アニメ最終話で、喜多ちゃんがぼっちちゃんのこと抱きしめながら腹話術してる場面あるじゃん?最後後ろからその二人が描かれてるところを見てさぁ 作:明太子美味しい
「こ、これ! 受け取ってください!」
……キ。
キタキタキタキターーーーー!!!
――ありがとうひとりちゃん!
待ちに待った彼女からのプレゼントに、一瞬で私の心が爆発する。
ちゃんと覚えててくれたのね!
うーっ、嬉しいー!
興奮のあまり、ひとりちゃんの目の前で小躍りしそうになった。
それくらい嬉しいことなのだ。
意中の相手が私の為だけに頭を悩ませ、そしてプレゼントをくれる。
この出来事を超える幸せなんてそうそう無いだろう。
しかし、肝心の中身はまだ分からない。
……気になる。
とても気になる。
私の両手に収まるサイズの、可愛らしく包装されたピンクの箱。
ひとりちゃんらしからぬセンスの良さに疑問を覚えるけれど、その中身に比べれば些事だろう。
――プレゼント、ここで開けてもいいかしら?
「えぇ! ぅう……」
彼女は悩んでいるご様子。
「ほ、本当に大したものじゃなくて、リョウ先輩と虹夏ちゃんに相談してやっと決まったやつで!」
ほほう!
それは良い情報だわ!
一気に期待値が上がる。
素敵なリョウ先輩と大天使の伊地知先輩。この二人が揃ったのならば、そうそうおかしなことにはならないだろう。
同時に、なるほど! と一人で納得する。
私に隠れてコソコソとしていたのは、これを相談していたのかと。
漸く私にも理解できた。
それから私は、期待の眼差しでひとりちゃんを見つめる。見つめ続ける。
「うぅ……。わ、分かりました!」
やったわ!
私は丁寧にラッピングを剥がした。
それから、ゆっくりと蓋を持ち上げる。
中に何が入っているのか、ドキドキで胸が膨らんだ。
蓋を開けるとそこには――
「えへへ。ど、どうですかね?」
――ひとりちゃんの髪留めと、『何でも言うことを聞く券』が三枚入っていた。
++++++
もうすぐ私の誕生日である。
毎年この日を楽しみにしている。けれど実は、今年の誕生日はこれまでと桁違いに楽しみだったりする。
それは何故か。
そう。
今年はひとりちゃんがいるからだ。
あの優しくてもちもちのひとりちゃんが、お友達の誕生日を忘れる筈がない。
実際ここ数日の彼女は、ソワソワしたり、私のことをチラチラと見ていたりする。
これは期待できる。
私はそう確信し、ひとりちゃんをほっこりとしながら見守るのだった。
+++
私の誕生日が三日後に迫ったとある日。
私達結束バンドの面々は、STARRYでバイトの後片付けを行っていた。
私は一人、黙々と床を磨く。
そんな私の視界に、ひとりちゃんと伊地知先輩が二人でコソコソと話し合っている姿が映った。
伊地知先輩がニヤリと笑い、ひとりちゃんが慌てている。
むむっ。なんか楽しそうだ。
出来れば私の前で内緒話はやめて欲しい。
脳が破壊されてしまう。
私は彼女達から目を逸らして、掃除に意識を戻した。
私は一人、黙々と床を磨く。
腰が痛いわぁなんて思いながら顔を上げると、今度はひとりちゃんがリョウ先輩とコソコソしているのが見えた。
リョウ先輩が真顔で何かを呟き、ひとりちゃんが顔を真っ赤にしている。
むむっ。顔が良い。いやそうじゃない。
ひとりちゃんを揶揄っていいのは私だけではないのか?
