三つの選択肢   作:新人作家

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また順番間違えてましたので直しました!

感想、評価ありがとうございます!更新頻度を上げていこうと思います!


IF 【平和の象徴】オー○マイト

 

 【アストレア・ファミリア】の一員として、闇派閥と戦闘を繰り返すうちにある変化が起きた。

 闇派閥による襲撃頻度が目に見えて減少したのだ。

 俺のスキル、【気配探知】は生物を特定するだけでなく、悪意やら殺意やらの感情までも察知する。だからか、パトロールで街を歩いてると偵察中、もしくはこれから騒ぎを起こす闇派閥の人間と遭遇するのだ。

 

 「て、てめぇ!俺が闇派閥だっていう証拠があるのかよ!」

 

 「逆に、それで闇派閥じゃないってんなら驚きだよ。それと、神に嘘は吐けないのは分かってるよな?」

 

 「──ッ!?」

 

 このように、片っ端から制圧しているうちに俺が闇派閥の人間を特定できると敵に伝わり、不要な外出を避けるようになったし、それとは別に、俺の仲間であるフィルヴィスの存在が大きいと考えている。

 知っての通りフィルヴィスは俺のスキルで手に入れるまでは、元々闇派閥側の人間。全部を把握しているわけではないが当然、奴らが拠点にしている【人造迷宮】に通ずる出入り口の位置を把握しており、俺が出した命令は『奇襲』。

 巣から出てきた敵、巣に戻ろうとする敵を待ち伏せにして徹底的に排除する。フィルヴィス曰くそれで一度、敵幹部を一人半殺しにしたそうだ。ソイツは現在、【ガネーシャ・ファミリア】で服役中。『影が来る···影が来る···ひぃぃぃぃ!?』と、うわ言を呟きながら発狂し、フィルヴィスの存在がしっかりトラウマとして刻まれた。

 

 また、オラリオで冒険者をしているファミリアが、実は闇派閥だったと言うのはこのご時世有り得ない話じゃない。

 

 「コイツら全員闇派閥側の人間なら、主神であるお前は必然的に邪神になる」

 

 「ひひひ、神をお前呼ばわりとは、不敬なガキが痛だだだだだ!?腕はそっちに曲がらないからヤメテェ!?」

 

 例の如くこれを検挙して、邪神を捕まえるという大捕物をした。

 これが決め手になったようで、闇派閥は戦力を減らすような真似を止め、闇派閥側のファミリアがオラリオから姿を消した。

 

 オラリオは少しづつ活気を取り戻し、俺を【平和の象徴】として英雄視する者が出始めた。

 

 

 

 ······まあ、何事も上手くいかないのが世の常である。

 

 「【福音(ゴスペル)】」

 

 「───ッッ!!」

 

 「「「「うわぁあああああ!!」」」」

 

 鐘の音が一度だけ鳴る。それだけで、俺以外の仲間が床にひれ伏した。

 

 「ほう。目に見えて満身創痍とはいえ、これを喰らって尚も立っていられるか。魔法に耐えられるほどの装備を持っていたか。或いは、場所が場所だから手加減してしまった私の落ち度か······お前はどう思う」

 

 「ハァ、ハァ······なら、三つ目だ。俺のアビリティが凄かった」

 

 間違えではないと信じたい。俺はLv.5で今のシャクティよりもレベルも耐久も高いし、それでも骨にまで響いた魔法を、咄嗟に【癒光の羽衣】を発動したことでダウンを防いだ。

 

 「つまらん受け答えをするな。私が提示した中から答えろ、面倒くさい」

 

 この人は多分、自分の指針で動くタイプ。それも、気に入らなかったら老若男女問わず容赦なく殴り飛ばすヤバい人。

 この時の俺はそう思った。

 

 「まあいい。お前『は』奴らよりも見応えがある。今回はそれで良しとしよう───今は眠れ、英雄候補」

 

 「ッ!」

 

 (この人の魔法に当たればもうお仕舞いだ!だから──)

 

 「速さで決める!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()、先ほど見せた魔法、それと手ぶらの装備。魔法がメインの後衛だと推測できる。

 正面から行けば魔法の餌食。だから女の背後に回る。いくら強かろうが、前衛として戦ってきた俺の方が速──

 

 「遅い」

 

 「グガァ!?」

 

 レイピアによる攻撃をヒラリと躱し、脇腹に蹴りが入る。内臓が飛び出るほどの衝撃をその身に喰らい、

 

 「【眠れ(ゴスペル)】」

 

 再び鐘の音が鳴る。

 【ガネーシャ・ファミリア】を堕とした初手の全体攻撃ではなく、一点に集中させた魔法が突き刺さった。

 

 「······読みが悪い。場数はそれなりに踏んでいるようだが······まだ若い」

 

 その呟きが耳に残る。俺は意識を手放した。

 

 

 

 「······っ、ここは······」

 

 目が覚めると、何やら慌ただしく動く人影が見えた。続いて誰かのうめき声のようなものも。

 体を触ると、いつもの装備が脱がされており代わりに包帯が巻かれていた。鈍い痛みが走る。

 

 「! 目が覚めましたか?」

 

 「ああ、お陰様で」  

 

 「······まだ安静にしてください。傷は全て治しましたが、痛みまでは消せませんから」

 

 上半身を起こす時に制止の声が掛かるが、あえて無視する。

 

 「他のみんなは······無事、みたいだな」

 

 【ガネーシャ・ファミリア】の団員が寝ている。起きている者のほとんどが上級冒険者のようだが、あの魔法が相当堪えたようで痛みに苦しんでいた。シャクティ、アーディの二人は立ち上がって仲間を献身していた。

 

 「貴方が一番重症でした。肋骨が折られるほどの衝撃が内臓にまで達したせいか、血管が破れて吐血を繰り返し、あと僅かでも治療が遅れたら後遺症が残るレベルでした」

 

 脇腹への蹴りと、【ゴスペル】って魔法だな。多分意識を失った時に【癒光の羽衣】は消えたけど······あれを喰らって後遺症が残るレベルで済むのは【恩恵】様々だな。

 高いステータスを持つ俺を倒すとか、恐ろしい女。

 

 目が覚めたことに気が付いたのか、シャクティとアーディがやってきた。その後、俺がやられたことを聞き付けたアリーゼ達が見舞いに来たが、騒がしくしたことで出禁にされた。

 




 地上は襲撃が減りましたが、ダンジョンにまで手が届かないと分かり、以前続いている。地上から姿を消したファミリア(闇派閥側)が主に襲撃している。
 それでも以前のような苛烈な襲撃が減ったことで怪我人が減少し、治療施設には余裕が生まれました。

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