カズマ「さて…あんな話をしたあとにこんなことを言うのも何だが…お前らにはどうしても話しておかなきゃいけないことが他にもある」
ホルアドへ行く前日の夜のことだった
カズマはハジメ達(光輝、ユエ、シア、ティオ、幸利)を部屋へ呼ぶとすぐに本題へときりだした
カズマ「俺が転生する前…エリス様って言う女神にエヒトやトータスのことについて色々聞いたって話はしたよな?」
ティオ「うむ…そのエリスとやらがお主達を転生させたとも聞いたのじゃが…」
カズマ「……そのエリス様から聞いた話の中にこんなものがある……人間族が神『エヒト』を崇拝するように魔人族側にも奴らが崇拝する神がいる……その神の名は『アルヴ』……今の魔人族の王…魔王をも担っている存在であり……エヒトの眷属にあたる神だ」
ハジメ達一同「「「「!?」」」」
カズマのカミングアウトにハジメ達は驚きを隠せないでいる
ハジメ「……いやな予感がするんだが…」
幸利「……なあ、もしかしてだが…エヒトが人間族を煽って魔人族と争わせるよう仕向けたように…そのアルヴも魔人を煽って人間族と争わせるよう仕向けてたりしないか?……」
カズマ「幸利……正解だ…後アルヴを裏から動かしているのはエヒトだからこの世界の争いも全ての種族は奴の掌で踊らされていることになるな」
ハジメ「いやふざけんなよ!!じゃああれか?結局のところこの世界の神を名乗る存在は皆ろくでもないだけじゃなく最終的に笑ってるのはエヒトだけってことか!?」
ユエ「ん…そうなる」
シア「い、陰謀だらけじゃないですかぁ!!」
カズマ「それでだ…人間族が敵対している魔人族もこの世界の人間族と同じような立場にある…だから」
光輝「まさかとは思うが…魔人族をも救うつもりだとでも言うつもりか?」
カズマ「……そのまさかさ……」
光輝「お前…自分が何を言っているのかわかっているのか?……お前の目的はエヒトを倒すことであってこの世界の種族を救うことではないだろ?」
カズマ「まあな……だが俺は……出来ることなら…多くの種族を助けたいと思っている……彼らが争うのはあいつらの上位に位置する神々がそうさせているからだ……争う必要がないなら争わせたくない……そしてゆくゆくはエヒト達を倒すために、この世界の種族が団結して共に神を討ちたいすら思っている……このトータスは…奴の退屈しのぎのための遊び場なんかではなく…この世界は…今を一生懸命生きている全ての種族の物だってな………このトータスが奴の箱庭になってしまったなら…それを奪い返すんだよ…この世界の人達と共にな!」
光輝「……俺には…この世界の種族にそんな価値があるとは到底思えん……神の言葉に流され、疑いもせずそれを正しいと信じてしまっている愚かな人間族と魔人族………神に見放されたと言われ、それを受け入れずっと弱者で居続ける亜人族……そして……エヒトに敗れ、更には世界の真実を知る身でありながらそのことを他の誰かに伝えることもせず、隠れて世界が壊されていく様をずっと傍観していただけの竜人族……俺に言わせればこの世界の種族は皆エヒトに負けた弱者共だ……ましてやたとえエヒトを倒したとしてもこの世界に平和が訪れるとは思えん……長いこと染み付いた遺恨は簡単には消えない……」
光輝の言葉にユエやシアにティオといったこの世界の出身者達が反応を見せた
ティオの種族はかつて世界の真実を知り、エヒトに戦いを挑んだが返り討ちにあい、多くの同族が殺された
その後表向きには絶滅したように見せかけて竜人族の隠れ里で何百年も身を隠していた
光輝「お前はそれでもこの世界の種族を救おうと思っているのか?……人が本当の意味で理解し合える時が来ると、お前は信じているのか?」
カズマ「……ああ…」
光輝「……なぜだ…なぜそう言い切れる」
カズマ「……かつて俺が異世界で冒険者をしていたとき……本来なら敵であるはずの連中と友達になったり、弟子になったり……普通に話せたことだってあった……結局は俺達が魔王軍壊滅させちゃったけど…それからは、元魔王軍の連中とも上手くやっていけたよ……その時に思ったんだ……俺達はもっと話し合うべきだったんじゃないかって……戦う以外にも選択はあったんじゃないかって……だから…2度目の異世界では…俺は悔いのないようにやりたい!わかり合えるなら仲良くしたい。血を流す必要もなく、命の奪い合いもする必要のない……言っている事はお前の兄貴みたいな甘い事って自覚はしている……だがな……俺はお前の兄貴と違って、中途半端に成そうとは思っちゃいない!いったことを現実にしたい…そう思っている!!」
