六対目は最後まで取って置く ~これでいいのだ!~   作:アルポリス

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一応再開という形になるでしょうか。


死霊使いからの招待状

 

 二人の新人トレーナーが旅立って二週間、私は故郷マサラタウンでゆっくりとした時間を過ごしていた。最初は彼らの後をストーカーの如く見守ろうと思ったものの、爺様やアイに過保護すぎると反対され…見守ることは私にとって交わりではないと思っていた…すぐ下の妹にたまに帰ってきたのなら一緒に過ごして欲しいと懇願されてしまったのでその案は却下された。

 

 

 

 爺様の家にて私の手持ちポケモンは妹のブラッシングテクニックをもってメロメロにされている。特に女王などは妹のブラッシングを特に気に入っているのか、日に何度も求めてくる。妹も女王の我侭を嫌な顔一つせず叶えてやるのだから私としては頭が上がらない。

 

自慢ではないが、私のポケモンは強いが一癖も二癖もある。我侭だし、私の言うことをほとんど聞かないし、逆に私がお願いしなければ戦ってくれないし、未だに私を亡き者にするため虎視眈々と機会を伺っているものもいる……あれ、ほんと自慢にならないな、涙が出てきそうだ。

 

そんな我が強い私のポケモン達、反発するのは目に見えて明らかである。当然仲が良いとは決していえない、かといっていざタッグバトルになれば相手を叩きのめすという単純な共同理由を掲げピッタリと息を合わすのだから自分のポケモンなのにも関わらず理解に苦しむ。

 

 今も女王はブラッシングされながら鼻歌を念波で奏でるという器用な行為を四方八方に送りながらご満悦だ。

 

 私はお茶を飲みながらその光景を見ていた。

 

「毎回思うけど姉さんの女王は凄いわ。この髪質なんてそこらのポケモンにはありえない代物よ……何か特別な手入れをしているのかしら」

 

 さらさらと流れる髪通りを指で確かめながら妹は感嘆の思いを込めた熱い吐息を吐き出す。

 

『流石ナナミじゃ、この髪質を見抜くとはメリーの妹だけはあるの。実はのう、ポケモン達が食す実の中には美容に良いものも数あるのだ、その中のいくつかは相乗効果をもたらすものもあるのじゃ、それを髪に塗り込んだり食したりすることでこの髪質を作り出せる。これは我の秘密だったのじゃが、ナナミだからこそ教えよう』

 

 褒められて女王の機嫌は滝登りの如く上がっているようだ。私に感知させないよう起用に妹だけ念波を送っている。

 

「まあ、あの実とあの実にそんな効果があるなんて、私もコーディネーターとしてまだ学ぶべきことはたくさんあるのね」

 

 妹が女王に感謝を述べれば、その心意気と弛まぬ向上心に満足したのか、ジュラァと声をあげ、モンスターボールの中に帰っていった。

 

 

「うふふ、姉さんとその仲間たちはとても素敵な関係ね」

「どこをどう見たらそう言える、私の言うことをあまり聞いてはくれないじゃないか」

「あら、バトルの時は息が合っていると思っていたけれど?」

「普段の状況を言っているのだが……もう少し落ち着いてもらえないかねぇ」

「いやだわ、姉さんこそ、そんなこと望んでないくせに」

 

 妹にそう言われ、黙ってお茶を口に含んだ。図星だから反論できない。

 

 空になった湯飲みに尽かさず妹がお茶を注ぐ。こういった卒のないところが好ましい。将来はきっとたくさんの縁談に巡り合うだろう、まあ、取るに足らない男ならば私や弟が排除するだろうが。私と弟はシスコンですが、なにか? キリッ!

 

 

「そろそろ二週間、姉さんもゆっくり出来かしら?」

「そうだな、久方ぶりにおもいっきり体を休められた気がする。やっぱり実家は心象が違うな、旅先とは違って張り詰めた気が緩められた」

「姉さん、二週間前は酷かったわよ」

「そんなにか?」

「ええ、家族が気づく程度には、ね。姉さんは辛いとかを上手く隠せるから私は気づけないことも多いけれど、今回は隠し通せないほどだったみたい」

「隠しているつもりはないんだけど…」

 

 私がそう言えば、妹が呆れたのかため息を吐き出す。

 

 

「なら、自分でも気づけずにいるのね、それで無意識に隠してしまうなんて、どれだけ姉さん、マゾなの」

「こら、そんな言葉使ってはいけません」

「私も十六よ、世界は広がり色々なものが目にも耳にも入ってしまうわ」

「ナナイちゃん、良い子だから、君にその世界を教えてしまった罪人の名前を教えなさい。少しポケバト言語という名のお話をするから」

 

 

 爺様の研究所に居る若い研究者か? もしかしてコーディネーター仲間の若い男なのか? その後に待つのはお付き合いという名の交際なのか? お姉ちゃんは許しません! まだ、早すぎるっ!!

 

 

「流石に姉さんでも不特定多数を相手にするのは無理だと思う」

「理解した、これからテレビ局を破壊する」

「無駄に感が良いところは人間やめている気がするわね。やめてちょうだい、犯罪者の妹にはなりたくないわ」

「あれ、今さらっと私の心が悲鳴を上げそうなお言葉を頂いたのですけど? それが本心ならお姉ちゃんは泣いちゃうよ?」

「半分は冗談よ」

「止めを刺された気分!!」

 

 およよ、と泣き崩れて机につっぷす私に妹は声を上げて笑う。いや、笑い事じゃないからね、お姉さんは家族に嫌われるのが一番堪えるからね。

 

「それにしても我侭を言って無理やり姉さんを留めておいて正解だったわ。良い顔している」

 

 え、この泣き崩れたであろう顔が良いだと……妹よ、お前は……サ

 

「違うから。何時もの姉さんの表情に戻ったということだから。これでまた旅ができると言っているのよ。そろそろ、旅立ちたいと思っているのでしょう?」

「ん、まあ、私もそう思っていたところだけど…」

 

 言葉を濁すかのような物言いに妹は分かっていると言いたげに苦笑を浮かべる。

 

「過ごしやすい環境から離れるのは結構苦痛に感じるものよね、私もそうだったから分かるわ。目的の無い旅ならなお更よ。そんな姉さんに目的を与えてあげましょう」

 

 言って、妹は懐から一枚の葉書を取り出すと私に差し出した。

 

「三日前に姉さん宛で来たの、これが理由になるんじゃないかしら」

 

 手渡された手紙を読めば、ただ一言こう書かれていた。

 

 

 

 

 ポケモンタワーにて待つ。

 

 

 

 

 

 私の顔が青白くなるのを楽しそうに眺める妹は絶対喜んでいるに違いない。氷の女王様と話が合うわけだ……だって一人と一匹はサドだもの。

 

 消印は確かに三日前となっている、絶望的だ。

 

「ナナイさん、どうしてその日に渡してくれなかったのかな」

「これで是が日にでも旅立たなければならなくなったでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マサラタウンに私の絶叫が木霊したのは言うまでもない。

 




 ただ、毎日のようには更新できません。

 もう一つの方も同時で進行しているので。

 申し訳ありません。
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