いけない、このままじゃ脳が破壊される。
私は顔をブンブンと振り、先程のことを忘れようと夢中で床を磨き出した。
必死に床を磨くこと二十分。気付けば床がピカピカになっていた。
モップを片手に、私はふぅと一息入れる。
辺りを見渡すと、それぞれが持ち場に戻って掃除をしていた。
その様子に一安心した私は、ドリンク周りを片付けているひとりちゃんの元へと向かう。
――ひとりちゃん。
「ぴっ! き、喜多さん」
あはっ。
そんなに驚かなくてもいいのに。
そこまで大袈裟な反応をされてしまうと、何か隠してるんじゃないかって勘ぐっちゃうわ!
――さっきは先輩達と、何を話していたのかしら?
「エッ。な、何でもないです」
うん、何でもあるみたいね。
私は続けて彼女に問いかける。
――どうしても、駄目かしら?
「うぅ……。む、無理です。むむむむむっ!」
あはっ! 可愛い。
首をブンブンと振る彼女に、心がほっこりとする。
でもそうか。
そんなに駄目なら、もう問い詰めることは辞めておこう。
私はひとりちゃんに謝って、帰る準備を始めるのだった。
++++++
遂にやってきた、私の誕生日当日。
朝からおめでとう! と沢山のお友達から祝われている。
それはとても嬉しい。嬉しいのだけれど、ひとりちゃんからは未だに何もない。
何故だろう。
思い当たる節があるとすれば――
ま、まままさかぁ!
この前のバイトで、無理に問い詰めたから、き、嫌われた!?
その可能性に思い当たり、ブワッと汗が噴き出し始める。
そ、そんな! う、嘘よね。大丈夫よね?
一人教室でアワアワと震える私は、居ても立っても居られず、ひとりちゃんが居るであろう、暗くてじめじめした場所へと走り出した。
――ひとりちゃん!
「ぴっ! き、喜多さん!」
勢いよくひとりちゃんに迫り、私は直球で質問する。
――私のこと、嫌い?
「えぇっ! き、嫌いな訳ないですよ! む、むしろ――」
――そうよね! ありがとう!
それだけ聞いて一安心した私は、彼女の言葉を遮って教室へと戻り出した。
良かったぁ。
ふぅと一息。肩の力が抜ける。
そうだ。ひとりちゃんが私のことを嫌うなんてあり得ないのだ。にわかは黙っていて欲しい。
そんなことを考えながら歩いていたとき、うしろからひとりちゃんの声が聞こえてきた。
「喜多さん!」
あら?
私はその声に振り返る。
そこには、息も絶え絶えなひとりちゃんの姿があった。彼女の手は、小さな箱を大事そうに抱えている。
――どうしたの?
そう問いかける私に向かって、ひとりちゃんはガバリと、その手に持っていた箱を差し出した。
「こ、これ! 受け取ってください!」
……キ。
キタキタキタキターーーーー!!!
――ありがとうひとりちゃん!
待ちに待った彼女からのプレゼントに、一瞬で私の心が爆発する。
ちゃんと覚えててくれたのね!
うーっ、嬉しいー!
興奮のあまり、ひとりちゃんの目の前で小躍りしそうになった。
意中の相手が私の為だけに頭を悩ませ、そしてプレゼントをくれる。
この出来事を超える幸せなんてそうそう無いだろう。
しかし、肝心の中身が未だに分からない。
……気になる。
とても気になる。
――プレゼント、ここで開けてもいいかしら?
「えぇ! ぅう……」
彼女は悩んでいるご様子。
「ほ、本当に大したものじゃなくて、リョウ先輩と虹夏ちゃんに相談してやっと決まったやつで!」
ほほう!
それは良い情報だわ!
一気に期待値が上がる。
素敵なリョウ先輩と大天使の伊地知先輩。この二人が揃ったのならば、そうそうおかしなことにはならないだろう。
同時に、なるほど! と一人で納得する。
私に隠れてコソコソとしていたのは、これを相談していたのかと。
漸く私にも理解できた。
それから私は、期待の眼差しでひとりちゃんを見つめる。見つめ続ける。
「うぅ……。わ、分かりました!」
やったわ!