光輝「!」
カズマ「だから……もしお前らがこの先魔人族と遭遇しても…殺すのはやめてくれ……連中とは俺が直接話をして味方に引き入れる……もし、それでも連中が敵対して、それでお前らを傷つけたりするようなことがあったら……そのときは…俺が責任取って始末して、俺も自害する」
光輝「!!」
ハジメ達「「「「!?」」」」
カズマ「軽い気持ちで実現させようと思ってない……俺は…命を掛けて、このトータスを争いとは無縁の、どの種族が共に手を取り合い、たとえ他種族であっても自分の子と呼び、共に酒を飲みかわし笑い合える…そんな平和な世界にしてやりたい!!」
カズマの言葉には、トータス出身者はもちろん地球出身者も含め驚いていた
そして
光輝「………
あの馬鹿よりかはマシか」
カズマ「え?」
光輝「……説得はお前がやれ…それ以上は手は貸さん」
カズマ「!!」
ハジメ「……はぁ…まあ…俺は帰るだけだから…それまでなら手を貸してやる」
カズマ「ハジメ…」
幸利「話を聞いていたら…俺にとっても他人事のように聞こえないな……それに、お前やアクアには命を救ってもらった恩があるし…できる限りのことはする」
ティオ「カズマ、妾はお主のその熱意と本気で争いを止めようとする強い意志に猛烈に感動したのじゃ!!」
シア「もし、カズマさんの言う通りの世界になったら…私達亜人も堂々としてられますね…」
ユエ「ん……言ってることは大変だけど…実現させようとする精神は本物だった…」
カズマのやろうとすることに周りは共感する意思と協力的な姿勢を見せた
カズマ「……悪いな…恩にきる」
△△△△
カズマ「ふぅ…以上…これが俺の記憶だ……」
カトレア「……」
ホルアドを訪れ、勇者一行のピンチに駆けつけたハジメ達であったが、ハジメがとどめを刺そうとする素振りを見せ、光輝がカトレアの首をはねた
しかし、実際はカズマの頼みを忠実に守っていたふたりが一芝居をうち、光輝が幻術に掛け周りには自身がとどめを刺したように見せた
その後周りが幻術にかけられ、カトレアが見えていない所をカズマが回収し、オスカーの隠れ家までテレポートで移動したのだった
そしてそこでカズマは昨夜の自身の記憶を見せた
これは光輝の万華鏡写輪眼、月読を使った
カズマの技能『スキルオールマイティ』は他人の技能や固有能力を使うことが出来るというもの
ただし、性能や効果は本人以下であり、光輝なら人睨みで月読にかけて現実の時間数秒で精神世界で無限に時間を操ることができるに対し、カズマの月読はかけるのに十数秒、精神世界内での時間操作もあまり長く出来ない…
カズマ「(結構負担が大きいな…月読でこれなら天照なんて使った日には目を失明するんじゃないのか?)」
光輝が平気そうに使っている瞳術だが、光輝は何度も使って負担に慣れたのに対しカズマは光輝以上の負担を負っている
またあくまで技能や固有能力を使えるのであってハジメや光輝の写輪眼に白眼を自身に開眼させることは不可能
本当は普通の幻術でカズマの記憶を見せると言うことも可能だが、通常の幻術はかけるのも幻術内の時間が現実とリンクしてしまうため、早く地上へ戻りハジメ達と合流するためにもできる限り早く済ませられる月読を使ったのだ
そして今
世界の真実、更には自分達が崇め従っていた魔王である神アルヴが自分達の敵である人間族の神の眷属の神であり共に長い年月人間族と魔王族の争いを裏から暗躍していた事実を
カトレア「何なの…!…あたしは…あたし達は皆神々にいいように踊らされてたっていうの!?今まで犠牲になった魔人族は皆…あたしの家族も……エヒトやアルヴの遊びの為に死んでいったっていうの!?」
カトレアはあまりのショックに地面に膝をつけ、身体は震えながら涙を流していた
無理もない…今まで信じていたものが偽りでありそれが自分達長年を苦しめさせた元凶だったのだから
