暇なのでジャンプ+読んで思いついたので書きました、よかったら見てください。

本編で出そうに無いキャラのつもり、出たらすまん。

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原作は一気読みした所なので、設定変なとこあったらすいません。



君の事が大大大大大嫌いな1人の彼女

 俺には嫌いな男が一人いる。

 まあ、誰しも嫌いな奴の1人や2人はいるだろうけど……

 

 とにかく俺には絶対に好きになれない野郎が1人いるんだ。

 

「恋太郎君、はいあ〜ん」

「あ〜ん……べ、別に私がしたい訳じゃないからね!」

『“あ〜ん”『をする』』

「お〜、楽しそうなのだ! 私もするのだ〜」

「ふふふ、昔を思い出しちゃうわ〜。ふーふーはいる?」

「こちらをどうぞ恋太郎様」

「わ、私の分も……」

「チッ……しょうがねぇからやるよ」

「オー、イッツフリーダムでーす! アイアムのアメリカンなイートもドーゾデース!」

「私のも食べる」

「あ〜ん……これが今の若者の文化なのかのぉ」

「よし、これが一番かーいーからあげるね〜」

「ヒ、ヒヒッ……バイオレンすわ〜」

「これが愛情弁当……という事なんだろうね」

「う゛〜、行儀悪い」

「姉様のは私が食べます! お前にはこれで十分です!」

「あははは、いいじゃんいいじゃん……そうだ恋太郎、酒飲むか?」

「う、羨ましい……あ、違うぞ! ほら恋太郎これも食え!」

「おでの野菜で良ければいくらでも食べるど」

「お〜、ではこちらの蒸しパンもどうぞです」

「なるほど、料理を一気に口に入れる事でこれほどの鍛錬を……想像してだけでもキッツ!!」

「多い!? いや、いただきます! うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 その相手は今、22人の美少女(一部を除く)に『あ〜ん』をしてもらっているとか言う、聞いているだけで殺したくなってしまう羨まけしからん状態になっていた。

 

 何がどうなったらそんな漫画みたいな事になるの? 俺がなりたいわ!!

 

 俺だって顔立ちは平均以上にいいと思うし、ファッションの勉強もしている。毎日身体を鍛えて整え、トークの練習をしていかなる会話にも適応できるようにして、奢るためにバイトでお金だって稼いでいる。

 ここまでやって彼女ゼロ。もはや呪われていると言っても過言ではないくらいにモテないのだ。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁ、う゛ら゛や゛ま゛し゛い゛!!」

 

 あまりの嫉妬に顔が梅干みたいになっている。オマケに何が嫌だって、俺がボッチ飯してる屋上に後から来てあんな光景を見せつけられてるって事だよ!

 

 お前が移動すればいいじゃんって? その攻撃は効くからやめてくれメンス。

 仕方ないだろう、教室で食べてても誰も俺と一緒に会話してくれないんだから……あれ、なんだろう、急に雨が降ってきたな。この雨しょっぱいや……

 

 だいたいこの場所は俺が先に陣取っていたんだ、なぜ後輩ごときに譲らねばならん! 嫌だね、意地でも動かんぞ!

 

 というか、結構ガン見してるのに未だに気が付かれた事がないのはなんなの。ひょっとして、俺の影薄すぎっ!?

 確かに、教室にいるのに欠席扱いにされたこともあるし。クラスメイトに話しかけても無視されるのがテンプレ。親ですら俺の存在に気がつかない事があるけど……

 え、コレって皆のアルアルじゃないのか?

 

 俺が気が付いてはいけない事実に気が付きそうになっているその時、聞きたくなかった声が聞こえてくる。

 

「仕方ないですから食べさせてあげますわ。そう、この美しいわたくしが!」

「……美々美」

 

 美杉美々美、すごい名前をしているクラスメートだ。俺が初めて恋した女性であり、失恋した相手。

 始まりは入学してすぐのこと、いつもの様に誰にも気がつかれなかった俺は教室の隅で1人過ごしていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「へへ、俺の高校デビュー失敗だ。どうせここでも俺はボッチなんだ……」

 

 最初の自己紹介で張り切って喋っていたのに、気が付いたらHRが終わっていた。1ヶ月前から練習していた爆笑必須のスペシャルトークだったのに……

 

 頬から水が流れる。

 涙? 違うよ、コレは心の汗さ。

 

「あら、あなた。何を泣いておられるんですの?」

「泣いてなんかない、コレはただの……ん?」

 

 聞こえるはずのない言葉に驚いて一瞬固まってしまう。すぐさま声の方向に視線を向ける。

 

「う、美しい……」

 

 そこには女神が居た。

 

 太陽よりも輝かしい髪。子猫よりも可愛らしい瞳。ビスクドールより美しい肌。

 人類の至宝とも言える少女が目の前に立っていたのだ。

 

「!! そうでしょうとも、わたくしは美しいのですわ!!」

 

 むふー、と誇らしげにドヤる姿も美しい。なんなら可愛いと合わさって、地球上のどんな兵器より破壊力があるかも知れないくらいだ。

 

「……って、ちょっと待って!? 俺に話しかけてる?」

「? ええ、貴方にですわ」

 

 人と顔を合わせて話すのはいつ振りだろうか。少なくとも中学一杯はなかったはず。

 嬉しさもあるが、それより先に困惑が襲ってくる。どうして、何を話せば、顔綺麗、近い、いい匂い、今日寝癖ついてなかったっけ、匂い大丈夫かな。

 

「もしもし、聞いておりますの?」

「ひひゃぁい!?」

 

 変な声が出てしまった。クソ恥ずかしい!!

