わたしはガメラに救われた。
怪獣どもが暴れ狂う『怪獣黙示録』のこの時代。無責任なクソ親の子供として生まれて、手に負えなくなったら捨てられて、夜な夜な街の裏通りを彷徨ってゴミを漁って食い繋いでいたところを恐ろしい怪獣ギャオスに襲われて。
そんなわたしを土壇場で救ってくれたのが大怪獣、〈ガメラ〉だった。
――轟ッッ!!
空高く飛んで逃げようとするギャオスめがけて放たれる、強力無比なガメラのプラズマ火球。ギャオスはそれを躱しきれずに直撃、ギャオスの身体は断末魔の悲鳴と共に木端微塵に爆裂した。
「キャアッ!?」
戦うガメラとギャオスの足元にいたわたしは降り注いできた火の雨で危うく潰されそうになったけれど、そんなわたしをガメラは身を挺して庇ってくれた。
こうして戦いを終えたガメラは、わたしへ労しげな一瞥をくれながら回転ジェットで飛び去ってゆく。そんなガメラを見送りながら、わたしはこう感じたのをよく覚えている。
「……ガメラは、子供の味方なんだ」
ガメラはとても強くて、優しくて、わたしのことを最後まで守り抜いてくれた。世の中の大人たち皆から見捨てられていたわたしだけれど、それでもガメラだけは救いの手を差し伸べてくれたんだ。
『ガメラは子供の味方』、今でもたまに耳にするガメラのキャッチフレーズではあるけれど、そのときのわたしは本当にそうなんだと心から信じた。
怪獣ガメラに救われてから、わたしの人生は少しずつ好転した。
それからわたしは、怪獣災害の被災者として救助されたことがきっかけでソーシャルワーカーの世話になり、さらに親切な人の養子へ入り、親切な財団からもらった奨学金で学校にも行けるようになった。学校に行ったわたしはそこで物凄く勉強をした。この世界のこと、怪獣のこと、そしてガメラのことを。
そうやって猛勉強したおかげだろうか、大人になったわたしは科学者になって国際機関モナークからスカウトも受け、遂には『マナエネルギー科学研究の第一人者』なんて人々からの尊敬も集めるようになった。
モナークは結局辞めてしまったけれど、わたしのやるべきことは今でも変わらない。わたしのやるべきこと、それは『ガメラの味方』であることだ。ガメラがいなかったら、今のわたしはここにいないのだから。
「……博士、ヤサカ博士!」
助手の言葉で、わたしは目を覚ました。
「また研究室で居眠りして……風邪ひきますよ」
助手に言われて突っ伏していた顔を起こし、ズレた眼鏡をかけ直してから伸びをする。研究に熱中するあまり、いつの間にかデスクでうたた寝してしまっていたようだ。
そんなわたしを気遣いながら、助手は湯気の沸き立つココアを差し入れてくれた。
「博士、少しは御自身のことも大事にしてください。特に今日は、大規模デモンストレーションを控えているんですから」
……そうね、ありがとう。わたしが礼を言うと、助手は続けてこんなことを言った。
「あと、午後に面会のアポが一件ありますね」
面会? 誰だったかしら。わたしは首を傾げる。
「モナークの調査官だそうです。なんでも『博士にどうしてもお会いしたい』と」
そう言われて、わたしは自身のスケジュールを思い返す。
あー……そういえばそんな予定も入っていた気がする。しかし古巣のモナークから、それも調査官がいったい何の用事かしらねぇ。
そして昼を過ぎ、面会の時間がやってきて、わたしは基地の応接室でそのモナークの調査官と顔を合わせることになった。
「はじめまして、ヤサカ=ヒイロ博士」
わたしへ会いにやってきたモナークの調査官、それは若い女性だった。黒髪と肌の色からはアジア人、それも日系に見えるけれど、目鼻の顔立ちはくっきりとしておりハーフかクォーター程度にはアメリカ人辺りの血が混じっているようにも思える。
そしてその顔に、わたしは見覚えがあった。
「! えーと、あなたはどこかで……」
そう言いながらわたしは記憶の彼方を掘り起こそうとする。顔貌に覚えはあるのだが、名前がいまいち思い出せない。たしか、かなり前に『ガメラと交信した少女』ということで話題になっていた人物だ。名前はえーっと……。
「クサナギ=アサギです」
ああ、そうだったそうだった。〈クサナギ=アサギ〉さんね。
かつて『怪獣ガメラと心を通わせる少女がいる』ということで話題になっており、モナークでもマークしていたのでわたしも覚えていたのだ。
クサナギさんについては『レギオン襲来』において交信用アイテムのマガタマが砕けて以来、ガメラとの交信は途絶えたと聞いていた。その後どうしているのだろうと気にはなっていたのだが、よもやモナークへ加入していたのか。
驚くわたしに、クサナギさんは微笑みながら応えた。
「博士がご存知ないのも無理はないかもしれません。わたしがモナークへ入ったのは、博士が脱退されたそのあとのことですから」
「なるほどねぇ……」
妙な感慨にふけりつつ「で、どういったご用件ですか?」とわたしが訊ねると、クサナギさんはさっそく話を切り出した。
「博士がこの基地で進められている『研究』について、お話を伺いに参りました」
「研究?」
「ええ。まあ、単なる確認のようなものです」
まあ、たしかにわたしはモナークから見れば古巣を脱退したはぐれ研究員で、ある種のマッドサイエンティストみたいなものかもしれない。けれど、国際機関から調査されなきゃいけないような酷い悪事は何もしていないつもりよ?
