「リリスケ、確かにここなのか?」
「ええ。目的地に辿り着きましたが・・・」
ギルドからの命令により、俺達は二十一階層へとやって来た。俺達両派閥は未到達ではあるが、Lv.3のベルを始め、Lv.2の俺、エリス、ヴェルフ、命が四人もいる。それに、春姫の魔法で底上げ出来る。正直、過剰戦力だと思う。
そんなこんなで地図が示している場所に来たものの、周りには人間より大きな水晶があるだけで、それ以外何らかの痕跡一つなかった。
もう一度と、リリルカは二十一階層を見回ろうと提案したが、
「ここで合ってるよ。ヴェルフ、
「水晶って、これのことか?」
「そうそう。ドカンと一発頼むよ」
ヴェルフは背中に仕舞っていた大剣を構え、上段から振り落とした。
水晶は勢いよく破壊され、
「こいつは・・・!」
「まさか、
奥へと繋がる通路が姿を現した。未開拓領域とはダンジョンの中で未だ発見されていないエリアのことであり、それをギルドに伝えると報酬を貰えるとか。
未開拓領域は発見が困難だからこそ、こんな場所に何かを隠すのに打ってつけなのだ。
「凄いよアラン!よく分かったね!」
「隠したい物をバレる所に置かないよね」
みんなが感心して俺を褒める。スキルにたくさんのモンスターの反応があったし、何より原作知識によるところが大きい。
チヤホヤされるのって正直気持ちいいよね。完全に癖になってるわ。
「んじゃ、気を引き締めて行くよ。何があるか分からないからな」
キリッとキメ顔を作り、おう!はい!とみんな言って俺の後に続いた。もうやめて、気持ちよくなってくるのぉぉぉぉ!!(キモい)
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「久しぶりの客人だぜみんな!宴の準備をしろ!」
赤い鱗を纏うリザードマンの声掛けで、多種多様なモンスター達が一斉に準備をしだす。
ベル達はポカーンとした表情になる。当然である。さっきまで本気のバトルを繰り広げていたのだから。
「あの・・・」
「ん?」
俺に話し掛けて来たのはセイレーンのモンスター。この人はさっき、俺とエリスの二人掛かりで相手した。流石Lv.5相当。かなり強くて、こちらの攻撃らしい攻撃といえばエリスがかすり傷を付けただけだった。
名前は確かレイだっけ?容姿が人に近くてセイレーンの異端児だからそうだと思う。
そして何より・・・
「デッk・・・ごほんごほん、えっと、何か用?」
「私達を恐がらないんですか?貴方だけ他の方達と反応が違いますから・・・」
言われてみんなを見る。今のところ友好的な反応を見せる人はおらず、少し警戒しているっぽい。
俺がそんな反応をしないのは、ある程度知っていたからだし、この世界の住民ではないことが大きいだろう。某スライムが主人公のアニメを見てたし。
「俺は差別とかしませんし、それに貴方みたいな綺麗な
前世では女性と縁が無さすぎて恐れの対象だった。だが今世では身近にラクシュミーとエリス、シトリーという美女、美少女が居る。そのうちの二人と一緒に寝てるんだぜ?信じられるか?
おい、リリルカ。小声で変人って言うな。聞こえたぞ。
「き、綺麗・・・!?わ、私がですか?」
「そうですけど・・・」
え、なんで赤く・・・やべっ、目の前の相手を綺麗って言っちまった!絶対キモがられるやつ!
「ふ~ん?」
「ど、どうしたエリスさん?」
いつの間に横に居たんだよ!環境に溶け込みすぎだろ!
「私には綺麗って言ってくれたこと・・・あるね。でも一回だけだよね?今の私には言ってくれないの?」
「だって、お前は綺麗って言うより可愛いの部類じゃん。あの時はドレス姿がよく似合ってたから綺麗だと言ったんだよ」
「!! ふ、ふ~ん。そうなんだ。・・・私って可愛いんだ」
やべっ、またやっちまった!気まずいなぁもう!
「ねえリリ、あれなんだろ」
「アラン様は思ったことを素直に言い過ぎたことに悶えて、エリス様は他の女性を褒められて不機嫌になったけど、その後不意打ちで褒められて照れたのでしょう」
「なるほど」
「「冷静に分析するな(しないで)!!それと納得するな(しないで)!!」」
「お~!あの二人息が合ってるな!」
「お二方は好き合ってるとか、そういうことでしょうか?」
「へぇ~!ロマンティックだねぇ!」
「「~~~~っ!!」」
やめて!俺達のライフはもうゼロよ!
「初めまして・・・いや、何だこれは?」
黒衣を纏う謎の人物が来るまで弄られた。