 

「ふむ」

「あびゃびゃびゃ!?」

 

 少女はガシリと両手で俺の頬を押さえるとジィと目を覗き込んでくる。

 その大きな瞳に吸い込まれそうになりながらも、俺はなんとか声を絞り出す。

 

「なななな、にゃんでしゃう」

 

 噛み過ぎだ、死にてぇ……

 

「美しい瞳ですわね!」

「へぁ?」

「よく見たら肌艶も男の方にしてはキチンとしてらっしゃるのね。普段はどのメーカーの製品をお使いで?」

「え、えぇ? あ、ロスプレのやつを……」

「男性用のスキンケア商品も捨てたものではないのですわね。良ければおすすめを聞かせていただいても!」

「は、はいぃ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 あの時の事は今でも鮮明に思い出せる。

 ろくに会話もできていない、とても恥ずかしい記憶だが。それよりもはるかに嬉しい記憶だからだ。

 

 あの日から彼女とはちょこちょこ会話をしていた。

 友達と言うほどでもないが、知り合いというほど遠くもないそんな関係。

 

 結局のところ、俺が失恋したのはそんな関係を壊す事を恐れて何もしなかった結果だ。

 いま、彼女は俺以外の前でその輝くような笑顔を見せている。

 

 悲しくはある、悔しくはある。その顔はできれば俺の前で見せて欲しかったから。

 でも、彼女が幸せならそれでいい。俺に太陽は眩しすぎたから。

 

「……だが、それはそれとして」

 

 あの男がゆ゛る゛せ゛ん゛! 何股かけとんじゃゴラァ!!

 いくら幸せそうって言ったて可笑しいもんは可笑しいだろうがぁ!?

 

 マジで許せん。100回生まれ変わっても許せんぞ!!

 

「ちくしょうめぇぇぇぇぇぇ!!」

「ッ殺気!?」

「ひょわぉう!?」

 

 いま何か頬を掠めていった。手を当てるとタラリと血が垂れているのがわかった。

 え、なに。あのメイドさんは暗殺者か何かなの?

 

「どうかしたんですかメイさん?」

「……いえ、気のせいだったようです。お騒がせいたしました」

 

 そう会話した後に、先ほどまでと同じようなやりとりを再開する面々。

 対して俺は、死にかけた恐怖と助かった安堵で失禁しかけていた。

 

(狙う時は1人のときにしよう)

 

 俺はそう固くケツイした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日にち変わってある日の放課後。

 

「こ、コレは!?」

「恋太郎? どうかしたの?」

「あ、なんでもないよ」

 

 俺はそんなやり取りを下駄箱の影で覗き見てニヤリとした。

 

 かかったな恋太郎! お前が受け取ったそれは俺の書いた偽ラブレターさ!

 

 アレには放課後に一人で屋上に来るよう書いてある。

 22股もしている奴だ、間違いなくこの手に乗ってくる!!

 ……いや、冷静に22股ってなんだよ。馬鹿の考える数字なんよ。

 

「ふっ、まあいい。屋上に来た時が貴様の最後だと思え!!」

 

 

 

 

 そして放課後。

 

 

 

「……あれ誰もいない」

「こっちだ」

「おかしいなぁ、確かに屋上のはずなんだけど……」

「こっちつってんだろうが!!!」

「おわぁ!?」

 

 一向に気がつかない野郎に軽くパンチをする。流石にここまですれば気が付いたのか、ようやく俺は奴と対面したのだった。

 

「先輩がこの手紙を?」

「はっ、そうだよ」

「そうなんですか……」

 

 残念だったな女じゃなくて。さあどんな本性を見せる? キレるのか、ガッカリするのか?

 どんな対応をしようともお前の言動は全て録音している。さぁ醜態を晒せ、明日には学校中がそれを知る事になるぜ!!

 

「ごめんなさい、付き合えないです」

「はぁ?」

「俺の事を好きになってくれたのは嬉しい。でも俺には大切な彼女達がいてーーー」

「違うわアホォ! 手紙は偽物、ガチで好きな訳ないだろうがぁ!!

 

 勝手に男色にするな! サブイボが立ったわ!