冗談半分でそう茶化したわたしに、クサナギさんは愛想よく会釈しながらこう答えた。
「お手間は取らせません、問題が無ければすぐに帰りますので」
……ふむ。
クサナギさんはこう言っているけれど、変人偏屈の魔窟として知られるモナークとて曲がりなりにも国際機関、実際はモナーク脱退後のわたしの動向についてモナーク内部で何らかの疑義をかけられているのだろう。まあ、今わたしが進めている研究だって大っぴらにやっているものでもないし、何か後ろ暗い疑念を抱かれても仕方なかったかもしれない。
……ま、ちょうどいいかもね。思案の末、わたしはこう答えた。
「今日はちょうどその『研究』のデモンストレーションを予定していましたし、クサナギさん、あなたにも立ち会ってもらいましょう」
「えっ、よろしいのですか?」
それは思わぬ提案だったのだろう、クサナギさんは目に見えて戸惑っている様子だった。そんなクサナギさんにわたしは笑って返す。
「ええ。実物を見れば、きっと疑いも晴れるでしょうから」
わたしのマナエネルギー科学で取り扱う『マナ』とは、一言で言えば『生命エネルギー』のことだ。
もともとマナという名称は、太平洋諸島地域で信仰されていた神秘的な力の概念を指す言葉だった。しかしある人物が『地球の生態系を循環する生命エネルギー』を指す呼称として転用したことをきっかけに、ひいてはガメラや怪獣たちのエネルギーを指す言葉としても広く知られるようになった。
マナは地球環境の状況に応じて増減する。環境破壊や戦争、核実験などで地球環境が悪化すれば減少し、逆に回復すれば増加する。マナが多いほど地球環境は安定したものとなり、逆に減れば環境は激変して天変地異を引き起こす。
バルゴン、バイラス、ギロン、ジャイガー、ジグラ、ジーダス、そしてギャオス……このような怪獣たちが大量に発生した『怪獣黙示録』も、マナの増減と関連があったというのがわたしの解釈だ。実際マナエネルギーが激減した結果ギャオスの大量発生が起こったり、あるいは封印されていた怪獣が蘇って災厄をもたらすといった事例が多く確認された。そしてガメラもまた、地球環境中のマナを主なエネルギー源として活動していることがわたしの研究で明らかになっている。
ところで、ガメラについてこう非難する人がいる。
『そもそもガメラの活動によって地球環境のマナは消費されるのだから、ガメラが戦えば戦うほどより強大な怪獣を産み出す負のループが起こってしまうのではないか』
『実際、ガメラが宇宙怪獣レギオンを倒すために地球環境のマナを過剰に消費してしまった結果、ギャオスの大量発生を招いたじゃないか』
『そんなガメラにヒーローの資格なんかない』
こういう訳知り顔の批判を聞くたびに、当時の状況をろくに知らない分際でよくもまあほざけるよなクソ人間風情がとわたしは憤慨する。
これは当時の戦闘記録を見れば明らかなことだが、レギオンと戦ったときガメラは激闘の果てに限界を超えて追い詰められていた。もしあのときガメラがマナを消費してレギオンを倒してくれなかったら、今頃地球人類は皆殺し、地球環境もレギオンに食いつぶされて間違いなく滅亡していた。宇宙からの侵略者レギオンを殲滅するためには、他の選択肢などなかったのだ。
まあ、たしかにガメラがレギオンを倒すために世界のマナエネルギーを消費してしまったため、世界規模でのギャオス大量発生という代償を払うことになった。そのこと自体は事実だ。
けれど、近年の研究で大元を辿れば、そもそも宇宙怪獣レギオンが地球に飛来したこと自体が人間の活動によるマナの減少が遠因となっていたことが明らかになっている。つまり『ガメラがマナを~』論者は、自分たち人間の過ちを棚に上げてその責任をガメラへと擦り付けているだけに過ぎないのである。
そういう卑劣なクソどもを黙らせるために、わたしは“コレ”を発明したのだ。
「……さあ、御覧なさい」
