真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~   作:貴司崎

100 / 110
幕間:DAT隊のサブクエスト

 □特殊な悪魔合体方法

 

「……そういう訳で隊長、ジャアクフロストがなんかナホビノになりたいと言っているので良い感じの特殊合体方法とか知りませんかね?」

「いや一体どういう事だ? ……うおっと!」

 

 混沌の奇禍事変と呼ばれる一見の少し前、趣味の盆栽を弄ってる最中にヤマトからいきなりそんな質問をされたヘビクラ・シンゴ隊長は思わず頭に疑問符を浮かべて、危うく切っちゃいけない枝まで切りそうになった慌てて手を止めた。

 ……まあ、ナホビノと言う規格外の存在故に一般的なサマナーとしての常識には疎いヤマト及びアオビトに色々と“サマナーの常識”を教えていて、何か分からない事があったら聞けと言ったのはヘビクラ隊長であったので溜息を吐きながらも律儀に質問には答えるのだが。

 

「よしセーフ! ……それはそれとしてナホビノになりたいとは穏やかじゃないな。人間合体でもするのか? 人道的じゃないし事故率高いぞ」

「いえ、なんか語尾にヒホをつけた【大魔王 ルシファー(仮)】から啓示を得て、裁縫を頑張ってナホビノっぽいコスプレ衣装を作りつつ手からビームサーベルや光線が出せればナホビノっぽいフロストになれる感じの特殊合体が出来るんだとか」

「…………あのヒーホー達って相変わらず唐突にバリエが増えるよな」

 

 同じ名前の悪魔でも種族や能力が違う別軸の個体が複数種いるのはデビバス業界では常識ではあるが、例のフロストを筆頭とするヒーホー連中は何故か異常に別種の数が多いと言うか派生した別の悪魔的な変種バリエーションが多数いる良くわからん悪魔であるのだ。

 ……他の悪魔だとキングスライムとかジャアクガキとかは居ないのにフロスト連中だけやけに“別の軸”じゃない“派生種”的なバリエーションが多いのは悪魔業界の謎の一つだったり、それを専門に研究して新しい派生フロストを作ってるヤツがいるとか言う噂もあるぐらいだ。

 

「……フロスト連中の良くわからん生態はともかく、俺もヒーホー達について詳しい訳じゃないんだけどな。ヒーホー系の仲魔はまだ若い頃の駆け出し時代にちょっと仲魔にした事あるだけで、直ぐ普通の合体素材にして別の悪魔にしたからフロスト派生特殊合体なんてやった事は無い」

「でも以前に“ノルンの特殊合体仲魔から提案されて試練(クエスト)達成(クリア)した時に出来る様になった”って言ってましたよね」

「ああ、確かにノルンは【鬼女 クロートー】【鬼女 ラケシス】【鬼女 アトロポス】から“己の運命に纏わる問答”含めた試練を乗り越えて合体出来る様になったな。特殊合体ってのは合体先の悪魔に認められるか縁が出来るかせんと実行出来んものが多い」

 

 ヘビクラ隊長曰く、3人の“運命”を司る鬼女から試練を受ける様に言われたのはDAT隊を作ってから暫くした後の事で、いきなり『貴方はこれまでとは違う運命を紡ごうとしている』『今の世の運命は私達でも測れぬもの』『でもその道を行くなら力があるに越した事はない』とか言われて【女神 ノルン】と戦ってその力を獲得するべきと提案されたらしい*1

 それでせっかくなら戦力強化した方がいいかてなりヘビクラ隊長と3人の鬼女とDAT隊で丁度良い異界に行って、そこで呼び出された【ノルン】及び【妖魔 ディース】と戦って倒した事で合体条件が解禁されたとの事*2

 

「まあ俺達の平均レベルが50代で出てきたノルンとお供のディース3体が全員レベル60以上だったから死にかけたがな。レベルで互角なのが俺ぐらいしか居なかったし、まあお陰で全員限界突破してその後の活動も大分楽になって、三姉妹をガッチャンコしたノルンも普通に強かったから総合的にはプラスになったな」

「クエストを受けたらいきなり強力な悪魔と戦わされる事はよくある事だから仕方ない。……しかし、こっちはどうすれば良いのか分からない状態ですからね。誰かと戦えとかなら分かりやすくて良いんですが」

