新居に必要な資金が手に入り、どんな場所に住みたいかワイワイ話している時、【凶狼】ことベート・ローガが家に来た。
何でも、闇派閥の手掛かりが欲しいのだとか。敵を知ることはいいことなので、何か喋れることがあるかなぁ、なんて考えて疑問が浮かぶ。
「
仲間は一緒じゃない?
「別にいいだろうが、そんなこと・・・」
おや?何この反応?
確か外伝では亡くなった団員に暴言吐いて追い出されていたはず。
はっはーん。
「もしかして、追い出されました?」
「!?」
ピーンと尻尾が上を向く。顔を見れば図星を突かれた表情をしている。
追い出された理由は恐らく、
「『ハッ!雑魚に助けられて何喜んでんだ。てめぇの身一つ満足に守れねぇなら巣穴から出てくんな!!』とか?」
「ウグッ!?」
当たりかよ。
俺は目の前で悶える狼に呆れの視線を送った。
ちなみに、
『訳)この先の戦いはもっと過酷になるから、他派閥のあいつに頼ろうとか思うな。上級冒険者だとしても敵は厄介なのでホームに居てください』
これがベート語の翻訳文。
「追い出されたけど何もしないわけにもいかず、手掛かりでも見つけて帰ろうって魂胆か」
「て、てめぇ・・・!」
どこまでお見通しだとか、フィンを相手しているみたいだとか思ってそう。
(こいつ、どこまでも見通してきやがる。クソッ、フィンを相手しているみたいだ・・・!)
貴方が分かりやすいだけです。
「手掛かりは歓楽街か酒場、アマゾネス辺りが持っていますよ」
「それを早く言えぇっ!!・・・それと、ありがとよ」
あばよ、と言いながら帰った。
分かったことは、ベート・ローガは拗らせツンデレだということだ。
それはそれとして、教えた手掛かりの先に居るであろう、レナちゃんによろしくな(愉悦)
「あの」
「?」
「ベートさん、ここに来ましたか・・・?」
「ん」
帰った方向に指差した。
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最近、
「やぁ!」
「「「「「ギャオ!?」」」」」
「とぉ!」
「「「「「グキョ!?」」」」」
「たぁ!」
「「「「「ゲギャ!?」」」」」
エリスがヤバい。
十八階層までほとんど一人で終わらせている。単体だろうが集団だろうが、強化種や異常事態だろうが。たった一人で終わらせており、俺は専らサポーターみたいなことしてる。
本人曰く、動きが最適化されてすっごい調子がいいのだとか。レイピア貸してと言われて渡したら、
ズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッ!!
断末魔を上げる前にモンスターをみじん切りにしていた。
・・・あれ?あの動きってもしかして。
「俺の【
「うんそうだよ。アランの動きを真似してみたら型に嵌まったみたいなんだ。同じようなスキルが欲しいけど中々出ないんだよね」
さらっとヤバいこと言ったぞこいつ。俺はスキルに頼ってんのに、こいつスキル無しかよ。
・・・そういえば天才肌だったな。忘れてたわ。
「おいお前ら!」
「「?」」
ダンジョンで冒険者に話し掛けるのは御法度・・・あ、気付けばここリヴィラか。
「ファイヤーバードが群れで現れやがった!ボールス達の援護に向かってくれ!」
「どうする?行く?」
「・・・行こうか。放っておくわけにはいかんし」
この街の頭領ボールス筆頭に冒険者達との関係が悪化するのは避けたい。
あ~、でもなぁ~。
「? アラン?」
「どうした?どこか調子悪いのか?」
「いや、何でもない。俺達もとっとと参加しよう」
行きたくないなぁ。原作史上
余談だが俺とエリスの前に現れたファイヤーバードは全てエリス一人で屠った。
俺も回復魔法で援護したもん。本当だもん。