duplex personality Relite & Brite   作:如月ねこ

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お気に入り登録してくれたクラムボンクラさん、ありがとうございます!
UAが150を超してた…ありがとうッ!
テンションが上がって今回は長めです。
強欲ですが評価だけでもよろしくお願いします


間話「融けた心」

 

 ———なぜここまで構ってくれるの

 

 ———私を受け入れてくれるの

 

 ———あれほどまで遠ざけたのに

 

 ———拒絶したのに

 

 ———本当は遠ざけるべきなのに

 

 ———近づくべきではないのに

 

 ———何でこんなにこうしてると落ち着くの……? 

 

 

 背中に回された腕の暖かさを感じながら想う。

 ろくに会ったことのない仲間がこうして私を理解し、

 受け入れそして慰めてくれている。

 

 人というものは信じてはいけないものだったはずなのに。

 なぜだか涙が溢れてくる。

 嗚呼、これが“安心する”ということなのか。

 

 もう涙で見えない瞳を閉じる。

 

 今もReliteは私の背中をさすってくれている。

 私を優しく包んで、私の心に安らぎを与えてくれている。

 こここそが私の居場所なんだわ。

 もう誰にも奪わせない。絶対に護る。

 この温かさがなければ私は生きてはいけないから。

 この温かさこそが私の居場所だから。

 Reliteには悪いけれど、もう少しこのままで居させてもらおうかしら。

 少しでもこの温かさを感じて、覚えていたいの———

 

 今まで感じたことのなかった温かさを彼女は手に入れる。

 それは彼女の新しい居場所であり、そして守らなければならないもの。

 ある少女の優しさは、氷に覆われたたった一人の少女の心を溶かした。

 彼女は少女を護ることを決意し、共に先へと歩き出す。

 もうそこには、彼女を覆っていた氷は残っていなかった———

 

 ____________________________

 

 私はどこで産まれたかを覚えていない。

 

 物心ついた時には捨てられていて、どこかの孤児院に入れられていたのよ。

 

「生きているだけでありがたいと思え」

 

「生かしてやっているのは俺だ」

 

 孤児院の院長は何かするとすぐ暴力を振るう人だったわ。

 その分、“使える”子供は贔屓する。

 だから孤児院にいる子供たちはみんな院長に認めてもらうよう、

 

 ———他人を蹴落した。

 

 でっちあげの罪なんて当たり前。時には自傷してこいつにやられた

 とかいう奴らもいたわね。

 

 だから私も他人蹴落としながら、しかし目立たないように、孤児院の生活を送っていた。

 しかしいつの日か、いきなり院長に呼び出された。

 どうせ碌なことでもないと思って院長室に行ったら、そこにはスーツを着た中年男性がいて、

 院長が今からお前は引き取られると言った。

 

 意味が分からなかった。

 

 こんな私を引きとって何があるのか。

 なぜ私なのか。

 考えているとボーッとするな頬を殴られた。

 院長はその人にずいぶん下手に出ていて、少し愉快だったけれど表情には出さなかった。

 そこで気づいた。あくまでも養ってくれていたこの院長は私を売ったということ。

 もうそこで人を信じられなくなってしまった。

 

 そうやって引き取られてきたのは、街の隅にある一軒のアパート。

 元々外には出してもらえなかったので、そこまでへの道のりが新鮮だった。

 

 アパートに入るとそこにはいろんな年の子がいた。

 けれど私のことを一瞥しただけで、あとは見向きもしなかった。

 

 しかしただ一人、私に話しかけてくれた少年がいたの。

 ただ一つの希望、その時の私には彼はそう見えた。

 ああ……そういや名前も知らなかった。

 聞いとけばよかったわね……

 

 彼は私に挨拶をしたから、挨拶をし返そうと思ったら男性が私をボスのところに

 連れて行くって私の腕を掴んで連れ出した。

 その時彼はまた話そうと言ってくれて、それが何よりも嬉しかったのよ。

 

 連れて行かれた先は豪華な絨毯が敷いてある部屋で、目の前の机に肘をついている

 この人こそ“ボス”って人なのだろうと察したの。

 

 その“ボス”から言われた私の仕事内容が、“人の暗殺“だった。

 しかも、成果を出さなければ捨てるとまで言われた。

 私を選んだ理由が見た目だけということも。

 

 ようやく孤児院から出れたと思ったのに。

 出た先はそんなに変わらないところだった。

 

 暗い顔で帰ってきた私に彼は声をかけてくれた。

 

 

「大丈夫だ、お前なら何とかやれるさ」

 

「……」

 

「俺だってここまで来れてるんだ、お前だって生きていけるさ」

 

「……」

 

「そうだ、メシ食わないか? もう七時だぞ?」

 

