現代に召喚されたのにマスターがいない   作:影後

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ジャンヌとジーク/アーシア・アルジェント出会う

「ルーラー……急ごうって言ったのは俺だけど……速い……速すぎるよ」

 

「いえ、先程見覚えのある方々を見た気がして」

 

ルーラーもとい、ジャンヌ・ダルクは現在。

かつて依代にしたレティシアの姿で限界しているというか、生きている。宝具も使用可能である彼女だが、彼女が今を生きているという事以上に驚いているのはジークに対してだ。

 

「所で、ジーク君は」

 

「あぁ、俺は数多の世界線における聖杯の管理者になったんだ。ルーラーの上司って感じかな」

 

「ジークくん」

 

「でも、変わらない。俺を助けてくれた黒のセイバーいや、ジークフリートにも。ライダー、アストルフォにも、バーサーカーいやフラン。そしてルーラー、いやジャンヌに対しての気持ちも。聖杯の導も関係ない、皆から貰った一人の人としての気持ちだから」

 

「良かったです、ジークくん」

 

「…ルーラー、お話は終わりみたいだ。出てくるといい、俺達は逃げも隠れもしない」

 

ジークが虚空にそう言うと黒翼の天使達が姿を見せる。

 

「まさか…主ですか!」

 

「ルーラー、違う。あれ等は堕ちた天使だ、それに…俺達と殺る気みたいだ」

 

「貴様らが何者かは関係ない、この世界の為に。アザゼル様の為に!貴様らの神器貰い受ける」

 

「渡さない!コレは…俺が俺である証だ!」

 

「ジークくん!」

 

「征け、アザゼル様の為に!」

 

「「アザゼル様の為に!!」」

 

ジークを殺さんと堕天使達は光の矢を放った。

 

「させません!主よ、請い願います。私に、大切な人達を守る力を――『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!!」

 

それはジャンヌ・ダルクに許された宝具、どんな攻撃も、旗が壊れるまで防ぎきることができる。

しかし、展開時に攻撃はできない。しかし、ジークがいる。

 

「ルーラー!」

 

「ジークくん!」

 

ジャンヌの肩を踏台にしながら飛翔している堕天使の翼を斬り落とすジーク。

邪竜となり、聖杯の守人となった彼だからこそできる。英霊でない、アラヤと契約もしていない。

聖杯の導も彼を縛れない。

 

「何が」

 

「ジークフリート、貴方の力をこの体に」

 

竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)

 

それはジークに与えられた令呪。英霊ジークフリートをその身に召喚する力なのだが……

 

「すまない、俺は今ライダーと共に居たのだが……そうか、君はあの時のホムンクルス。そして、ルーラーか」

 

「えと……ジークフリート?」

 

「あぁ、だが時間がない。俺は今日本にいるが……ここはルーマニアか?いや、いい」

 

何故か日本に居るはずのジークフリートが召喚された。そして、ジークフリート自身もジャンヌ・ダルクとジークに微笑みを返した。

 

「行くぞ、竜ではないが……

邪悪なるものは失墜しする。全てが果つる、光と影に……世界は今落陽に至る」

 

ジークフリートの周りに濃密な魔力が与えられる。ジークは間近で彼の、ジークフリートの宝具を見たことは無かった気がする。自分が撃つのと、本人が撃つのでは違うのだ。

 

「撃ち落とす!」

 

「逃げろぉぉぉ」

 

堕天使達は散らばる、しかし

 

 

 

 

 

《遅すぎた》

 

 

 

 

 

 

「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)」

 

 

それはジークにより翼を切り落とされた堕天使以外の全てを消し去った。

 

「あっ……あぁ…………」

 

堕天使の周りに仲間の物と思われる羽根がひらひらと舞い落ちる。所々燃えている、消さなければ、その羽根も消えるだろう。

まるで、すがるようにそれを掴もうとする堕天使だったが、その手は届かない。

 

「そんな……」

 

羽根は燃え尽き、堕天使の仲間の居た証明は何一つ無くなったのだ。

 

「すまない、ルーラー…そして」

 

「ジークです、貴方から取りました」

 

「そうか、ジーク。日本で待っている」

 

ジークフリートはそう告げるとその場で消失した。恐らく元の位置に転移したのだろう。

 

「…ジークくん」

 

「ルーラー、見ないでくれ」

 

ジークは腰の剣に手を掛ける。

 

「……一撃で終わらせる」

 

そして、堕天使の首を撥ねた。

 

「せめて、安らかに」

 

そして、自分の手でその場の土を掘った。

 

「ジークくん、止めてください!せめて、私にも」

 

「駄目だ!ルーラー、俺が殺したんだ。俺が…供養してやらないと」

 

