現代に召喚されたのにマスターがいない   作:影後

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襲来

《古城》 

「何だ?」

 

ジークフリートが古城で自身の弟子であるジークと剣術の稽古をしている時、それは起こった。

何処か、禍々しい気配。

そして、世界を包み込むような闇。

 

「これは……」

 

「この気配は竜の」

 

「何だよ、このヒシヒシする感じ………俺を呼んでるのか?」

 

頭を抑え、激しい痛みに悶えるモードレッド。

 

「モードレッド、これは……」

 

「聞いたことがあるぜ、あの頭マッシュ野郎と父上がしのぎを削って打った竜。………俺の血族だ。俺がやる、邪魔すんじゃねぇぞ!」

 

モードレッドはクラレントを抜き、完全な状態で古城を飛び出した。

目的は一つ、自身に通じる存在を殺す事だ。

 

「ジークフリート、これは……」

 

「ルーラー!戦いはまだ終わらないようだ、モードレッドが出陣した俺も出る」

 

「ちぃ……こんなんばっかじゃアタシの作家生活も進まないっての!」

 

ジャンヌ・ダルクオルタは槍を構える。

 

「私も行きます、これは……既に生きる者達では止められない」

 

「俺も行く、ルーラー!ライダーも……」

 

「ヒポグリフが居ない?!」

 

「アストルフォ!何してんだよ!」

 

「あわわ……カール大……シャルルマーニュ様!大変な事に」

 

「なんで毎回毎回……まったく………ほら!シャルルマーニュ十二勇士出陣ってな!」

 

「街が大変な事に!」

 

「ワイバーンまで……冗談じゃないわよ。私知らないっての」

 

かつての特異点の如く、市民をワイバーンが襲おうとしている。しかし、それらを守護する者達は居る。

 

「訴状の矢文」

 

「天蠍一射」

 

「疾風怒濤の不死戦車」

 

「ちっ…冗談じゃねぇっての」

 

宝具でワイバーンを殺す英雄とバレットM82を撃ち、ワイバーンの頭を消し飛ばす一人の戦士。

 

誰もが守ろうと動いていた。

 

 

 

 

《駒王学園》

時間は2時間程の遡る。

そこでは、三大勢力の和平が締結しようとしていた。しかし、堕天使陣営のヴァーリ・ルシファーの反乱とテロリスト集団「禍の団」による襲撃により多数の被害が出ていた。

 

「我の孫を……貴様らァァァァ」 

 

それは既に人間ではない、ブラドだ。

彼の血族であるギャスパーが魔術師達に嫐られ、傷付いていた。

それは彼の怒りを収めるために動いていたリアスすら、悲鳴をあげるほどの怨嗟の声だった。

 

「これは……悪魔が勝てないはずだ。魔王なんてレベルじゃない」

 

「ジャンヌ・ダルク、ジークフリート、天界としてもイレギュラーが」

 

「俺はな、知らねぇぞ。ミカエル、サーゼクス、確かに裏切り者を出したのは俺だがな、天使も、悪魔も、英雄達にとっちゃ敵なんだよ」

 

「しかし、ジャンヌ・ダルクは」

 

「打たれても知らねぇぞ」

 

3人のうち二人は英雄という存在に関わりたくはない。外に見えるのは人間や悪魔、堕天使の死骸だけ。その中心で、ブラド3世がギャスパーを抱き締めている。

 

周りの者達は串刺しにされ、死んでいる。

 

「おお……ギャスパー………すまない、余が付いていながらお前を……」

 

「御爺様……」

 

ギャスパーは弱い、人間より強いが、優しすぎる。だからこそ、ブラドは守りたかった。

ブラドはあれから定期的にギャスパーに会いに向かっていた。

ギャスパー自身、家族と言えるブラドとの関りから人間不信を少しずつ治していこうとしていた。

一歩踏み出そうとしていた。

 

その矢先だった。

 

「やはり、面白そうだ。英雄は」

 

「……小僧……………死にに来たか」

 

それは白龍皇ヴァーリ・ルシファー。

堕天使陣営の裏切り者である。

ブラドはギャスパーを抱きながら片腕で槍を構える。

 

