原作も外伝も進んでいないから、遠征辺りで更新が止まってたり、自分の判断で進める人もいた。そんな色んな作品が溢れてて観ててワクワクしてたあの頃が恋しい。
───ッッ!!!!
連続して起こる空気を破裂させる音。
それは銀槍から放たれる無数の突きによるもので、【
アレンは脚が速い。速さでいうと【ロキ・ファミリア】最速のベート・ローガを抜き、都市最強で自身よりレベルが一つ高い【猛者】オッタルすら超える。それゆえに都市最速だとオラリオの誰もが彼を認めている。
当然のように、攻撃速度も尋常じゃないくらい速い。同格であったとしても捌ききるのは結構な難易度を要する。
「・・・うざってぇ!!」
が、彼の
心臓に迫る高速の槍、それが届く前に穂先に剣先を乗せる。体重を掛けて重たくしなくていい。ただ、添えるだけ。
「・・・チッ!」
穂先がズレて別の位置へと反れる。腕に掠った。
(
この神業染みた芸当を可能にするのは、大きく分けて二つ。
一つ目はフィン・ディムナ。
当初は【女神の戦車】と戦う想定はしていなかったが、リリルカと打ち合わせの間で空いた時間があると言うものだから彼に鍛えてもらったのだ。
二つ目は俺のスキル【刀剣乱舞】。
簡単に説明すると素人の俺でも達人レベルの剣術を振るえるレアスキル。
対格上、対槍使いを想定した訓練に破格の剣術スキル。掠り傷は貰えど、致命傷には至っていない。だから捌けている!
「──彼は負けるだろうね」
アレン・フローメルの攻撃をよく凌ぎよく捌く。本拠地【黄昏の館】で観戦していたフィンは、アラン・スミシーが映し出される鏡を見て呟いた。
「でもでもフィンが鍛えたんでしょ?喰らいついてるからもしかしたら──」
「馬鹿ティオナ、短時間鍛えただけで勝てる相手じゃないでしょ。・・・確かに凄いけど」
リリルカ・アーデへの打ち合わせの僅かな時間、そんな短時間の鍛練であれほど動けるのは無理だ。技術だろうがスキルだろうが、間違いなく才能が後押ししている。
対するアレンは【フレイヤ・ファミリア】の副団長。女神至上主義を掲げ、女神の寵愛を受けるために団員同士で傷つけ殺し合い、Lv.6となって組織のNo.2にまで至った実力者。
どちらが優れた冒険者か。
「アランが唯一勝っているのは才能だ。愚直なまでに努力して偉業を重ねるベル・クラネルとはまた違う、冒険者としての才能」
「『環境に適応する能力』」
戦いとは無縁な生活を送っていたはずのアランは一文無しの状況でオラリオ入りし、その日に神を見つけ冒険者となって適応した。
「『土壇場で取れる大胆さ』」
強敵や不利的状況、それによる恐怖が憑き纏う中でも突飛的かつ大胆な行動で乗り越えてみせる。
「『形勢逆転を成し遂げるほどの引きの強さ』」
事実、スキルで獲た
「適応能力、大胆さ、引きの強さ。大きく分けてこの三つ。冒険を通じて開花させたのか、それとも元々備わっていたのか。・・・僕には分からないけどね」
フィンはアランの出自や血筋を知らない。冒険と噂や伝聞としてしか彼を知らない。
冒険者として大成することを約束された英雄候補。
「・・・ん?」
ティオナは疑問に思う。
「結局フィンはどうして負けると思ったの?」
「レベルと経験」
「なるほど」
「──ッッ!!」
「どうしたァ!傷増えてんぞ!!」
頬、肩、胸、腕、腹、脚。
神速の如き第一級冒険者の猛攻を掠り傷として抑えていたが、
(やっべぇ、深くなってる!?)
傷が徐々に増え、段々と深くなっていく。タイミングが合わなくなって──コイツ緩急つけてるのか!あ、寸止めっ、やめっ、ぐあああ!
回復魔法で治してはいるが、このままだとジリ貧だ。吸い取った
・・・こうなったら攻撃──
「できねぇよなぁ!!」
「うぐぅぅぅ!?」
強っっっっっよ!!?痛っっっっった!!?春姫の魔法でレベル差一つにしてこれかよ!
