真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
『……この姿をよく覚えておきなさい、どんな理由があれ外道に堕ちた者は何一つ目標を達成出来ずに惨めに死ぬもの、世界とはそうあらなければいけないのだから。……そんな真っ当な世界を救いたかったのにいつからこうなってしまったのかしらね…………』
『…………』
ヤマトの目の前で崩れ落ちるのは【G.E.H.E.N.A】と呼ばれた組織の首魁の女、選択した結界後全てにおいて裏目に出て本来その“選択”を選ぼうとした理由からも目を逸らして迷走し続けた成れの果て。
……ヤマトはまるで
『……いつまで目を背けるつもりだ?』
『な、何を……!』
『『王』てしての責務から。『選択』の結果から。『過去』の己から。世界を創世した事に対する『責任』から。その世界を滅ぼした事へ『報いる』事から。……今の
『…………ッ!』
目の前の
『前世の記憶だから今の自分には関係ない? 転生を得て【高松】から【八坂】に字が変わったとは言え記憶を取り戻す前の単なる一市民であった時ならともかく、嘗ての記憶と力を取り戻して散々それを使い倒してきた以上はその過去に見て見ぬフリをするのは道理に会うまい』
『…………』
『既にアオガミが施した記憶の欺瞞、
合一した当初、及びアマラコンピューターのデータを受け取ったヤマト達は自分達を『神造魔人から変性した人間』と『人間から変性した神造魔人』が再度の合一を果たしたモノだと思っていたが、実際にこの考えは間違ってはいないが正しくもない。
……彼等は人のみの世界を創世する際に人と神造魔人に分かたれた際『自らが選んだ故に過酷を味わう事となった相棒にこれ以上の重みを背負わせたくない』と考えた“アオガミ”が、ダアト時代の記憶や経験を神造魔人である自らの肉体に収め、それによって出来た欠落をアマラコンピューターの制御人格の残滓で埋め合わせて分離したのだ。
そして世界が滅びた後で『ダアトでの記憶を失い只人となった彼』が転生したのが【八坂ヤマト】であり、『ダアト時代の人間だった記憶を引き継いだ神造魔人』が現行世界に転移したのが【アオビト】となって、無理筋な分離と世界が滅びた時のダメージで記憶を混濁させながらも再びこの世界で出会い合一したのである。
『お互いの人と神造魔人の要素を混ぜ合わせ分割して『只の日常を生きる普通の人』と『それを世界の外から見守る神』として新たな世界を歩むのが
『…………ッ』
『当然ではあるだろう、どれだけの力があろうとも自らの選択から目を背けるモノにあの【聖杯】は滅せない。もし人として記憶を手放さず己と向き合えていれば仲魔の力がなかろうと戦えたかもしれんが……アオガミの考えを分かった上で受託して己の『責任』を手放した
『…………ッ』
目の前のナホビノが容赦なくぶつけてくる言葉に対してヤマトは何も言う事が出来ないでいた……そもそも、その言葉は全て彼が心の奥底でずっと思い続けていた事なのだから反論など出来るはずもない。
『嘗ての王として最後まで付いてきてくれた仲魔達を切り捨ててまで創世した世界、それをむざむざと滅ぼしてしまった責任が
『…………ッ!』
『なのになんだその体たらくは? 一般通過ナホビノなどと嘯いて己がすべき選択から目を背け続けるなぞ恥を知れ。
『…………』
ヤマトは嘗てのトラウマによって『選択する事から目を背けている』と言う“事実”を影から突きつけられ、実際にあくまでDAT隊の一隊員と言う居心地のいいぬるま湯に浸かって楽な方に流され、己の全力を出していない自覚があったのでただその言葉を受け入れるしか出来なかった。
……そう無様に黙り込んでいる彼の前にナホビノの影に加えて嘗ての仲魔達の影、或いは己の選択の結果によって失われた様々な存在の影が現れる。
『己が
『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』『報いよ』
