「ちょっと待って!
「これで何回目!?少しは手加減してよっ!」
「ひぃぃ、スパルタ過ぎませんかね!?」
下層にて。
俺達は現在、フィルヴィス指導のもと地獄の特訓を行っていた。下層には前の遠征で痛い目にあったから、あの滝の音には心底嫌悪感を抱いた。
そんな中で行われる特訓は苛烈を極めた。内容は至って単純で、襲い掛かってくるモンスターを倒していくだけだ。技とかを教えるとか、そうゆーんじゃなくて、ただただモンスターとぶつかっていくスタイル。
何度も繰り返してくるフィルヴィスの【
食事はリヴェリアさんとフィルヴィス、十八階層に待機していた【
戦闘時の立ち回りはこうだ。
俺は回復魔法を活用しながらレイピアで切り裂く。【
エリスは速度を活かした遊撃。速度を上げる魔法は
レフィーヤは自分の
「お前達はこの先、あらゆる危機を乗り越えなければならない。だから学べ。そして必要な経験を積みながらステータスを上げていけ」
フィルヴィスの言いたいことは分かる。
まあ、エリスのがレベルが高くて強いけど。
「後ろには私が控えているのだ。死ぬ前には助けてやる」
顧問として同行してきたのはリヴェリアさん。・・・いやあのね?安心しろみたいに言うけどさ。つまり死ぬ直前まで助けてくれないってことですやん。今助けてくださいっす。お願いします。
・・・そんな願いは届かず、
「ほれ追加だ」
「「「うわぁああああ!?」」」
オラリオに労基ってあったっけ?無いのなら、今からでも入れる保険を紹介してください。
ーーーーーーーーーーー
「死ぬかと思った・・・」
「もうくたくただよぉ・・・」
「うう、しばらくダンジョンに行きたくないです・・・」
一週間以上に及ぶ【
最後の【
地上から俺達が運ぶのは、彼女をあまり人目につかせたくないからである。フィルヴィスの事情を知る者は確かに居るが、それは限りなく少ない。
【
余談だが溢れて運べなくなった魔石は、彼女が美味しくいただいた。おま、さりげなく強くなってんじゃねッ!
一週間経過したからアレがある。
三択から選んだのは、【
体力や
まあしかし、あの自然回復を速めるのが【精癒】なら、【
モンスターに使ったら、突撃の勢いが無くなってへにゃへにゃになった。
馬鹿みたいに
「私はアランの中に戻る。用があれば召喚しろ。またな、レフィーヤ。失礼します、リヴェリア様」
「またご指導よろしくお願いします!」
「ああ。レフィーヤを見てくれて感謝する」
「ああ、お疲れ様───て重たぁっ!?」
「アラン大丈夫!?」
バッグを俺に手渡したのと、フィルヴィスが消えるほぼほぼ同時だった。どんだけ入ってるんだよ、腕が持ってかれそうになったぞ・・・。
地上に通じる螺旋状の長い階段を、一歩一歩ゆっくり上がっていく。なんでこんな長いんだよ、エレベーターを設置しろよツライしキツイから。
そんなことを切実に思いつつ、あることに気づいた。
「? なんか騒がしくないか?」
「あ、本当だ。───えと、炎?魅了?それに・・・
エリスは獣人特有の聴力で、聞き取れたことを反芻する。フレイヤと聞いて、嫌な予感しかしない。
「フレイヤ・・・て、ええ!?あの女神フレイヤですか!?」
「民衆が騒いでいるということは、派閥総出で何かを仕出かしたのか?何にせよ急ぐぞ。私達のファミリアも、無関係ではなさそうだからな」
俺達はリヴェリアさんと共に走り出す。
フレイヤは何をやらかした?まさか、ベルを手に入れるためにオラリオ中に魅了をしたとか?いやでも、いくらフレイヤでもそんな無茶苦茶なことができるはずが───
「アラン、エリス!それにお主らも帰ってきたか!留守の間に色々あったんじゃぞ!まったく、あの
「久しぶりだなラクシュミー!早速なんだけど、どういう状況なんだ?」
バベル前で待っていたラクシュミーに、再会を喜ぶより今の状況を問い詰めた。地上の情報が全く届かない下層に居たのだ。俺達四人には、聞きたいことがたくさんあった。
ラクシュミー曰く、フレイヤが街中で【ヘスティア・ファミリア】を襲撃し、ベル・クラネルを強奪したとのこと。しかし、公式の【
「なるほど。それを良しとする方法が───」
「
「えげつねぇ」
「魅了された人達はどうなってるんですか?」
「ヘスティアの権能で解放されて、ほとんどの冒険者はフレイヤの
俺達が居ない間に目まぐるしく変化してんな、おい。でもまー、これで【フレイヤ・ファミリア】の天下はこれで見納めか。フレイヤの反感を買ってオッタル達にメッされなくて済む。良かった良かった。
リヴェリアさんとレフィーヤは、フレイヤの
「あ、ラクシュミーも魅了されたのか?」
「うむ。しかも、魅了された時にフレイヤの奴が私のもとへ訪ねて来おってな?あの糞女がなんて言ったと思う?」
『アラン・スミシーはどこ?』
「アランを警戒しとったわ!隠しきれておらんあやつの必死さは傑作じゃたわ!」
アッハハハ!と豪快に笑った。してやられたことに腹を立ててつつ、フレイヤを馬鹿にする。我が主神ながら、すげぇ器用な女神だ。
・・・わざわざ俺を探してたの?警戒する価値は無いと思うけどなぁ。
「まさに盛者必衰。ゼウスヘラ同様に、フレイヤも例外ではなかったか・・・」
笑い疲れて落ち着いたラクシュミーは、騒ぎの中心を見ながら呟いた。
【フレイヤ・ファミリア】がいかに強大な存在といえど、オラリオのほとんどを敵に回したのだ。積み上げてきた権威は当然失墜し、彼ら彼女らの居場所はもはや無くなったと言える。
俺達は崩壊していく派閥の最後を見ないまま、久方ぶりのの
その翌日に流れたニュースに驚くことになる。
『【ヘスティア・ファミリア】VS【フレイヤ・ファミリア】による【戦争遊戯】が決定!開催日時や勝負内容はおいおい決定する模様』
・・・マジっすか?
18巻に突入します!
題名の元ネタはビリーズブートキャンプ。