クサナギさんを連れて実験棟に辿り着いたわたしは、眼下の演習場に聳え立つ“発明”を披露した。それを目の当たりにしたクサナギさんは、両目を見開いたままこうつぶやいた。
「“機械のガメラ”……!?」
そうとも。
驚くクサナギさんへ、わたしは自信たっぷりに答える。
「ここにいるのは機械のガメラ。その名も〈メカガメラ〉よ」
機械のガメラ、メカガメラ。
正式名称は『M.E.C.H.A.GAMERA:Mana Energy Conversion-driving Humanity Agent system of GAMERA(マナエネルギー転換により駆動する、人類によるガメラの代行者システム)』、つまりガメラの代わりに戦ってくれるロボット怪獣だ。
身長はおよそ60メートル。甲羅を背負った丸いシルエット、鋭い鉤爪を備えた逞しい四肢、下顎から突き出た巨大な牙、体のバランスも出来る限り本物のガメラに近づけた。その理由はマナエネルギー科学の都合からこの形態が最適という事情もあるのだけれど、やっぱりガメラへのリスペクトが一番の理由かな。
たとえば自分の代わりに戦うロボット怪獣がバイラスやギロンみたいな姿だったら、ガメラも敵と間違えて戦おうとしてしまうかもしれない。けれど、それが自分そっくりであったなら、ガメラだってきっと信用して任せてくれると思うのだ。
メカガメラの性能も本物のガメラと同じ、いやそれ以上だ。わたしは、眼前でメカガメラを操作するオペレータに告げた。
「“標的”をセットしなさい」
わたしからの指示で、演習場へメカガメラの“標的”が運び込まれてくる。
「アレは、ギャオス……?」
「ギャオスの亜種よ。体色が銀だからわたしはシルバーギャオスと呼んでるけどね」
ちなみに、このシルバーギャオスには人為的な操作が加えられている。まず飛んで逃げられないように翼を裂いた上で鎖で繋ぎ、さらに超音波メスで脱出されないよう声帯音叉を切除して喉を潰してあるのだ。
ここまでされてもシルバーギャオスは、その旺盛な生命力と獰猛さから死に物狂いで暴れていた。けれど流石のギャオスも、虎の子の超音波メスと翼を奪われてしまえば大したことはできないらしい。
そうこうしているうちに、オペレータの操作でついにメカガメラが動き出す。メカガメラのカメラアイに光が灯り、背中の甲羅のヒートシンクを展開して、そして金属質な咆哮を上げながらその大顎を開く。
「プラズマフレイムカノン、セットオン!」
その掛け声とともに、メカガメラの口内から伸びたカノン砲にプラズマの閃光が迸る。
「5……4……3……2……1……」
カウントと同時にメカガメラの口内で空気が燃え、煙が燻り始める。そのエネルギーの高まりが最高潮に達したその時。
メカガメラの口から、猛烈な火炎が放たれた。
あまりの高圧で放たれているためか、それはもはや火炎というよりもビームのようですらあった。向かう先は標的とされたシルバーギャオス。
迫り来る猛火にシルバーギャオスは鎖を噛み切って逃げ出そうとしていたが間に合わず、真正面から火炎の直撃を浴びてしまった。大爆発と共にシルバーギャオスの頭が吹き飛び、胴体が爆裂して手足が焼き尽くされる。
そして爆炎が収まったあとには、ギャオスの残骸は骨の欠片ひとつさえ残っていなかった。
「……さて、いかがだったかしら、メカガメラの威力は」
振り返りながら、わたしは傍らで呆気に取られていたクサナギさんへと解説した。
「口から放つプラズマ火球は見たとおり。他にも手足を変形させての飛行形態、回転ジェットでの飛行能力だってあるし、超音波メスやバリアーなどこれまで現れてきた怪獣たちの優れた要素を徹底的に研究してすべて盛り込んだ。その強さは本物のガメラ以上、まさに最強無敵、どんな怪獣が現れても負けることがないでしょうね」
そう自信たっぷりに説明したつもりだったのだが、クサナギさんは意外な感想を口にした。
「むごい……」
むごい? クサナギさんはいったい何を言っているのかしら?