『…………──────ッ!』
……そんな過去の影達の言葉の嵐に飲まれた辺りで自室で眠っていたヤマトは勢いよく目を覚ましながらベッドから跳ね起きた。
「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ……」
『……大丈夫か、少年』
「アオビトか……ああ、大丈夫、少し夢見が悪かっただけだ……」
荒く息を吐く半身にアオビトは複雑な感情を滲ませながら声を掛けるが、ヤマトは嘗ての記憶を取り戻してから何度か見た悪夢であった事もあり無理矢理呼吸を整えて大丈夫な風を装う。
……最も合一しているアオビトもその悪夢の内容吐く大凡把握しているのであるが、自分がヤマトの記憶を奪い自己認識を書き換えた事が原因でもあるのでどう声を掛けるべきか悩んでいた。
「……まだこんな時間か。……少し水でも飲みに行くか」
時計を見て未だに日も出ていない事を知ったヤマトは寝起きで乾いた喉を潤す為に部屋を出て台所へ、そこで水をいっぱい飲んだ辺りで流し台の水面に悪夢で見た嘗てのトラウマの影が見えた気がして思わずコップを取り落とした。
「……クソッ! …………もう既に終わった世界にどう報いればいいんだ……!」
『少年…………』
血を吐く様に呻きながら嘗てのトラウマに悩まされる半身を見て、アオビトは『このままではダメなのかもしれない』と思いつつどうすべきか思案していた。
「…………さぁて、これはやっぱ“メンタルケア”が必要だなぁ。ちょっとグランギニョルに連絡すっか」
……そんな彼等の姿をそこからは死角となっている場所に気配を消して隠れながら覗き見ているヘビクラ隊員は、何か思いついた様に闇の笑顔を浮かべながら音もなくその場を後にしたのだった。
──────◇◇◇──────
日本の都心部にある【グランギニョル社】の日本支社、欧州での混乱を避ける為に本社としての機能を移設したそこには多種多様な最新技術を研究・実験する為の様々な施設が後から増設されており、グランギニョルの技術者達が日夜インフレ環境に着いて行くためにサビ残しながら働いていた。
そんな日本支社の地下に増設された設備の一つとして『ARシステム搭載型の模擬戦用シュミレーション室』があり、此処は室内にホログラムを展開するによって擬似的に再現された環境下で秘匿性の高い新型装備の初期試験や模擬戦などの各種試験を行う目的で作られた場所である。
「……隊長、まさか貴方とこうして戦う事になるとは思いませんでしたよ」
「まあ、これまでも何度かやり合っているけど、こんな豪勢な施設で戦えるってのはやっぱり大企業スポンサーは正義だなぁ」
そこに居たのはDAT隊隊員である【八坂ヤマト】とDAT隊の隊長である【ヘビクラ・シンゴ】であり、今日彼等はグランギニョル社からの依頼で新装備及び先日壊滅させた【G.E.H.E.N.A】から回収した技術の試験を行なってほしいと依頼を受けたのだ。
……そして緊迫した雰囲気で向かい合う2人はほぼ同じ同時にそれぞれの左腕に装備された“変わった盾の様な物”を構えて同時に力強く宣言を行った。
「「
【八坂ヤマト・LP8000・手札5枚VSヘビクラ・シンゴ・LP8000・手札5枚】
そんなノリノリの
「オートコイントスで俺の先行! 手札から【粛声の祈り手ロー】を召喚、その効果によりデッキから【粛声なる結界】を直接発動! その効果で【粛声の竜賢姫サフィラ】を手札へ!」
【八坂ヤマト・LP8000・手札5枚】
まず先行を取ったヤマトがデュエルディスクに次々とカードを叩き付けると赤いフード付きローブを着た少女がどこからともなく現れて荘厳な雰囲気の結界を展開する。
これこそグランギニョル社の研究員が気分転換に開発したデュエルディスクに内蔵したスマホで行われている【遊戯王マスターデュエル*2】のデュエル経過を訓練場のARシステムを使って遊戯王アニメの様に投影するプログラム【ソリッドビジョンシステム】なのだ!