 

「……そっか、よかったぁ」

「何言ってんだ?」

「いえ、本当に俺の事が好きだったなら傷つけちゃうと思ってて……」

 

 こ、この状況で相手の心配? 頭がどうかしてんじゃないのか……

 

「あれ? でもだったらどうして此処に呼び出しなんか?」

「わかるだろうが! 決闘だ決闘!」

「け、決闘!?」

 

 ゴロゴロと暗雲が立ち込めて暗くなる。ポツリと降り出した雨が頬を伝って地面に落ちた。

 

「な、なんで決闘なんか……」

「ケジメだよナンパ野郎! 勝手に失恋して勝手にお前を恨んでる、馬鹿な男のケジメのためだ!」

「ッ! ……わかりました」

 

 ああ、カッコイイなぁコイツ。そりゃモテるわ。

 正直なところ自分が無茶苦茶を言っている自覚はある。コイツは怒って帰っても良いはずだ。

 それでもコイツは俺のために向き合ってくれている。

 

「出来れば無様に負かしてくれ」

「無様なんかじゃないですよ」

 

 挙句にこのセリフ。完敗だな……

 

「まあそれはそれとして、一発は殴らせろやぁぁぁぁぁ!!」

 

 神速の飛びかかりで拳を突き出す。油断していたのか、はたまた一発はもらう覚悟だったのか。恋太郎は真っ直ぐこちらを見つめて動かなかった。

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「ッ!」

 

 唸る拳、打ち付ける雨、輝く雲……落ちる雷。

 

「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「えぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

 雷は流れるように俺に直撃した。体から力が抜けて地面に倒れ込む。

 走馬灯のように脳裏を流れていく記憶。ぼっち飯、一人置いて行かれた遠足、先生が言う「二人組作って〜」。

 ろくな思い出ねぇなちくしょう!!

 

 くそ、こんな最後……最低すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 煙の向こうから男の声が聞こえる。俺は一体何をしていたんだっけ?

 最後の記憶は雷に打たれて……はっ!?

 

「い、生きてる?」

 

 確かに全身が痺れて熱くなって、全身が溶けたような痛みがあったんだが……なんとか生きていたようだ。

 時間もそんなに過ぎていないようで、煙でわかりにくいが未だに屋上にいるらしい。こちらを心配している恋太郎の声が響いてくる。

 

「先輩、よかった無事で……ぇ?」

「おう、なんとかな。お前には情けない所を見せちまった」

 

 本当に恥ずかしいよ。いや、天災のせいだから仕方ないっちゃ無いんだけど。

 そうして立ち上がった俺に……再び雷が落ちた。

 

「ひゃぁ!?」

「え、あ、ちょ!?」

 

 恋太郎と目を合わせた瞬間、バリバリと体を通り抜ける快感。早鐘を打つ心臓。

 なんだか意識が浮ついたようでぼんやりとする。痛くなってきた胸を抑えて、ふにゃりとした柔らかい感触を……

 

「ふにゃり?」

 

 下を見ると、そこにはまるで見覚えのない柔らかそうな肌がコレまた柔らかそうな双眸を包んでいた。

 ガシリと掴む、柔らかい。ガバリと覗く、アレが無い。

 

「ど、どうなっとんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「と、とりあえずコレきてくださぁい!!」

 

 恋太郎が学生服の上着を投げよこす……あ、良い匂い。

 ……って何を年下の男の香りに興奮してんだ俺はぁ!?

 

 訳がわからない。いま何が起こっているんだ?

 俺が雷に打たれて、アレがなくなってコレができて?

 ダメだ思考がまるでまとまらない!!

 

「あ、あの先輩」

「なんだよ! いま考え事で忙しーーー」

「さっきの話なんですけど……」

 

 さっきの話? なんだ決闘の話か? 今はそれどころじゃ……

 

「先輩、俺とお付き合いしてくれませんか!」

「……は?」

「先輩、俺とお付きーーー」

「聞こえなかった訳じゃねーよ!!」

 

 なんでそんな話になってんだ!? いま俺が女になって……なって。

 

「お、お前なんって言った?」

「先輩、俺とお付き合いしてくれませんか!」

 

 こ、コイツ、俺が女になったとたん付き合うだって?

 

「ふ、ふざけんな! なんでお前なんかと……」

「……ダメですか?」

「くっ!!」

 

 胸がキュンと締め付けられる。なんだこの気持ちは!? 俺が、俺が男にときめいてる!?

 

「先輩……」

 

 恋太郎の顔が迫る。

 形のいい唇、違う憎たらしい口だ!

 凛々しい瞳、違うムカつく目だ!!

 雄々しい体、違うナンパなクソ野郎だ!

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 咆哮を上げて身体を捩る。振り回した腕が恋太郎に当たってなんとか距離をとれた。

 

「先輩!」

「こ、こここ、このナンパ野郎が!」

 

 恋太郎に背を向けて屋上から逃げ出す。いやコレは逃げるんじゃ無い、戦略的撤退だ!!

 

「お前の事なんか、大っ嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 コレは彼の事が大大大大大っ嫌いな1人の彼女の物語。




続きは(ない)です。

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