duplex personality Relite & Brite   作:如月ねこ

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第2話「依頼」

 暗い暗い、仄かに灯りのついた狭い地下通路を進む。

 Brite/Reliteが「情報屋」を経営するにあたって勝手に作った

 物で、合法かどうかは極めてダークなグレーである。

 正直外に出るたびにこんなところを通るのは好きな物じゃない

 のだが、Brite/Reliteが「情報屋」であることを

 秘匿するためには仕方がないことなのである。

 暗い通路を何回か曲がって行き着いた先には

 暗い地下通路には似もつかないアンティークなドアがある。

 一見古いドアに見えるそれに近づき、「開け」と言い放つ。

 顔認証と虹彩認証、声紋認識による3段階のセキュリティをパスし、

 古めかしいドアがゆっくりと開いていった。

 特に何も言わずにその中へBrite/Reliteは入っていく。

 こここそが“彼ら”の家、もとい仕事場の「ガレージ」なのである。

 

 ——————————————————

「ただいまー」

 

「「おかえりー」」

 

 帰宅を告げると、声が返ってくる。

 取り敢えず玄関に置いてあるスピーカー付きのブレスレットを

 右手首に付ける。これは裏にいる人格の思考や発言を

 特殊な脳波から読み取り、そのまま音声にして出力する代物だ。

 Brite/Relite の為に今目の前にいる“彼ら”が作ってくれて、

 その時からずっと使っている。

 

 [ただいま〜]


「今日のご飯何〜?」

 

「トマト煮よ」


「おけ」

 

 [え“え!? ]

 

 Reliteは 予想外な晩ご飯のメニューに目眩がした。

(裏にいるから目眩はしないはずだが)

 確か今日は古き良き日本食、「寿司」だった筈だ。

 [寿司じゃないの? ]

 

「いや商店街に行っても刺身がなくてねぇ、

 魚一匹丸々持ってきてくれたら捌いてあげるわよ」

 

 そんな無茶振りをけしかけてくるのは「ガレージ」の

 母親的存在、「朱莉」だ。

 基本Briteに似て温厚であり、(血の繋がりはない)

 誰にでも優しいが、仕事のことになるとどんな事にも

 妥協を許さない仕事人になる。

 

「出来るわけないでしょそんなこと」

 

 そんな朱莉にツッコミを入れるのがこの背の小さい(本人に言うと本気で殴られる。痛い)少女、「鴎(カモメ)」だ。

 昔朱莉がいつの間にか拾ってきていて、「鴎」と名付けられた。

 それから「情報屋」の手伝いを対価に養っている。

 幸い情報関連の技術が高く、ここにもかなり馴染んだので、

 最近は「取引相手」から「家族」に格上げされたようだ。

 主に情報端末やインターネットの中にある情報をハッキングすることや、

 暗号文を解読する役割をしている。

 本人は子供扱いして欲しくないらしいが、

 そんな小さい身長で言われても説得力は皆無だ。

 そんな事よりもReliteはどう今日のトマト煮を乗り越えるのかが問題だった。

 人格が交代できると言ってもある程度の感覚は共有されて、

(五感だけだが)どう解釈するかが違うだけだ。

 だから裏にいたとしてもあの苦いトマトの味を感じなければならない。そして何より悪い事に、

 Briteはトマトが苦手ではないし、食べ物はよく味わって食べる派の人格なのだ。

 

 [ねぇ明日あなた表でいいから今日のご飯の時だけ人格交代してくれない? ]

 

「やだ」

 

 [あ“あ”あ“あ”あ“]

 

 BriteとReliteでは1日ごとに主に表に出る人格をローテーションしている。

 今日はBriteで明日はReliteの筈だった。

 なんやかんやあって楽しい楽しい(?)晩御飯も終わり、少しゆっくりしている。

 

 [地獄だった……]

 

「ちょっと思考休めときなよ」

 

 ぼやくReliteにBriteが助言する。

 

「あ そう、朱莉?」

 

「何かしら?」

 