私は丁寧にラッピングを剥がした。
それから、ゆっくりと蓋を持ち上げる。
中に何が入っているのか、ドキドキで胸が膨らんだ。
蓋を開けるとそこには――
「えへへ。ど、どうですかね?」
――ひとりちゃんの髪留めと、『何でも言うことを聞く券』が三枚入っていた。
『何でも言うことを聞く券』
まさか高校生にもなって受け取る日が来るとは思わなかった。
けれど、とても嬉しい。
これがあれば、ひとりちゃんは私の言うことを何でも聞いてくれるのだ。しかも三回も。
私は一つずつ確認することにした。
――この髪留めって、ひとりちゃんと同じ?
「は、はい! 伊地知先輩が、喜多ちゃんは私とお揃いのものを喜ぶって言ってて」
流石は伊地知先輩!
貴女は本当に私のことをよくわかっていらっしゃる!!
今度タピオカでも奢ってあげよう。私は心に決めた。
それでは早速。
よしっと。
――これ、似合う?
「ぴゃっ。と、とっても似合います!」
あはっ! 嬉しいわ!
そして、話は例のブツへと移る。
――この券は?
「あ、リョウ先輩が言ってて、絶対喜ぶって」
ほんと最高ですよ先輩。
今度ご飯奢りますリョウ先輩。ほんと最高!
続けて私は、この券について説明を求めた。
「あっ、はい。こ、この券を使えば、喜多さんのお願いをなんでも――」
ん? 今何でもするって(以下略)。
そっかぁ、そっかぁ!
嬉しくなった私は、この券を何に使おうか早速考える。
お洋服屋さんに行って、着せ替え人形になってもらう?
それとも、ジャージじゃなくて私服デートとか?
ちょっとだけえっちなことも頼んじゃう?
嗚呼、やりたいことが沢山あって困っちゃうわ!
まぁでも、最初にお願いすることは決まっているのだけれどね。
私は箱から一枚取り出して、ひとりちゃんに渡した。
「喜多さん?」
よ、よーし。恥ずかしいけど、い、言っちゃうぞ〜。
――これから先、ずっと。ずっと、ひとりちゃんの傍にいてもいいですか?
「えっ……?」
――バンドも私生活も、特別なことは何も無い私が、特別なひとりちゃんの傍にいてもいいですか?
ずっと気になっていたのだ。
私はいつもひとりちゃんを振り回してばかりだし、変な悪戯ばかりするし、ギターもそこまで上手くないし。中々にめんどくさい女になっている自覚はあった。
だから、『何でも言うことを聞く券』は本当に嬉しかった。
これで安心だと、私の中で納得できるから。
私の問いにひとりちゃんは答える。
「いつもありがとうございます。わ、私は、喜多さんが傍に居てくれてよかったと思ってます。あんなに嫌だった学校も、最近はちょっと楽しいし。だから、私の方から頼みたいくらいです。ず、ずっと傍に、い、居てほしいって」
……キ。
キタキタキタキターーーーーン!
なんて良い子なのかしら!!
あまりに素敵な回答を聞き、感動で体が打ち震えた。
でもそうか。
ひとりちゃんもそう思ってくれてたのか。
なら、もう遠慮は要らないわね!
ひとりちゃんから『ずっと傍に居て欲しい』発言も聞けたし、今度からは少し過激なことをしても大丈夫だろう。
ということで、早速二枚目の『何でも言うことを聞く券』を使うことにした。
欲望を満たすために。
+++
ポムポム。
ぱふんぱふん。
今、私はひとりちゃんのおもちに挟まっている。
ジャージ越しじゃない、シャツの上から味わっている。
今まで感じたことのないその柔らかさに、段々と意識が沈んでいく感じがする。
いけない。まだ少ししか味わってないのに。
でもなんかもう、眠っても良いかもしれない。
今日は色々あったし、意を決して傍に居ても良いか聞いたから、心が結構疲れたのだ。
だから、今日はこのままでも良いかな。
そんなことを一度考えた私は、睡魔に抗うことなく眠りに落ちたのだった。
喜多「これからずっと、何でも言うこと聞いて」最後の一枚ペラー
ぼっち「えぇ!?」