読み応えがないですけど、そこは脳内補完でお願いします!
①【癒光の羽衣】(回復魔法)
②タオル
③スマートフォン(iPhone)
久し振りのスキルに、久し振りの登場(メタい)のラクシュミー。
ラインナップが豪華である。
「すまーとふぉんが何なのかは知らぬが、①を選べ。私の勘がそう囁いておるのじゃ」
「最初からそのつもりだけど・・・」
神の勘は超高確率で当たる。無視してたら痛い目に遭うので、真面目に聞き入れるようにしている。
ラクシュミーが①を選べということは、この魔法が鍵になるということなのだろうか。回復魔法だから、誰かが瀕死の重症を負うとかか?
俺は最悪の想定をして①を選んだ。
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バベルにて。
「───私に貴方の輝きを見せなさい」
妖艶な女神が見据えるのは、白い輝きを放つ兎の少年。眷属から報告が届き、見定めるために今日仕掛けるのだ。
そして。
「あの子と行動を共にするなら、貴方にも試練が必要よね」
隣にいる、
新たに第一候補になった少年と、第二候補になった彼。その二人が今後どんな化学反応を示すのか。
「ウフフ、私って案外欲張りなのね」
女神は美しく微笑んだ。
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そんな女神の思惑は露知らず。
いつだ?いつなんだ?いつ来る?俺は周囲を警戒していた。あの【ロキ・ファミリア】が今日遠征に出発した。遠目で見ても女性陣は綺麗だった・・・じゃなくて!
今日あのイベントが始まる。ベルが因縁の相手と出会い冒険を果たすあれが。それなのに・・・
「今何階層だっけ?」
「? もう十階層に到達しますよ」
リリルカに、こいつ頭大丈夫か?という視線を送られる。最近、俺に対する攻撃力が増してきた。
原作だと九階層、正規ルートのE-16。それを
どうなってる?俺の存在で原作が崩壊してる?それとも───。
「何かおかしくない・・・?」
「ですよね。モンスターが異常に少ないですし」
違和感を感じ取ったのはエリスとベル。獣人故に感覚が鋭いエリスと、不躾な視線のせいで視線に敏感なベルが、モンスターの少なさに苦言を切り出した。
「言われてみれば・・・」
リリルカも二人の意見に賛同し、辺りの警戒をし始める。俺はというと、
「・・・ここで始めるのか」
誰にも聞こえない声量で呟いた。十階層の広いエリア。出入り口は十一階層へ続く正面と、九階層へ戻る背後の二つだけ。
気付けば俺達は背中合わせになっていた。
「・・・匂いが近付いてくる」
「・・・ちなみにどこから?」
「
ギャオァァァァッ!!
ヴゥモァァァァッ!!
「「「「!!」」」」
遠くから鳴り響く二体の咆哮。一体は絶対ミノタウロスだ。聞いたことがあるからまず間違いない。もう一体はなんだ?