「更に手札から【粛声の竜賢姫サフィラ】を捨ててデッキから【粛声なる祈り】を墓地に送りデッキから戦士族またはドラゴン族で光属性の儀式モンスター【粛声なる守護者ローガーディアン】を手札に! そして墓地の【粛声なる竜賢姫サフィラ】の効果、このカードを除外してフィールドの祈り手ローをリリースし儀式召喚を取り行う! 祈り手ローは一体で戦士またはドラゴン族・光属性儀式モンスター降臨に必要な分のリリースとして扱える!……祈り捧げる乙女を守護するべく降臨せよ【粛声なる守護者ローガーディアン】!!!」
【八坂ヤマト・LP8000・手札4枚】
口上と共に勢いよくヤマトがカードをデュエルディスクに叩きつけると神聖なる儀式が執り行われ、天より両腕が鋭い剣となった守護者のモンスターが派手な召喚演出を行いながら降臨した。
……ちなみにモンスターだけでなく手に持っているカードも虚像であり、実際にはキレッキレの動きをしながらデュエルディスク内のスマホをぽちぽち操作してルームマッチでデュエルを進め、その展開に合わせて遊戯王のモンスターの立体映像を写し出しているのだが。
「ローガーディアンの効果にチェーンして墓地のローの効果! 墓地からローを守備表示で特殊召喚しつつデッキから【粛声なる威光】を手札に加える! 更に手札より儀式魔法【粛声なる祈り】を発動! 手札から【トリアス・ヒエラルキア】をリリースして【オッドアイズ・ペンデュラムグラフ・ドラゴン】を守備表示で儀式召喚! 最後にカードを2枚伏せてターンエンド!」
【八坂ヤマト・LP8000・手札0枚】
更にヤマトは手札から一体のドラゴンを追加で儀式召喚た上で更に手札の2枚のトラップカードを場に伏せて、先行1ターン目故にバトルフェイズを行えない故にターンを終了する。
(伏せたカードはフリーチェーンで相手のカードを破壊できる【粛声なる威光】とモンスターの召喚を制限する永続トラップ【サモンリミッター】。墓地の【粛声なる祈り】には儀式モンスターが除去された時に後続を呼ぶ効果があるしこれなら……)
そんな
「俺のターンドロー!……手札からマジックカード【大嵐】を発動! フィールドの魔法・トラップカードを全て破壊する!」
「それにチェーンして【オッドアイズ・ペンデュラムグラフ・ドラゴン】の効果! このカードをペンデュラムゾーンに置く事でマジックカードを無効に……」
「それに更にチェーンして速攻魔法【禁じられた一滴】を発動! フィールドの【大嵐】と手札の【トラ・ドラ】を墓地に送りオッドアイズとローガーディアンの効果を無効にする! コストに魔法とモンスターを選択した事でこの2種のカードではこの効果にチェーン出来ない!」
【ヘビクラ・LP8000・手札3枚】
そうしてメインフェイズに入った途端に使われた魔法によって敵の行動に対抗する札であった魔法と罠を全て破壊され、更に二体の儀式モンスターも効果を無効にされた上で攻撃力も半減されて単なる木偶の坊となった事で盤面を完璧に返されてしまう。
「しかしコストに【トラ・ドラ】ってまさか……l
「続いて手札から【天盃龍チュンドラ】を召喚、その効果でデッキから【盃満ちる燦幻荘】を場にセットして発動!」
「あ、サレで」
「残念! これはソリッドビジョンの試験と言う任務だから最後までやってもらう! 天盃龍お約束のバトルフェイズ中の連続シンクロを喰らえ!」
「グワー!」
そしてヘビクラ隊員のデッキは後手まくりワンキル特化として悪名高い【天盃龍】だったので、その後いつもの天盃龍の動きによりバトルフェイズ中の複数回のシンクロ召喚を行なって多頭の龍を幾度も呼び出し、最終的には攻撃力を大体6000ぐらいのドラゴンのソリッドビジョンシステムによるめっちゃド派手に演出した連続攻撃でヤマトのLPはゼロになったのだった。
──────◇◇◇──────
「……それでマスターデュエルのルムマで10戦ぐらいしましたけど、今更ですが試験の方法ってこれで良かったんですか?」
「遊戯王ごっこが出来てそこそこ楽しかったがな」