「そもそもその肝心のジャアクフロストはどう言ってるんだ? フロスト系の良くわからん派生パワーアップとかなら本人に聞いた方が早いだろうに」

「……お裁縫の練習をしつつあそこでミツヒロさんに相談してます」

 

 そう言ったヤマトが指差した先には何やら熱弁を振るっているジャアクフロストと、それを興味深そうに聞いているDAT隊の天才技術者ドイガキ・ミツヒロの姿があった。

 

「……という訳で、お裁ホーの練習はしてるホがサマナーのウルトラな感じの変身時デザインはけっこう複雑だから難航してるホ。AA合体特撮版じゃなくて漫画番だから線が複雑なんだホ。だからちょっと手伝って欲しいんだホ」

「ふむ、ならば魔晶技術をアレやコレやして作った悪魔の外見を弄る系術式を使うか。それと試作ULTRAMANスーツデモニカの側を良い感じに使うか。今こそHIHOTRAMAN計画を実行に移して新型フロストを創り出して……」

 

 ……そこでは頭ヒーホーなフロストの発言から何かを思い付いたのかミツヒロがマッドな顔でちょっと理解を拒む発言をしていたので二人はそっと目を逸らした。

 

「……あー、まあミツヒロのヤツは魔晶武器の生産・整備が出来る程度にはサマナー技術や悪魔合体技術にも長けてるから、アイツが調べていけば何か取っ掛かりでも掴めるんじゃないか? その結果どんなフロスト派生が生まれるかは知らん」

「俺の変身後の外見は何故かウルトラ風味になってますからねぇ。……とりあえず他に何か手掛かりがないか調べてみます。次のクルーゼさんの所の予約はまだ先ですけど、知り合いになったアイス売りのフロストとか妖精系悪魔なら何か知ってるかなぁ?」

 

 何か変な変種が生まれそうな気もしたがヒーホー族だし大丈夫だろうと考える事を放棄した二人は、なんか会話が徐々にヒートアップしてるフロストとミツヒロをスルーしつつそれぞれ自分がやるべき仕事に戻って行ったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 □DAT隊のサブクエスト

 

 とある日、DAT隊のヤマトとトモヤとケンジロウはレルムへと買い出しに行ったら、何故か主にヤマトが色々と面倒な事に巻き込まれて色々あった末にどうにか解決したので帰路に就いていた。

 この3人でこうして買い物や軽度の依頼などの簡単な用事で出かける事は結構ある……と言うかDAT隊の隊長としてチーム全体に関わる書類仕事とかやってるヘビクラ隊長、有用性の高い消費アイテムである符を作ったりしてるアンヌ副隊長、チーム全体の装備の開発・整備を行うミツヒロは忙しい事が多いので、簡単な用事はこの3人で済ませる事が多いと言うだけなのだが。

 

「……ふぅ、まさか簡単なレルムへの買い出しのつもりだったのにここまで大事になるとは」

「ホントっすよねぇ。なんかヤマトがフロストアイスを買いに行ったら妖精連中が『誰がアイスをつまみ食いしたか』で揉めてて、全員の証言を照らし合わせて犯人を割り出したら今度は街中で【ターボばあちゃん】がレルム内を爆走し出して、そっちを止めに行ったら何処からか現れた【オロバス】が『レルム大駅伝大会』とか開き出してターボばあちゃん本人や悪ノリしたDBや悪魔が参加表明、そんで最終的にはヤマトが圧倒的な走力と地形走破力で大差を付けて優勝っすから」

「これでも走る事(ダッシュ)には自信がありますから。それでもターボばあちゃんは強敵でした。ゴール前のコーナーで相手のギックリ腰が無ければ危なかったかもしれません」

 

 ただ、なんか良くわからん大会で優勝したのが嬉しかったのか割と自慢げなヤマトと比べて、トモヤとケンジロウの二人は簡単な買い出しだった筈なのに妙な事件に巻き込まれて少し疲れた様子であった。

 実は何故かヤマトが外に出ると変な依頼(クエスト)をされる事がそこそこあり、一緒に出掛ける事の多い二人もそれに巻き込まれる事が偶にあるのだ。

 

