きんいろモザイク ~plus α Road Days~   作:T93

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忍の風邪&陽子の手紙編、クライマックス!!
※別にそんな壮大な話ではない(笑)


第15話~こうちゃのちしのぶあめ~

 俺は今、ある所に電話をかけていた。

 

『プルルルルル…ガチャッ!はい、大宮です』

 

「あ、しののお母さんですか?」

 

『あら、峻君じゃない。忍ならもうほとんど良くなったわよ。まあ、大事をとって明日も休ませるけど』

 

「それはよかったです。で、そのしのとちょっと話がしたいんですけど、大丈夫ですかね?」

 

『ええ、大丈夫だと思うわ。ちょっと待っててね?』

 

 しののお母さんがそう言った後、俺の携帯から保留音が聞こえてきた。

 

 そして暫くして、保留音がピタッと止むと、

 

『もしもし、峻君ですか?』

 

 しのの声が聞こえてきた。声の調子はもういつもとほとんど同じで元気そうだった。

 

「ああ。しの、もう熱は大丈夫か?」

 

『はい。もう平熱に近いです。まあ、明日も休みますから登校できるのは来週になっちゃいますが』

 

 今日は木曜日で明日は金曜だからなあ。

 

「まあ、無理しない方がいいからな。………んで、ちょっと話が変わるんだけどさ」

 

『なんですか?』

 

「………お前昨日、下駄箱になんか入れたか?」

 

『え?……ああっ!アリスに頼んだあの手紙ですか?』

 

 ………………。

 

 俺が何故しのに電話でこんな事を聞いたのかと言うと、それは俺が大宮家に電話をかける数分前までさかのぼる。

 

 

 ~回想。~

 

 陽子に届いたラブレター(と思しき手紙)を陽子が読み上げるのを、俺、綾、アリス、カレンが黙って聞く体勢でいた。そして、陽子が読み上げたその文面は──

 

 

『お久しぶりです 忍です

 イギリスはどうですか

 日本の天気は晴れです

 アリスは元気に小さいです

 

 ではまた

 

      (↑を英語に訳しなさい)』

 

 

「「「「「…………………」」」」」

 

 陽子が読み上げた文面を聞いて、俺達は陽子も含めて何にも言えなくなっていた。

 

 そして暫くすると俺は綾と顔を合わせ、お互い数秒見つめあった後、合図もなしに2人揃って、

 

「「何これ!?」」

 

 と大声で叫んだ。

 

 ~回想終わり。~

 

 

 そして、あの奇妙な手紙の真相を知るべく、調子を聞くついでで、元凶に電話をしたわけだ。

 

『アリスのご両親とお話したくて、アリスに英訳をお願いしようと紙に書いといたんですよ』

 

「ほうほうなるほど。と、ホシは供述していますが、どう思いますか被疑者陽子さん」

 

 スピーカーモードにしていて話を聞いていた陽子に俺は振った。

 

「あの……、私ん所に入ってたんだけど」

 

 俺に少し近づいて陽子はしのにそう訊いた。

 

『あれ?そうだったんですか?』

 

 しのはあんまり悪びれずそう受け答えた。

 

 そういや今思い返すと、しのの容態が悪化した時、下駄箱の所からなかなか来なかったが、下駄箱に例の手紙を入れてたから遅れてたんだな。まあ調子が良くなかったからもたついてたのもあると思うが。

 

 そんな状態なら下駄箱の位置を間違えるのも無理はないとも思うが…。

 

「そもそも、なんで下駄箱に入れたんだよ」

 

 そんな用事なら、家でも学校でも何処でもアリスに聞けただろと俺はしのに問いかける。

 

『ゲタ箱に入れたらラブレターっぽいかなと思いましてー♪』

 

「思いましてー♪じゃねぇよ!だからなんで、ラブレターぽくしたのかって聞いてんだよ!!おかげで今日、とある人物は無駄に一日中もんもんしてたんだからな!!」

 

「し、してないわよ!!(小声)」

 

『それはそれは!ウフフ。陽子ちゃんドキドキしちゃいましたか!?』

 

「ガッカリしたよ…」

 

『あれ!?』Σ( ˙꒳˙ )

 

 しのの話を聞いた俺と綾と陽子は、精神的に脱力したのであった。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 俺達は校舎を出て、雨が止んで小さな水溜まりが数箇所出来てた校庭を歩いていた。

 

「まあ、しのが元気そうでよかったわ」

 

「うん!」

 

