Fate/憑依転生ワカメは死にたくない   作:エドアルド

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少し長いから前編後編に分ける


ワカメはお話しする前編

 

あれから数日がたった。教会には間桐家として聖杯戦争を根底から揺るがしかねない事態が発生した可能性がある為、聖杯戦争に参加する全陣営との話し合いの場を設けて欲しいと言う旨の手紙をだし。明日にそれが開催される流れとなった。それまでの間にコンテナ街の戦闘とビルの爆破があったがとりあえず誰も死んでないので良しとする

 

全陣営への今の大聖杯の説明も大事だが間桐の家は臓硯が死んだ為に守る人間がいない。その為に遠坂家への庇護を求めなければいけない。今は間桐の家には子供二人と大人一人その誰もが魔術に対してそこまで関わっていない、と対外的には思われる。それは良くない。確実に手を出す魔術師が出てくる。今なら大した苦労もなく他家の魔術を簒奪出来ると思われるのは必至だ。それに桜の魔術属性はとてつもなく珍しい虚数だ。手を出す魔術師がいないとも限らない

 

やる事が多すぎる!とりあえず今から教会での全陣営を交えた話し合いがある。その前に遠坂時臣さんと話し合う必要があるけど

 

そうこうしているうちに教会に着いた。ちなみに今回の話し合いの場を設ける際にサーヴァントの同行を許可している。サーヴァント達にも無関係な話では無いからね。俺も二人を連れているからな。それに安全が無いと出てこない魔術師が約一名。切嗣さん、流石にビル爆破は辞めて欲しかったな

 

「間桐慎二です」

「…どうぞ」

 

教会に着いた俺を待っていたのは言峰 璃正さんと言峰綺礼、そして遠坂時臣さんだった

 

「初めまして。間桐慎二と言います。この度はこちらの要請を聞いて頂きありがとうございます」

「礼儀正しい子だ………今回の間桐家の要請はこちらでも無視出来ないものだったからね」

 

俺の言葉に返したのは遠坂時臣さんだった

 

「今回の本題の前に時臣さんにお話しよろしいでしょうか」

「あぁ、手紙に書いてあった間桐家の個人的な事だったね」

 

蟲爺がいなくなった影響が予想外に大きいしこのままじゃあ良くない事が確実に起こるからな。後ろ盾は必要だ

 

「間桐家当主である間桐臓硯がお亡くなりになりました」

「なっ!?…それは本当かね」

「はい」

 

臓硯が死んだ旨を伝えると時臣さんが驚いていた

 

「……そうか。しかし、それだけかね?」

「いえ。遠坂家には間桐家の後ろ盾になって頂きたいのです。今家を守れる者はいません」

「そうだろうね」

「今我が家は他の魔術師から見ればエサでしかありません」

「しかし、我が家にはメリットが無い」

 

まぁそこは魔術師、当たり前だよな

俺はあらかじめ用意していた書類を渡す

 

「これを」

「これは?」

 

書類を見せると時臣さんの顔が驚愕に染まる

 

「……これは……」

「それは、我が家に来た桜に間桐臓硯がやろうとしていた事です」

 

その書類には桜に施すはずだった様々な事が書かれていた

 

「貴方は娘を地獄に送り込んだも同然。ならば少しでも償いをするべきです」

「…………私はなんて事を」

 

時臣さんは確かに魔術師だ。しかし外道などでは無い。そんな時臣さんに漬け込む事で無償で後ろ盾にする。それが俺の計画!

ちなみにそれを見た璃正さんも絶句していた。わかるよ俺も見た時殺意が湧いたね

 

「わかった。遠坂家は間桐家の後ろ盾になろう」

「ありがとうございます」

 

とりあえずこれで聖杯戦争が終わった後は心配しなくて良いな

さて次は全陣営に対しての説明だな

 

 

 

 

暫く待っていると次々にサーヴァントとそのマスター達が現れた。その中には切嗣の姿もある。ちゃんと来てくれるかは賭けだったけど良かった。アインツベルンの手紙だけ俺が書いた甲斐があったもんだ

 

「今回は集まって頂きありがとうございます。私は間桐慎二と言います。今回集まって頂いた理由の説明をさせていただきます」

 

そう言うと全員の視線が俺に集まる。空気はギスギスしている。特にケイネスさんが凄い顔でアインツベルン陣営を睨んでいるからな。まぁ、この話を聞けばもっとやばい空気になるのは必至だけどな