わたしの疑うような表情に気づいたのか、クサナギさんはわたしへ向き直りこのように渋い顔で釈明した。
「いくらギャオスだからってあんな殺し方をしなくても、と思っちゃって……それに新兵器の実験台、それも試し撃ちの
……クサナギさん、あなた意外と
「ギャオスなんて人類の天敵でしょう? あの恐ろしい怪獣たちに食い殺されたり、傷つけられてきた人は大勢いるわ。あんな化け物風情に、同情の余地なんかカケラもないと思うけど?」
「それは、そうですけれど……」
ま、いいわ。
それでも腑に落ちて無さそうなクサナギさんのおかしな態度は水に流しつつ、わたしは言った。
「それで、クサナギさん。あなたの『確認』っていったい何なのかしら?」
「!」
メカガメラのあまりの威力に驚きっぱなしだったクサナギさんだが、わたしの言葉でやっと自分の本分を思い出したらしかった。
「あ、あの、メカガメラの『動力源』についてなのですが……」
「メカガメラの動力源? ああ、それなら……」
わたしが説明しようとした時だった。
〈――――ッ! ――――ッ!〉
研究棟に耳障りな甲高いサイレンが響き渡った。
「何事が起きたの!?」
わたしが基地のオペレータに訊ねると、レーダーを調べていた彼はすぐさま応えてくれた。
「この基地に怪獣が接近しているようです……確認が取れました、接近しているのはギャオスの群れです! その数はおおよそ数十体!」
「なんですって!?」
動転している様子のクサナギさん。けれどわたしは冷静に言った。
「……ちょうどいいわ、“アレ”もテストしておきたかったし。オペレータ、メカガメラをギャオス迎撃に差し向けてちょうだい」
わたしの指示を受けたオペレータは「了解」と答え、彼の操作でメカガメラは両手足を引っ込めてジェット噴射で浮き上がり、空中をホバリングしながら移動を開始する。
「な、なにを言って……?」
同時、戸惑うばかりのクサナギさんの手を取りながら、わたしは告げた。
「さあいらっしゃい。ついでに見せてあげるわ、メカガメラに搭載された『究極の機能』を」
そうして基地の屋上デッキへと移動した、わたしとクサナギさん。
眼下に広がっているのは基地の港湾と静かな潮騒、その入り江の浅瀬へと着陸したメカガメラ、そして頭上の遠い空には『紫の怪鳥の群れ』がこの基地へ向かって飛んできている。
……空を舞う紫の怪鳥。体長は目測で80メートル前後。頭は鋭利な槍のように尖っており、翼と足には獰猛な性質を表すかのような鋭いカギ爪が備わっている。怪鳥たちは獲物の人間を目の前にして興奮しているのか、どいつもこいつも下品に舌なめずりしている。血に飢えた様相そのままに空を羽ばたくそのシルエットは、まるで残忍な吸血鬼のようだ。
クサナギさんがその怪鳥の名を呟いた。
「ギャオス……!」
超遺伝子獣ギャオス。かつて古代文明が造り出したという人類の天敵にして、最凶最悪の負の遺産。そしてガメラは、そんなギャオスに対抗して世界を守り抜くために造り出されたのだと言われている。
……ならばちょうどいい。ギャオスを討滅するのがガメラの生まれた理由だというのなら、それを引き継ぐメカガメラの初陣がギャオスの殲滅になるというのも、ゲン担ぎとして最上じゃあないか。そんな不思議な暗合に、わたしは口元をにやりと歪めた。
そして今、メカガメラ最大にして究極の機能が披露されようとしている。わたしは告げた。
「MANAユニット、オンライン。出力100%!」
わたしの指示に「了解」と答えたオペレータが操作すると、メカガメラは次のシークエンスに移行した。
全身の装甲が展開し、両脚部からアンカーを打ち出してしっかり固定すると、腹部の装甲を一気に開く。
そんなメカガメラの姿に、クサナギさんも見覚えがあるようだった。
「あれは、まさか……!?」
屋上デッキの金網に縋りつき、食い入るように見つめるクサナギさん。当時の記録によれば本物のガメラが『その技』を使った現場に彼女は居合わせなかったはずだけれど、あるいは記録映像で観たのかもしれない。
とにかくわたしたちの眼前でメカガメラはエネルギーチャージを進めてゆき、そして高まった究極のエネルギーを解き放つ。
撃ち出されたのは、膨大な光の奔流。
メカガメラの腹部装甲から現れた巨大な砲塔、そこから怒涛の勢いで放たれた特大のビーム光線が、ギャオスの舞う空めがけて撃ち上げられた。高熱が空気を焼き、高音が大気を貫く。その閃光をもろに浴びてしまったギャオスの群れは、もはやひとたまりもない。一瞬で焼き尽くされ、跡形もなく蒸発してゆく。
メカガメラからのビーム光線が収まり、数十体のギャオスすべてが殲滅されるのを眺めていたクサナギさんは驚愕した顔で呟いた。
「今のは、ウルティメイトプラズマ……!?」
そんなクサナギさんに、わたしは誇らしく説明する。
「そうよ。名付けて必殺、『ネオ・ウルティメイトプラズマ』!」
かつてガメラが宇宙怪獣レギオンを殲滅するために用いた最終奥義:ウルティメイトプラズマ。あまりに強力だが、地球環境のマナを大幅に消費して環境を激変させてしまうため滅多に使えない、まさにガメラの奥の手である。
メカガメラのネオ・ウルティメイトプラズマはそれをメカニズムで再現したものだ。わたしの長年のマナエネルギー科学研究を形にした、地上最強の究極兵器。
破壊力は本家ウルティメイトプラズマそのまま、ただし本家と違うのはこちらは地球環境のマナを消費せずに撃てるところにある。つまりいくら撃ってもギャオス大量発生なんか起こさない、まさにクリーンなウルティメイトプラズマなのである。
まあもちろん“エネルギー源”は必要なのだけれど、本家ウルティメイトプラズマが引き起こす地球環境への悪影響を考えれば微々たるものだろう。
メカガメラによるネオ・ウルティメイトプラズマ。そのあまりの破壊力に圧倒されていたクサナギさんだけれど、すぐに我へと返ってこう訊ねた。
「し、しかしそんなことが……いったい、どうやって……!?」
ああ、それはね、とわたしが教えてあげようとした途端、メカガメラは次の動作シークエンスへと移った。
ガシャコンッと金属音とともにメカガメラの甲羅のヒダが一枚めくれ上がり、そこから露出した排出用ダクトから巨大な金属のポッドが吐き出された。
「ほら、ごらんなさい。今捨てたのがメカガメラの動力源、『
メカガメラの体内でエネルギー切れになったMANAポッドが排出され、同時にシステム内部で次弾のMANAポッドへと切り替えが行なわれる。特にネオ・ウルティメイトプラズマはエネルギー消費が激しく、MANAポッドを丸々一本消費してしまう。この切り替えのタイミングで生じる『十数秒程度の停止』、そしてこの『排出用ダクトの存在』こそがメカガメラの弱点といえば弱点だろうか。
そんなわたしの技術的な解説をクサナギさんは黙って聞いてくれていたけれど、やがて口を開いた。
「……そのMANAポッドなのですが」
MANAポッド? あれがどうかしたの?