「シュンだけでもジューブン面白いノデスガ、シノも居ないとつまらないデス」

 

「おいカレン、それどーいう意味だ」

 

「今日一日、しののイタズラに振り回されたけどなー…」

 

 陽子はそう言って、ため息をついた。

 でも主に振り回されてたのは綾であって、お前は手紙の事なんて放課後まで忘却の彼方だっただろうが。

 

「まあ、良かったじゃない。よく考えれば陽子にラブレターなんて、あり得ないしね」

 

「そうだな。まずその時点でその考えを撤回すべきだった」

 

「カチーン!なんだってー!?」

 

 怒った陽子を見て、俺と綾は笑いあった。

 

 特に綾は、吹っ切れたようにいい笑顔をしていた。

 

「アヤヤ、ご機嫌デスねー」

 

「何でだろー」

 

「♪」

 

 そんな綾の様子をカレンとアリスは不思議そうに見ていた。

 

 

「んじゃま、早く帰ってしのの看病するぞ、アリス」

 

 校門を出た所で、俺はアリスにそう言う。

 

「うん!……………ん?ちょっと待って?」

 

「どうした?」

 

「……今日は確かシュン、バイトの日じゃなかったっけ?」

 

「……………あ"っ」

 

 アリスの発言に俺は思わずそんな声をこぼした。

 

 そうだった…。火、木、土曜が俺のバイトの日で、今日はその内の木曜日だった…。

 

「なんて薄情なんだ俺は……」

 

「そんな事ないよっ!?」

 

「そんなに言うんデシたら、今日は休んだらどうデスか?」

 

「俺が風邪ひいたわけでもないのにそんな連絡したら松ば…、バイト先の人達に迷惑かかるだろうが!もうバイト時間近いし!」

 

「変なところ真面目だよなー、こいつ」

 

「ほんと」

 

 

 というわけで、俺はバイトに向かう事にした。

 

「じゃあアリス、しのの事頼んだぞー…」

 

「うん、任せて!」

 

「あ、松木さんに会ったらちゃんと挨拶するんだぞー?」

 

「大丈夫!わたしもう松木さんとは普通に話せるから」

 

「そうか。あ、犬は大丈夫か?」

 

「うっ…。か、傘を盾にするから…!」

 

「あと、雨上がりで水溜まり多いから、車とかによく注意して歩いていくんだぞ。えーと、それから…」

 

「過保護すぎない!?」

 

「シュン、アリスの親みたいデス」

 

 皆にそう呆れられながら俺はバイト先へと向かって行った。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「そっか、お友達が風邪をひいちゃったんだ」

 

 俺は今バイト先、『Restaurant Mathubara』で店の清掃中、穂乃花に友人が風邪をひいてしまった事を話していた。

 

 別に俺が話したくて話したのではない。ここに来た時に俺がなんだか元気がないように見えたと穂乃花に指摘され、なんやかんやで話す事になってしまったのである。

 

 なんやかんやってなんだ、ちゃんと説明しろと言われても、なんか穂乃花には毎回どういう訳か、いつの間にか話してしまってるんだよなぁ。

 

「言ってくれたら、私がお母さんに峻君を休ませるよう頼んであげたのに」

 

「いやいやいや。友達の風邪の、しかも治りかけの看病で急に休んで、穂乃花や穂乃花のお母さんに迷惑かけられないから」

 

 急すぎるシフト変更の補いはそんな簡単じゃないはずだ。

 

(うち)、平日はそんなに繁盛するわけでもないから大丈夫なんだけどな」

 

飲食店(ここ)の娘が、そんな事言っちゃあダメだろ」

 

 そんな会話をしつつ、俺達は店のバイトを続ける。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 今日のバイト時間が終わった7時ちょっと過ぎ、俺は店の従業員用更衣室で学校の制服に着替え直して、帰り支度をしていた。

 

 しのの様子を見に行きたいところだが、近所とはいえこんな時間にお邪魔しに行くのは気が引けるから今日のところはやめておこう。

 

「峻く〜ん!」

 

 店を出て、今日はもう家に帰って『ぐ○ナイ』でも観てようかと思っていたら、突然穂乃花に呼び止められた。

 

「どうした?」

 

「これ、よかったらあげる」

 

 そう言って穂乃花は筒状の小さい袋を数個差し出してきた。

 

「これは…、スティックの紅茶粉末?」

 

「うん。風邪をひいたお友達に飲ませてあげて!喉に良いかなと思って」

 

「いやでも、なんだか悪いって」

 

