェルフ・クロッゾが質問する。Lv.1二人で大丈夫なのかと。

 

 「問題ありません。もしもの時は中衛のベル様とエリス様が対応してもらいますから」

 

 「うん」

 

 「分かった」

 

 やる気は充分。二人は意気込んだ。

 二人で頑張ろうぜとヴェルフは俺の背中をバシバシ叩いた。痛い痛い、やめい。

 確認が終わったあと、俺達はいざ十三階層へ。

 当然この後起こる出来事ははっきりと覚えている。強臭袋(モルブル)なる物を一応二つ用意してもらい、遭難した場合は十八階層を目指す取り決めだ。遠征帰りの【ロキ・ファミリア】に助けてもらえるかもしれないから。

 中層は上層とは違い、担当のソフィさんから過酷だと聞いた。回復薬も多めに購入した。ベルと座学を受けた。油断するつもりは毛頭ない。

 今一度気合いを入れ直して十三階層へ行った。

 

 

 ーーーーーーーーーーー

 

 「「「ガァァァ!!」」」

 

 「! 後方から三体!」

 

 「あれはヘルハウンドです!並みの防具なら炎で簡単に溶けます!」

 

 【放火魔】の異名を持つヘルハウンドと、いきなりの遭遇。現れるよりエリスの索敵の方が速かったので、

 

 「ハァ!」

  

 「フッ!」

 

 俺とヴェルフの二人で危なげなく倒し、残った一体はベルが速やかに討伐した。いいなLv.2。凄い速かった。

 

 「それにしても凄いな、サラマンダー・ウールってのは」

 

 「ああ、流石精霊由来の装備だな。・・・値段はかなりしたけど」

 

 「・・・ちなみにいくらだ?」

 

 「ゼロが五つ」

 

 俺とヴェルフが感心し、その高額な値段にげんなりする。まあ、それ相応の額だからお互い文句はないけど。

 

 「でもこれで全滅の憂いがぐっと少くなったからね」

 

 「うん。正直ありがたいよ」

 

 ベルとエリスが思ったことを口にだす。それには激しく同意する。

 

 「! また来たよ!今度は五体!」

 

 エリスの聴覚がモンスターを捉えた。ランクアップしてからは索敵範囲がより広まり、感覚が鋭敏に強化されていた。うちのパーティにおける要はエリスだな。不意打ちに強くなったし。

 兎のモンスター、アルミラージと遭遇しこれも難なく撃破し、ベルに似てたことを弄られていた。俺?当然俺もエリスも弄ったよ。

 おっと、そろそろか。

 

 「!! 大多数のモンスターが急接近してる!それと・・・人?」

 

 「沢山のモンスターと人だと?・・・まさか!」

 

 「【怪物進呈(バス・パレード)】です!急いで撤退しましょう!」

 

 「駄目!後ろからも沢山来た!」

 

 「挟まれた!?」

 

 「構えろ!迎撃して薄い方に一点突破だ!」

 

 困惑するなか、俺の指示ですぐさま態勢を整える。一体一体が弱くても、数の暴力で全滅する。それが中層の恐ろしさだ。

 それにダンジョンは生きている。焦燥感に駆られる冒険者をここぞとばかりに追い討ちを掛け、まったくもって嫌らしい存在だ。

 モンスターを引き付けて来たのは案の定【タケミカヅチ・ファミリア】で、

 

 「・・・ごめん!」

 

 ヤマト・命が謝罪の言葉を落とした。

 善戦していたのだがヘルハウンドによる一斉放火により、迎撃戦は原作通りの結末を迎えた。

 

 ーーーーーーーーーー

 

 「・・・ヤバい」

 

 「・・・うん」

 

 結論から言うと、立っていた場所がいけなかったのか、ベル達とはぐれてしまった。

 当たり前だが階層は不明。近くにベル達の気配はしない。不幸中の幸いなのは、Lv.2のエリスと一緒だということだろう。

 強臭袋?二つともリリルカに持たせたよ。

 

 「・・・」

 

 「アラン・・・?」

 

 取り決めは十八階層に行くこと。しかしそれは、ベル達が居ること前提の話。分断された場合の作戦はない。こっちにはエリスが居るとはいえ、この先ミノタウロスが集団で現れる。最初のうちは大丈夫でも、数に押し潰されておしまいだ。もし十八階層にもベル達の元にも辿り着けなかったら・・・俺達は、いや()()()()()───。

 

 「大丈夫だよ、アラン。俺のせいで、なんて考えなくていいよ」

 

 「!? エ、エリス・・・?」

 

 突然エリスに抱き締められ、彼女は落ち着かせるように囁いた。

 

 「アランは強くて頭が良い。私はLv.2の獣人。私達二人に出来ないことはないよ」

 

 「っ・・・俺は強くないよ。それに判断だって誤った。迷惑「思ってないよ」!?」

 

 エリスは両手で俺の顔を挟む。顔が近い!

 

 「アランは私を助けてくれたよ?だから迷惑に思うんじゃなくて、今から恩返ししよう!って思ってる」

 

 「エリス・・・」

 

 「だから作戦考えて!私こういうの苦手だし!」

 

 「ふっ、結局人任せかよ」

 

 えへへと笑うエリスを見て、今一度頭を回す。元気もやる気も湧き出てきた。虚勢でもいい!絶望するな!二人で助かるために頭を回せ!

 

 「エリス、まずは装備の確認をしよう」

 

 「うん!」

 

 俺達はお互いの装備を確認する。多めに回復薬を用意したので、怪我と体力は癒せる。ただし精神回復薬の数は少ないので魔法は節約しよう。

 武器と防具。俺は全部無事だったが、エリスのボウガンが壊れてしまった。あれは牽制として役立つのだがまあいい。サラマンダー・ウールと防具は壊れてない。

 

 「十八階層までどう行くの?」

 

 「それは縦穴を使う。短縮になるからな」

 

 頭が回るリリルカが居るんだ。それならあいつらもそうするだろう。そのあいつらは強臭袋を使いながら縦穴を利用してベルとヴェルフの魔法で進んでいた。そこにヒントがあるはず・・・あ。

 

 「エリス()()()()()()()()()()?」

 

 「え?」

 

 「()()()だよ。あいつらは絶対それを使う」

 

 「あ、そっか。それの匂いを嗅げれば」

 

 「「合流できる!」」

 

 そうと決まれば前進だ。当面の目的は縦穴の捜索と強臭袋の匂い。どちらにせよ十八階層に行けるだろう。

 

 「絶対生きるぞエリス。生きてラクシュミーのもとへ帰ろう」

 

 「うん!」

 

 絶望を希望に変えて足を進めた。生きて帰るために。

 

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