三つの選択肢   作:新人作家

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久しぶりの投稿です。抜歯した親知らずが痛い・・・。


知識が尽きた

 

 俺達は今、一つの方向に目が釘付けになっている。

 視線の先は、机の上に置いてあるギルドから渡させれた羊皮紙に行っている。その内容を簡単に要約すると、

 

 『【ヘスティア・ファミリア】と共に、下層に向かえ。尚、これは遠征であり、拒否権は無いものとする』

 

 内容を見るにただの冒険者依頼ではなく、ギルドから課せられる強制任務(ミッション)。普通は遠征は等級がD以上の探索系に求められるのだが・・・。

 

 「私達って等級いくつ?」

 

 「えっと、等級は確かI~Sに分けられるから・・・」

 

 こういうのってレベルの平均で表されるんだっけ?俺とエリスはLv.3だから、3+3=6、6÷2=3。つまり、

 

 G・・・なのか?

 

 あれ?でも、【ヘスティア・ファミリア】は、Lv.4が一人。Lv.2が二人にLv.1が二人。4+2+2+1+1=10。10÷2=5。あれれ?

 

 「Gであっとるぞ。ちなみに【ヘスティア・ファミリア】の等級はCじゃ。計算式は4+2+1。レベルで分けて計算するのじゃよ」

 

 なるほど、4÷1+(2+2)÷2+(1+1)÷2=7 か。

 

 「でもなんで私達も遠征に?」

 

 エリスが最もらしい質問をする。冒険者依頼として発令されるのは分かる。しかし、強制任務として出される理由が分からない。創設神ウラノスか、高確率でヘルメス辺りの思惑が働いているとみて間違いないだろう。

 

 「まあ、準備を進めるか・・・」

 

 理由を突き止めても何も変えられないから、考えても仕方ない。【ヘスティア・ファミリア】と下層に向かう準備を進めよう。

 

 あ、虎の子の強臭袋(モルブル)を用意せねば。

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「あ、遠征に【ヘスティア・ファミリア】が関わってるってことは、原作ってことじゃんか」

 

 俺の知識は【異端児(ゼノス)】編で終わっている。主人公ベル・クラネルが居るのなら、絶対に何かある。最悪命を失うような危機的状況が。

 

 「・・・ま、まあ、どうせ階層主が出現時期より早く産まれるだけだろ。ベルのスキルがあれば何とかなるよな!最悪、俺の【全力投擲】もあるから大丈夫だよな!」

 

 あのチャージは強化ゴライアスを吹き飛ばした。俺の【全力投擲】も通常種のゴライアスを穿った。エリスも居るし、ヴェルフの魔剣もある。下層の階層主が現れても大丈夫だろ!

 

 「勝ったな」

 

 俺は勝利を確信して眠った。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 遠征には【ヘスティア・ファミリア】だけでなく、【ミアハ・ファミリア】と【タケミカヅチ・ファミリア】の面々が参加していた。ヘスティア様が同盟を組もうと呼び掛けたらしい。また、【ヘルメス・ファミリア】に改宗した春姫の姉貴分のアイシャも同行するとのこと。彼女は下層探索の経験者だけでなくベルと同じLv.4。心強いと同時に、これだけ集まれば過剰戦力だと思う。

 

 「お告げが・・・どうしよう

 「?」

 

 カサンドラの顔が青ざめている。どうしたんだろ。

 

 「行きましょう、遠征へ!」

 

 ベルの音頭で俺達はダンジョンに足を踏み入れた。

 下層は中層よりモンスターの出現頻度が増えたが、アイシャの知恵もあって難なく遠征は進められた。その矢先でのことだった。

 主人公が居るのに都合よく進められるはずがなく。俺達を待ち受けていたのは、強化種のモスヒュージだった。通常種とは違い苔を纒い更には知性があり、奴が飛ばしてきた種子に千草がやられ、そのモンスターがベルと一緒に河川に流され分断された。

 

 「【癒光の羽衣】」

 

 「な、治った・・・」

 

 「マジでか・・・」

 

 厄介にも種子は植え付けられた人の体力を吸って成長し、カサンドラの回復魔法が効かなかった。治療には【戦場の聖女】じゃないと不可能だって結論が出たのだが、俺の回復魔法で何とか治療できた。

 皆が皆驚いていたが、正直ランクアップしてなかったら治せなかったと思う。精神力(マインド)が半分ほどごっそり持っていかれたから。

 道中で同じくモスヒュージにやられたドワーフのドルムル、エルフのルヴィスと遭遇。遠征途中で襲われたらしく、種子が植え付けられていた。

 

 「【癒光の羽衣】」

 

 「「な、治った、だと・・・!?」」

 

 彼らは同じ反応を示す。追加で彼らの仲間を治療して勝負を仕掛けた。リリルカの指示で俺は待機。俺はこのパーティの生命線だってさ。精神力回復薬をがぶ飲みして後方に控えている。

 モスヒュージが集めた蟹型のモンスターに囲まれたが、アイシャのステータス、エリスの加速、ヴェルフの魔剣、春姫の魔法。そして・・・。

 

 「【聖火の英斬(アルゴ・ウェスタ)】!!」

 

 「グギャアアアアッ!!」

 

 河川に流され下に落ちたベルが合流して、モンスターは無事倒された。皆は(特にリリルカ)ベルが来た時に喜びを見せた。これが主人公か。絶望が一瞬で希望に変わった。

 

 「この後どうする?」

 

 「撤退です。余裕はありますが、遠征を進めるのは危険です」

 

 「同感だね。中層ならともかく、ここは下層だ。同じようなイレギュラーに遭っちまったら、たまったもんじゃないよ」

 

 こうして俺達の遠征は終了した。帰り道も特に何も起こらず十八階層へ辿り着いた。

 おろ?なんかアッサリ終了したね。俺とエリスが居たからか?

 この後何か起こるとか?でも下層から帰ってまた下層だなんて無茶はしないよな・・・?

 

 「ん~?あれ~?」

 

 「? どうしたの?」

 

 「いやぁ、何でもない・・・」

 

 まあいいや、今日はもう寝るか。なんかエリスが隣で寝てるけど気にしない気にしない。

 明日にはホームに帰れるし、スキルの選択日だったよな。地上の光が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「ひ、ひひひ、覚悟しろよ()()()・・・」

 

 薄暗い地下で笑みを浮かべる者が居た。人波乱起きることをアランはまだ知らない。

 




等級の決め方は作者の解釈です。だって調べても出てこなかったし。

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