現代に召喚されたのにマスターがいない   作:影後

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悪魔と英雄と義理父

「ユウト、その足さばき…モードレッドからか」

 

「はい…モードレッド卿から、全力で」

 

「ならば……俺も全力で向かわねばな。真名解放」

 

ジークフリートはバルムンクに魔力を纏わせる。

 

「……ははっ……でも」

 

裕斗は理解している勝てないと、それ程までに龍殺しの実力は違いすぎる。

 

「ソレでも……はァァァァ!!!」

 

裕斗は攻める、高速を越えて音速に至る。

だが……ソレでもジークフリートの一振りよりも遅かった。

 

「ぐはっ……」

 

「それまで!裕斗、良くやったわ。ジークフリート様もありがとうございます」

 

「言葉はいらない、すまない。ユウトは大丈夫だろうか」

 

「私が治しましたので、大丈夫です!ジークフリートさん!」

 

「そうだよ!アーシアは凄いもんね!」

 

「あの…アストルフォさん、そんなに褒められるのは……」

 

友人の事も嘘偽りなくアストルフォは褒め称える。その素直さには誰も抗えないのだ。

 

「ふぃ……依頼終わり……あら、裕斗がもう倒れてる。小猫ちゃん、約束のお菓子よ」

 

「レイナーレ先輩、ありがとうございます」

 

「レイナーレと、塔城は何してたんだ?」

 

「裕斗先輩がどれだけ耐えれるかです。私はレイナーレさんが戻るまでには倒れる方にかけました」

 

「はぁ…限定スイーツが。小猫ちゃん、なんでそんなに鼻が良いのかしらね」

 

「むふぅ…」

 

美味しそうに限定スイーツを頬張る小猫の頬をレイナーレは突く。彼女は基本的に小さい子に対して母親の様に振る舞うのだ。翼を広げ、外だと言うのに日差しが入らないようにするレイナーレ。

 

「……」

 

笑顔からぱぁっと花が咲く。

 

「お姉ちゃん、私も食べたい」

 

「ジャックにもあるわ」

 

二人揃ってレイナーレと共に限定スイーツを頬張る。その空間だけ家族のようだ。

 

「っと…そうよ、シャルルマーニュ先生は?」

 

「シャルルマーニュなら、リアスの先生を連れてくるって」

 

「よっ!俺だけが帝王学を教えるのはって事で連れてきたぜ!ヴラド三世!!」

 

「……」

 

「えと……ヴラド?」

 

「シャルルマーニュ、そして…リアス・グレモリーだったか」

 

ヴラドは今までよりもかなり低い声で話しかけた。それはその場に居る全員が死を感じさせる冷徹さだ。

 

「……リアス・グレモリー、答えよ。余は今までは気付かなかった。だが……」

 

ヴラドは槍を出現させるとリアスの首元に突き付けた。

 

「何故…余の血族がいる。貴様、事と次第によっては……ここで殺す」

 

それは明確な殺意、リアスは既にボロボロだ。

ここの所英雄関連で問題が起こらなかったから油断していたが、自身の下僕に特大の爆弾が居たのだ。それを今理解した。

 

「……あの子は、自身の神器を暴走させてしまうのです。ですから………」

 

「………ならば余と会わせる機会を作れ。さもなくば………貴様等悪魔とこのヴラドの戦争になると思え」

 

過去に二万人の敵兵をたった一人で殲滅してみせた存在からの威圧は何よりも恐ろしかった。

 

 

――――

その夜、リアス・グレモリーは荒れて居た。

 

「もぅ…なんなのよぉぉぉぉ!何が首脳会談よ!何が!巫山戯んじゃ無いわよ!!うわぁぁぁん」

 

ソファに倒れ込み泣いている、それを下僕達と友人のソーナ・シトリーに見られるがリアスはどうでも良かった。

 

「うぅ……ヴラド三世とあの子を合わせないと首脳会談の前に悪魔が戦争よ!!もぅ…何で私ばかり………」

 

勿論、この場にレイナーレは居ない。

居ればレイナーレはリアスを鼻で笑うだろうからだ。一応下僕ではあるがレイナーレはある種の覚醒をし、既に上級悪魔を超える力を有している。

 

「……もう良いわ、明日の私に任せましょ」

 

リアスは現実逃避することで自分の精神を守ることを優先した。

 

 

ヴラド三世いやヴラド・ツェペシュは感じていた。自身の血族を。あり得ないほど濃く、恐らく自身の子の直系なのだと。

 

「……人間なのだろうか」

 

その考えが浮かんだ瞬間、冷静さが消えた。

人々言葉は呪詛となり、ヴラドの一族を蝕んだ。

そのせいか、自身は吸血鬼ドラキュラとして呼ばれ、呪われた。

かつて殺した者達は自身を吸血鬼の祖と呼んだ。

 