「……しかしなんでヤマトが外に出ると変なイベントが起こるんだ? RPGの主人公か何かなのかお前は?」

「外を歩いていたら悪魔から依頼されるのは普通の事では?(ダアト脳) ……まあぶっちゃけナホビノパワー的な何かで困ってる人や悪魔がいる場所とかはなんとなく分かるんですよね*3。多分周辺地形と悪魔の敵意を感じ取る能力のちょっとした応用です」

「それで色んな事件に首を突っ込んでるっすか。……人助け自体は悪い事とは言わないけどこの業界厄介事も多いから気を付けた方がいいっす、今回みたいなギャグ依頼だけとは限らないので」

「でも受けられる依頼(クエスト)は全部受けてフルコンプしたいじゃないですか(ゲーム脳) ……まあ冗談はさておき悪魔相手の依頼なら報酬は“必ず”手に入りますし、何より頼み事を解決して信仰パワー的な奴で御厳を稼がないといけないので。この手の依頼はナホビノにとっては割と死活問題なんです」

 

 ちなみにヤマト自身も正確に理解している訳ではないのだが、ナホビノが有する神意によるある種の認識操作によって特に悪魔相手には『契約の履行』『相応の報酬を必ず支払う』の様な強制力が働くので“騙して悪いが”の様な報酬を踏み倒される依頼になる事は余りない模様。

 ……まあ、稀に『俺と戦う事が報酬だ!』とか『俺の依頼果たしてないじゃないか!』的な感じで依頼主が襲い掛かって来るケースもあるのだが、そうなったら叩きのめして経験値を手に入れつつ命乞いさせて報酬も搾り取れば良いとヤマトは考えているので直ちに問題はない。

 

「それに流石に昔みたいに一人で黙々と片っ端から依頼を達成する事はしない様にと隊長にも言われてるので、とりあえず同行者がいるなら相談して一人でも事前に連絡を入れる様にしてます。……後は流石にここまでクエストが拗れる事は中々ないですし」

「まあ今のヤマトの実力なら余程の事が無ければ問題ないと思うっすけど、行きずりの悪魔とか人間からの頼み事を引き受けるとか普通はやらないっすよ。大体騙されるケースが多いっすからね」

「こっちをタダでコキ使おうとする連中は気配で何となく分かるのでそう言う相手からは依頼を受けませんよ。それにもし騙されたらナホビノパワーで叩きのめして命乞いさせてから報酬を徹底的に巻き上げればよいので。そうでないなら経験値です」

「あの気まぐれな妖精達もヤマトが言えば素直に報酬を提示してくれたからな。悪魔であれば契約で縛り易いのはあるがナホビノはそういう力が強いのか? ……それはそれとして一般的なデビバスとは微妙に常識が違うと言うか少し頭蛮族感があるが」

 

 ヤマトのこの辺りの考えは日本全部ボルテクス界な状態で広範囲を歩きながら片っ端から主に悪魔の依頼をこなして来た前世の経験の影響なのだが、比較的真っ当よりデビバスである2人から見ると素直にクエストを受ける一般人の様な善良さと、襲われたら躊躇いなく報復して搾り取る容赦の無さを同居する少しだけ特殊な価値観に見える様だ。

 最もヤマトも外道な目的の依頼とかは当然受けない上にそういった気配も読めるので問題になる事は余りなく、一応この世界の一般的なデビバスのやり方も教わってるので前世ほど個人で好き勝手はしてないので二人も軽い注意程度で済ませているが。

 

「それに今回は結構いい報酬をゲット出来たので収支はプラスです(強弁)。駅伝大会の優勝商品で【速さの香*4】に加えて【速さの霊香*5】まで貰えたので。ナホビノを強化する霊香はこの世界では全然見かけないので無いものと思ってましたが」

「あっちは『なんか悪魔にも人間にも使えないお香っぽい物を手に入れたからオマケにしとけ』って感じだったがな。不良品か単なるお香と勘違いされていたのかもしれんが」

「それに妖精達からは【無記たる中立の霊符*6】を貰えたので使えるマガツヒスキルも増えました。……ただ、どうも解放されたマガツヒスキルの使用にはNeutralーNeutralの仲魔が二体以上必要なのが問題ですけどね。種族的に妖精・魔獣が街頭するアライメントだからケルベロス以外にもう一体必要になるか用意しないと……」

