ジークフリートは自室から感じる魔力に懐かしさを覚えていた。
自分と同じ心臓を持つ少年、そしてその少年を預けた裁定者。
ジークフリートは仲間達を城に集めると言葉を繋いだ。
「アストルフォ、ヴラド、アベンジャー、あの二人が来る」
「本当!なら、僕が迎えに行くよ!」
「車はどうするのよ」
「ならば、我が運転しよう。嫌な予感がする、マイクロバスなら良いだろう」
「ヴラドすまない」
「……待ちなさいよ、二人って誰?」
レイナーレだけが話について行けなかった。
「かぁ……空の旅っていいな!」
「お姉ちゃん!楽しかった!!」
「う〜〜、…景色…良……い」
「フランちゃんとジャックちゃんは落ち着いて下さい、離れないで」
「モードレッド!勝手に行かないで!」
「うるせぇ!俺は、ガキどもの御守りから解放されて気分がいいんだよ!ジークとジャンヌがやっとけ!」
「こら!モードレッドちゃんも駄目ですよ!」
「うっ……」
「なんでジャンヌの言葉は聞くんだよ」
ジークは日本までの旅の途中、イギリスの空港で3人と合流した。それが、現在の難しい状況になっているのだ。
「あっ!赤のセイバーにジーク!ルーラーも居るし…フランにジャックも!!」
「なっ、ライダー?!」
ジークの肉体に飛び込んでくる少女否、少女の服を来た少年騎士アストルフォ。
その後には頭に手を当てたブラドがいた。
「まったく、マイクロバスを借りて正解だったか」
「でもでも!皆来てくれたんだ!うんうん!お城も色んな人雇わないとね!」
「……アストルフォよ、ジークフリートの金だと理解しておるのか」
ヴラドは元気に笑うアストルフォに呆れながら、マイクロバスを運転するのであった。
――――――――――――――――――――――「……どうした」
「ジークフリートさん、僕に剣を教えて下さい」
ジークフリートが変わらず人助けというか、慈善活動をしていると目が曇り、いかにも迷っていると見える少年が声をかけてきた、
「……すまない。剣を教えるのは吝かではないが、せめて他の場所で話さないか」
ジークフリートは少年いや、木場裕斗に付き合い人気のない古城の裏手に進む。
「……すまない、俺は教えるのが得意でない。だから」
「……これが、英雄」
「………殺す気で来い」
ジークフリートはバルムンクを構えるとその場で立ち止まる、だが裕斗にはジークフリートを攻撃できなかった。
だからこそ、オカルト部のメンバーの顔が浮かぶ。一誠なら、攻撃しただろう。
だが、それは彼がまだ実力差を理解できていないから。
他のメンバーで攻撃するのは誰か、居ないだろう。それ程の実力差がある。
「…来ないのなら」
ジークフリートが動いた。
裕斗は一瞬で距離を詰められ、魔剣創造で創り出した魔剣で受けようとするが瞬時に砕かれる。
「守るだけでは勝てんぞ!」
「それでも!」
ジークフリートの喉にめがけ、新たに創造した魔剣を突く。しかしジークフリートはバルムンクを横にすることで容易く弾いてしまう。
「ぐぅ……」
「……少年、君の中に型があるな。恐らくだが、名のある剣士に教えられたのだろう。だが、君の剣術と教えられた剣術はあっていない」
「どういう事ですか」
「……すまない、君の師の名前を教えてくれないか」
「沖田総司です」
「……そうか、確か刀を使う剣士だったはずだ。なら、駄目だ」
「何故です!」
裕斗にも師に対する尊敬がある、それを英雄とはいえ他人に侮辱されたことに怒りがあらわになる。
「…刀と剣では使い勝手が違う。俺も剣を教えられるが、刀は教えられん。何故このような知識があるかは知らん。だが、刀は両刃ではない、のにも関わらず君は刀ではなく剣いや、この場合敢えてこう言おう。ソードを創り出している。そもそもの使い方が違うのにも関わらずだ。だからこそ聞きたい、沖田総司。日本では名のある剣士なのだろう。そのような英雄に教えられて、〘何故〙今の今まで気付かない」
ジークフリートもネーデルラントの王子として教育係に剣術を仕込まれた。それも幼い日からだ、
だからこそ言える。裕斗の剣術は自分に近しい物だ。ジークフリートの剣術は所謂ロングソードを利用する事を前提とした物。
木場はロングソードを使いながら、教えられたのは刀を前提としたものとチグハグなのだ。
「……それは」
「……まず、型を忘れるんだ。一度、我武者羅に剣を振るってみろ」
ジークフリートはもう一度最初の位置についた。
「…行きます先生」
「……すまない、先生ではない」
