現代に召喚されたのにマスターがいない   作:影後

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黒のランサー、ヴラドは約束された勝利の剣により逝った。赤のセイバー、モードレッドにとって、ある種、仲間のような存在だった。
だが、死んだ、圧倒的な力によって。
しかし、だからこそ立つ。
今度は負けない、負けられない。



英雄達の散華

「お祖父様!」

 

「ガキ!喚くな!」

 

モードレッドはボロボの体にムチを打って立ち上がる。

その先にはカムランの丘で殺した筈の存在がいる。

男の騎士王、モードレッドにとって、立ち振舞、威圧、剣戟、その全てが自身の知る騎士王と同じだった。

 

「…モードレッド卿、邪魔をしないでほしい。赤龍も、白龍も、私が殺す。世界の平和のために」

 

「ざけんなよ、こんなガキに何ができる!」

 

「過ぎたる力は災禍を招く、天界だったかい?彼等は僕の約束された勝利の剣のレプリカをまるで本物の様に扱う。まったく……ベディヴィエールに申し訳がたたないよ」

 

「……少なくとも、俺の弟子が後ろに居るんだよ」

 

モードレッドの後ろには灰を泣きながら集めるギャスパー。そして、守ろうとする一誠、木場、ゼノヴィア。

 

「さっさと逃げろ!アレは騎士王だ、俺しか勝てない!」

 

「言うね、今の僕には鞘はないが、約束された勝利の剣がある。あの時のように行くとは思わないことだ!」

 

約束された勝利の剣とクラレントがぶつかり合う。

 

「くっ…こんなの……」

 

「……予想外だな、今の一撃で仕留めた筈だったのに。ブラド3世の置き土産か…やってくれるなぁ」

 

「……許さない……お祖父様を……良くもぉぉ」

 

「時が止まった……だが、魔術である限り僕には無意味な」

 

「僕の名はギャスパー…ギャスパー・ブラディ。喰らえ……鮮血の王鬼『カズィクル・ベイ』」

 

ギャスパーの手から血が垂れる、すると地面を伝い騎士王の鎧をかすめた。

 

「なに?」

 

「まだだ…追い続けろ、カズィクル・ベイ!」

 

「坊主!貸しだ!!喰らえよ父上!」

「此れこそは、我が父を滅ぼせし邪剣!」

『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!』」

 

クラレントとエクスカリバーがぶつかり、当たりに爆風が巻き怒る。

 

「……まったく、龍の炉心が無ければ危なかった」

 

「化物……かよ………」

 

「ふぅ……ふぅ………」

 

片腕がないにも関わらず、騎士王は立っている。

クラレントすら割り、遥かなダメージを負わせている。

 

「……赤き竜よ、これは世界を守る闘いである」

 

「不味い…おい、悪魔ども!さっさと失せろ!消されるぞ!!」

 

「十三拘束解放(シール・サーティーン)――円卓議決開始(ディシジョン・スタート)!」

《承認、ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、モードレッド、ギャラハッド――》《アーサー》

「『約束された勝利の剣(エクス……カリバー)』ァァァッ!!」

 

 

「くそ………」

 

迫る閃光、モードレッドはギャスパーを掴み後ろへと投げる。

 

「モードレッド卿」

 

「父上ェェェェェ!!!!!」

 

クラレントが閃光を割らんと進む、だが呑まれるのも時間の問題だ。

 

「一夜一時の幻と言えども、此処に我らは楔を穿つ!伝説よ甦れ、我が剣に彼らの力を!」

「『王勇を示せ、遍く世を巡る十二の輝剣(ジュワユーズ・オルドル)』!!」

 

しかし、エクスカリバーとジュワユースがぶつかりあった。

 

「カール大帝いや…シャルルマーニュだったね」

 

「そう言うアンタは騎士王アーサー。はっきり言うぜ、今のアンタは格好良くない、厄災だから事前に消すのか?違うだろ!コイツラは子供だ、なら未来に導きを」

 

「…生憎だね、赤き竜、そして白き龍は私が倒す。世界を、ブリテンの二の舞いにしないために」

 

「くそ!」

 

エクスカリバーによる振り下ろしをジュワユースで受け止める。しかし、技術が違いすぎる。

 

「危な!」

 

「君は私と違い王だろう、私は騎士王。その違いだよ」

 

「ヒーローは、勝てる勝てないで計算しないんだよ。リアス、さっさと逃げろ!ここは俺が食い止める!」

 

「先生!」

 

「シャルルマーニュ、それは僕達もだよ」

 

「俺達もってね」

 

「陛下がいるなら、私もです。例え尊敬する円卓の」

 

「……よい仲間だ。でも、今の私はこの世界を救うために戦っている」

 

アーサーの背中を追ってくれる仲間は居ない。

だが、シャルルマーニュにはアストルフォ、ブラダマンテ、ローラン。

紛うことなき、彼の騎士たちがそこに居る。

 

「僕はそこまで強くない!でも!これぐらいならできるさ!