「……余のせいなのか」

 

ヴラドはまだ見ぬ血族に思いを寄せる。

せめて、抱き締めてあげたい。

苦しめてしまったことを謝罪したい。

そして、出会えた事に感謝したい。

だから待つ。ヴラドはまだ見ぬ、血族に会えるのを。

 

――――

また、とある民家でも運命は動き出す。

 

「へ?授業参観??」

 

あの三代英雄様がこの家にすみ始めてから俺の仕事の割合が減った。

子供を専門に殺すハグレ共はアタランテの姐さん。

他は俺、ケイローン先生、アキレウスの兄貴と分担して殺してる。

ハグレは多い、駒王町だけじゃなく周りにも居る。兄貴はそんなのを殺して回ってる。

 

「そう、ケイローン先生、アキ兄さん、御姐さん、シグルドさんにも来て欲しいの」

 

俺は頭を抱える、もう悪魔殺しは別にやる気はない。狂うのは止めたからだ。

だが…ソレでも色々と駒王学園には殺したくなる悪魔共が居る。

 

「………シグルド、貴方が渋るとは」

 

「先生かい?そりゃぁね……仕事もあるさ」

 

「予定無いだろ」

 

ケイローン先生と兄貴は理由を知る気だ。

 

「…ここが悪魔の領地って話たろ?そこの領主様がいるのさ」

 

「あぁ……領地とは名ばかりの」

 

「そう、別に経営してるな事は無い。あくまで悪魔の若手が眷属作るための拠点さ。んで……」

 

「わかった、お前返り討ちにあったな」

 

「そっ…別にはぐれって訳でもねぇ。先生と兄貴も殺さなくて良いぜ。もし殺し合いになるなら……俺がやる」

 

俺は愛用のグロックを構える。勿論、弾は抜いてある。

 

「…………くそ……この程度で守れればな」

 

拳銃、武器、人間の叡智だ。だが、目の前の英雄達には当たった所で傷一つつけれず、何もできなかった。

 

「……えぇ、シグルド。貴方に光剣という武器は」

 

「アタランテの姐さんに壊されたのが最後の1本。アレ、ブラックマーケットにも流れねぇし、堕天使から買うか?でもなぁ……」

 

今更見捨てた陣営とよろしくやる気のないシグルドは頭を掻いた。

 

「姐さんは」

 

「私は行けん……保育園の仕事が入っていてな」

 

アタランテ、子供を見守りたいというかその母性から仕事は保育園の先生をしている。

怒ると怖いが子供の本質を理解している優しい先生だと人気のようだ。

 

「……二人で頼む、俺は行けねぇよ」

 

シグルドは申し訳ないと言う気持になるがやはり、悪魔の巣窟にシグルドは行けない。

 

「わかったよ…お前、何言われても知らねぇからな」

 

「……アキレウス」

 

「わかってんだ、でも……無理なもんは無理なんだ」

 

シグルドは座り込んで頭を抱えた。

 

 

 

―――――――

 

リアス・グレモリーは下僕と共に激しい威圧を受けて居た。

 

「……この中に……件の僧侶が」

 

「はい!今、封印を解きます!」

 

リアスが封印を解くと、ヴラドは静かに扉を開いた。

 

「ひっ……誰で」

 

「……お前は………そんな……活きて……」

 

「え……」

 

「すまない……余のせいだ。マリア……余のせいで」

 

ヴラドは涙を流しながらその少女を抱き締めた。

 

「え…………違う……僕は」

 

「……お前には苦しい思いをさせた。余が……余が教会も…オスマンも滅ぼそう。私を悪魔公と罵り、ドラキュラと呼んだ者達を串刺しにし、お前の幸せとして捧げよう」

 

 

 

 

 

昔、ヴラドにはマリアという娘が居た。

ザレスカ伯爵夫人マリア。

ヴラドはマリアには逃げるように話した。

女性に最も残酷だと言われたマリアは父に自分の娘も殺すのかと言う気持ちであった。

 

「マリアよ、お前は女だ」

 

「えぇ…お父様、しかし」

 

「ハンガリーへ逃れよ、あの地で我が血族を頼るのだ。バートリーは信用できる」

 

それがヴラドの最後の会話であった。

ヴラドは最後まで、悪魔と罵られようが仕えてくれた数名の騎士と共に数多のオスマン兵の亡骸と共に死んだ。

 

 

 

「僕は……僕はマリアじゃない!ギャスパー!ギャスパー・ヴラディです」

 

遂にヴラドに抱かれていたギャスパーが吼えた。それは彼の

 

「マリアと言うのは……僕の高祖母の名です」

 

「………そうか………」

 

