三つの選択肢   作:新人作家

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誤字脱字報告ありがとうございます!
久し振りの投稿なので、矛盾点が発生すると思います。その時は感想欄にてお願いします!



よっしゃ!ランクアップだぜぇぇぇ!!

 

 ゴォォン!!ゴォォン!!

 

 「! ベルのスキルか!」

 

 鐘の音が鳴り響く。安全圏で観戦していた冒険者や神々、それに一般人が音のする方向へと視線を向ける。

 現在、ベル達の場所は【ダイダロス通り】を抜けた先にある大通り。フィンさんからの指示でそこに誘導したのだ。また、その大通りを進んだ先にあるのは、

 

 「そのまま押し込め!」

 

 アステリオスはベルに突進し、目的地であるバベルまで押し込んだ。

 

 「「【ヴィア・シルヘイム】!!」」

 

 【ロキ・ファミリア】の師弟コンビ、リヴェリアとレフィーヤの障壁魔法が二人を包み込んだ。

 ベルとアステリオスは睨み合う。

 その光景を、ただただ見守っていた。

 

 「───動く」

 

 誰かが呟きと同時に、

 

 「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 「ヴモォァァァ!!」

 

 スキルが発生させた極光と、魔剣が発生させた雷光が激突した。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 ベルとアステリオスの再戦は、結論を言えばベルが負けた。原作では片腕と疲労というハンデを背負った相手に負けた。しかし、今回は両腕で体力が有り余っている万全の状態。当然と言えば当然である。  

 アステリオスは次で決着を決めようと約束し、再びダンジョンへ消えた。ベルはこの戦闘を通して、強くなりたいという気持ちが一層高まり、再戦を強く望んでいた。

 俺はそれを見て羨ましい気持ちになった。好敵手という存在は、更なる高みへと至らせるらしいから。

 

 事態が終息に向かった後で、俺はフィンさんを連れて十八階層へと足を運んだ。確か【ガネーシャ・ファミリア】が居て、【異端児】達をテイムという建前で保護してくれてるはずだから。

 そうして街へと辿り着いたら───

 

 「ボールス、この資材はどこに置いたらいーい?」

 

 「向こうに置いてくれー!グロス、それはあっちだ」

 

 「おーい!追加で肉果実採って来たぞー!」

 

 「よっしゃ、休憩しようぜ!いい酒があるんだ!」

 

 「レイちゃん!一曲頼むぜ!」

 

 「ウィーネたん、ハァハァ・・・」

 

 「「なんだこれ・・・?」」

 

 俺とフィンさんは街の光景に唖然となる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「【勇者】、アラン・スミシー」

 

 「シャクティじゃないか。すまないが挨拶抜きにして、取り敢えず説明してくれないか?絶賛混乱中でね」

 

 「実は───」

 

 彼女の説明を要約するとこうだ。

 【異端児(ゼノス)】を全員抑え込んだ【ガネーシャ・ファミリア】は、ボールスを筆頭とした冒険者に感謝されると同時に街の復興の手伝いを頼まれた。

 幸い死者は居なかったが、普通のモンスターより強くて厄介な【異端児】によって負傷者はかなり出た。それでも派閥の指針で無下に出来ないので手伝おうとしたら───

 

 「『ならばテイムしたモンスターを使うのだ!・・・え?魔道具越しで誰か分からないって? ゴホンッ、俺は!ガネーシャだぁぁぁぁ!!』」

 

 モンスターが所持していた水晶から、自分達の主神であるガネーシャの声が聞こえた。周りを見るに幻聴ではなかった。

 突然の指示。これだけでも混乱するのに、

 

 「そういうことなら、俺達に任せろ!」

 

 「「「「「モモモ、モンスターが喋ったぁぁぁぁ!?」」」」」

 

 「なんてことを・・・」

 

 モンスターが喋るなんて事案、極々少数の人間にしか伝わっていない。冒険者達に知られれば、大混乱を巻き起こすことが目に見えているからだ。だから黙っていたのに・・・。

 

 リヴィラの冒険者達は、モンスターに敵意がなくて、自分達より数段強い【ガネーシャ・ファミリア】が監視しているから大丈夫かと、警戒しながら作業を進めた。

 進めた結果、彼らの事情を知り打ち解けた。そこに納得していない者もいたが、稀少なドロップアイテムの提供に野良のモンスターの撃退を約束され、レイを始めとした美女美少女【異端児】の登場で、「たく、しゃあねーな・・・」と引き下がった。受け入れられる要因となったのは後者だろう。男のほとんどは下心ある目で見てるから。

 

 「なるほどね、アラン。君はこれを伝えるためにここに呼んだのかい?」

 

 「ええまあ。でも、俺が伝えたかったのは知性を持っていることだけです。こんなに仲良くなっているとは思わなかった」

 