 

「今回は聖杯戦争を辞めて頂く為に集まってもらいました」

 

その発言に殺気が飛んでくるが襲いかかって来るバカはいない。まぁ俺の横にはサーヴァントの二人が居るからな。

そうしているうちにライダーのサーヴァント、イスカンダル王が手を挙げた

 

「どうかしましたか?」

「坊主、ちゃんと納得のいく説明をするんだな?」

「はい」

 

俺は話を続ける

 

「まず何故この様な話になったと言いますと。話は第三次聖杯戦争に起きたアインツベルンの掟破りまで遡ります」

「……私達の?」

 

アイリスフィールさんが首を傾げる

 

「はい。聖杯戦争にて召喚されるサーヴァントは七つのクラスにわけられます。これはみなさんもご存知だと思います」

 

一応確認の為に集まった人達を見渡すが全員当たり前と言う顔をしている

 

「アインツベルンがした掟破りはこの七クラス以外のエクストラクラスアヴェンジャーの召喚になります。掟破りとはいえただのサーヴァント召喚なら問題はありませんでした」

「問題なのはアインツベルンの掟破りではなくそれによって召喚されたサーヴァントだと?それが今回の聖杯戦争になんの関係があるのかね?」

 

ケイネスさんがそう言う

 

「いい質問です。本来ならサーヴァントを呼び出すだけでは問題は起きません。しかし、アインツベルンが呼び出したサーヴァントの名前は『アンリマユ』ゾロアスター教にて悪神と知られる存在です」

 

その言葉に騒がしくなる

 

「ありえん!神霊を召喚するなど!」

「アインツベルンではそんな話は聞いていないわ」

 

まぁそりゃ反論するわな。本来ならありえない事だし

 

「えぇ、もちろんアンリマユ本人ではありません。そもそのサーヴァントは第三次聖杯戦争にて一番最初に退場しました」

「それなら一体何が問題なのだ!」

「確かにその存在は神霊アンリマユではありませんでした。……通常敗れたサーヴァントは大聖杯の起動に必要な無色の魔力として聖杯に取り込まれます。しかし、アンリマユの英霊としての在り方が「この世全ての悪であれ」という人々の願いそのものであったゆえに、「願望機」がその願いを叶えてしまった結果、聖杯は汚染され「どんな願いでも人を殺す形で願いを叶える欠陥品」へと変貌させてしまった。 」

 

その説明に全員が絶句する

 

「今の聖杯を使えば確実に世界が滅ぶ可能性があります」

「坊主、それはわかった。しかし、どうするのだ?それに本当にそれが真実であるのか?」

 

イスカンダル王の質問が飛ぶ

それに対して俺はあるものを取り出す。それは水晶玉だ

 

「……これは私の使い魔と視覚を共有している水晶玉です。今私の使い魔は大聖杯。聖杯の本体の前にいます」

「それじゃあお前さんが聖杯を持っておるのか?」

「いえ。今の聖杯には魔力が満たされていません。聖杯として機能するにはサーヴァントが敗退しその魂が聖杯にくべられる必要があります。聖杯戦争とは一種の魔術儀式ですから」

 

俺は使い魔の視界を水晶玉に写し空中に投影する

 

「…これは」

「なんという」

 

やはりその反応が返ってくるよな。今の大聖杯は到底聖杯とは言えないような見た目をしている。かなりおぞましい姿だ

 

「これが今の大聖杯の状況です。信じられないなら大聖杯まで案内はしますが、辞めておいた方が良いでしょう」

「……嘘なんじゃないか?」

 

俺の言葉にウェイバーがそう言う

まぁ辞めといた方が良いなんて言ったら、見られたくない何かがあると思われてもおかしくは無い

俺は使い魔を大聖杯に近づける。その瞬間使い魔が消される

 

「今のは……」

「大聖杯は悪意に汚染されています。そしてその悪意には意思があります」

 

これはほんとに想定外の事なんだよな。でも悪意に意思があるのは原作の描写からわかる。おそらく俺が汚染をどうにかしようと動いた結果なのか今大聖杯に近付く存在は消される状態だ

 

「もしこのまま聖杯戦争を続ければ世界は終わります。願いを掛けて戦うなどと言ってる場合ではありません」

 

俺は毅然とそう言った


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