「…邪魔な者は置いてこい。その時間ぐらいはやる」

 

「貴様…」

 

その様子をリアス・グレモリーは見ていた。

あからさまに機嫌の悪くなったブラド3世が近付いてくる。

 

「ごめんなさい!イッセー!!」

 

「えっ?!部長?!!!!」

 

「イッセーといったか、ギャスパーを頼むぞ。余は……あの小僧を串刺しにする」

 

英雄を知っているオカ研のメンバーですら、現在のブラドの威圧には耐えられない。

 

「来たか、英雄」

 

「貴様………ギャスパーを、余の血族を侮辱した事。その身をもって、つぐなぇぇい!!!」

 

それはブラドの宝具。

 

「血に塗れた我が人生を此処に捧げようぞ!

『血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)』!」

 

ブラドの身が裂け、血の杭がヴァーリを襲う。

 

「これは?!」

 

徒手空拳で弾こうが、逆に自身の身体が傷ついていく、普段なら一瞬でケリがつくはずの一撃だが、ブラドは敢えて弱めて行った。

 

「ぐぁぁぁ」

 

英雄を舐めていた。

ヴァーリ自身、出会った英雄はジークフリートとジャンヌ・ダルクの2名である。

二人共どんな相手にも高潔な精神で話しかける。

しかし、ブラドは違う。

ブラドは怒りに、そして自身の狂気にまかせて、ヴァーリの、白竜皇の翼を奪った。

舐めているわけではない。これは、見せしめなのだ。

 

「貴様は殺す、より苦しめ、より貴様から奪い…な」

 

ヴァーリルシファーの力は相手の能力を半減させる力。しかし、その力はあくまでもその世界の理に縛られた者たちにしか聞くことはない。

英雄達は確かに生きている、しかし、それはこの世界ではない。故に、その理は効くことがない。

 

「俺の力が……」

 

「どうした小僧!余に歯向かう愚か者よ!!」

 

無慈悲な殺戮が繰り広げられる、そこに参加できるものは居ない。

怒りに囚われたドラクルにヴァーリはなすすべなく攻撃されていく。

 

「ぐはっ…」

 

「まずは右腕だ」 

 

槍に穿かれた右腕が中を舞う。

 

「左腕」

 

地面から血の槍が左腕を

 

「右脚」

 

「左脚」

 

痛ぶりながら、より苦しませ、そして確実に殺そうとしている。

古来よりも悪魔は残虐だと言われるが、それ以上に人間の方が悪魔を越えるほどの残虐さを見せることもあるのだ。

 

「『血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)』!」

 

「…くっ……危なかったな」

 

「腕を四股が再生だと?貴様、何を持っている」

 

「……仲間にどんな傷も癒やす鞘を持っている」

 

「ちっ……嫌な気配を感じてみれば、テメェか?ヴォーティガーン!!」

 

ヴァーリの中で何かが叫ぶ。

 

「まずい、ヴァーリ。この女は」

 

「知らないが……強いな」

 

「テメェが持ってる鞘も、全部ムカつくんだよ。この前のファブニールだったか、彼奴はジークフリートの野郎にくれてやったが……テメェ、ヴォーティガーン。お前だけは俺の獲物だ」

 

「赤のセイバー、後から来て俺の獲物とは……笑わせるな!この者はこの、ヴラドの槍によって死ぬのだ」

 

「あん?」

 

二人共譲らない、それどころか邪険な雰囲気すら醸し出している。

方や、ブリテンの呪われた存在を狩るという騎士の使命、そしてこの世界での父アーサーの約束された勝利の剣を貶した者達を排除するため。

方や、血族を痛めつけられ、その屈辱を、その苦しみを思い知らせ、血族を平穏を守るため。

共に自分のためではない、共に血族いや家族の為に動いている。

 

「邪魔すんじゃねぇよ、吸血鬼」

 

「良いだろう……赤のセイバー!」

 

「此方も勝手にやる」

 

ヴァーリの前に二人の英雄が立ち塞がる。

魔王何て目ではない、人間という器から外れた英雄達が居る。

 

「まだだ」

 

禁手。

「白龍皇」の力を具現化させた白い全身鎧。

奥の手を使っても、二人の攻勢は止まらない。

当たり前だ、理が違うのだ。

二人は、この世界に囚われたものではない。

二人は、世界の理から外れた存在たちである。

 

「Half Dimension…これで半分に…これは」

 

全てが半分になるはずの力は効かない。

確実に殺すため、確実に死を与えるために、ヴァーリの前に二人は迫る。

 

「終わりだ」

「血に塗れた我が人生を此処に捧げようぞ!『血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)』!」

 

「終わらせる」

「此れこそは、我が父を滅ぼせし邪剣!