「妖精連中は『先日拾ったけど使い方分からないしいらないからあげるー』ってノリだったっすけどね」

 

 まあ、報酬を貰った当人にとっては有用な物であり依頼主からしても必要ない物を渡して満足させられるので、今回に関しては互いにとってWin-Winな取引で問題なく依頼を完遂出来たと言えるのだが。

 

「……マガツヒスキルの効果詳細なんとなく分かるし、多分ユニークスキルと絡めて使えば色々と出来そうな効果ではあるんだけどそもそも使えないと意味ないしな。実際に使って検証作業も必要だし」

「まあ新しく覚えたスキルが強そうでも実際に使ってみると意外と使い難かったり欠点があったりするのは良くある話だ。……しかし護符一つでスキルを覚えられる辺りナホビノってのは色々と規格外な存在だな」

「どうして護符でマガツヒスキルを覚えられるのかは俺自信よく分かってないですけどね! 一般通過ナホビノの俺はフィーリングでスキルを覚えてます!」

「偉そうに言う事じゃない気もするっすが、とりあえずナホビノって時点で一般とかでは絶対無いと思うっすよ。ヤマトって自己評価は低めっすけど既にDAT隊では最強の戦力を持ってるんだし、驕り昂れとは言わないけど自分の実力に自覚は持った方が良いっす」

 

 そんな微妙にズレている常識を持ちながらも規格外な力を持つヤマトに対し、ケンジロウとトモヤはとりあえず最低限自分の力が異常である事ぐらいは自覚しておいた方が良いだろうと釘を刺す。

 ……ヤマトがDAT隊に加わってから失敗こそあれナホビノの圧倒的な力に一切驕らないのは良い事なのだが、自らの力に関する過小評価が過ぎる悪癖があってそれが失敗に繋がってる事も多いとデビルバスターの先輩として二人が気に掛けたのだ。

 

「……一応自分と言うかナホビノと言う存在がこの世界の基準から見ても異常な力を持っているってのは流石に分かってます。……ただ、前世の俺達は『神様になっても何一つ救えなかった敗残者』だったので、その辺りの記憶が強く残ってるからどうにも自分自身を凄いと思えないと言うか」

「ま、神様になったぐらいで何もかも救えるなら多分この世界はここまで酷い事になってないっすからね。力があってもどうにもならない事は幾らでもあるっすから、あんまり過去の失敗を気にし過ぎない方が良いっすよ」

「そもそも神と呼ばれる相手ぐらいならその辺のデビバスを10人ぐらい揃えれば大体狩れるだろう。お前も確かに規格外の力を持ってはいるが倒せない程ではないしな。出来ない事があるのは当たり前だ」

「うーん、前世では俺以外の合一神複数名を相手に出来るぐらいの戦力にはなったと思うんだけど、やっぱりこの世界のインフレ具合は酷いと思う。……それはそれとしてありがとうございます」

 

 尚、過小評価に関してはナホビノになって前世の記憶をある程度取り戻してから見たこの世界のインフレ具合ぐらい酷かった事も理由ではあるが、それはそれとして力があっても出来る事は限られると忠告する先輩達に対してヤマトは感謝を告げる。

 ……少なくとも今はたった実質一人で戦わなければならなかった“嘗ての世界(ダアト)”と違って、頼りになる仲間がいて世界にはめっちゃ強い人間が多数いる“インフレ(今の)世界”なのだから。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 □Project:HIHOTRAMAN

 

 混沌の奇禍事変と呼ばれた事件が終わって数日後、ヤマトはようやく余裕が取れた邪教の館にて、そこの主人の仮面の男(クルーゼ)と共に事変時の学園防衛で出た報酬を注ぎ込んで今日も今日とて悪魔合体に精を出していた。

 ……ちなみに館の主のクルーゼは先日の事変が終わっても当然の様に、と言うか事件でレベルが上がったのもあってより強い悪魔を手に入れるべくより頻繁に合体しに来る無数のサマナー達を相手にするしてグロッキーなので今は床で死にながら無言で合体装置を動かしてます。

 

