アニメ最終話で、喜多ちゃんがぼっちちゃんのこと抱きしめながら腹話術してる場面あるじゃん?最後後ろからその二人が描かれてるところを見てさぁ 作:明太子美味しい
妊娠した。
ひとりちゃんにそう告げた翌朝。
学校に登校した私は、いつものように一年二組の教室へと向かう。
その道中、私は昨日のエイプリルフールについて思い出していた。
白けた視線を向けてきた先輩達にはショックであったが、その分ひとりちゃんで癒されたから良しとしよう。
それにしても――昨日のひとりちゃんは本当に可愛かった。
手を繋いで子供が出来るなんて。そんな明らかな嘘を信じるとは、本当に可愛らしくて純粋な女の子だ。
一先ず教室で会ったときに、昨日の妊娠騒動は冗談であったことを告げようか。心苦しいけれど、もうエイプリルフールは終わったのだ。
そんなことを考えていたら、いつの間にか一年二組の教室に着いたみたいだ。
さぁ、今日もひとりちゃんとの楽しい時間を過ごそうか。
期待を胸にドアを開けた私は、目の前の光景に目を見開く。
なんとそこには――
「夜泣きが二、三回? お、多い……」
――育児本を机に広げているひとりちゃんの姿があった。
++++++
本日はエイプリルフールである。
誰が言い出したのかは分からないが、この日には色々な起源があるらしい。にわかの私にとっては、お友達を揶揄うだけの日というイメージしかない。
この日は毎年、適当な嘘をついてお友達と笑っていた。けれど、今年の私は一味違う。
私の愛すべきひとりちゃんと、結束バンドの存在だ。
彼女達を驚かすために、今年は気合いの入った冗談を用意している。一週間ほど頭を捻って考えたのだ。地味に大変ではあったが、それに見合うだけのものが出来上がったと思う。放課後のアルバイトが今から楽しみだ。
そんな邪な思いを胸に、私は次の授業に向けて教科書を準備するのであった。
+++
そして、時刻はアルバイトの終わりまで進む。
待ちに待った私のお楽しみタイムである。
誰から行こうか。やはりメインディッシュは最後にして、最初は先輩達からにしようか。
そう考えた私は、早速リョウ先輩と伊地知先輩を呼び出した。
――私、妊娠しました。
開口一番に告げたその言葉に、先輩達がポカンと口を開ける。
おぉ!
思ったより悪くない反応だ。
「い、郁代。凄いロックだ」
流石のリョウ先輩でも動揺しているご様子。頑張って考えてきた甲斐があったと嬉しくなる。
「だ、誰の子なの?」
それを待っていた! よくぞ聞いてくれました伊地知先輩!
私は予め用意していた答えを告げる。
――ひとりちゃんとの子です。
一瞬で場が凍った。
沈黙の中、先輩達の目が白けたものに変わっていく。
「あぁ、今日はエイプリルフールだったね」
「解散」
ちょ、ちょっと!?
待ってくださいよー!
引き留めの一切を無視して、先輩達はフロアの掃除へと戻っていった。
+++
大変遺憾である。
あんな目をしなくても良いではないか。
ぷりぷりとしながらも、私は切り替える。
先輩達はただの前菜だ。フルコースで言えば最弱の立ち位置と言えるだろう。だから、あまり気にする必要はない。
大切なのはメインディッシュ、つまりひとりちゃんだ。
彼女の反応を想像して、ジュルリとヨダレが出そうになった。
全く、どんな可愛い反応をするのか楽しみだ!
私はそんなことを考えながら、早速とばかりにひとりちゃんを呼びだした。
妊娠した。
ひとりちゃんにそう伝えると、彼女は物凄い勢いで視線を動かし、汗をダラダラと流し始めた。
「えっ、あっ。ぇえ!? き、喜多さんが妊娠? だ、誰だ。一体いつの間に!」
あはっ。
とんでもなく動揺しているご様子。
期待していた反応を見れて大満足な私は、次の一手を繰り出すことにした。勿論、私が気持ち良くなるためである。
――誰の子だと思う?