「今回は【G.E.H.E.N.A】から回収した戦闘シュミレーションシステム【バーチャルトレーナー*3】の試験だったからな。どんな不都合が起きるか分からない以上はどうなっても大した被害がなく、かつ複雑な“お遊び”のプログラムを使った方が良かっただけだ。
そうして互いにデッキを変えてのデュエルを終えたヤマトとヘビクラ隊長は、試験目的でグランギニョル社に来ていた【ソリッドビジョンシステム】のプログラムを作ったDAT隊の天才技術者【ドイガキ・ミツヒロ】に質問しながら廊下を歩いていた。
……仮想空間の事象を現実にすら反映しかねない無駄に性能が高い装置だったので、趣味で作った無意味に遊戯王モンスターの演出に拘って処理が重くなったプログラムを走らせても問題なさそうだったからやってみた感が強かったが。
「【G.E.H.E.N.A】からパチった装備は技術レベルがかなり違うから念入りに調べとかないと後々困るだろうしな。現状実戦導入は無理でも時間を見つけてやっておかないと」
「やっぱ鹵獲兵器を使うのは難しいのか?」
「マスケット銃使ってる兵隊にいきなりビームガンを渡す様なものだからな。引き金を引いて光線出すぐらいは出来るが、運用したり生産したりは難しいと言うか無理。実験室で使うならともかく実戦では今の所ドリフターの未来技術の運用は困難極まる」
「辿り着く答えを先に知ってれば技術発展は早まるんじゃ……って素人派思っちゃいますね」
「まあ結果を知らずに手探りでやるよりは効率が良いのは事実だぞ。単に今のグランギニョル社には最新技術を現実に出来る時間と人材と資金と技術と経験その他諸々が足りてないだけだ」
人手が足りてないグランギニョル社から札束を叩きつけられて協力させられている
「ここだ、スマホやCOMPなどの電子機器は置いてきたな。この部屋の内部はグランギニョル日本史社内部で唯一物理的にネットワークから遮断されている部屋だ。まあ秘密のお話する様に作ったんだが」
「技術レベル的にほぼ確実にハッキングされてるだろうからだったか。それでセキュリティ的にはどんなもんなんだミツヒロ?」
「他の場所よりはマシ……だったらいいなぐらいに思っておけ」
「オケオケ」
そう言いながら3人が入った内部は窓がなく簡素な机と椅子が置かれているだけの部屋であり、そこにはDAT隊の他の隊員であるオキ・トモヤとカリヤ・ケンジロウ、そしてグランギニョル社社長夫人である朋美・ヌーベルが座っていた。
「待たせたな。アンヌともう一人は?」
「さっき第三生徒会が来たから目当ての子を迎えに行ったっす」
そうトモヤが言ってからすぐ下手のドアがノックされて、この場にはいなかったDAT隊副隊長のヤナセ・アンヌが聖華学園第三生徒会所属の一柳結梨を伴って部屋に入って来た。
「はーい、結梨ちゃん連れて来たわよ。他の第三生徒会は技術試験の名目でマスターデュエルさせてるわ」
「結梨だけ別の実験があるって聞いたけど何するのー?」
「まあ実験と言うか情報整理と共有なんだが……結梨ちゃんとヤマト、お前達が知ってる『ダアト』と呼ばれたボルテクス界が発生した世界の知識から敵の情報を考察する為の場だ」
「【G.E.H.E.N.A】を壊滅させて断片的だが情報を手に入れて、後はセプテンも近いらしいのでグランギニョルとDAT隊で情報を一旦まとめておこうって話になったの」
今日彼等が集まった本当の目的は情報整理の為であり、その為に結梨と自分を連れて来た……事をこの場で初めて知ったヤマトは近頃の悪夢が脳裏に過ぎりながら、それでも自分の知識が必要になる事は理解していたので胸の痛みを押し殺して話し合いに臨もうとする。
「……一応、もうダアト時代の記憶が大凡取り戻しています。まあ当時の俺は状況に流されてばかりで、戦ってる合間に人伝で聞いた情報が大半でしたが」
「結梨もダアト時代に【アマノザコ】やってた記憶は大分戻って来たかな。その時の『