「ベル」
「は、はい」
「もうすぐ【ロキ・ファミリア】が来る。憧れにもう一度守られ命を助けられるのと、己を賭して立ち向かうのとどっちがいい?」
発破を掛けた。原作だと恐怖で立ちすくみ、リリルカが怪我を負う。不安定な状況の中、それだけは避けたかった。
「ぼ、僕は・・・!」
「【剣姫】に憧れたんだろ?冒険しようぜ」
「!!」
ベルは覚悟を決めた。ミノタウロスはベルに任せるとして・・・。
「私達は前方の敵だよね」
「ちょっ、皆さん正気ですか!?」
「正気も正気。すでに囲まれてるから逃げ場はない。隙を作るから、リリは念のため【ロキ・ファミリア】を呼んで来てくれ」
「っ!!あーもう!分かりましたよ!また貴方に乗せられますよ!」
よしよし士気は充分だな。
足音はすぐ近くまで迫り、霧の向こうには巨大なシルエットが映し出される。
───俺達は冒険をする。
ーーーーーーーーーーーーーー
「【
「【ファイアボルト】!!」
初手はエリスとベルの魔法で始まった。速攻で繰り出される魔法を囮に、リリルカを逃がし自分達は確実に攻撃を当てる方法を取ったのだ。青白く光るエリスに続いて、俺も走り出す。彼女は一瞬で到達していた。
「インファントドラゴンか。面倒な相手を連れて来やがって!」
シルエットでなんとなく気付いていたが、やっぱり迫力が違う。一瞬でも臆したら奴に呑まれそうになる。
「ハァッ!!って、硬ぁっ!?」
「オマケに強化種かよ!なに考えてんだあの女神は!!」
それとも眷属か?どちらにせよ頭がおかしい。
「ギャオァッ!!」
「っ!! ぶねぇ!」
前足での踏み込みを躱す。重量のせいか地面が陥没していた。それにより生じた隙を俺は逃さない。
「よし、通じた!」
エリスの斬撃はかすり傷が出来るだけで録に入らなかったが、俺のレイピアは致命傷に至らないものの、硬い皮膚を深く切り裂いた。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・くそ」
「アラン大丈夫?」
「大丈夫だとカッコつけたいけど・・・正直キツイ」
攻撃を当てるだけでこんなに疲れるのか。いや、【
インファントドラゴンは、俺のレイピアを警戒して動こうとしない。無駄に動き回らず反撃を狙っているのだろうか。モンスターのくせに嫌らしく小賢しい。
「私がレイピアを使う?アランよりアビリティが高いし」
「いやそれよりも──」
俺はエリスに耳打ちした。この作戦が成功すれば勝てる。
「ゥゥゥ・・・!」
「【癒光の羽衣】」
新たに獲得した魔法を使用する。効果は常時回復の付与魔法。精神力が尽きるまで、身を包む癒しの羽衣は消滅しない。
今俺はレイピアを持っていない。俺は決定打を作るための囮。本命は───。
「グァァ!!」
「っ! うわっ!?」
危ない危ない、集中しろ!姿を隠しているエリスに繋げるために!
反撃姿勢を解いて巨体を縦横無尽に動かす。あまりにも激しい動きに地面が抉れる。俺の体にもかすり傷が無数に生まれるが、
「・・・すげぇなこの魔法」
一瞬で治る。破格の効果を誇る【癒光の羽衣】は絶対当たりだ。恵まれた幸運に感謝。
躱す躱す防御躱す躱す躱す躱す防御。これを繰り返し、
───そして。
「グギャァッ!?」
「あれだけ暴れ回ったんだから、そうなるに決まってんだろ」
インファントドラゴンの後ろ足が、罅が入った地面に深く沈み込んだ。
これが俺の考えた作戦。
『暴れさせて床を踏み抜かせる』という作戦と言えないような至ってシンプルなもの。それでも効果あったようだ。
ドラゴンは前足に力を入れて起き上がろうとするが、
「【
エリスの魔法を乗せた全力が、前足の腱を削ぎ落とした。
「グギャァァァ・・・」
「さーて覚悟は出来てんだろうなぁ、トカゲ野郎」
「・・・アラン動けるの?」
「無理。だからエリスに任せる!」
あれだけ動いたんだ。疲労のせいで体力も限界で、初めての魔法で精神力が底を尽く寸前だ。
最後の力を振り絞り、
「ギャア!?」
魔石があるであろう胸部に投擲した。投擲武器?もちろん収納していたレイピアさ。時間稼ぎにあれは邪魔だもん。
「【
加速されたエリスは突き刺さったレイピアを蹴り飛ばし、インファントドラゴンの魔石ごと穿った。
戦闘描写難しいよぉぉぉぉぉぉ!!コツを教えてくださぁぁぁい!!(全力土下座)
【癒光の羽衣】
・回復付与魔法
・精神力が尽きるまで、傷・体力・毒・呪詛を癒し続ける
デメリットとは、速攻で癒せない。魔力に依存するため現段階の効果はショボい。聖女みたいに複数同時は無理。今後に期待。