私は優しくお腹を撫でながら、目の前のひとりちゃんに問いかける。その際、慈愛の微笑みで彼女を見つめることも忘れない。
「ェエエエエエエエ」
彼女は顔を真っ青にさせて、ウンウンと頭を捻っている。
分からないならしょうがない。それじゃあ、答え合わせをするとしようか。
――ひとりちゃんとの子よ。
一瞬の沈黙。
それから、
「ヒェっ! ひぇぇぇぇぇぇぇ!」
あはっ!
これよこれ。これが見たかったのよ!
先輩達に話しても、白けた目で私のことを見てくるだけだし。
やっぱりひとりちゃんは可愛いわね!
ほっこりとしていたそんな時、ピタッと突然彼女の悲鳴が止まった。
私はその様子を疑問に思っていると、彼女は意を決したように問いかけてきた。
「ど、どうやって、に、ににに妊娠したんでしょうか? わっ、私と!」
頬を染めて恥ずかしそうにしながらも、彼女は目線を此方に固定している。彼女の目元は、普段と違って少しだけ凛々しく見えた。
――え、えっとね。
いつもと違って凛々しい彼女に動揺した私は、上手く言葉を紡げない。
そんな私に、彼女の目が凛々しいものからジトッとしたものへと変わり始めた。
ま、まずい!
このままではキターンタイムが終わってしまう。
私は畳み掛けるように、ひとりちゃんに告げた。
――バイト帰りの私達ってよく手を繋ぐじゃない? あれよ。あれで妊娠したの。
うーん、苦しい()。
でも大丈夫。大丈夫よ喜多郁代。
純粋でふわふわピュアピュア。そんなひとりちゃんなら、これでいける筈よ!
そう確信した私は、彼女がどんな反応をするのか、ウキウキしながら見つめ返した。
「そ、そうなんですかぁ!」
やったわ!
あまりの喜びに、彼女から見えない位置でガッツポーズをしてしまった。
けれどこれで大丈夫。束の間の夫婦生活を楽しもうじゃないか。
そう意気込んだ私は、ひとりちゃんに話しかけようとする。しかし――
「あっ。じゃ、じゃあ、私はやることがあるので帰ります」
彼女はそう言ってSTARRYを出ていってしまった。
そ、そんなぁ。
この状況をもっと楽しみたかった私は、がっくりと肩を落としてしまう。
そんな私を、先輩達は未だに白けた目で見つめるのだった。
++++++
妊娠した。
ひとりちゃんにそう告げた翌朝。
学校に登校した私は、いつものように一年二組の教室へと向かう。
昨日のひとりちゃんは本当に可愛かった。
手を繋いで子供が出来るなんて嘘を信じるとは。本当に可愛らしくて純粋な女の子だ。
一先ず教室で会ったときに、昨日の妊娠騒動は冗談であったことを告げようか。心苦しいけれど、もうエイプリルフールは終わったのだ。
そんなことを考えていたら、いつの間にか一年二組の教室に着いたみたいだ。
さぁ、今日もひとりちゃんとの楽しい時間を過ごそうか。
期待を胸にドアを開けた私は、目の前の光景に目を見開く。
なんとそこには――
「夜泣きが二、三回? お、多い……」
――育児本を机に広げているひとりちゃんの姿があった。
教室には異様な空気が漂っている。
原因は言わずもがな、育児本を熟読するひとりちゃんだろう。
生徒達が見守る中、私は意を決して教室へと足を踏み入れた。
ギターを弾いてるときと同じくらい真剣な表情をしている彼女に、私は話しかける。
――ひ、ひとりちゃん?
「あっ、おはようございます喜多さん」
本から顔を上げた彼女は、何でもないかのように挨拶をした。
――それ、どうしたの?