首を傾げるわたしに、クサナギさんは意を決した様子で訊ねた。
「MANAポッドって『中身』はいったい何なんですか?」
ああ、そのことか。あれはね。
「人間の子供よ」
今日の午前中、クサナギさんと面会するより前のこと。
メカガメラの整備ドックで、MANAポッドの装填作業にわたしは立ち会っていた。
「オバサンたち、だぁれ……?」
今日ここに集められたのは、貧しい国からやってきた子供たち。どの子も、親や親戚から見放され、売り飛ばされてここにやってきた身寄りのない子供たちだ。表では口に出せないようなルートを介して身元をロンダリングされ、どこの国の何者でもなくなった彼らは、複雑な経路を経てこの基地へと運び込まれてきた。
「なに、するの……?」
「ねえ、パパは? ママは? うちにかえれるんだよね……?」
「こわいよお……!」
これから何が行なわれるのか、彼らには理解できずにいるのだろう。口々に怯える子供たちを前にしながら、わたしは配下の兵士たちへ告げた。
「装填しろ」
わたしからの命令を受け、周りの兵士たちが動き出す。怯えるばかりの子供たちを引っ立て、拘束したまま空のMANAポッドの中へと押し込んでゆく。
「パパァ!! ママァ!!」
「いやだ、いやだよう!」
「はなしてぇ! うちに かえしてぇ!」
MANAポッドに入れられるとき子供たちは皆一様にそうやって泣き喚いていた。あーやだやだ、泣き喚くガキって本当耳障りで嫌いだわ。
そうやって内心うんざりしていたわたしは、その中で一人だけ妙に落ち着いている子供がいるのに気がついた。
「……どうしたの、なにかあるの?」
気になったわたしが目線を合わせて訊ねてみると、その子供は毅然とした表情でこう言った。
「……ガメラはきっと助けに来てくれる」
どうしてそう思う? わたしがさらに問うと、子供はポッドに押し込まれながらこう声を張り上げた。
「だってガメラは子供の味方だもの! おまえみたいな悪者、きっとやっつけてくれるよ!」
……ふん。おまえごときニワカのガキ風情に、ガメラの何がわかる。
不愉快なガキの顔をこれ以上見たくなかったので、わたしはポッドのケースを力任せにバタンッと閉じて、そのままマナ抽出のシークエンスを開始した。
「――――ということがあったのよ」
まったく、いくら貧しい国の子供とはいえ、しつけのなってないガキもいたものよね~。そんじょそこらの悪党ならともかく、言うに事欠いてガメラの味方であるこのわたしを『ガメラがやっつけてくれる』なんてあるわけないじゃない。
そんなわたしの冗談交じりの説明を黙って聞いていたクサナギさんは、俯いたままこんなことを言い出した。
「……信じたくはなかった」
なんだって?