そう、軽く返しながらもジークフリートは裕斗から振るわれた剣を簡単に弾く。
「俺も君を通して教えられている側だ。教えることをこうして、教えられている。ありがとう」
「いえ、僕の…ほう!こそ!」
裕斗は目の前の存在に内申、「無茶苦茶だ」と大声で叫びたかった。口を動かしながらも全体に注意を向けている。
消して1つに注意せず、周り全てを見ているのだ。
(これが伝説の竜殺し。ファブニールを倒した)
裕斗の剣術はジークフリートと打ち合う度に、鮮明となっていく。荒削りではあるが、ジークフリートと同じ剣を使う剣術の下地が出来てきた。
「甘いぞ」
「うっ……」
弾き飛ばされ、木に打ち付けられる。
唾を吐き、泡を吹こうが裕斗はそれを飲み込み立ち上がる。
「お前の戦い方なら、もっと速くだ。はっきり言おう、お前に力はない。なら、高速の連撃で肉を削るしかない」
「……はい」
「そして、高速とはコレを言う」
ジークフリートは一息で踏み込むと裕斗と打ち合いを始める。だが、その速度は先程のものよりも数段速い。
(追いつけない……これが、高速の剣)
「……すまない、やりすぎたようだ」
ジークフリートの前では身体中から血を流し、今にも死にそうな裕斗の姿がある。
だが、その顔は痛みと流れ出る血により、激しく歪みながらも、確実に答えを手にしたという表情が見れる。
「……先生、ありがとう…ございます」
「すまない、先生ではないのだが」
裕斗は血だらけの身体を引きずりながら、駒王学園へと戻る。魔法陣を展開し、消える様は何処かサーヴァントじみているとジークフリートは感じた。
「あなた、教えるのも中々上手いのね」
「…彼は迷っている、仲間なのだろう。気にかけてみてはどうだ?」
「別に…どうでも良いわ。それよりも、ジークフリート。ジャンヌが何処に居るかわかる?一緒に色々と描いてたんだけど急に消えちゃって」
「……すまない、判らない。いや、隠れているだけだな。恐らく、もうすぐ来る存在から」
ジークフリートが微笑んでいると城の門が騒がしくなる。
「お~い!ジークフリート!!帰ったよ!!」
「なに…この魔力、こんなのアザゼル様すら勝てないんじゃ」
「行くぞ、レイナーレ」
ジークフリートはバルムンクを鞘に戻すと門まであるきはじめる。
「久し振り…という歩度でもないか」
「ジーク……フリート」
「すまない、こういう時俺はどう言えば良いのか……頑張ったな」
「ありがとう、ジークフリート」
ジークとジークフリートは共に握手を交わす。
それは二人の信頼から。
まるで兄弟のように通じ合うものがある。
「そして、ルーラー」
「ジークフリート、貴方に感謝を。後……すみません、私の妹が居ませんか?」
「ん?妹とは……」
「フッフッフッ……お姉ちゃんを誤魔化せると思うのが間違いでしたね!」
「さぁ、邪ンヌ!」
「なんでわかんのよ!ここ、私の秘密の作業部屋よ!」
「お姉ちゃんは妹の事はなんでもわかるのです!」
「ちょっ…まさかあんた特異点とかの記憶あるわね!」
「フッフッフッ……マスター君も覚えてますよ!さぁ、家族として一緒に」
「ざけんな!」
屋敷の中から騒がしい声が聞こえる。
「……へぇ……てめぇが黒のセイバーか、モドキの時よりも強そう……だな!」
クラレントが振るわれる、しかしジークフリートはバルムンクで容易く受け流す。
「へぇ……やっぱりか、そこの奴がサーヴァントになった時より……」
「赤のセイバー、戦うか。良いだろう、しかし屋敷が無くなるのは困る。こっちだ!付いてこい、赤のセイバー!」
「へぇ……良いぜ!黒のセイバー!!!」
「……ねぇ、ジークお兄ちゃん。お姉ちゃん、行っちゃった」
「……ライダー、どうすればいい?」
「追いかけるしかないよ、はぁ……まさか赤のセイバーがここまでだなんて」
「ランサーえっと……」
「ヴラドで良い」
「フランも、追いかけないか?」
「………仕方あるまい」
「ん」
「………ねぇ、なんで毎回私空気なの?」
レイナーレ、走り去るサーヴァント達を追い掛けようとするも屋敷の中から聞こえる悲鳴。
「………何なのよ」
「ちょっと!レイナーレ!アンタ私を」
「………ジャンヌ・ダルクとかマジじゃない。貴女、その聖女の反転なんでしょ?私、ジークフリートの方に行くから!」
「ふっ…巫山戯るなァァァ!!!」
「…これは!邪ンヌ、行きますよ!コレは、かなり不味いです」
「だからアンタも何なのよ!!!」
邪ンヌいやジャンヌ・ダルクオルタは姉を名乗るジャンヌ・ダルクに振り回され、レイナーレを追いかけた。