・・・慢心していたんだろうなぁ。今までの冒険で敗北らしい敗北をしてこなかったし、作戦もなんだかんだで上手くいってたしなぁ。
これは無理だ。
「終わりだ」
突き出される槍を剣で弾こうとするがそのまま左肩を貫かれる。激痛が走る中、俺はわざと前に走り貫通させ槍を固定させる。これで槍は使えなくなった。
アレン・フローメルは槍を手放し、そのまま俺の間合いの内側に入り込み、連続で殴打を喰らわせる。
「───、あがぁ!?」
意識が落ちようとするが、貫通した槍を強引に抜かれた痛みで目が覚める。
「死ね」
わざと貫通させなければすぐ気を失えたのに、トドメの一撃を受け止める羽目になった。
俺の目に映ったのは、槍でぶん殴ろうとする【女神の戦車】アレン・フローメル。どうせならしかめっ面猫男よりも美女にやられたかった。
──俺の敗北が決定する瞬間、世界が停止する。
(・・・
スキル【三択からどうぞ】。名前も内容もぶっ飛んだふざけたぶっ壊れスキルであり、これまで起きた不運をはね除け、様々な好機を手繰り寄せてくれた恩人(恩スキル?)。
ランダムに抽出されるモノを三択から選択でき、一週間のインターバルを要する。前選んだモノが丁度一週間前の出来事。
つまり、今日が選択日。
目の前に選べるモノが浮かび上がる。
一つ目、スキル【腕力強化】
魅力的だが形勢逆転を狙えない。保留。
二つ目、レヴィナス・ダルダ
誰だお前。却下。
三つ目、スキル【恩恵共有】
これだぁぁぁぁ!!
「死ね」
世界が再び動き出し、アレン・フローメルが槍でぶん殴ろうとしてくる。それはトドメの一撃と言えるもので、今の俺は体勢を崩しているから避けることができない。
「フゥー、身構えて損したな」
「──ッ!?」
頭で受け止めたはずなのに平然としている俺に、アレンは目を見開いて驚く。だけじゃない、
「っ、テンメェェェェェ!!」
が、いくつもの修羅場を潜り抜けた冒険者だけあって早急に意識を切り替えたアレンは、二撃、三撃、四撃、五撃・・・続け様に乱撃を喰らわせる。
先程の攻防よりも苛烈。でも今なら分かる。
「全く、嫌になるよなぁ・・・」
一切の手加減を捨てた猛攻を、溜め息吐きながら手刀で払い落とす。剣を使わず、ハエを払うようにビシバシと。
攻撃が通らないと判断したアレンは、非常に癪だが、一旦距離を取る。
「・・・どういう仕掛けだ?何をしやがった!?」
「何って・・・愛だよ、きっと。お前も愛って言葉は好きだよな?だってお前、
「────」
作戦も推察も全て忘れて駆ける。不殺の命令も知らない。今はただ、女神を貶したコイツを轢き殺す!
「【一掃せよ、破邪の聖杖】」
「死ねぇぇぇぇ、アラン・スミシィィィィィィィィイ!!」
後三歩踏み込めば、穂先が胸を貫き心臓に届く。予想だが、一撃に全神経を注げば攻撃が通る。ならば貫通させる。そして抉るように抜き取れば、人より頑丈な冒険者といえど即死は免れない。
──槍が届k
「───あ」
アラン・スミシーは即死攻撃を受ける程お人好しじゃないしマゾでもない。だからヒラリと躱すし、黒雷の閃光を宿す右手を腹に撃ち込むのだ。
「──【
「ぐぅあああああああああああ!!!」
雷光が弾け、アレンは壁を突き破りながら吹き飛んだ。
残された
「・・・もう無理」
気絶した。
『彼は負けるだろうね』
「フィン」
「うん」
「勝ったね」
「あ~・・・、うん」
勝っちまったよ。
【恩恵共有】
同じ神から授かった【恩恵】を持つ眷属のステータスを共有できる。今回共有したのはフィルヴィス。どういうわけか怪人の能力まで共有した。負担が大きい。要検証。
レヴィナス・ダルダ
魂が一つになっている状態で現れる。なのでこの人選んでいたらアランに勝てたし、次回の遠征は絶対成功する。
アランが勝てた理由。
描写されなかった発展アビリティの【幸運】。影が薄い。