「ヤサカ博士、あなたのマナエネルギー科学の理論、あれにはわたしも感銘を受けたんです。あなたのマナエネルギー科学の研究を進めれば世界を救える、ガメラだってもう戦わなくて済む。わたしもそう思ってました」
そう? ガメラとかつて心を通わせたというクサナギさんにそこまで共感してもらえるなんて、実に光栄だわ。
わたしはそうやってにこやかに微笑んだのだけれど、クサナギさんの言葉はなおも続いた。
「だから今回の調査も自ら志願したんです、『あなたのような人がそんなことをするはずがない』と証明したかったから。けれど、まさかそのあなたが、こんな恐ろしいことをしていたなんて」
そして顔を上げたクサナギさん、その表情は毅然としたものに変わっていた。
「ヤサカ=ヒイロ博士、あなたのことは司法で裁いてもらいます。あなたのやっていることは、到底許されるものではないッ!」
『到底許されるものではない』? ちょっとちょっと、クサナギさんはいったい何を言っているのだろう。
わたしが顔をしかめていると、クサナギさんはこんなことを言い出した。
「だってそうでしょう!? こんな非人道的な実験、許されると思ってるんですか!?」
まったく、クサナギさんは何を言っているのだろう。わたしは答えた。
「『非人道的な実験』? わたしはむしろ世界を救う研究だと思うのだけれど??」
「世界を救う研究、ですって……?」
絶句するクサナギさんに、わたしは「そうよ」と頷いて次のように説明してあげた。
「……たしかに、ガメラを批判する人たちが言うとおり、ガメラが戦えば戦うほど地球環境のマナが消費されて地球環境は悪化してゆく。地球環境を守るためにも、ガメラにこれ以上戦わせてはいけないのでしょうね」
けれど、かといって文明の発展は止められないし、怪獣たちに甘んじて踏み潰されてやるわけにもいかない。ガメラがこれまで捧げてきてくれた命懸けの戦いは、決して否定されるべきものではないのだ。
「それなら代わりに戦う
そしてマナは万物のエネルギー、言い換えれば人間の体内にもある。わたしの長年の研究によれば、人体のマナは乳児期から蓄積され始め、少年期を最高潮として以降は増加せずに加齢と共に減衰してゆくことがわかった。
つまりガメラの代行者であるメカガメラを動かすなら、人間の子供を動力源にするのが一番エネルギー効率が良いのである。
「そんなことって……!?」
「『そんなことをしたら子供が減って困るんじゃないか』って? そんな心配は要らないわ」
豊かな先進国では少子高齢化が問題になっているようだけれど、世界全体のスケールで見れば『怪獣黙示録』がひと段落ついてからの地球の総人口は増え続ける一方だ。先進国で子供が生まれなくなったのに対し、発展途上国ではその不足分を補っても余りあるほどに沢山の子供が生まれ続けている。
つまりメカガメラの動力源に使えるような子供なんか、いくらでもいるのだ。むしろ人間の数が増えすぎて地球環境のマナを食い潰しているくらいなのだから、ちょっとくらい減らしてあげた方がバランスが取れて良いんじゃあないかしら? こんなのやむを得ない犠牲、コラテラルダメージでしょ?……
現代の社会情勢にも則った、極めて論理的かつ合理的な考えだとわたしは思うのだけれど、マナエネルギー科学については素人に過ぎないクサナギさんには通じないらしかった。
わたしからの解説を聞いたとき、クサナギさんの顔に浮かんでいた表情は、戦慄。
「……正気で言ってるんですか?」
ええ、もちろん。これ以上ないくらいにね。わたしは自分の考えを説明する。
「わたしのプランに賛同する人だって沢山いる。たとえばこの国の将軍たちもそうだし、先進国の御偉方もそう。皆、自分自身や自分の子供は可愛いくても、どこか遠い貧しい国の子供のことなんか知ったことではない。だからこそ、メカガメラ計画はこうして形になった。そうでしょう?」
わたしは、理路整然とした理屈を離してあげたつもりなのだけれど、そんなわたしの平静な態度がかえってクサナギさんにはひどくショックだったらしい。クサナギさんは嫌悪感を隠そうともせず、こんな感想を述べていた。
「狂ってる……どうかしているわ。子供の命を何だと思ってるんですかっ!?」
「そう? どうかしてるのはわたしたち人間の方じゃあないかしら」
「なんですって?」と驚くクサナギさんに、わたしは「だってそうじゃない」と笑って答える。
「人間ときたら欲深で、浅はかで、底無しに愚か、これまでもそうだし、きっとこれからもずっとそうでしょうね。人間ときたら、ガメラの慈悲にずっと甘ったれるばっかりだったじゃない」
そう、ガメラはいつだって人間の犠牲にされてきた。彼こそヒーロー、正義の怪獣だったのに。
「むしろ、ガメラのことを真に考えてあげられていないのはクサナギさん、あなたの方じゃあないの。ガメラはいつだってわたしたち人間のために戦ってくれたけど、ガメラだって本当は傷つくのは嫌だったはずよ。いつまでも愚かなままの人間たちのことを捻り潰してやりたいと思ったことだってあったはずだわ。けれどガメラはそれらすべてをずっと我慢して、これまで散々傷ついてきた。だからこれからは人間の方こそ血を流して然るべき、そうじゃない?」