「今日2人組から襲撃を受けた」

 

 一瞬で空間が引き締まる。朱莉の顔が少し引き締まった。

 

「どっちともそこまで強くなかったけれど、あと1人、誰かが少し遠くにいて、

 僕たちを見てたんだ」

 

 あの時、誰かが、Brite/Reliteの事を見ていたことに気づいていた。

 しかし追いかけようとする前に去ってしまい、見失ったのだ。

 

「何処のやつかは分からない。でも全員少しは警戒して欲しい。

 鴎は少し情報を探してみてくれる?」

 

「分かったわよ」

 

「了解」

 

 話はここで一旦終了だ。

 

「んで任務ってなんか来てる?」

 

 そう言った瞬間、朱莉の顔が少し引き攣った。

 

「ええ、あるけど……少し変なのよね」

 そう言って見せられたデータにはこう書かれていた。


 ================================

 

 依頼書

 

 依頼者:匿名

 依頼内容: 「鈴木諒」の身辺調査

 報酬: ¥100,000,00 + 出来高払い  

 情報の受け渡し方法:特別輸送

 

 =================================

 

「一見普通に見えるわよね? 、秘密情報を扱うのに特別輸送は

 常識、依頼内容も普通の身辺調査。でも()()()()()()()のよ。

 普通身辺調査はお偉いさんでも1000万円は上らないわ。

 でもこの依頼は1000万円に出来高払いまでプラスされてる。

 普通に変だわよね。一回鴎ちゃんにこの「鈴木諒」に関して

 一旦調べてもらって、そこから受諾するか決めましょう。

 受領期間もまだまだあるし。鴎ちゃん、頼める?」

 

 お願いのポーズで尋ねられたが、鴎には断る理由がない。

 

「いいですよ」

 

「やったー!」

 

 謎にテンションの高い朱莉を置いて、早速鴎は情報を

 集め始めたのだった。

 

 ______________________________________

 

 朱莉(シュリ)

 

 優しいお母さん的立ち位置

 目の色は黒

 髪は暗い紫

 

「ガレージ」にて、Brite、Relite、鴎と住んでいる一人。

「ガレージ」に住んでいる“五人”の中では一番背が高い。

 優しい見た目とは裏腹に、時には色気も使う狡猾さを

 持っている。「ガレージ」では、

 他人の過去を詮索するのはタブーではない。

 しかし、彼女の過去はいくら探しても“無い”という。

 それでは神秘に包まれた彼女の過去と言う物は

 果たして何なのだろうか

 

 好物    :スイーツ(甘い物全般) 怠惰 ソファー

 苦手な物  :仕事(面倒臭い)

 

 メイン武器種:徒手

 戦闘スタイル:体術中心の戦闘スタイル。

 故に持ち武器は身体能力向上系の、

 サポーターを使っている。

 

 持ち武器

 

「レヴン」

 正しくは”Leivn”

 靴や足首、手首に装着できるサポーター。

 小さいマイクロブースターが付いており、

 起動することで起動場所に応じて様々な

 体の動きが可能になる。

 その機会は、人に新たな自由を齎した。

 造り出された自由は、果たして本当の

 “自由”なのだろうか

 

 固有技巧

「クラック」

 出力を一定時間限界まで上げ、起動による

 加速を爆発的に上げる。ただ、燃費が

 非常に悪いため、切り札となっている。

 技巧発動中なら、空中飛行も可能となっている。

 タイムリミットは平均4分20秒。

 

 

「不倶戴天」

 背中に装着し、使用者の基礎体力、筋力を向上させる。

 “不倶戴天”という言葉は、”どうしても許せないほど

 深く恨む”という意味があり、技巧”惜別”の意味は、

 “名残惜しく別れるのが惜しい”という意味がある。

「不倶戴天」の制作者は何を思ってこれを

 造ったのだろうか

 

 固有技巧

「惜別」

 脊髄に直接アクセスして、反射神経を高める。

 その代償に脳への負担が高く、最悪の場合、

 脳死に至る

 

 

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