「情報があるだけ十分だ。【G.E.H.E.N.A】から得られた情報も断片的と言うか、連中の大元である【エデン】と呼ばれてる勢力の重要な情報だけは削除されてた節があるしな。後は【新しき神話】だったかの連中が行ってた『法の神が定めたルールではなく、終わらぬ新世界でもなく、神なる世界に統べてを導く為に我らは神話を紡ぎ続けている』とか言う警句の考察にはお前達の知識がいる」
今回の集まりは現在グランギニョル社が仮想敵と定めている【エデン】や【新しき神話】の情報を掴む為の重要な要素である【創世】について詳しい話を改めて聞くべきだとヘビクラ隊長が提案し、G.E.H.E.N.A.から得られた情報を分析するのにも役に立ちそうだと判断したグランギニョル社も同意した事で開かれたのである。
「え? そのポエムって何か意味あったの? ヤマトとかポエマー集団ってこき下ろしてたのに」
「いや、高位悪魔が言うこの手の警句はキチンと考察した方が良いだろう。悪魔関係だとこの手の情報を繋ぎ合わせて相手の情報を出来るだけ入手しておくのは重要だぞ」
「確かにおれもポエマー呼ばわりしたがアレは挑発を兼ねて情報をもっと絞る目的で、具体的に言えやボケとは思っても警句から情報を入手する事を軽んじたりはせん。……あんまり結梨ちゃん達を連中に関わらせたくなかったから悪様に言ったのが裏目に出たか」
「悪魔はとりあえず殴れば死ぬんじゃないの? ヤマトも前の台東区辺りでは【物理プレロマ*4】【物理ギガプレロマ*5】【会心専心*6】【獣眼*7】【龍眼*8】を載せた【朧一閃*9】を連打すれば悪魔は死ぬ! 確定クリティカルこそ最強!って言ってたじゃん」
「それはプレスターンにおける最適解だから実行してた戦術であってとりあえず殴ればいいって訳ではない。……あの時期は確かに荒れてたが、それで身も敵の主神級悪魔の事前情報を集めて出来るだけ弱点を付ける仲魔を用意するぐらいはしてた」
この子こんなに脳筋だったっけ? と思いつつ確かに昔の台東区時代は凡ゆる勢力をナホビノのレベル差補正で殴り飛ばしてたからその影響かと頭を悩ませるヤマト。
とりあえず今の世界ではレベル差補正があまり機能しない事とセプテントリオンとかはギミックボスな事を説明した後、まずG.E.H.E.N.A.より回収した情報や資材などの報告と確認へ移る事になる。
「まずグランギニョル社からG.E.H.E.N.A.からは武装COMP関連の資材やデータを幾らか回収出来たわ。……まあマグネタイト固まる含む資材を幾らか入手出来たのは良かったけど、各種実験データについては何か罠でも混じってるかもしれない事を含めて確認と反映には時間が掛かるわね。少なくとも後一週間弱後のセプテン戦には間に合わないわ」
「そもそもさっきも言ったが技術はおいそれと発展出来るものじゃないからな。まあ回収したアイテムは上手く使うが。……それとG.E.H.E.N.A.はどうも“何か”に対抗する為の研究を進めてた組織らしい痕跡が連中のデータに残ってたから引き続き調査はする。これからセプテンとかで忙しくなるから時間はかかりそうだが」
「連中は『世界を救う為に研究していた』と言ってましたし、神造魔人についても研究してたらしいですからその辺りですかね。……まあ、自己嫌悪に取り憑かれて過去を悔いる様になった人間は当然の様に精神が歪むのでヤツの発言がどこまで信用出来るかは怪しいですが」
「あのメフィストも自分達は『残骸』で切り捨てられる程度の勢力とか言っていたからな。……大元の【エデン】や【ガイア再生機構】と呼ばれる組織からすれば、切り捨てられる前提である以上は大元に繋がる致命的な情報などは残してないだろうし、こうしてG.E.H.E.N.A.から情報が漏れる事ぐらいは想定済みと考えるべきだろう」
まあ以前誤情報を摑まされた事もあるので彼等としても手に入れたデータを鵜呑みにするのには慎重に成らざるを得ない事もあり、G.E.H.E.N.A.より回収した情報に関して直ぐにどうこう明確な利益を得る事は難しくと言う結論になったのだが。
それでもかなりの情報と資材が手に入った事自体はプラスなので、本当かどうかは精査しつつも【西村乃恵美】が言い残した『セプテン後の超大規模ドリフター勢力による戦争』についても準備を進めていく方針となった。
