三つの選択肢   作:新人作家

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難しかった。


戦争遊戯① 脅威と厄介の違い!それは・・・なんだろ?

 

 【オルザの都市遺跡】

 

 オラリオ北西のベオル山地内にある大きな島に築かれた古代都市。神々が降臨する前、前回の【戦争遊戯(ウォー・ゲーム)】で使われたあの古城同様に、【大穴】──後のダンジョン進攻にも使われた都市遺跡。

 そして、広大な面積から【派閥大戦】と化したこの戦争の舞台に選ばれた。

 

 その日、迷宮都市オラリオは閑散としていた。

 世界の中心に相応しいいつもの喧騒も鳴りを潜め、冒険者は探索活動を自粛する。商いで生計を立てる商人すら、品物の販売を止めていた。

 そんな中、店を開けているのは酒場と飲食店。特に酒場は、昼にもなっていない時間なのに客で賑わって繁盛している。

 客層の多くは冒険者。この日の人気商品は(エール)。肴にするのは【神の鏡】が映し出す光景。神々が封印している力を解放し映し出される戦争の舞台【オルザの都市遺跡】。

 酒場以外でも各地に映し出されるそれを、冒険者、商人、一般人、ギルド職員、神々。多くの人々が、多くの感情を抱きながら固唾を飲んで見守っていた。

 

 ギルド前、前回同様【ガネーシャ・ファミリア】の主神ガネーシャとその眷属(イブリ・アチャー)が、実況解説とともに始まりの合図を任されていた。

 開始の刻限になる。それが意味することとは、

 

 ───その大任が今、果たされるということ。

 

 『それではァ【戦争遊戯】、開始ィィィィィィッッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 始まりの鐘の音と共に、【ヘスティア・ファミリア】所属リリルカ・アーデ指揮のもと連合軍はバラバラに、かつ慎重に動き出す。

 連合をバラけさせたのは【フレイヤ・ファミリア】の数、配置、そして女神フレイヤの潜伏場所を絞り出し、それにどんな犠牲を払おうとも、勝つためには多くの情報を掻き集める必要があった。

 リリルカは五感が鋭敏な獣人や索敵に秀でた者を中心に動かす。しかし、見つからないという報告は魔道具を通して伝わるが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 

 隠れるのが上手いのか、あるいは誘われているのか、向こうの指揮官である【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】ヘディン・セルランドの考えが全く分からない。それに焦りと恐怖を感じつつ、緊張感が張り詰める中索敵を続行される。

 そして、

 

 『み、見つけた!【フレイヤ・ファミリア】を見つけたぞ!!』

 

 「・・・!!ば、場所は!?場所はどこですか!?」

 

 索敵をしていた一人が、彼らの居場所を特定したという吉報が届く。が、それに困惑することになる。

 

 『西()()西()()()西()()!女神フレイヤ、【猛者】、【女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)】、【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】、【黒妖の魔剣(ダインスレイヴ)】、【炎金の四戦士(ブリンガル)】、そして全員!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「!?」

 

 (ヘディン)が選ぶ作戦は圧倒的強者だからこそできる不動の構えだった。それはまさに王者にして絶対の覇者であるかを彷彿とさせ、オラリオに君臨する大派閥の一角に相応しい形で、挑戦者を迎え撃つようにその場に佇んでいた。

 これには出鼻を大きく挫かれるリリルカだったが、即座に部隊を再編し直し、三つのエリアに配置させる。

 

 「()()()()()()()()()()!それぞれの部隊は前進してくださいッ!!」

 

 守りを捨て攻め尽くす用意をした【フレイヤ・ファミリア】、彼らは動き出す。

 

 「───やれ」

 

 「「「「「うおおおおおおお!!」」」」」

 

 ヘディンが静かに出した指示が合図となり、都市遺跡を揺るがす程の雄叫びを上げながら突撃してくる【強靭な勇士(エインへリヤル)】に、思わず後退り怯む連合軍。

 しかし、リリルカと戦場に立つリーダー格が作戦を遂行させるように発破を掛ける。

 作戦というのは魔剣をぶつけるという単純なもので、使われる魔剣は大手武具販売店である【ヘファイストス・ファミリア】が鍛えた逸品、そして魔法(オリジナル)をも超える魔剣を造り上げたクロッゾのもある。

 

 『洗礼』によって一人一人の質が高くなっている戦士であっても、その多くが魔剣から放たれる魔力の数々に呑まれる。しかし、腕が炭化しようとも足が千切れても歩みを止めることはない。

 彼らの姿に恐怖する連合の唯一の救いは、傷を負って弱体化していることだろう。

  