「余らせてたやつだから、気にしないで?あ…、もしかしてそのお友達、紅茶苦手だった?」

 

「いや、むしろ大好物だよ。………わかった、有難く貰っとくよ。ありがと」

 

「どういたしましてっ」

 

 穂乃花はそう言いながら、ニッコリ笑った。

 

 ……あいつにゃ世話になりっぱなしだなぁ。

 

 そう思いながら俺は自宅へと帰って行った。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

 翌日。学校から帰った俺はしのの様子を伺う為に大宮家にお邪魔し、しのの部屋へと向かっていた。

 実は朝にも行ったのだが、しのがぐっすり寝てて起きなかったので、その時は顔色を見るだけで終わり登校した。

 

 しのの部屋の前に着くと、俺はドアをノックしてしのに呼びかけた。

 

「しのー、入っていいかー?」

 

「ああ、峻君。どうぞー。……はぁっ…。はぁっ…」

 

 ………はぁはぁ?

 おい、あいつまさか、ぶり返したんじゃ…!

 

 そう思い、俺は扉を思い切り開けた。

 

 するとそこには、ベッドで頬を少し赤くし、息を切らす様にしていたしのの姿があった。

 

 ………何かの本を読みながら。

 

「峻君、いらっしゃいです。はぁっ…。はぁっ…」

 

「……………しの」

 

「はい?」

 

「…………その本、なに?」

 

「ああ、これですか?『金髪少女倶楽部』ですよっ」

 

 なるほど、わからん。

 

 いや表紙は見えてたから、なんて名前の本なのかは分かっていた。分かってた上で俺は訊いたのだ。しかしわからん。

 

「なんだ、『金髪少女倶楽部』って」

 

「最近本屋さんで見つけたんです。これ1冊に毎月素晴らしい金髪少女の姿が載ってるんですよ!」

 

 なるほど。

 

 わからん。

 

「ああっ…!こんな素敵で尊い本があるなんて、素晴らしいです!」

 

 世の中、しのみたいな趣味の人がいるもんなんだな。

 

 ところで、さっき「毎月」って言わなかったか?金髪少女だけで毎月刊行できるほどネタ無くね?まだ『水戸黄門』の方がネタあるんじゃないか?

 

 ま、とにかくそれは置いとくとしてだ。

 

「熱が上がるから(お前にとっては)そういう本を読むのはやめろ」

 

「そんなっ!!」Σ(꒪д꒪II

 

 俺はしのから件の本を取り上げた。

 

「私1人で退屈だったんですよぅ!」

 

「せめて明日まで我慢しろ。……まさか今日ずっとこれ読んでたのか?」

 

「あ、いえ。今から30分ほど前からだけですよ。その前は遅めのお昼ご飯を食べまして、それまで私はずっと寝てましたので」

 

「寝すぎだろ!?今回はいいけど!」

 

 相変わらず人が起こさないと起きない奴だな。しかもこいつ、夜寝るの異様に早いからな。ほったらかすと1日の大半を睡眠で使いかねん。の○太くんもびっくりだよ。

 

 

「もうじきアリスも教室の掃除終えて帰ってくるからそれで構ってもらえ」

 

「はーい」

 

「………で、話は変わるんだがしの…」

 

「ん?」

 

 俺はその場で正座して、頭を下げた。

 

「…今回の件、本当に悪かった」

 

「……峻君、それはもういいと言ったじゃないですか」

 

「ああ。今回の事はこの夏お前ん家に週2回アイスを家族分提供する事で話はついた」

 

「当人の知らない所でそんな話が出来ていたんですか!?」Σ( ̄□ ̄;)

 

「綾にも気にし過ぎるなって言われたよ。それでも、改めて謝らせてくれ。すまなかった」

 

「……………」

 

 俺が深々と頭を下げると、しのは何かを考え込む様子を見せた。

 

「……………峻君」

 

 そんな様子をほんの少し見せた後、しのが俺に語りかけてきた。

 

「なんだ?」

 

「風邪が治ったら私とキャッチボールしませんか?」

 

「……………わかった。100本でも1000本でも、お前の気が済むまで俺にぶつけてこい」

 

 俺の頭には「うふふふ」と黒い笑顔でボールを沢山ぶつけてくるしのと、十字の木の棒に磔にされて黙ってボールをくらう俺の姿が想像された。

 

「それはキャッチボールじゃないです!!一方的なドッヂボールですよ!?」

 

「でもキャッチボールじゃお前の鬱憤は晴れんだろ」

 