「と言っても対G.E.H.E.N.A.戦で結構無理したから会社経営の立て直しもしないといけないし、今度のセプテン戦では学園の方は避難民が多数だから社員の身内とかはこっちで引き受けないといけないし、とりあえず重要な施設や資材を破壊されない様に移転させるのは前回にセプテン戦の経験から進めてるからなんとか間に合いそうだしそれを含めて防衛の準備を……やる事が多いわ!!!」
「絶賛ブラック労働中で草、まあ俺も札束で頬を叩かれて技術解説とか手伝わされてるんだが。……G.E.H.E.N.A.から回収したのに神造魔人関係の写せ身合体用の装置とか写せ身があったから、後でヤマトはその辺りの確認も手伝ってくれ。写せ身技術持ってるクルーゼの所は過重労働でそんな暇ないって言われたから」
「分かりましたミツヒロさん。……まあセプテントリオンが近く来るって事ならそっちの準備を優先せざるを得ないって事ですか。そう言えば俺達DAT隊はどうするんですか隊長?」
「絶賛ブラック労働中のグランギニョル社に札束で頬を叩かれたのでその手伝いかね。手段としては学生組含めた戦闘要員と一緒にグランギニョル社の拠点防衛……は最低限で全力をもってセプテントリオンを殲滅する予定だ。他も人類悪連中と一緒にクソ渋いレイドボスを叩き潰す事が最優先でグランギニョル社の拠点の幾つかは破壊される覚悟でいく」
グランギニョル社による雇われでありながら施設の防衛よりもセプテントリオンの殲滅を優先すると言うヘビクラに驚くヤマトだったが、予定される余りの仕事量を考えてグロッキーになっている朋美の方を見ると頭を抱えながらも否定はしなかった。
「……はぁ、前回と前々回のセプテントリオンの能力からするに、連中は早期にギミックを見破って討伐しないと際限なく被害が広まるって言うタイプのクソボスよ。だからこの日本支部含めて本当に重要な施設や資材だけを守って、それ以外は切り捨てた上で出せる戦力は可能な限りセプテントリオン討伐に回すと決定したわ。……ああ、今から被害を考えると胃が痛いぃ……」
「下手に守りを固めるよりも積極的に殴り掛かって最低でもギミックを見破らないとどうしようもないからなアイツら。人類の叡智である
「どうせ今回もクソみたいなギミックをしてくるんだろうしねぇ、しかも三体出てくるとか。……防衛戦に回ったら被害の拡大を指を加えて見ている事になりかねないわ」
「ギミックボスはとにかく早期にギミックを見破らないとどうしようもないっすからねー」
「アナライズもカウンターされる以上は積極的に殴って情報を抜くしかない。どこぞの巫女様情報もどこまで期待できるか分からんし」
「結論、防戦にまわってグランギニョルの施設全部守備とか不可能だから積極的に殴って早期討伐を目指す。報酬が渋いレイドボス相手など長々としてられんしな」
2度の
……だが、ヤマトはそこでヘビクラ隊長が自分を“何かを見定める様に”じっと見ている事に気が付いた。
「それでセプテントリオンに対してはDAT隊、と言うかグランギニョル社に組みしてる者の中で最強の戦闘能力を持つヤマトとその仲魔達を主力にして他がサポートに回るのを基本にしたいんだがどうしたい? ぶっちゃけるとギミック把握の為に一番死ににくいヤツを突っ込ませる潰れ役とも言えるが」
「……それが命令ならやりますよ。実際俺がこの中で一番強いのは事実でしょうし」
「いや“命令“じゃなくて“提案“だ、嫌なら別の戦術で行けばいい。……先日のG.E.H.E.N.A.との戦いで『世界を命運を背負って戦う様な選択する苦行はもうやりたくない』って言ってたからなぁ。一応今回は世界の命運を左右する戦いではあるし、“選択”する責任を負いたくないならなら作戦の主軸ではなくそれ相応の役割を振るぞ?」
「…………ッ!」
そんな事を闇の笑顔を浮かべながら“何かを試す様な素ぶり”で問い掛けるヘビクラ隊長に対し、ヤマトはそれはそれとして普通に戦う……と言えるはずなのに悪夢と過去の記憶が頭によぎり顔を顰めながら黙り込んでしまう。