わたしがそう教示してやると、クサナギさんはその可愛らしい顔を精一杯に歪めて睨みつけながら、こう言った。
「……あなた、クラタ=シンヤと同じことを言うんですね」
クラタ=シンヤ、という名前でわたしは思い返す。
クラタ=シンヤといえば生命エネルギーの概念としてマナを提唱し、ひいてはわたしのマナエネルギー科学研究の礎となった人物だ。かつてガメラが怪獣イリスと戦った際にその巻き添えで死亡したと聞いていたけれど、クサナギさんとも面識があったのか。
そんなことを思っているわたしに、クサナギさんは続けて言った。
「ガメラがこんなことを望むと、本気で思ってるんですか?」
ガメラが望むか? 痴れたことを……。
そうやってわたしたちが言い合いをしているときのことである。
遠くの空から、空気を切る回転音が聞こえてきた。
……たとえ人道や倫理さえ忘れたとしても、この音だけは忘れない、忘れられるはずがない。子供の頃からのわたしの原点で、わたしが愛した最高のヒーロー。
空の彼方へ目をやれば、回転ジェットで空を舞う巨大な“甲羅”が近づいてくるのが見える。
やがて空飛ぶ甲羅は回転ジェット状態から頭と手足を伸ばし、盛大に水飛沫を上げながら基地の港湾、その浅瀬へと着陸する。
……その身長はおよそ60メートル。甲羅を背負った丸いシルエット、鋭い鉤爪を備えた逞しい四肢。下顎から突き出た巨大な牙、けれどその瞳はとても優しい。かつて子供の頃に見たときと、『彼』は何も変わっていなかった。
嗚呼、わたしは叫んだ。
「来てくれたのね、ガメラ!」
ああ、きっとガメラはわたしの素晴らしい発明を見に来てくれたんだわ! 入り江へ堂々と降り立ったガメラに向かって、わたしは大手を振って気を惹こうとした。
「ねえ、ガメラ! わたしのこと、覚えてる? わたし、あなたに助けられたことがあるの!」
そしてわたしは、ガメラにありったけの思いをぶつけた。
「わたし、あなたのために頑張ったんだ。あなたたち怪獣やこの世界のことをいっぱい勉強して、いっぱい働いて、いっぱいいっぱい頑張ったんだよ! おかげでわたしは立派な科学者になれて、最強のメカガメラを造り上げることが出来た。人間はもうあなたに頼らなくても、自分の力で怪獣どもと戦える力を手に入れることができた!」
ほら見て、これがわたしのメカガメラ! これさえあれば、ガメラはもう戦わなくていい。人間なんかのためにもう傷つかなくていい。今度こそ、あなたは自由!
……そのはずなのに。
「どうして喜んでくれないの……?」
わたしが声を枯らして一生懸命に想いを伝えているのに、ガメラはそんなわたしをじっと見つめているだけだった。
こちらを見るガメラの目つきにはかつて子供の頃のわたしを助けてくれた時のような、優しい温もりは何も感じられない。あるのはおぞましい虫けらでも見下ろすような、冷たい軽蔑と深い憐れみだけだ。
……もしかしてガメラはこれまで沢山の子供を助けてきたから、そのうちの一人に過ぎないわたしのことなんか忘れてしまったのだろうか。わたしの方は、片時だってガメラを忘れたことなどなかったのに。
わたしはなおも声を張り続けた。
「わたしが子供じゃないから、歳をとってオバサンになってしまったから、わからないの? わたしはあなたの味方よ……」
わたしがそれを言い終わらないうちに、ガメラは驚くべき行動に出た。
ガメラは口からエネルギーを迸らせ、やがてプラズマ火球にして撃ち出す。狙った先はなんと、メカガメラだ。
――轟ッッ!!
――バチィッ!!
メカガメラは咄嗟の自動防御で電磁シールドを発動し、激しいスパークを伴いながらガメラのプラズマ火球を防いだ。
これはレギオンのバリアーを分析再現したもので、本来はレギオンの破壊光線やギャオスの超音波メスへ耐え抜くために開発したものだ。だけどまさか、よりにもよってガメラのプラズマ火球を防ぐことになるなんて。
一発目が通じなかったのを見たガメラ、けれど諦めずに幾度も幾度もプラズマ火球を撃ち続けた。
「待って、ガメラ!」
なおもメカガメラめがけてプラズマ火球を撃ちまくるガメラに向かって、わたしは即座に声を張り上げた。
「メカガメラはあなたの敵じゃあない、むしろ味方よ! あなたの代わりに戦ってあげようとしているだけ! なのになぜ攻撃するの!?」
わたしは必死にそう叫んで訴えるのだけれど、ガメラはまったく聞き入れようとしてくれない。なんで、どうして……!?
そんなわたしの肩を、クサナギさんが掴んだ。
「わからないんですか、ヤサカ博士!」
そして、正面から向き合いながらわたしへ怒鳴りつける。
「『子供を電池にして戦うメカガメラ』なんて、ガメラがそんなおぞましいもの、許すわけがないじゃないですか!」
そんなバカな、なぜ!?