「その時点で、もう違います!!」

 

 しのが全力で否定してきた。

 どうやら俺の考えとは違うらしい。

 

「キャッチボールでボールを取る練習をすれば、ボールが飛んで来ても大丈夫じゃないかと思ったんです」

 

「いや、別にそんな練習お前がせんでも…」

 

「では峻君。これから私が近くにいる時に野球、出来るんですか?」

 

「うっ……!」

 

 密かに俺が思ってた事を…。

 

「こ、これからはお前がいない時に野球やるよ」

 

「それはイヤです」

 

「何故に!?」

 

「私だって峻君の応援したいです」

 

 そう言ってしのは頬を膨らませてそっぽ向く態度をとった。

 

「いやしかし…」

 

「峻君には気兼ねなく、野球をやってほしいんですよ。野球をやってる峻君とても楽しそうで、私それを見てるの好きなんですよ!もちろん他のスポーツも!」

 

「…………っ!」

 

 満面の笑顔でそう言うしのに、俺は何も言い返せなかった。

 

 ほんっと、こいつはズルい…。

 

 あ、でも。

 

「そう言うわりにはお前、あん時は水飲み場の方行ってて俺の試合見てなかったじゃねえか」

 

「あっ!あ、あ、あの時は喉が渇いてしまいまして仕方なく席を離れていたんですよっ!」

 

 俺の発言に焦ったしのは、慌てて言い訳をした。

 

 そんな様子のしのを見て可笑しくなり、俺は自然と口角が上がった。

 

「ふふっ!……わかったよ。風邪治って暇な時間あったらキャッチボール、いくらでも付き合ってやるよっ」

 

「!……はいっ!お願いします!」

 

 日差しが橙色に近くなる時間帯に、俺としのは笑いあった。

 

 

 ※  ※  ※  ※  ※

 

 

「美味しいね、この紅茶」

 

「そうですね〜。バイトの先輩さんに感謝です」

 

「インスタントもバカに出来んなぁ」

 

 あの後、アリスが帰ってきたタイミングで、穂乃花に貰った紅茶をしのとついでにアリスにも提供した。

 もちろん穂乃花の名前は出さず、"バイト先の先輩"に貰ったとだけ、しの達に伝えた。

 

「アップルティーが喉に染み渡ります〜…」

 

「わたしも昔、風邪ひいた時はマムに紅茶をいれてもらってたなぁ〜」

 

 しのとアリスはほっこりしながら紅茶を飲んだ。

 

「やっぱり、風邪の時は紅茶が1番ですね」

 

「あと、アメを舐めるのも喉に良いって聞くよ!」

 

「でもうちに今、飴はありましたっけ?」

 

「飴…。あ、そうだ。ちょっと待っててくれ」

 

 アリス達の会話を聞いた俺はある事を思い出し、一旦自宅に戻った。

 

 

 そして、ある物を取ってきた俺はしのの家の包丁とまな板を借りて、しのの部屋へと戻って来た。

 

「シュン、なに持ってきたの?」

 

「これだ」

 

「?長くて白い棒?」

 

「あっ!それもしかして、金太郎飴ですか?」

 

「ああ。こないだアリスが喜ぶと思って買ったの忘れてた」

 

「金太郎って、日本の昔話の?」

 

「はい。それを印した飴です」

 

「あ!顔がある!でもなんでこんなに長いの?」

 

「いいか?こうやって切ると…」

 

 俺は金太郎飴をまな板に置いて、数ミリほど感覚を開けて飴を包丁で切った。

 

「わあ!切った所からまた顔が出てきた!」

 

 その様子を見たアリスは金太郎飴に感心を見せていた。

 

「切っても切っても、金太郎な飴なんですよ」

 

「へぇー!…でも、なんで金太郎なの?」

 

「「えっ」」

 

 アリスの言葉に俺としのは揃って声を上げた。

 

 確かに、別に金太郎じゃなくてもよさそうなもんだが、ちゃんとした理由とか知らない。

 

「わたし、日本の事はまだまだ勉強中だから、金太郎の事もさわりの部分くらいしか知らないんだよね。森の中でまさかりを担いで動物達と過ごしてて、源頼光さんが家来と勝負をさせて、勝負に勝った金太郎を都へ連れて行って『坂田金時』って言う名前を貰って侍になったってぐらいしか…」

 

 動物達と過ごす~まではともかく、その先は俺も知らんかったわ!!そんな話だったの、金太郎って!?