そんな姿をカズマは無言で眺めていた
それからしばらくして、少しは落ち着きを見せたカトレアがカズマへ顔を向けた
カトレア「アンタは…本気でエヒトやアルヴを倒そうと思っているの…?」
カズマ「当然だ…」
カトレア「……それがどれだけのことか…わかって言っているの…?」
カズマ「俺の記憶を見たアンタなら分かるはずだ……俺は本気だ……本気で神を倒そうと思っている…………アンタら魔人族を含めた全ての『人』の命をおもちゃみたいに弄ぶあいつらが許せん……だから倒す……そして、この世界に住む全ての種族が争うことなく、良き隣人、良き友、良き家族である世界にしたいと思っている」
カトレア「!!」
カトレアは驚いた
カズマの記憶を見たとき、カズマの抱いている感情も感じられた
そこには嘘偽りのない、本気で神を倒し、この世界を、本当の平和にし、全ての種族が争う必要のない世界にしたいという意志が
そして、今彼は自分達魔人族だけでなく、この世界に住むすべての種族を『人』と呼んだ
この世界の人間族と魔人族は互いに忌み嫌い合い、相手を人だとは思ってなかった
神に見放されたと言われている亜人族も人扱いされず、人にも魔物にもなれる半端者と称されている竜人族も人として扱ってなかった
だがカズマはそれら全てを同じ存在だと思っている
カトレア「……アンタは……あたしにどうして欲しい…?」
カズマ「そうだな……できれば神を倒すために力を貸して欲しいとは思っているけど…無理強いはしたくない……アンタに決めさせる……もし協力したくないと言ったとしても、アンタは殺さない……ガーランドには行ったことないからそこまで送ることは出来ないが、できる限り近いところまでなら送ってやれる…」
カトレア「……」
カトレアは考えた
自分が取るべき選択がなんなのかを……
本当の平和……それは自分が生きている間に見れるものなのか……
もう誰も争う必要もない……血を流すことも、死体の山が出来ることもない……
そして……
カトレア「……ミハイル…」
カトレアは、自身のつけているロケットペンダントを見た
自身の愛する男との間に、いつかは築きたいと思っている家庭……生まれてくるかもしれない子供が戦いを知らず、戦う必要のない……そんな世界を
カトレア「……見てみたい」
カトレアは決意した
自身も神と戦うことを……そして、この目の前の男と協力する事を
カズマ「……決めたみたいだな」
カトレア「……あたしはここに残る……この先アンタが連れてくるかも知れない、神殺しの同胞達の受け皿になるために」
カズマ「そっか……よかったぁ……正直不安だったんだよなあ……説得に失敗して殺し合うことになるとか本気でやだったからさぁ…」
カトレアの決意を知り、カズマは肩の力を抜いた
カトレア「フフッ、おかしな男ね……アンタはあの勇者よりも強いくせに……今はすごく弱々しく見せるなんて」
カズマ「そりゃあ足元救われないためにも他のやつの前じゃもっと強く堂々と見せてるさ……んじゃ、俺はそろそろ行くけど、オスカーの隠れ家の入口の扉開けるなよ?ヒュドラが出てくるから…出口の魔法陣はライセン大峡谷に繋がってるから気をつけな?」
そう言うとカズマはテレポートの準備を進める
カトレア「ねえ……アンタの名は?」
カズマ「……カズマ…サトウカズマだ…アンタは?」
カトレア「あたしはカトレア……ガーランド特殊部隊所属のカトレア……」
カズマ「……そっか…それじゃあ今日から俺とアンタは同志ってことだな……よろしくな、カトレア」
そうカズマは笑みを浮かべながらテレポートで消えていった
カトレア「……フフッ…(同志ね……まさか、人間族にそんな事を言われる日が来るなんてね………彼……なかなかいい男だったわね……ミハイルと出会わなかったら惚れてたかもしれないくらいに…)」
カズマ「おっと、なにやらシアとミュウの所で騒ぎが起きてんな……あいつらが戻ってくる前に片付けちゃお」
本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?
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