人は本能的に不快感を避けるため逃避するが、先延ばしに陥り長期的あるいは客観的な視野から見て不適切な結果をもたらしてしまう場合がある。現実逃避と呼ばれ戒められた結果として、酒や薬物あるいは問題行動に依存する事もある。
雨の荒野をスピーダーで駆ける。
ツ=シードのローブから水がしみ込んでくる。
「また、蠟引きをし直さなきゃな」
宿場町にたどり着く。
スターホークを止めてパブに入る。
パブに入ると、荒くれ者に絡まれた。
合成皮革の強度を心配するわけでもないが。
S-195ブラスターを突き付けて、
「平和的に話し合おう」
フォース・マインドを使うにも、理由付けのポーズは取るべきだ。
それに、私は長旅の疲れを癒したい。
トイレを借り、長旅で伸びた髭を剃る。
鏡に映った顔、頬はこけ、目に隈ができた顔。
怨嗟が聞こえる。私が殺した。違う。私じゃない。やりたくてやったんじゃない。
亡霊の声は私を責め立てる。
「それしか生き残る道がなかったんだ!!」
洗面台を叩くと共に叫んでしまう。
生き残るためだったんだ。
申し訳なさそうに青いクリスタルが首元で揺れた。
シーシャの稼働させて、深く息を吸う。
何も考えずに息を吐く。
目の前は煙でいっぱいになった。
酒を頼む。
「一番度数が高いやつをロックで」
ポルスティン・スパイスでも使いたくなる。
恨めし気に機械と化した両手を眺めた。
テンプルにいたのだ。
教導する役目があった。
だが、クローンの兵隊が一斉に銃を向けてきた。
共にいた、マスター■■■■■が真っ先に反応した。
彼女のパダワンと共にクランのイニシエイトを逃がそうとした。
対応はしっかりとしていた。
彼女は私を信頼していた。
元パダワンとして。
一人のジェダイ・ナイトとして。
パダワンを、イニシイトを守れると信頼していた。
信頼してくれていた。
数が違いすぎた。
私は、私は。
私は我が身可愛さにイニシエイト達を突き出して逃げた。
死に対して恐怖があった。
その時、その一瞬だけ無限の力が出せる気がした。
弟弟子たるパダワンを押しのけた。
扉を閉めた。
逃げる時間を作った。
悲鳴が聞こえた。
人が倒れる音がした。
必死に逃げた。
そして、粛清から逃げ出せた……。
逃げ出せてしまった。
ワタシだけが。
気づけば、ライトセーバーで腕を焼き切っていた。
それでも、死ぬことはなかった。
死ねなかった。
朝早く。空が白んできた頃に起きる。
嫌な夢だった。
ピーゾを2.3粒、クリギー・エールで流し込み、イウォーク・ジャーキーに齧り付いた。
ワックスをローブに塗る。
どうせ後2.3日はこの街に居るのだ。
昼に住民相手の賭けサバックで、路銀を稼ごう。
夜は酒を飲んで、シーシャでも吸うのが良い。
そうだ。そうしよう。それがいい。
ディアファニールの肌着を繕って楽しい事を考えよう。
どんなイカサマで巻き上げようか。
どんなスパイスを使おうか。
あぁ、私の旅は長い。
あてもなく彷徨うばかりだ。
嫌なことから目を背けることは一種の苦痛であり快楽なのです