……だが、そこで勢いよく机を叩きながら結梨が立ち上がって頬を膨らませながらヘビクラ隊長へと向けて講義の声を上げた。
「ちょっと! そういう言い方をする事ないんじゃない!?……ダアトの時みたいにヤマトが世界の為に全ての選択とその責任を負わせるなんて
「別にヤマトに全ての選択とそれに伴う責任を押し付ける気は無い、世界が滅びたとしたならそこに居る全ての人間に責任があると俺は考えているしな。少なくともこの世界はコイツ一人が責任を負えばどうにかなる程簡単じゃない。……だが、自分が選んだ過去の選択からくる責任から目を逸らし続けてる者を戦力の主体にする程には信用は出来ないなぁ。ヤマトの戦闘能力が高すぎるから戦術の主体に据えた時、もし不測の事態に遭遇した時のリスクが大きいから今のお前を戦術の主体にするのはちょっと怖いな。例えば“ダアト由来の何かとか創世由来の何か”に遭遇した時どうなるか分からんリスクもあるし」
「…………」
嘗ての【ダアト】と呼ばれた“地獄”の時代から『王とその臣下』としてではなく『大切な
「ヤマトが前々から色々と過去の事について気にして溜め込んでるのには気付いてたからな。嘗ての『ダアト』って所の情報を聞くときも客観的な情報だけで意図的に主観的な情報は入れない様にしてたから過去から目を逸らしているだろうなとは思っていた。……まあ、トラウマ関係を迂闊に突っ込みたくはなかったし色々忙しかったから経過観察に留めてたが」
「……よく見てますね隊長」
「それも隊長ってしての務めだからなぁ。ただG.E.H.E.N.A.の時に不満を吐き出してからお前相当に調子が悪そうだったから、このままだと特撮あるあるな『トラウマ系イベントによる闇堕ちフラグ展開』がありそうだしな。こう暴走フォームに目覚めて何話かかけて鬱展開が続く系のヤツ。……近くのセプテントリオン戦の最中にそれをやられると流石に困るし、何より“例のメール”の件もあるから早めに鬱展開フラグを済ませておくべきだと判断した。なのでキリキリ不満を吐き出せい」
そこでようやくこの会議の本当の目的は不安定になった自分へのメンタルケアであると察したヤマトが周りを見ると、事前にヘビクラ隊長より話を通していたのでとくに驚いていない他のDAT隊メンバーと朋美社長夫人の姿もあった。
「ハザードオンとか光と闇の力お借りします展開をセプテン中にやられるのはねぇ」
「最近のニチアサでは闇堕ちとかメンタル責めがお約束になっているしな」
「次の強化フォームへの伏線だから早めに消化しておいた方がいいだろ。追加アイテムが必要なら作ってもいいぞ……って合一神は装備出来なかったか」
「鬱展開はそんなに好きじゃないっす。なので不満を聞くぐらい話するっすよ」
「子供の悩みを聞くぐらいの事はするわよ。貴方達には色々と世話になっているしね。……後はマジでDAT隊が命綱だから全力で働いてもらわないと困るのよ。仕事量的に」
「とりあえず例の警句への考察を兼ねて過去の【ダアト】とか呼ばれた世界の事を話してみろ。どんな不満も聞くだけなら聞いてやるから」
……そんな大人達からの言葉を受けてヤマトは嬉しい様な辛い様な複雑な表情を浮かべるが、そこに今まで黙っていた半身であるアオビトと仲間である結梨が声を上げた。
『少年、私も此処で嘗て【ダアト】と呼ばれた“地獄”の事について話すべきだと思う。……嘗て、私──【アオガミ人式】が余りにも打ちのめされた君を見かねて【ダアト】の記憶を全て奪い、新世界で何も知らずに過ごしてほしいと願ってしまった事が君が此処まで思い詰める原因になってしまった。あの時に君と共に己の選択に向き合っていればもう少しマシな結末になっていたかもしれない。……今更な話だが、私の嘗ての選択が君を更に苦しめる結果になってしまったのなら、今度は共に目を逸らさず己の罪と向き合いたいと思っている』
「結梨はあんな辛い目にヤマトがあって欲しくないけど、忘れる方が辛いなら話しをする方が良いかもって思うよ。結梨も過去の事とか自分の事をを梨璃達に話してもう一度仲良くなれたし」
