ブラックだった社畜が、ホロライブに関わって変わる話 作:ほがみ(Hogami)⛩
沙花叉によしよしされて数分間、とても幸せな感情をその少女は感じていた。今まで感じることはなかったと記憶している感情。また涙が出そうになるがそれをぐっと押さえるかのような暖かさ…
ようやく開放された少女は、今度はルイに声をかけられた
ルイ「心が安らぐまでこの場所にいていいですよ。さすがにこの状態で放っておくのは、私の気が許さないし」
「でも…」
ルイ「総帥も許してくださるだろうし、気にしないでくださいね!みんないい人達だから!」
「―ありがとうございます…」
笑顔で話しかけてくれるルイに、またよしよししそうになる沙花叉
次第に話題は少女の名前をどうしようかという話になった。沙花叉は「えーちゃんでいいんじゃない?」と言ったが、ホロライブにはすでにえーちゃんという人物がいる。それ故紛らわしい名前は避けたいとのことであった
だが、少女が名前を思い出せない以上、どのように呼べば良いかわからない。なにか参考になるものでもあれば良いのだが…
ルイ「うーん。私達みたいに個性的な感じじゃないから難しいね…」
沙花叉「なにか特徴とかあれば良いんだけど…」
ルイ「眠ってたからすりーぷりん!」
沙花叉「いやそれは無理があるだろ。」
ルイ「ね”むり”だけに無理ってね☆」
ルイの言葉と共に冬場のような冷たい雰囲気が部屋中に立ち込める
これほど冷たい雰囲気にできるのはもはや才能であろう。高嶺ルイという女性に天が授けた生まれながら(かどうかは不明だが)のスキルだろう
それから数十分間、様々な名前が考案されたがどれもいい名前は思い浮かばず、名前が記された紙のみが山のように積み上がっていく
二人だけではいい名前が浮かばず、少女がそれで良いと言っても、二人が拒否するので、少女は困惑する
名前を出してずっと行った後、ついに沙花叉がダウンした
沙花叉「もうだめー!思いつかないー!」
ルイ「こよりとかいろはが居てくれたら良いんだけど…生憎お買い物行ってるし…ラプはこの時間は寝てるし…」
ルイのこえが終わると部屋の外から二人ほど元気な声が聞こえた
その声に二人はおかえりーと声を返すと、その声の方が沙花叉と同じように扉からひょっこり顔を出した
ルイよりも明るいピンクの髪の上に犬のような耳を付けた少女と、金髪の元気そうな少女がベットにいる少女を見て、キラキラした目で駆け寄ってきたところ、ピンクの子はルイに止められ、金髪の子は誰にも止められず、少女に駆け寄った
「起きたのでござるね!無事だったでござるか?」
「は、はい…あの…なんであの人は止められてるんですか?」
少女は止められてるピンクの少女を指さしてそういった
ピンクの少女は、泣きそうになりながら、「美少女ぉ〜!!!!」と行ってルイの制止を突破しようとしている。その姿は…何というか動物のようで可愛らしくもある
金髪の子の回答は「あれは君に危険が及ばないように配慮しているでござる」と一言
その危険とは、どのようなものであるか少女には想像しようなかった。あの子が暴力振るうようには見えないし、危険そうには見えない
「こよがなにしたってんだぁーーーー!!!!」
ピンクの子は泣きながら叫んだ
それに対してルイは、「なにもしてないけど、なにかしそうだから予防策!あの子に危険が及ぶわけにはいけないから!」と。少女は何が危険なのかわかったような気がする。美少女と叫びながら近寄ってきて制止されている…なんか危なそうだと
その瞬間…
「―お前らうるさァァァァい!!!!!!!」
また別の少女が扉を勢いよく開けて怒号を飛ばしたのであった
「…吾輩が寝ているのにうるさくするな!」
四人「「すみませんでした…」」
沙花叉よりも角の生えた小柄な少女に四人はしゅんとする
あのルイでさえ、その少女の言葉を反省しているということは、ルイよりも上の立場なのだろうかと少女は思う
「特にこより!」