――――――――――――――――――――――
それは彼女達にとって死刑宣告じゃないかと感じる程に酷いものだった。
「すまない、魔力によって結界を張れないか」
夕暮れ時、生徒は皆帰った中で恐ろしい魔力が現れた。オカルト研究部のメンバーと生徒会長のソーナは臨戦態勢を取り、その主を待っていると一人の大英雄が現れた。
「へぇ……化け物がいるなんてな」
「くっ…まさか聖剣」
「てめぇ、父上から貰ったクラレントが不満か?」
「落ち着け、赤のセイバー。すまない、悪魔であるお前達には関係ないだろう。しかし、聞きたい、結界を張ることは可能か」
「えっえぇ……可能です。しかし」
「へぇ…ならさっさとやれ。俺は」
「ソーナ、やりましょう。今はジークフリートが抑えてくれているけど何か」
「すっ…すげぇ可愛い!あの、あなたの名前って」
「かっ……可愛いだと?てめぇ…巫山戯てんのか?」
「えっ…だって、女の子だ」
馬鹿だった、イッセーの頭に剣が振り降ろされそうな時、ジークフリートが動いてくれた。
「くっ…早くしろ!」
「ちぃ…ムカついた。てめぇもさっさと倒してそこの餓鬼もぶちのめす」
結界が張り終わるとジークフリートとモードレッドは距離を取った。
「我が名はモードレッド、騎士王アーサー王の唯一にして、無二の正当なる後継者」
「そうか、なら俺は……我が名はジークフリート。ネーデルラントの王子にして、竜殺し」
「真似てんじゃねぇよ」
「すまない」
気の抜けた会話のはずだが、二人から感じる殺気と覇気に全員が呑まれた。
「……行くぜ、ジークフリート!!!」
「来い…モードレッド!!!」
バルムンクとクラレントがぶつかり合う、その余波が駒王学園を揺らす。
「……あの人が、反逆の騎士モードレッド卿」
「裕斗、どうしたんだよ」
「ごめんね、でも……今は先生の戦いを静かに見たいんだ」
裕斗はジークフリートを先生と呼んだ。
そして、そのジークフリートと戦うモードレッドを。
「ちっ…そのハマった剣術くせに」
「喋る余裕があるのか」
モードレッドはクラレントを振るいながらも、ジークフリートに蹴りを入れ、拳を放つ。
裕斗ははじめて、まったく型に拘らない戦い方を目にしたのだ。
「おらぁ!」
「くっ!」
クラレントが弾かれるが、モードレッドはそれを瞬時に回収し閃光を描く。
「ふっ!」
斬撃は音を置き去りにする。
既に視認できない程のぶつかり合いが起こり、
結界を保っているソーナとリアスは限界寸前だ。
「くっ……ほぼ生前と同じはずなのに!」
「舐めるな、赤のセイバー。お前との打ち合いなど、邪竜との戦いに比べれば簡単だ」
その時、モードレッドの表情が曇る。
「あん……舐めんじゃ……ねぇぞ!」
「くっ…宝具か…」
それは奇しくも、かつてのモードレッドとジークによる戦いの物に等しい。
今、サーヴァントでないジークフリートならばほぼ無傷で受けることができる。
しかし、周りには民家がある。
何も知らない無垢な民を見捨てることなどできない。
「はぁ!!!」「はぁぁぁ!!」
バルムンクとクラレントのぶつかりあい。
魔力と魔力ぶつかりあい。
既にリアスもソーナも限界だ。
「主の御業をここに
我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!
我が神はここにありて」
それを防いだのはルーラーであるジャンヌ・ダルクだった。
「ジークフリート!モードレッド!やめてください!何も知らない人達を殺すつもりですか!」
「……すまない、熱くなりすぎた」
「ちっ…民を傷付けるなんてのは王のすることじゃねぇ。そんなのはただの暴君だ」
ジークフリート自身、止めようとするなら他に方法があっただろう。
だが、宝具を撃ち合った時点で同罪だ。
「あの……貴女は」
「初めまして、私は……ジャンヌ・ダルクと申します」
「ちょっと!なんで誰よりも遅い私等が一番乗りなのよ!」
「だって、僕達ジークフリートとモードレッドを見てただけだし」
「何かあれば止められる準備してたのよ。ヴラドさんと、アストルフォ、ジークとフランとね」
「ん!!!」
「お母さん、私も頑張ったよ!」
「えぇ、偉いわよジャック。霧、出してくれてありがとう」
ゾロゾロと過去の英雄が現れる。
「………リアス、彼等が」
「……増えてる………なんで………増えてるのよぉぉぉ」
魔王である兄への報告でリアス・グレモリーの頭は一杯になってしまった。
おかしい、ぐだぐだ化した。
まぁ、次辺りからシリアスだし
きっと