『触れれば転倒(ストップ・オブ・アルガリア)』!」

 

「なっ!」

 

足が消えた、アーサーはそう感じてしまう程におかしな感覚に陥った。

足はある、にも関わらず転んでしまうのだ。

 

「大天使の加護を与え給え……これこそは、音に聞こえし絶世(ぜっせい)剣!壊れる事無き『不毀の極聖(デュランダル)』!!」

 

「ぐっぁぁぁぁ!!!」

 

約束された勝利の剣でも、完全にデュランダルは防ぎきれない。

 

「螺旋拘束!全身、全れぇーい!『目映きは閃光の魔盾(ブークリエ・デ・アトラント)』!!」

 

「なめるな!私は……正義のために!世界の為に……『約束された勝利の剣(エクス………カリバァァァァ)』!!!!!」

 

だが、アーサーにもアーサーなりの正義がある。

その正義を信じているから戦っているのだ、だからこそ負けられない。

 

「……強すぎるよ、こんなの………」

 

「負けられない……白き竜も……赤き竜も」

 

血だらけで、死んでもおかしくない。にも関わらず、アーサーは立っている。鞘の回復すらできておらず、眼の前にはカムランの丘で殺し合った子がいる。

 

「……父上、これが最後だ」

 

「………そうか」

 

「「はぁ!」」

 

「「『約束された勝利の剣(エクス……カリバー)!!!!!!』

 

 

「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)!!!!』」

 

 

宝具の撃ち合いは決着がついた、モードレッドは鎧が砕け既に立つこともままならない。霊格が砕けていないのは奇跡だろう、だがアーサーはどうだ。

 

「……ごふっ、流石だね。モードレッド卿、だが………次はない。マーリン!」

 

「おっと、呼ばれて現れるマーリンお兄さんだよー」

 

「撤収だ」

 

「了解したよ、我等が騎士王アーサー。さて、異界のモードレッド、そして哀れな存在達、また会おう」

 

花弁が吹き荒れ、その場からアーサーは消えた。

だが………敵が消えた訳では無い。まだ敵はいる、そして英雄も。

 

 

その男は元は英雄と呼べる男ではない、その男は本来なら悪であった。

信じた『善』に捨てられ、堕落した『善』、だが今自分の中で『善を』見つけた。

 

「人間も、天使も、悪魔も、堕天使も…誰も彼も関係ねぇ。俺の敵は敵だ!」

 

 

十字架の刻まれたブローニング・ハイパワーを二丁持ちながら、魔術師や悪魔、加勢しようとした悪魔、堕天使、天使を撃ち殺すバーサーカー。

背中に1本の騎士剣ロングソードを携えた男。

 

「なっ!お前は何者だ!!」

 

「シグルド、シグルド・フリードセル。お前達全員にかかった賞金を手にするために来た…バウンティ・ハンターだ!」

 

「おい、シグルド……お前暴れすぎだろ」

 

それを諌めようと、隣に男が降りてくる。絶世の美男子だ、槍を持ちながら、悪魔、天使、堕天使をしっかりと見ている。

 

「良いのかよ、アキレウス。三大勢力、敵に回すぜ?」

 

「先生の弟子、つまり俺の弟弟子だからな。兄弟子なら弟弟子を守る義務ってのがある。それにな、お前が死んだらあの子達が悲しむぜ」

 

「死ぬかよ、さーて!お前達全員を………ここで風穴だらけにしてやるよ!」

 

「ふっ…我が名はアキレウス!さぁさぁ、名のある者よ!俺を討ち取ってみせろ!!!」

 

シグルドは人間でありながら、人間とは思えない動きを続ける。

魔術師を足場にしながら足蹴りし、空中で何度も射撃を行う。

魔術が飛んでこれば、ロングソードで魔術を斬る。

 

「てめぇ等何かなぁ、夜中にされたアタランテとケイローンのシゴキ比べれば生温いだよぉ!!!!」

 

戦場は混沌を極めている。




シグルド・フリードセル
三大勢力にも、禍の団にも喧嘩を売ったバーサーカー。
「使も悪魔も堕天使も…皆等しく、ぶち抜いてやる!」

この日の為にケイローンとアタランテに鍛えられた。
アタランテの矢の雨をかいくぐり、狩人の知識を得てスカウトに落とし込む。
ケイローンから技術、知識、武術を学び直接対決でボロボロにされる。
それを繰り返し、シグルド・フリードセルは型月世界の準英霊クラスの力を手にした。
実は作者が気に入っているキャラ。


ヴラドを消したのは書いててなんで殺した?と思った。
でも、身近な人の死は成長につながるから。
ギャスパーはこのまま、槍持って相手の血や自分の血を使ってカズィクル・ベイしまくる悪魔となるし、容赦もなくなる。
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