「……いいわよ」

 

「お! ようやく喋ってくれたな! じゃあこれからよろしく!」

 

「……よろしく」

 

「おう!」

 

 そうやって彼とは喋るようになった。まあ彼以外に話す人がいなかっただけなんだけど。

 そうやって生活してきて、初めのうちは雑用をやらされていたけれど、

 日々の訓練を積まされて、初めて人を直接殺す役に抜擢された時。彼は

 

「すごいじゃないか! 俺よりももうお偉いさんだな!」

 

 と言ってくれた。それで多少の緊張はほぐれて、任務当日。

 少し狭い通りでターゲットが歩いてきたという連絡を待つ。

 連絡が来た時に、私の手は震えていた。

 

「大丈夫だ」

 

 不意に、彼の声が聞こえたような気がした。

 彼は別任務中のはずだが。しかし不思議と手の震えは収まっていた。

 

 ターゲットが近づいているという連絡が来た。

 スラム街の子供を装って道をゆらゆらと歩いて行く。

 ターゲットとすれ違った。音を立てないように反転し、

 ターゲットに飛びかかる。

 音を立てないように喉を切り裂いた短い刃は余すことなく対象の命を

 刈り取った。

 

 そのまま路地裏に引きずっていって、回収役の人に渡す。

 私の任務はここで終了だ。

 早く帰って任務の成功を伝えようと、帰還の合図が出るまでの時間がやけに長く感じた。

 

 ———そうやって帰ってきたアパートに彼はいなかった。

 近くの少し話せるようになった人に聞けば彼は任務に失敗して“始末された”という事。

 

 頭が真っ白になった。

 やっと得た心の安寧を失ったというのか。

 ショックで倒れそうになったけど、気合いで堪えた。

 正直そこからどう暮らしていたかは覚えていないわ。

 アパートを逃げ出して、所々の店から食べ物を盗んで……

 そうしていたある日、ついに捕まってしまった。

 捕まえたのは紫の髪の女の子。

 それと黒茶色の髪の男の子。

 これが今の朱莉と爀ね。

 

 彼らに捕まった後、彼らに縛られて、何で盗もうとしたか聞かれた。

 そうして事情を話したら、予想外の事に彼らが養ってくれると言う。

 しかし私は頑として首と縦に振らなかった。

 当たり前じゃない、そうやって私は売られたんだから。

 

 しかしここから物を盗んで生きていてもいつかは終わりが来ることは確かだし、

 仕方なく、警戒してその申し出を受けた。

 そうやって彼らと住み始めた初めの日の晩御飯はチキンだった。

 正直、チキンは食べたことがなかったから、警戒していたけれど、

 朱莉に毒見をしてもらって食べたら意外と美味しかったのを覚えているわ。

 そして、ソファーに一緒に座ったら、ソファーの柔らかさと疲労、安心感か知らないけれど

 すぐ寝てしまったわ。

 そうして起きた次の日の朝、しまったと思って自分のみに何か起こっていないか確認し、

 何もないと分かった時にやっと昨日朱莉と爀の家に引き取ってもらったことを思い出したの。

 そうして朝朱莉と爀のお母さんという人にいろいろ話を聞いた所、

 書くも引き取ったうちの一人ということだ。

 

「ここはもうあなたの家でもあるのよ」

 

 そう言われながら朝ごはんにと出されたアップルパイの味は人生の中で食べてきた物の中で

 一番美味しかったわね。

 

 そうして、育っていって独学で勉強もしていって、大人になっていって、

 シュリの提案で情報屋をしようという事になって今に至る———

 

 ____________________________

 

「と言う所かしらね」

 

 話を締めくくる。

 

「そんな話があったのね……」

 

 少し複雑そうな顔で“私の“Reliteは言う。

 心配してくれるなんて流石はReliteだ。

 私の心の重さがなくなって行くのが分かる。

 話すだけでここまで変わる物だったのか。

 今まで誰にも話さなかった過去の自分を自嘲気味にに笑う。

 

「ねえ、今日は一緒に寝てもらうから」

 

「いいよ、安心するんでしょ?」

 

 嗚呼、この子は私を分かってくれている。           ———好き

 この子を離したくない。                   ———離さない

 もし手を出す輩がいるのならば私は———          ———いるのならば

 

 

 ———正気ではいられるのだろうか              ———殺してしまうだろう

 

 

 

 ____________________________

 

 アップルパイ

 

 砂糖煮にしたリンゴを詰めてオーブンで焼いたパイのこと。

 ただそれだけの料理だが、朱莉の母が出してくれた焼きたてのアップルパイは、

 その温度以上に、レクスの心を温めたようだ




重くなってきたね
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