 「そうか・・・」

 

 もしかして、原作超えた?あ、でもウィーネと【剣姫】の絡みをやっていない。やっべぇ、原作崩壊じゃん。

 

 「アラン」

 

 「え?」

 

 「()()()()()()()()()()()()()?」

 

 フィンさんの言う作戦とは、【人造迷宮(クノッソス)】攻略を指しているのだろう。 

 【異端児】はアステリオス以外も知性があって強い。多くの者が混乱するだろうが、

 

 「可能です」

 

 「そうか」

  

 ギルド創設の神、ウラノスの私兵としての側面を持っている。冒険者が地上から、【異端児】が迷宮から攻めるなら充分可能だ。フェルズもいるし、なんなら俺がこっちに着くし。

 

 「・・・よし、アラン付き合ってもらうよ」

 

 「付き合うって、どこに・・・?」

 

 「そんなの決まってるじゃないか!」

 

 ───【人造迷宮】さ。

 

 ヒェ。

 

 ーーーーーーーーーーーー  

 

 「おめでとうアラン、ランクアップじゃ」

 

 「マジか!」

 

 「【リトル・ルーキー】を支援しながら、逃げ遅れた一般人を守った。それと同時に、ロキとフレイヤの派閥を巧みに操ったのが決め手になったようじゃな」

  

 「指示しただけだぞ?」

 

 「我々からしてみれば充分過ぎる偉業じゃぞ」

 

 そうなのか。

 これは伝えてないが、その後で【人造迷宮】へ行ったことも含まれてるよね。絶対。

 

 アラン・スミシー(16) Lv.3 

 

 力:I0 

 耐久:I0 

 器用:I0

 敏捷:I0

 魔力:I0

 

 “発展アビリティ”

 幸運H

 剣士I

 

 “魔法”

 “我が第三の手をここに”【見えざる手】

 ・拘束魔法

 ・拘束は力、距離は魔力に依存

  

 “スキル”

 【言語理解(コミュニケーション)

 ・会話や文字の自動翻訳

  

 【三択からどうぞ(サード・ワン)

 ・三つの中から一つ獲得

 ・選んだモノの貯蓄と引出し

 ・一週間後に再選択

 ・貯蓄(1.篭手2.レイピア3.【刀剣乱舞】4.バンダナ5.【癒光の羽衣】6.【全力投擲】7.【気配察知】8.槍)

 

 【断捨離還元(リサイクル)

 ・スキルにより入手したモノを捨て自身の能力値に還元する

 ・価値によって変動

 

 これがランクアップした俺のステータスだ。

 Lv.2時点のアビリティ平均はおよそC。その中でも魔力がA、力がギリギリBだった。本来なら見送るべきだが、これからのことを考えたら今からでも強くなるしかない。アビリティの貯金は惜しいけどね。

 【見えざる手】という魔法だが、これはフレイヤから御褒美として貰った【魔導書(グリモア)】で発現したもの。人手が足りないと常々思ってるからね。それで手が増えたらしい。ベルみたいに速攻魔法が良かったなぁなんて考えてる。効果は後程。

 

 「じゃあランクアップもしたし、引っ越ししようか」

 

 お金が貯まりに貯まって、この世界における不動産で良物件を見つけたのですぐに決めた。ちゃんと三人の要望に応えた住居である。

 俺の要望は当然自室。今のホームは、自室が無いからプライバシーも当然ない。だからリビングで女二人に囲まれて寝てるんだけど・・・新居はちゃんと部屋があるから気を遣う必要なんてないからとっても嬉しい。

 俺達は必要な荷物だけ持って旧ホームを後にした。

 

 「・・・なんか、視線を感じるんだけど」

 

 大通りを歩くと、全方位から熱烈な視線を肌で感じる。主に女性が多くかった。真相を知りたいから隣のエリスに聞いたのだが・・・

 

 「ふんっ」

 

 「アランよ、エリスの口から言わすのは少々酷じゃよ」

 

 えー。

 

 後から聞いた話だが、身を粉にして人々を守った俺を英雄視しているらしい。なんか女性中心のファンクラブも創設されたとか。神々の戯れと、外見の良さがそれを後押ししているのだとか。

 俺は頬を引きつらせた。・・・正直、嬉しい気持ちもある。

 

 「・・・アランのバカ」

 

 聞こえるように小声で呟いた。心が痛い。

 そんな俺達を、ラクシュミーが愛おしそうに見つめていた。

 




【フレイヤ・ファミリア】は全て終わるのを見届けた後、何も言わず立ち去った。
アランとフィンは、二人で【人造迷宮】の探索をした。道中で赤髪の怪人が現れたが、地上から攻めてきたリヴェリア筆頭のエルフ集団により撃退した。新種のプラントを幾つか燃やした。
 
 次回、派閥同盟結成と遠征。

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