現代に召喚されたのにマスターがいない   作:影後

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集うサーヴァント

<インド>

 

「はぁ!」

 

「させない!」

 

その場は既に瓦礫と化していた。天使も、悪魔も、関わっていない。インドの奥地にて二人の英雄が戦っている。神々の張った結界すら崩壊させんと、二人の英雄が死力を尽くして戦っていた。

 

「武器など前座……真の英雄は眼で殺す」

 

「神性領域拡大、空間固定。神罰執行期限設定、全承認。シヴァの怒りをもって、汝らの命を此処で絶つ。『破壊神の手翳(パーシュパタ)』!!」

 

ぶつかり合う英雄達、それをインドの神々は見ていた。

 

「インドラ!お前の息子だろ!どうにかしろ!!!」

 

「知るかよ、それに……手だしするな。アルジェナはそういった」

 

神々の子である二人の英霊の戦いは正に神話の再来であった。

 

「カルナ!今度こそ、今度こそ」

 

「アルジェナ、お前を必ずや」

 

魔力があたりを覆う、それは二人の最後の一撃だった。

 

「スーリヤよ、ご照覧あれ」

「もはや戦場に呵責(かしゃく)なし。我が父よ、許したまえ」

「空前絶後、『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!!」

 

「炎神(アグニ)よ、我に力を!!気合一閃!行くぞ!『炎神の咆哮(アグニ・ガーンディーヴァ)』!!」

 

「まだ……ならば!破壊神の手翳(パーシュパタ)!」

 

 

その日、星が破壊される程の一撃のぶつかり合いが起こった。

 

 

「はぁ……はぁ………」

 

「アルジェナ」

 

立っているのはカルナだった。地に倒れるアルジェナに対し、インドラは声をかける。

 

「満足したか」

 

「はい……お父様」

 

アルジェナは負けたというのにその姿は清々しいものであった。

 

「カルナ、次は勝たせてもらう」

 

「アルジェナ、我が父。スーリアの名にかけて、俺は負けん」

 

二人の英雄は死力を尽くし戦った。インドの神々は二人を称賛する、施しの英雄と授かりの英雄。

今日、この日。二人の英雄は蘇った。

 

<ギリシャ>

 

「まったく、アキレウス。予算の事も考えなさい」

 

「悪かったよ先生、でもなぁ……ったくサーヴァントで呼ばれたのにいるのは俺、先生、アタランテの姐さんと来た」

 

「あぁ、しかし何故だろうな。日本、その地に向かえと言われている気がする」

 

ケイローン、アキレウス、アタランテの3人は現代人に変装して旅をしていた。3人が目覚めたのはギリシャの遺跡の一つだった。食料、戸籍、金銭等が予め準備され、何者かの干渉すら感じる。

 

「しっかし、まさか生き返るとはね」

 

「私は魔術で姿を変えていますが、懐かしい。まるであのときのようです」

 

「……この耳を隠せるのは良い。しかし、ケイローン、私は二度とお前と対峙したくない」

 

「俺もだよ」

 

軽口を言い合いながら、ギリシャ組は街を歩く。

 

「…ケイローン、アキレウス」

 

「ちぃ!休ませろっての!」

 

「狙い撃つ!」

 

それは天使だった。

 

「ちぃ…過去の遺物ごときが!」

 

「今は生きてんだよ!」

 

「天使……相手にとって不足はありません。我が弓でその翼、撃ち抜かせていただきます!」

 

アーチャー二人、しかもただの弓兵ではない。

一人はアルゴノーツ、一人は大英雄を育て上げた師匠である。

そして、その弟子の大英雄のライダー。

 

「敵うわけがな」

 

「お喋りは終わりだ」

 

最後の一人がアタランテの弓に射貫かれ大地に沈む。

 

「まったく、冗談ではない」

 

<イギリス>

 

「ったく、なんで俺がお前等の御守りしなくちゃいけないんだよ」

 

「うぅ!!!」

 

「お姉ちゃん、アレバラしてもいい?」

 

「お姉ちゃんって言うな」

 

「ったく、ほら日本行かなきゃなんねぇんだから」

 

イギリスではモードレッドがジャック、フランケンを引っ張り、日本へ向かっていた。なぜかは判らない、だが彼女達の中で目的地が定められていたのだ。

 

「待ってください!ジークくん!!」

 

「ルーラー、行かないと。セイバーと……ライダーが居るんだ。伝えないと」

 

「待ってください!」

 

また、イギリスでは一組の男女が空港から日本に向かっていた。

 

<日本>

 

「日本とうちゃーく!楽しかったね!ヒポグリフ!!」

 

「グルル!!!」

 

「すまない、俺のせいで」

 