ヴラドは全てを察した、そして一呼吸し目の前の少女に問う。

 

「ギャスパーよ、世界が憎いか。お前がもし、憎いと答えるなら、余は己にかけられたドラキュラの呪いすら利用し、教会も、世界も、全ての敵になろう」

 

「……あの、怖いです。でも………そこまではいりません。僕は……もう良いんです」

 

ギャスパーは全てを諦めている、外には敵しか居ない。同じ下僕仲間は居ても、家族にすら見捨てられたのだ。彼は。

 

「ヴラド様、ギャスパーは……」

 

リアスはギャスパーが眷属になった経緯を話した。誰もが感じる程の冷徹な殺意、だがギャスパーは違った。

目の前の存在は自分の為に怒っているのだと。

 

「あの……所で、貴方は?」

 

人見知りな自分が何で話しかけれるのか、ギャスパー・ヴラディと言う存在が。

其身に流れる血が理解している。

 

「余は……ワラキア公ヴラド・ツェペシュ」

 

「……御先祖様」

 

それは呪いを受けた一人の英雄、ルーマニア生まれの吸血鬼。

 

「あの………部長、所で後ろの方々は」

 

「えっ…えぇ、ギャスパー。新しい眷属の」

 

「ひぃ………増えてるぅぅ??!!」  

 

「えぇ、新しい眷属の兵士兵藤一成、貴方と同じ僧侶のアーシア・アルジェント、騎士のゼノビア・クァルタよ」

 

そこから大問題だ、イッセーはギャスパーに発情し、ヴラドの槍で穿かれかけ、ギャスパーが少女ではなく少年と言う事にヴラド三世の脳が破壊された。孫娘の様な存在が孫であるというのはヴラドの理解を越えていた。

 

「……そうか、アレだ。アストルフォの様なものか。ふむ…そうだな」

 

何とか納得するヴラド。そして、ダンボールの中に引きこもる血族。

 

「あの……ヴラド様、ギャスパーの引き篭もり体質を治したいのです。ですから」 

 

「余が引き取って良いか、せめて……せめて余の孫をこの手で抱きたい」

 

ヴラドはダンボールの中で怯えるギャスパーをその腕の中で抱いた。

我が子のように思えてくる、その存在。

 

「……ひっ…………」

 

「……ギャスパーよ、安心しろ。お前に何かアレが、このドラクルが守ろう。悪魔も、天使も、堕天使も、神すら殺そう。この私が」

 

「あっ……」

 

「リアス・グレモリーよ、感謝するぞ。数百年過ぎた世で、我が血族に会えたこと」

 

「はっ……はき!!」 

 

「………何かあれば余を頼れ、このヴラド。ドラクルの異名に誓い、手を貸そう」

 

ヴラドはギャスパーを腕に抱いたまま蝙蝠となって消えた。

そして、リアス・グレモリーは本当に偶然ながらヴラド三世という大軍を瞬時に鏖殺できる英雄とパイプが出来たのだ。

 

「そう言えば、ジークフリートさんも何かあれば協力してくれるらしいですよ!!」

 

「はい!ジークフリートさんも、アストルフォさんも私のお友達です!!」

 

「僕も先生とモードレッド卿にはお世話になってますし」

 

「私もローラン先生には……まぁ……あの人は何故脱ぐのだ」

 

「あれ?私もシャルルマーニュ先生に帝王学教えて頂いてるし、アレ?」

 

「あら、何呆けてるのかしら。ジャック、丁度よいからこのお馬鹿さんの顔に落書きしましょうか」

 

「何してるのよ色ボケ堕天使!」  

 

「お母さん……むぅ………」

 

「あっ……ごめんね、眠かったわね。ヴラド様に作って頂いた袋付きエプロン着ようかしら」

 

「何よソレ」

 

「何ってジャックが私の中で眠る為の物よ。少し歩きにくいけど、こう…お腹に赤ちゃんが居るように思えるのよ。……フフ」

 

「あっ……レイナーレさ」

 

「お姉様、私も……」

 

「レイナーレ様が……聖母様のようです」

 

つい見入ってしまう程の微笑みにイッセー、アーシア、ゼノビアは息を呑む。

 

「話を戻すわよ。わりかし、私達の中で余り英雄と関わっていない人居ないわね」

 

「私ぐらいですね」

 

「……案外、朱乃もすぐ関わることになるかもしれないわよ」

 

「……リアスの戸惑う姿を見ていると……遠慮したいですね」

 

だが、リアスの予想通り朱乃も誓いうちに英霊と関わり合いになることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




注意
この小説ではヴラド三世にマリアという娘が息子二人の他に居たという説を利用しています。
そしてギャスパーは直系の子孫です。
吸血鬼関連でもう一人出します。
多分、皆さんの予想通りです。
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