『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!

 

2つの宝具がヴァーリを狙う、しかし、邪魔をするものが現れた。

 

「……テメェ、なにもんだ」

 

「異世界のモードレッドか……だが、負けるわけにはいかないね」

 

その顔はモードレッドは知らない、だがその佇まい。気配は知っている。

 

「男の……父上」

 

「…我が名は、アーサー、アーサー・アルトリウス・ペンドラゴン。『約束された勝利の剣(エクス……カリバー)』ァァァッ!!」」

 

「ぐっ…あぁ!!」

 

クラレントごと弾き飛ばされ、モードレッドは赤い血を流す。

 

「来たのか、アーサー」

 

「君と話すつもりはないさ、いずれ狩るのだから。さて……赤竜よ。いや、概念というだけか、だが……世界に災禍を齎す存在は倒す」

 

「なっ……」

 

「巫山戯ないで!イッセーは」

 

「悪魔か……煩わしいね」

 

「!」

 

「いくら尊敬するアーサー王でも、イッセーを殺すことはさせん」

 

「騎士…だが、弱いね。誰よりも弱い」

 

「何」

 

「僕についてこれていないじゃないか」

 

鞘に入ったままの約束された勝利の剣でゼノビアは吹き飛ばされた。

アーサー王は騎士王と言われた、その名の通り、名乗り、卑怯な手は使っていない。

正面から圧倒的な力でねじ伏せられる。

 

「貴様が…赤のセイバーの父親か」

 

「ヴラド三世か、君のような王には憧れたよ。だが………」

 

「敵は敵だ」

 

ヴラドの槍と約束された勝利の剣がぶつかり、激しい衝撃があたりを弾き飛ばす。

 

「くそ………おかしいな、何故越えられない」

 

「貴様とは違い……余には護るものがあるのだァァ!!!!」

 

ヴラドは護国の将帥である。

王でありながら、オスマンの軍勢から国を護ったのだ。そして、現在、ヴラドにとっての国がある。ギャスパーが笑えるように、ギャスパーの友であろうとする者達が。

ヴラドは護る時、真の力を発揮する。

 

「余はヴラド、〘ドラクル〙ヴラド・ツェペシュ!」

 

「吼えたか、ならば……良いだろう。我が名は〘騎士王〙アーサー・アルトリウス・ペンドラゴン」

 

 

力は拮抗している、だからこそ理解できるのだ。

 

「ギャスパーよ、聞くのだ。お前は一人ではない、お前には余がいる」

 

「待って……待ってください」

 

ギャスパーにはそれが別れにしか聞こえなかった。それが、どの様な物かなど、理解したくなかった。

 

「鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)」

 

それはヴラドが忌み嫌う自身の宝具である、吸血鬼という伝承の力を最大限に扱える。

しかし…それだからこそ、必要だった。

 

「「ああ、決着をつけよう……」

「十三拘束解放(シール・サーティーン)――円卓議決開始(ディシジョン・スタート)!」

《承認、ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、ケイ、ギャラハッド、アーサー》

「『約束された勝利の剣(エクス……カリバー)』ァァァッ!!」

 

ドラキュラという存在となり、夜の王となったヴラド。しかし、その翼は龍が如く壮大であり、けして蝙蝠などではない。

 

「シェァァァァァァ」

 

約束された勝利の剣に飲まれながら、ヴラドはアーサーの左腕を抉り、そして、溶けていく。

 

「……眠れ、ドラクル」

 

仮初の夜が明ける、吸血鬼ドラキュラは灰となってその場から消えたのだ。

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