私は机の上に指を差しながら問いかける。
彼女は、あぁと一言呟いてから答えてくれた。
「わ、私も子持ちになりますから、予習しとかないとって思って」
教室中からガタガタっと音がした。ひとりちゃんのとんでもない発言に、誰もが驚いてしまったようだ。
「――って喜多さん! わ、私の椅子に座ってください! もう、一人の体じゃないんですよ!!」
そう言って彼女は立ち上がる。それから、私の肩を優しく押して椅子に座らせてくれた。
「ここに赤ちゃんが居るんですね……」
それから彼女は、私のお腹を優しくさすりだした。
あっ、良い。すごく良い。
とっても気持ち良い……。
妊娠中の私を気遣う彼女に、お腹の奥がジュンとした。あまりの興奮に、何かが産まれそうになった。いや、既に産まれたのかもしれない。
ふぅ……。
何かを産んで落ち着いた私は、ふぅと一度息を吐いてから目を瞑り、頭をフル回転させて考える。
どうやって冗談だと切り出せば良いのかしら……。
あまりにも真剣なひとりちゃんの様子に、タイミングを失ってしまった。今も私のお腹をさする彼女に、少しだけ胸が苦しくなる。
けれど、いつまでもこのままでいる訳にはいかないだろう。自分で蒔いた種だ。辛いけれど、真実を告げることにしようか。
ひとりちゃん、と私は声をかける。
真剣な雰囲気を醸し出す私に、はい、と彼女は答えてくれた。
そして告げる。残酷な真実を、彼女に告げる。
――妊娠の話、全部嘘なの。
……。
あぁ、私は最低だ。
なんてことをしてしまったんだ。
胸が苦しい。只々苦しい。
そんな自己嫌悪に浸っていると、ひとりちゃんが私の名前を優しく呼んでくれた。
それから彼女は、私に向かって少しだけ微笑んだ。
「じ、実は私も、嘘なんじゃないかなって、少しだけ思ってました」
だ、だから安心してください、なんて最後に付け足して、彼女は私の頭を撫で始めた。
……!
んんんまぁ!
まさか、ひとりちゃんが気づいているとは……!
私の完璧な冗談を看破した彼女に、賞賛を送る。流石はひとりちゃんだ。なんて賢いのだろうか。
しかし、ここで疑問が残る。
何故、彼女は育児本を読んでいたのだろうか?
謎を解明するため、私は彼女に問いかけた。
――どうして育児本を読んでいたの?
私の質問に彼女は、少しだけ考えてから答えてくれた。
「は、半分くらいは、揶揄われたお返しのつもりでした」
ほほう! やるわねひとりちゃん!
それで、もう半分は?
続きを促す私に、彼女は少しだけ恥ずかしそうにしながら答えてくれた。
「もっ、もう半分は、喜多さんと私の子供なら。もしそれが本当だったら、嬉しいなぁ。な、なんて思っていたり?」
……キ。
キタキタキタキターーーーーーーーーーーー!!!
彼女のあまりにも可愛らしい発言が、私の
この感覚。もしや私のお腹に新たな生命が宿ったのかもしれない。
あ、妊娠したわ。
そう確信してしまうほどに、今の私は興奮していた。
駄目だ。一回発散しないと、今日はもう駄目だ!
私は勢いよく立ち上がり、ひとりちゃんの腕を掴んだ。
――行くわよひとりちゃん!
「えぇ!? ど、どこにですか?」
そんなの決まっている。
保健室、体育倉庫、多目的室、女子トイレ、校舎裏。
何処でもいい。とにかくその辺だ!
私は彼女の腕を引っ張って、勢いよく教室を飛び出したのだった。
ちなみに。
私達が教室に戻ったのは、お昼休みが終わる頃だったとここに記しておく。
おまけ①
ぼっち「お母さん育児に関する本ある?」
美智代「あるけれど、どうしたの?」
ぼっち「妊娠した」
美智代「!」
ぼっち「喜多さんが」
美智代「!!!」
おまけ②
星歌「はいこれ」
喜多「なんですかこれ。おむつと、哺乳瓶?」
星歌「妊娠祝い」
喜多「は?」