「あの時、俺が記憶を手放したのは俺自身がそう望んでしまったからだ。……分かった、俺もいつまでも自分の過去と向き合わずにいる事は出来ないみたいなので、嘗て俺がいた世界が【ダアト】と呼ばれる“地獄”になってしまった事を含めてお話します」
そんな言葉を受けたヤマトは警句を考察する情報を開示する為、そして何より今まで目を背け続けてきた過去と改めて向き合う為に嘗て【ダアト】と呼ばれるに至った“地獄”の世界の話を始めたのだった。
あとがき・各種設定解説
ヤマト:もう過去から目を背けてはいられない
・遊戯王マスターデュエルもプレイしており主に使うデッキは【粛声】【イビルツイン】【エクソシスター】などで、ランクマをデイリー消化を兼ねてポチポチするぐらいのライトユーザー。
・戦力的には強いのだがメンタル面が実は脆いと言うかガンギマリじゃない普通の人で、善人で真っ当であるので辛い過去や己の責務から目を逸らしてしまう事もあり、そレウ気に病んでメンタルがやられるコトワリもある。
・まあ決して彼がそこまでメンタル弱弱と言う訳ではなくむしろ【儀典のダアト】が大分地獄だったと言うか、真5から【至高天】の様な重要な要素が抜けた分にオタクくんサマナーでよくあるメガテンの闇要素を多分に追加した感じの世界だったのが原因。
・詳しくは次回だが日本全土がボルテクス界になった分だけ東京などの一部除いてマガツヒ濃度が薄く、そのせいで真5と違い完全に文明が滅びずメシアガイアなどの人間勢力が多数残って凄まじく混沌とした世界で一人頑張ってた感じ。
アオビト:臣下ではなく半身として共にあった者
・彼の元となった【アオガミ人式】はアマラコンピュータ補助用に人間の因子を混ぜて作られた特殊な神造魔人の型番であり、戦闘用に改造された時には専用のスキルなどはないが情報運用機能を応用して写せ身合体によるスキル取得に長けた機体だった。
・その分レベルよステータスは劣っているが主に必要なスキルを現地調達した上で他も神造魔人をサポートする支援用機体で、この特性とソピアーから受け取った【生命の種子】の恩恵で彼は邪教の世界でなくてもある程度の設備さえあれば自前で写せ身合体を行える。
・裏では魔人王が色々と仕込んだ故に開発された機体ではあるが、アマラコンピュータによる観測補助機能があったので創世の時にヤマトから記憶を奪って認識を改竄する事が可能になってしまった。
結梨:臣下ではなく大切な仲間として支えた者
・彼女は今回の目的がヤマトのメンタルケアだとは知らされてなかったが、ヘビクラ隊長が『過去をする人間の助けもいるだろ、ヤマトにとっては特別な相手みたいだし』と呼んでおいた。
・アマノザコだった時の彼女はコトワリを示した王であるヤマトに従ったのではなく、自分を助けてくれた大切な人と共にありたかったからこそ仲魔になったので王の責務から目を逸らしてもそれで苦しまないなら別に良いと思ってる。
・どっちかと言うと【儀典のダアト】においては彼が王と成らざるを得ない様な環境そのもの、及び様々な辛い責務を押し付けた周りの人間達に怒りを抱いていて今も理事長とかはあんまり信用してない。
ヘビクラ隊長:闇のカウンセラー
・今回は【天盃龍】を使ったがマスターデュエルでは割と色々なデッキを使って、環境デッキでランクマダイヤモンド帯まで行くぐらいにはやり込んでる。
・ちなみに今回マスターデュエルソリッドビジョンとかしたのは息抜きしたいグランギニョル社員がゲヘナから回収した資材で遊ぼうぜってなった事を受けて、ヤマト相手にちょっとメンタルケアさせるのも兼ねて参加したから。
グランギニョル社:ブラック労働的な意味でヤバい
・G.E.H.E.N.A.攻略戦の直後にセプテントリオンまで残り10時とか言う情報が来て阿鼻叫喚になりながら、それでも一番被害を防ぐ方法として積極攻勢の方針を打ち出して残業徹夜しながら頑張ってる模様。
読了ありがとうございました。
三次主人公の中では最強かもしれないけどメンタルが弱いナホトラマン。次回は【儀典のダアト】の様子をダイジェストで紹介する予定(未定)