『……呼びかけに答えて参上仕った。私は【国津神 アラハバキ】である、汝が私のサマナーとなるモノか?』

「ああ、俺がお前を呼び出した八坂ヤマトだ」

『……ふむ、なるほど。……かの神の分御霊を持つ者であれば契約に則って従うのに否はない。今後ともよろしく』

「ああよろしく頼む。……じゃあ早速ちょっとレベルが足りないから【魔導書*7】でドーピングしつつ写せ身合体で……」

『……まあ構わんが……』

 

 悪魔を命乞いさせて巻き上げたマッカを使って幾度かの合体を得て呼び出されたのは古代の土器の様な悪魔【国津神 アラハバキ】で、以前の戦いでカーン系魔法に手間取ったり特殊な付与効果の使い手が増えて来た事への対策としてマガツヒスキル【デカジャオン*8】を使う要員として呼び出したのだ。

 

国津神アラハバキLV70物理・火炎・氷結・電撃・衝撃無効 破魔・呪殺耐性*9

ユニークスキル客人歓待*10

・エナジードレイン+3 ・ラスタキャンディ+3 *11 ・ランダマイザ+3 *12 ・テトラカーン+3 *13 ・マカラカーン+3 *14 ・大活脈 ・延長強化 ・奈落のマスク ・火炎無効 ・氷結無効 ・電撃無効 ・衝撃無効

 

 能力としては補助系スキルに特化させた上で耐性スキルで弱点を埋めた形であるが、物理無効を有する元の耐性の優秀さもあって非常に耐久性に優れた仲魔となり、更に嘗てヤマトが知るアラハバキには無かった特殊なユニークスキルも生えていた。

 

「……このスキルは上手く使えば交代によるバフのリセットを無くせる感じかな。今後の検証も必要だけど交代を多用する俺にとっては有り難いスキルだな」

『ただアクティブにしておける仲魔の内の一体がアラハバキに固定化される制限もあるがな。それにどれぐらいの補助効果が同期出来るかはまだ分からんぞ』

「その辺りも含めて検証は必須だな。上手くマガツヒ効果にも適応出来れば面白い事が出来そうではあるんだが……」

 

 特に最近仲魔や自身に発現した『ユニークスキル』という新たな要素に関しては色々と考える必要があり、他にも何体かの仲魔にユニークスキルと相性が良さそうなスキルを写せ身合体で取得させるなどして、この新要素を上手く使って戦力を向上出来ないかと彼等は考えていた。

 ……そうして予定の作業を凡そ終えたヤマトは本日のラストにしてメインイベントである『新たなるフロストの悪魔合体』もとい“Project:HIHOTRAMAN(命名:ミツヒロ)”を行う事となったのだった。

 

「ヒーッホッホッホー! ようやくオイラが次の段階(ナホビノ)に至る時が来たんだホー! この時の為に磨き上げたお裁ホーと天才(てぇんさい)技術者の協力を得て創り上げたこの『HIHOTRAMANスーツ』の力があればオイラもごーいつしんになれるんだホー!」

「……まあディテールとかはめっちゃ凝ってるけどさ」

 

 そんな風に自信満々なジャアクフロストが掲げているのは日本における国民的な特撮ヒーローを模した赤と銀の色合いに加えて胸には青い円形の装飾が付いた外観、ただし二頭身なフロストが着る様に調整された機械的なデザインのスーツであった。

 ……まあ要するにどこぞの天才技術者がフロスト用のウルトラマンコスプレスーツとして悪ノリしながら作った代物なのだが、作り手が無駄に天才なお陰で特撮の撮影用スーツ並みの出来になっていたりする。

 

「うん、まあそれで良いなら好きにすれば良いんじゃないか(適当)。ただ合一神とウルトラマンにそこまで関係があるとはあんまり思わないと言うか、確かに俺の変身後の姿は何処となくそれっぽいデザインになってるけど」

「こーいうのはノリと勢いが重要だと大魔王様が言ってたホー(多分)。後はコイツを着ながらお告げにあった通りの合体をすればごーいつしんになれる筈なんだホー!」

「特殊合体内容としてはジャックフロストとキングフロストとジャアクフロストとシルキーだったな。計算では各フロストの力と準備した衣装をいい感じに調整してくれる召使い妖精の力を合わせてそれっぽい感じに進化出来る筈とミツヒロさんは言ってたが……まあやってみるか」

 