「いえ、あの身長は仕方ないので」

 

「すまない」

 

「ジークフリート?!」

 

ジークフリートはアーシア・アルジェントとアストルフォにむかいただ謝罪の言葉を述べるだけだった。これを彼の妻が見れば何と言うだろうか、情けないか、それともまったく別の反応か。

 

「そういえば、ジークフリートは結婚してたよね!出会えるかもよ!」

 

「…クリームヒルト。会えるなら、俺は………今度こそ愛していると伝えたい」

 

ジークフリートは生前、ただ人々の願いを叶えるだけの人形としか言えない存在だった。だが、そんな彼でもクリームヒルトの事だけは愛していた。愛していたから、一線を引き、そして結局仲違いしてしまった。だから、今度こそ、ジークフリートは伝えるのだ。

 

「だが、出会えたらだ」

 

「ジークフリート様は……心から奥様を愛しておられるのですね」

 

「……あぁ、一度も愛していると言えずに別れてしまったが、それでも…俺の彼女に対する気持ちは変わらない」

 

真顔で言ってのけたジークフリートに頬を赤らめるアーシア・アルジェント。このような男が夫ならと、妄想してしまう。

 

「あぁ!ヒポグリフが居ない!」

 

「アストルフォ!何をしていたんだ!」

 

「ヒポちゃん!!どこですか!」

 

アストルフォのミスにより、更に時間を食ってしまった一行は目的地の駒王町へと急いだ。

簡単に言えばヒポグリフに乗せて貰ったのだ。

少女と性別不明と成人男性を乗せて運ぶのはヒポグリフにとっても容易いのだ。

 

「これは……」

 

「《ライダー!》避けろ!」

 

それは斬撃だった、だからだろう。ジークフリートはライダーとクラス名でアストルフォを呼んだのだ。

 

「…貴様、セイバーのサーヴァントだな」

 

「サーヴァント?何の事だ、貴様らは良い贄になる。その命、刈り取らせてもらうぞ」

 

「…俺を狙うのは良い……だが、俺の仲間を狙うとは……許さん」

 

「ほぉ、人間の癖に天使である俺に刃向かうか。ならば……受けてみよ、この剣はかの竜殺しの剣。貴様等、簡単に切り裂いてくれるわ!」

 

その言葉を受け、アーシア・アルジェントは顔を暗くするが、ライダーは大笑いを始めた。

 

「フハップププフハハ」

 

「何がおかしい!」

 

「だって竜殺しの英雄なら、そこにいるもん!」

 

「なんだと……まさか」

 

「すまない、どうやら俺の剣の紛い物のようだ。アストルフォ、良いか?」

 

「モッチロン!何時でも大丈夫だよ!やっちゃえ!ジークフリート!!」

 

「な!本物の?!」

 

「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)」

 

剣から激しい閃光が溢れ、天使を呑み込んだ。

 

「グブッ……何故……生きて……いる」

 

「知らんさ、だが…俺の仲間を傷つけさせはしない。天使よ、今は見逃そう。だが、次はない」

 

ジークフリートはバルムンクを鞘にしまうとアストルフォとアーシアと共に歩みを進める。

 

「つまり、お二人共本物のアストルフォ様とジークフリート様なのですね!」

 

「うんうん!でも、様はいらないよ!僕とアーシアは友達だからね!」

 

「すまない、俺も…あまり様付けは好きじゃないんだ」

 

アストルフォの騎乗スキルを使って車に乗る。

勿論、この車もジークフリートが手に入れた物だ。一応、口座も開拓してありジークフリートの口座には日に100万ユーロが入っている。

 

「しかし、日本円に換金するだけでここまで増えるのか」

 

「君の金運はやっぱりおかしいよ」

 

「そうだな、だが車は良いな。俺達の時代は馬だった。馬よりも速く、しかし変わらない風を感じられる」

 

「グルル!」

 

「うんうん、ヒポグリフも嬉しそうだ!っと、赤信号」

 

「あの、お二人は免許等は」

 

「勿論あるよ!(偽造だけど)」

 

「持っている(偽造だが)」

 

「英雄も運転できなきゃね!お金はジークフリートのでやりくりできるけど、僕も楽しみたいし!」

 

「まったく、しかし……いや、そうだな。拠点を手に入れる必要はあるか」

 

 

 

 

 

一人の堕天使がじっとジークフリートの事を見ていた。

 

「本物か」

 

「あぁ、あの気配、あの力。邪竜ファブニール、そして、確実にバルムンク。あれは正真正銘のジークフリートだろうな」

 

「神器でなく、現代に過去の英雄が蘇るとはな」

 

アザゼルに報告か

 

不穏な空気を残しながら、少年は消えたのだ。

 

 

 

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