 その希望は直ぐ様絶えることになるが。

 

 「───【ゼオ・グルヴェイグ】」

 

 怪我人が絶えない『洗礼』を一人で支える経験を持つ【女神の黄金】ヘイズ・ベルベット主導で行われる、【満たす煤者達(アンドフリームニル)】達による回復魔法。彼女達の支援はどんなに重傷であっても瞬時に治療でき、魔剣攻撃とて例外ではない。崩れ掛けた戦線を立て直し、不死身の如く復活させる。

 回復した【強靭な勇士】がすかさず襲い掛かり、畳み掛けるように幹部陣までもが戦場に現れる。

 派閥連合を崩壊寸前まで追い詰めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 Q.【フレイヤ・ファミリア】の中で、一番厄介な奴は誰か?

 A.オッタル。

 

 いやそれは(オッタル)無しで。

 オッタル除いて挙げられるのは高速のアレンか、砲撃のヘディンか、剣技のヘグニか、連携のガリバー四兄弟か、それとも数の暴力【強靭な勇士】達か。

 武力として見れば以前の俺なら副団長であるアレン・フローメルを推していたが、答えはNOに変わった。

 殺し合いが常の『洗礼』によって高められた戦闘員の彼らは脅威に分類されるだけであって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 『では、君が思う厄介な存在とは?』

 

 『俺が厄介だと思ってるのは──』

 

 『・・・!流石だね』

 

 確定情報、不確かな噂、他者からの情報、それらから導きだした答えをフィンさんに伝える。

 

 『リリの指揮から外れる・・・独断で動きたいってことですか?』

 

 『うん。でも途中までかな。そんでもってエリスも借りたいんだけど・・・』

 

 『了解しました、任せます』

 

 『まさかの即決。助かるよ』

 

 指揮官を務めるリリルカにはこちらの作戦を伝える(伝えてない)。

 ぶっちゃけどうなるか分からないが、これが成功すれば戦況を有利に進められるかもしれない。やらない理由はない。

 

 

 

 

 

 

 時は魔剣攻撃を受けて多くの団員が倒れている現在。

 ヘイズ達に指示しても間に合わない。自分の魔法を使ってもいいが周囲の人間が邪魔で使えない。

 後方に立つヘディンは戦場に立つ一人の男に視線を向け舌打ちをするが、口元が僅かに綻んでいる。気づく者は誰もいないが。

 

 (【勇者】やリリルカ・アーデは我々の知り得る情報を全て教えただけで、知恵を授けたわけではない。となると──)

 

 「・・・ふん、やってくれたな」

 

 前半戦はアラン・スミシーの独り勝ちだと、心内で称賛した。

 

 (俺のスキルは触れることが条件。それなら──)

 

 魔剣攻撃によって倒れる【強靭な勇士】を復活させる癒しの唄が聞こえる。足元には──

 

 俺が今()()()のは一つだけだ!

 

 「()()()()()()()()()()()()()()()!!──【吸収】ッッ!!

 

 足元に展開される魔法陣に触れた俺は、【吸収(ドレイン)】を発動し魔力を吸い上げる。思った通り、彼らに流れるはずだった回復魔法の魔力は全部俺に来た。

 手に入れた大量の魔力は精神力(マインド)に変換される。それらは全部アイツに譲渡する!

 

 「【癒光の羽衣】!!──()()()()!!」

 

 「おう!──煌月ィィィィィィ!!

 

 世界で初めて折れない魔剣を造り上げたヴェルフ・クロッゾによって、ボロボロになりながらも歩みを止めない【強靭な勇士】は完全に地に伏すことになるのだった。

 




魔剣で壊滅的被害を出して攻撃だ!(リリルカ案)
壊滅的被害?ウチのヘイズ達が癒して反撃するが?(ヘディン案)
魔法だろうと何だろうと、触れれば勝ちですがなにか?(アラン案)
 リリ&ヘディン「「!?」」

吸収した魔力は軒並み精神力に→精神力を消費して発動する折れない魔剣を持ってるアイツ。魔法を通してヴェルフに精神力譲渡。ヴェルフ、固定砲台と化す。

フレイヤ魅了中、ラクシュミーからあらかた情報を抜き取っているが(選択肢のことも当然知った)、当たり外れあれど一週間過ぎれば新たに生えてくるので対策が難しい。【吸収】は知らなかった。
 ただし・・・

 
 ヘディン「アラン・スミシー。フィルヴィス・シャリアはどこで出す?」
 
 フィルヴィスのことはバレた。
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