 これでもそれなりに悪魔合体の技術に触れて来たお陰なのか合体可能な組み合わせなのかは何となく分かるヤマトの直感では“出来る”と出ているし、まあ最悪スライム化したら別の氷結属性特化悪魔を作ればいいかとサマナーらしく結構ドライな考えをしながら合体準備を進めていく。

 ジャアクフロスト以外の三体の悪魔は悪魔全書よりデータとして呼び出して、なんかウルトラ的コスプレをしたジャアクフロストと一緒に合体装置に配置する作業を床で半分死んでるクルーゼがうぞうぞ動きながら行ったのを見て、多分無くても大丈夫だとは思うけど一応手元に愛用のオルガンを用意して特殊合体に挑む。

 

「ヒーホー! ではオイラの新たなる姿をお目にかける時だホー! ここにフロストの新たなる神話が刻まれるんだホー!」

「ここまで来たならやるしかないか……行くぞ」

 

 そうして合体が始まるとジャアクフロストとデータとして呼び出された残り三体の合体素材悪魔がカタチを失い混ぜ合わされ、そこになんかヒーホー的なスピリットっぽいモノが呼び起こされて新たなるカタチへと変性する。

 そして混ぜ合わされた混沌が弾けると共に某ぐんぐんカット的なSE音とキラキラ光るぐんぐんカット時の背景っぽい輝きに包まれながら、片腕を天に突き上げたウルトラマン的なお約束のポーズを伴ってフロスト的な丸っこいシルエットを持った新たな悪魔が生み出されたのだ。

 

「……ヒホーッホッホー! オイラこそがヒーホーな未来を築く希望の光な新たなるごーいつしん【合一神(自称) ナホビホ】だホー! 創世されし銀世界がオイラを呼ぶんだホー! シュワッチだホー!」

「本当に成功したよ。……それはともかく種族は【合一神】じゃなくて【妖精】だけどな」

「種族なんてのは作品ごとにコロコロ変わるから些細な問題だホー。重要なのは中身だホ」

 

 現れたのはフロスト的な二頭身ボディにヤマトの変身後の姿に酷似した複雑な紋様や胸部の結晶体を有する外見の悪魔【妖精 ナホビホ】であった。まあ外見はぶっちゃけナホビノコスプレなのだが手からビームサーベルっぽいモノが出せたりと能力まで完全なニセモノではない様である。

 

「まあ確かにステータスはかなりのもので強力な専用スキルもあるみたいだしな。それに種族が【妖精】ならこの前手に入れた霊符も活かせそうだ。……とりあえず写せ身合体で弱点を埋めつつスキルを調整して、後は残りの【魔導書】でレベルを上げまして……」

「そうして出来上がったオイラの最新ステータスがこちらになりますホー」

 

妖精ナホビホLV75氷結吸収 電撃・衝撃無効 物理・破魔耐性*15

ユニークスキルまがつひせつやく*16

・モータルジハード+4 ・こーじんらせんざん+5 *17 ・至高の魔弾 ・会心の覇気+1 ・大活脈 ・氷結プレロマ ・氷結ギガプレロマ ・ミナゴロシの愉悦 ・ハイリストア ・セーフティ ・不屈の闘志 ・衝撃無効

 

 とりあえず手元にある写せ身を使って氷結属性物理クリティカルアタッカーな調整になったナホビホであったが、今後の運用次第では再調整が必要になるかもしれないとして一先ずのステータスである。

 そんなこんなあって新型フロストを生み出す特殊合体を確立してみたヤマトだったが、正直言って再現性は微妙かもしれんなと思いつつやる事は終わったので引き続き床で死んだままのクルーゼに礼を言って邪教の館から退出した。

 

「……さて、出来る限り戦力は強化したつもりだが、これで()()()()には間に合うか」

『アイテムの補充も可能な限り済ませた。3日後に行われる予定の“【G.E.H.E.N.A】殲滅戦”でも十分に戦えるだろう』

 

 そして彼等は数日後に控えたグランギニョル社とDAT隊含む有志のDB達による、以前に琴陽より提供された情報とその後の追跡調査によって特定されたG.E.H.E.N.A.の本拠地への侵攻作戦に向けての準備を終えた。