「だって、ガメラは子供の……」
クサナギさんが何かを言いかけたとき、突然わたしは両脇を配下の兵士たちに抱え込まれた。
「い、いったい何の真似ですか……!?」
見ると、クサナギさんも兵士たちに取り押さえられている。クサナギさんは藻掻いていたが、屈強な兵士たちに抑え込まれてしまってはどうにもならないようだった。
わたしは両脇の兵士に怒鳴った。
「な、なによう!? わたしはこのプロジェクトの責任者よ!? いったいどういうつもりで……」
「それはもう終わりだ、博士」
わたしにそう声をかけながら現れたのは、一人の将校だった。このメカガメラ建造計画に最初期から参加していた人物で、わたしとも顔なじみだ。
その将校が、兵士たちに拘束されたわたしへ言い放った。
「ヒイロ=ヤサカ・フローベラ博士、あなたの怪獣ごっこに付き合うのもここまでだ」
なんです、って。
愕然とするわたしに、将校は続けた。
「見たまえ、ガメラは我が国へ明らかに敵意を示している。ここまで来てはこちらも対抗するしかない、このメカガメラでな」
そんな、やめて、おねがい!
わたしは縋りつこうとしたけれど、将校は取り合わずに冷たく答えた。
「忘れたのかね。今まで我々があなたのメカガメラ建造計画へ出資してきたのは『怪獣の脅威からこの国を守るため』だ。あなたの怪獣へのくだらん思い入れのためではない。メカガメラ完成までに、我が国は湯水のようにカネを注ぎ込んできたのだ。それをあんな怪獣のために、むざむざ壊されてたまるか」
やれ、と指示を下す将校に、「了解」と答えるオペレータ。その操作でメカガメラが動き出し、プラズマ火球を撃ちまくりながら暴れているガメラに向かって攻撃を仕掛けてゆく。
「やめてえ! おねがいぃ! ガメラァ!!」
わたしは泣き叫んだけれど、それを聞き入れようとしてくれる者など一人もいない。
ガメラとメカガメラ、ガメラ同士の死闘が始まった。
ガメラVSメカガメラ、最初優勢だったのはメカガメラの方だった。
バリアー、超音波メス、虹色の殺人光線にネオ・ウルティメイトプラズマ。何しろメカガメラはガメラ自身の能力に加えて、これまで倒されてきた怪獣たちの優れたところばかりを結集したまさに究極の対怪獣兵器だ。いくらガメラと言えども苦戦は必至だった。
そんなメカガメラからの猛攻に耐え抜きながら、ガメラはそれでも勝機を見出した。
『MANAポッド排出と切り替えのタイミング時、メカガメラは必ず無防備になる』『そしてその排出用ダクトは甲羅のヒダを一枚剥がした下にあり、体内へと通じる急所である』というメカガメラの弱点。その隙を突いたガメラは、メカガメラの背面へと組み付いて装填途中のMANAポッドをすべて引きずり出し、さらにそのままMANAポッド排出用ダクトからメカガメラの体内へプラズマ火球を撃ち込んだ。
――どかーん!!
おかげでメカガメラは内部で循環していたマナエネルギーが完全に暴走、そのまま内側から爆裂して木端微塵になってしまった。今のメカガメラは装甲も何もかもバラバラに吹き飛んでしまって完全なスクラップだ、もはや修理も不可能だろう。
メカガメラの動力ユニット、MANAポッドから助け出された子供たち。その殆どはメカガメラによって体内のマナエネルギーを貪り食われて息絶えていたけれど、一人だけまだ息があった。
「……ほらね」
ただ一人生き残ってそう口を開いたのは、実験前にMANAポッドヘ入れられるとき「ガメラはきっと助けに来てくれる」とわたしへ言い切った子供だった。クサナギさんに抱きかかえられたまま、その子供はこんなことを言った。
「やっぱりガメラはちゃんと来てくれた。助けに来てくれてありがとう、ガメラ」
生きるための生命エネルギーを限界まで吸い尽くされて、もはや何も見えていないし聞こえてもいないだろうに、どういうわけかガメラが傍にいることだけはわかったらしい。子供は、息も絶え絶えに
「ガメラは、子供の味方なんだ……」
そう言い残して、その子供はがくりと事切れた。苦痛に満ちた最期だったはずなのにその表情はとても安らかで、ともすると穏やかに微笑んでいるようにも思える。
わたしも、クサナギさんも、兵士たちも、もはや誰も何も言葉に出来なかった。その中でただひとり、ガメラだけが空を仰いで雄叫びを挙げた。
「―――――――――――ッッ……!」
長く、長く、響き渡るガメラの咆哮。
わたしにはそれが、ガメラの悲痛な慟哭のようにも聞こえた。
昭和期では頻出なんだけど平成では出てこなかったキャッチフレーズ「ガメラは子供の味方なんだ!」を題材に書きました。
あと「メカガメラっていないよなあ」って前から気になってたんですよね。
・前回はこちら
・ガメラ絡みの別のネタはこちら
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