こより「はい…」
先程騒いでいたピンクの子が”こより”という名前に反応し、しゅんと頭の耳を垂らす
そこから、角の生えた少女にガミガミと説教させられ、さらにしゅんとなった。先程はよく観察できなかったが、こよりという子には尻尾が生えており、いつかもふもふしたいなと少女は思う
角の生えた少女の怒りは収まり、話題は少女の話に変わった
「で?この子はなに?」
ルイ「私が。外でフラフラになっていたので、私が介護しました。話を聞くと記憶を失っており…何らかの過度なストレスかと思われます」
「過度なストレス…か」
ルイ「はい。ついては――」
「大変だったなぁぁぁぁ…お前ぇぇ…」
角の生えた少女は泣きながら少女を抱きしめた
小さな体だというのになぜか包容感があり、とても安心できる感覚であった
それをみた四人はなぜ泣いているのかわからない状態になり、ルイは先程言おうとした言葉を続けて話す。「この子をここで保護しないか」と。すると、少女の体に抱きついたまま顔をルイの方に向けて「うん…うん!この子はここで保護しよう…!」と
「吾輩、人の不幸には涙もろいんだ。何があったかはわからないが、きっと苦しいことがあったに違いない!よって!この子を我が秘密結社、Holoxに入団させる!」
四人「おーーーーーー!」
角の生えた少女の声に賛同するように四人は声を出した
そして何かに気がついたように角の生えた少女は少女から少し離れてこほんと一呼吸置いた
ラプラス「自己紹介がまだだったな!吾輩のお名前はラプラス・ダークネス!我が秘密結社Holoxの総帥を統べる者だ!そして…!…………おい、幹部!」
ルイ「私と沙花叉もう自己紹介したから、次こよりから」
こよりと呼ばれた子は驚いたような感じを出しつつ自己紹介をした
こより「え!それじゃ…Holoxの頭脳!博衣こより!さっきは取り乱してごめんー!次!」
いろは「どうもでござるー!Holoxの用心棒!風真いろはでござるー!」
「……忍者?」
いろは「忍者じゃないでござる!侍でござる!!!」
いろははほっぺをぷくっと膨らませてプンプンと怒る
その様子から見て、どうやら言われ続けているようだ。だがその容姿…和服のような服装にその背に携える刀とその口調を見れば忍者ではないかという憶測が出るのは予想がつく
だが、いろははその呼ばれはあまり好きでは無いようだ
少女はごめんと謝ると、いろははわかってくれればいいでござるよ。と優しい声で言った
ラプラス「ところで…君の名前…どうしようか」
こより「記憶失っててわからないんじゃ――こよの出番!」
そう言ってこよりは懐から試験管に入った謎の薬液をかざした
その液体は少しとろっとしており、色はこよりの髪の色のようにピンク。見るからに危険そうな色であり、喜んで飲むことはしたくないように感じる
沙花叉「ちょっ…それ、なに…?」
こより「この前作成した記憶を取り戻す薬!もし記憶喪失になったときのために作ってたんですよ!」
ルイ「変なもの入ってないだろうね?」
こより「大丈夫ですよ!この色は私に合わせただけなので。甘い味に”なっている”と思います!」
明らかに信憑性のないことを口にするこより。それを危ないからと言う理由で取り上げようとするルイ。二人はごちゃごちゃして、やがてこよりの手からその薬が飛んでいった
ぽーんと投げ出される薬を唖然とした顔でみるラプラスといろはと沙花叉。あー!と焦る顔でそれを取ろうと手を伸ばすこよりに、薬をつかもうと手をのばすルイだったが、その手はスカっ…と空を切り、やがてその薬は少女の頭にかかった
「きゃっ…」
ラプラス「大丈夫か?!」
ラプラスは少女を心配し、色々指示したり、手配したりする
そのなかで、少女は思い出したことがある
(…秘密結社って…なんだっけ)
ラプ様はおらおら系に見えてすっごく可愛いと私は思います
沙花叉だけ名字なのは、沙花叉はクロヱよりも沙花叉のほうがなぜかイメージが強いからです