 

「それで、なんでその飴は"金太郎飴"なの?」

 

 いかん、アリスがキラキラした目でこっちを見て訊いてきた。この顔の前で知らないとは言いづらい…。しのも俺と同じく困った様子で、目を逸らしている。

 

「………ま、まあ後で教えたる。今はしのの看病が優先だ」

 

「あ!そうだね!」

 

 ふう。なんとか誤魔化せた。

 

 これの後、ちゃんと調べとかねば…。

 

 ※因みに金太郎飴が金太郎の理由は昔話で当時、強い子供の象徴として知れ渡っていた金太郎のように強くたくましく元気に育ってほしいという製作者の願いが込められたかららしいです。

 

 

「もむもむ…。おいひいでふ」

 

 しのは切った飴を美味しそうに頬張っていた。

 

 俺は金太郎飴を次々に切って数を増やしていた。

 

「ふふ」ꉂ(*^ᗜ^*)

 

 それを見ていたアリスはくすくすと嬉しそうに笑っていた。

 

「アリス、そんなにこれ珍しいか?」

 

「シノがいっぱい!」

 

 アリスがそう言った瞬間、周りの空気がちょっと冷えた様な気がした。

 

「日本のものは、みんなシノにそっくりだね!」

 

「きんたろー…。峻君、まさか私の事がそーゆー風に見えてこれを…?」

 

「違ーうっ!そんなつもりは毛頭なーいっ!!」

 

 暫くしのが拗ねた。

 

 人の地雷っていつどこで踏んでしまうか分からんから恐ろしい。これが本当の地雷ってか。あ、余計に冷えた…。

 

 

 とまあ、こんな感じに色々あったが、それからしのの風邪はもうすっかり治り、次の週の月曜日にはいつもと変わらずしのは普通に登校していたのであった。

 

 変わった事と言えば、俺のバイトがない日や予定のない休日にしのとキャッチボールをする習慣が出来た事ぐらいかな。

 

 

 

 

 [おまけショートこぼれ話]

 

 

「ゴホゴホッ」

 

 陽子が手をグーにして口を抑えて軽く咳き込んでいた。

 

「陽子も風邪?」

 

 綾が陽子に聞く。

 

「んー、ちょっとね」

 

「待って。たしか薬が…」

 

 綾がポケットから薬を出した。が暫く、出した薬を見つめていた。

 

「………………頭は大丈夫?」

 

「どっ、どういう意味だ!!」Σ(;ー`Дー´)

 

「まあ確かに、さっき返されたこいつの小テストの点数見ればそんな心配もしたくなるわな」

 

「それもあるけどそうじゃなくてね?」

 

「二人共、いつの間に見たんだよ!!」

 

 陽子の抗議をよそに俺は綾の持ってた箱を覗いてみると、そこには風邪薬ではなく頭痛薬と書いてあった。それで頭は大丈夫と聞いたのか。

 

「峻は持ってない?風邪薬」

 

「んー、持ってないなあ。肝油ド○ップならあるんだけど」

 

「逆になんでそんな物持ってるわけ!?」

 

「いや…。なんか久しぶりに、ふと食いたくなって近くの薬局で1缶買ってみたんだ」

 

 幼稚園で先生に配ってたやつ美味かったよなあ。

 

「じーっ……」( ̄・ω・ ̄)

 

「………なんだよ陽子…」

 

 陽子がこっちを、というより俺が持ってる肝油ドロ○プの缶をじっと見つめていた。

 

「………1つ、おくれ?」

 

「風邪薬じゃねえぞ」

 

「食べたい」

 

「子供か」

 

 いや俺も、これが突然恋しくなって買ったんだが。

 

「おい綾、陽子をなんとかしてくれ」

 

「じーっ……」(⸝⸝⩌ - ⩌)

 

「お前もかい」

 

 結局この後、陽子と綾に肝油○ロップを1粒ずつ与えた。

 

 その後やってきた、しのとアリスとカレンにも与えた。アリスとカレンは初めてだったので、食べた時は美味しいと感激していた。

 それは良かったのだがその後カレンがもっとくれとせがんできて大変だった。これ、食べ過ぎるのはあんま良くないんだってば。これとオ○ナミンCは1日1つと相場が決まっているんだぞ。

 

 ~See you, next time!~




という訳でアニメ第4話分の話がようやく終わりました〜!

そして、貯めてたストックがあっという間に無くなりました〜!(笑)
という訳でまた、次が投稿されるのは暫く後になると思いますので。ではまた。

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