 ……今までは色々と暗躍して来たG.E.H.E.N.A.であったが聖華学園への襲撃などを含めてその暴挙はこれ以上看過出来ず、何より今後の事を考えればこれ以上は放置出来ないと判断したグランギニョル社は後顧の憂いを立つべく攻略戦を仕掛ける決断を下し、彼等DAT隊もこれに賛成して準備を進めていたのだ。

 

「隊長は余り時間を掛けてはいられない的な事を言ってたし、何よりあの事変から都内には“妙な気配”を感じるしな。倒せる敵は早めに倒しておいた方がいい気がする」

『ヤクザの残党退治含めて動けるものは現在積極的に倒せる敵を討伐しているらしいからな。この世界を守る者として俺達も微力を尽くすとしよう』

 

 微力と言うにはナホビノという存在は規格外な戦力ではあるが、それはともかくこうして彼等DAT隊は僅かな休暇と準備期間を経て再び新たな戦いに赴く事となる……彼等の戦いはこの世界にある程度の平和が訪れるまで続くのだった。

*1
真5Vでは『運命の女神たち』というクロートー・ラケシス・アトロポスのいずれかが仲魔にいる時に一定までシナリオを進めると悪魔の裏庭で受注可能になるサブクエストがある。

*2
クエスト受注後にクロートー・ラケシス・アトロポスの三体をアクティブにして指定の地点に行くとノルン及び3体のディースと戦って勝利すればクエストクリアでノルンの特殊合体が解禁される。

*3
真5ではサブクエストを受注出来るキャラはマップで分かるし頭上に専用アイコンが着く。

*4
仲魔の速を1上昇させる。真5仕様。

*5
ナホビノ(合一神)の速を1上昇させる。真5出典。

*6
NeutralーNeutralの二体が集う事でマガツヒスキル【禍時:自在】が使用可能になる。真5V出典。

*7
サマナーよりレベルが低い仲魔を1レベルアップさせる。真5仕様であり市場に出回っていた魔導書の内で悪魔にしか効果がないヤツを買った。

*8
国津神のマガツヒスキル。敵全体のあらゆる有効効果を解除し(マガツヒ効果を除く)、状態異常の耐性値を戦闘開始時の状態に戻す。真5V仕様。

*9
真5アラハバキ耐性+【火炎無効】【氷結無効】【電撃無効】【衝撃無効】

*10
アクティブにいる間、召喚された味方の保持状態を自身と同じにする。真5V出典。

*11
真5仕様。

*12
真5仕様。

*13
真5仕様。

*14
真5仕様。

*15
真5Vナホビホ耐性+【衝撃無効】

*16
アクティブにいる間、味方によりマガツヒスキルが発動された時、消費するマガツヒの量が僅かに減少する(マガツヒゲージ消費量を8〜15%減少) 真5V出典。

*17
ナホビホ専用/敵全体ランダムに10回力依存による小威力の氷結属性攻撃。クリティカル時、威力が上昇する。真5V出典。




あとがき・各種設定解説

DAT隊:サブクエストを多く受けてる
・ハイスペックかつ色々と技術を覚えてる隊員達で構成されていて、高レベルDBとしては適正価格な普通の料金で色々な依頼を引き受けてくれる事もあって普通のDBには頼めない変わった依頼が入ってくる事も多い。
・ヤマト以外のメンバーも決戦準備をしており、主にグランギニョル社から提供された新型のCHARMを中枢のコア部分さえ交換すれば別の外装を使い回せる事を利用して予備機としてDAT移動前哨に準備していたりする。

ヤマト:フロスト派生を増やした
・【無記たる中立の霊符】とアラハバキと交代時発動ユニークスキルとかを組み合わせれば面白いことが出来そうだなと考えてはいるが、手持ちの中で対応するユニークスキルを持っているのがオーディンぐらいなので色々事前準備が必要で使う機会が少ないロマンコンボかなと今の所は思ってる。
・ナホビノのデザインは本家様の変身後AAからちょっとウルトラマンっぽくなってる設定だが、能力値は真5Vのナホビホのままなので完全なフレーバー設定である。


読了ありがとうございました。
サブクエストや特殊合体など真5Vやってて思いついた新規要素ネタを入れてみました。次回からは対ゲヘナの決戦、セプテンが来る前に倒しとこう編になると思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。