ジークは並の人間では耐えられない手の痛みに襲われながらも、堕天使の墓を掘った。

 

「名もしれない堕天使、ここに眠る」

 

魂がどうなっているか、それは誰にも判らない。

 

「主よ、この魂に安らぎを」

 

だが、オルレアンの聖女に祈られし魂がどうなったかは判らない。だが、ジークは自分の殺した魂を忘れることはないだろう。

 

 

 

「戻ったのか」

 

「え?ジークフリートさん?!何処に居たのですか?!」

 

ジークフリートはジークに呼び出されていた。

だが、その当時アストルフォは驚かなかったが、急に消えた事にアーシアは驚きが止まらない。

 

「少しな、アストルフォ。ジークとルーラーに会ったぞ」

 

「本当?!ジークとジャンヌもいるのか!良いね!とても嬉しいよ!」

 

まるで少女のように嬉しがる様にアーシアはキョトンとしている。

 

「すまない、アーシアは知らなかったな。ジークとルーラーいやジャンヌ・ダルク。俺達の仲間だ」

 

取り敢えずはこの紹介で良いだろうと感じるが、今度こそアーシアはきょうがくした。

 

「きゅっ…救国のいえ…オルレアンの聖女ですか!!」

 

「あぁ、彼女も今を生きている。何時か、出会えると良いな。いや、彼等もどうやら日本を目指している気がする、近いうちに会えるかもな」

 

アーシアは目の前にいる竜殺しの英雄、シャルルマーニュ十二勇士、そしてオルレアンの聖女までと…頭はパンク寸前だ。

 

「そういえば、アーシアは何処に住むのさ!このまま僕達と住もうよ!良ければさ!」

 

 

この時、ジークフリートとアストルフォの話術で既に物件を手にしていた。駒王町にある古ぼけた屋敷である。いや、屋敷というには大きく当に古城だった。外観は古いが中を巡ってみるとユグドレミアの城の様にも感じ、ジークフリートとアストルフォは生前の事からもここを希望した。

値段は数億と張ったが株で大成功しているジークフリートの資産で簡単に買えてしまった。

 

「後は…使用人とかも雇って……うん!」

 

「まったく…アーシア、すまない」

 

「いえ……」

 

この時、アーシアはこの二人に聞きたかった。

何故、蘇ったのか。

今を生きて何をしたいのか。

 

「すみません、私はこれで……楽しかったです。お二人と過ごせて……」

 

アーシアはそれが今生の別れになる気がした。

だからだろう、涙まで流してしまった。

 

「駄目だよ、アーシアの整った顔が台無しだ。う~んと……シャルルなら何か持ってたりするのになぁ」

 

「シャルルとは……シャルルマーニュの事か?」

 

「うん!気持ちのいい馬鹿だよ!」

 

「すまない、それは主に対しての言葉なのか?」

 

「うん!」

 

そうか、ジークフリートはそれしか言えなかった。

 

「それで、ジークフリート」

 

「アストルフォ、俺達は霊体化できない。だが

ヒポグリフなら」

 

「判ってる、ヒポグリフ。小さくなってアーシアを追いかけて!バレたりしたら駄目だよ!あと、危なくなったらアーシアと僕達の所に逃げてきてね!」

 

「くアァ!!」

 

まるで任せてと言った様にヒポグリフはアーシアを追いかける。

 

「さて、僕達も準備しないとね」

 

「インターネット…………聖杯がないのに基礎知識等は与えられるか……まったく、異常だな」

 

 

アーシアは振り返らなかった。駒王の街に繰り出し、地図を頼りに目的地に向かう。

だが、異国の地で地理を理解しろと言うのは無理な話だった。

 

「うっ…うぅ……アストルフォさん、ジークフリートさん」

 

友達と呼んでくれた二人と別れた寂しさがアーシアを包み込んだ。

 

「なぁ、大丈夫か?」

 

ぶっきらぼうながら、確かにアーシアを案じる声がした。

 

「うっ……どうしたんだよ。そんなに泣いて」

 

流暢なドイツ語を話す少年につい、涙を見せてしまった。

 

「まって!ええっと……」

 

アーシアに寄り添う少年にアーシアはつい感情を吐露してしまった。

 

「つまり、迷子で寂しくて泣いてたと」

 

「うぅっ……そんな言わないで下さい。イッセーさん、私も恥ずかしいんですから」

 

「それで、目的地って何処なんだよ」

 

「教会です」

 

この日、アーシア・アルジェントは赤龍帝と出会った。

 

 




オリジナル設定
アーシア・アルジェント
出身ドイツ
まぁ、一話目からしてた事ですけど教会の総本山のイメージがイタリアなので付近の国で、あとジークフリートと言えば何処の国だと考えてこうしました。
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