真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「……遭遇した修験者の見鬼と機械式アナライズによると敵の首魁と思われるのは【邪龍 魔丞・セト】と表記され、レベルは推定70後半から80前半と思われます。手下と思われるガイア系のチンピラやマンハンターと思しき者達は平均レベル20〜40程度とバラつきこそありますが、どれもそこまでの実力や経験が無い連中に見えました。……現在連中は我々『霊山同盟』が管理者の居なくなった霊山を引き継ぎ管理しようとしていた所に襲撃を掛けた後、そこを占拠して何らかの儀式を行なっている様です。交戦した者の証言では『受胎儀式』を行うと言っていた様ですが」
「成る程ねぇ。ただセトって種族邪神じゃなかったか? まあ同じ悪魔が別種族で出るのは今更珍しくないが」
あれから依頼を受けた俺達チームDATは『霊山同盟』の使者──許可を得てアナライズしたところ【巫女 三嶋サクヤ LV53】というかなりの実力者だった──を連れて車で占拠されているらしい霊山へと向かいながら彼女達の事情を聞いていた。
事前に説明すべきだと思うかもしれないが、現在霊山を占拠されぬ様に死ぬ気で足止めと時間稼ぎを行なっている『霊山同盟』のメンバーの為に可能な限り早く援軍が欲しいと言われたので移動しながら話を聞く事になったのだ。帝都ヤタガラスからの紹介もあって信用は出来たし読心術とかでも嘘はなく、かつ今一番早く現地に向かえそうなのが俺達だったからな。
「それで今急いで出来る限りの援軍を集めており、既に異界修祓の手伝いを依頼していた貴方達にも声を掛けたのです。依頼していた相手であれば直ぐに来てくれると思いまして」
「まあ今は帝都ヤタガラスも忙しいらしいし、キリギリス最前線組もマレビトとかヤクザとかの別件を追ってるって聞いてるから俺達か異界攻略遠征組辺りしか動けんか。……しかし、もし連中の目的が受胎儀式であれば一度発動してしまえば阻止は困難な筈だが。アレは一度発動すると異界が強力に隔離される上、内部時間が加速されるから現世で何か行動を起こす前に内部の蠱毒的殺し合いが終了して儀式が完了する筈なんだが」
受胎儀式の厄介な所はそこ、儀式が成立してしまえば外部から内部への干渉が非常に困難になる上に時間加速によって現世時間で見ると直ぐに儀式が終了してしまうという点なんだよなぁ。
……現世ダアト落ちを防ぐ為にはアマラ深界からの接続を切らないといけないのに、そこに接続するとボルテクス界が出来るから阻止出来ないという。カグツチに願いを叶えさせずに儀式を終了させれば影響は最低限で収まる筈だとアオビトは推測してるけど影響の範囲がどこまでかは完全には分かってないしな。
「はい、そこまでは我々も掴んでいたので受胎儀式を行うと聞いた時点で
「わぁ有能」
「本当に地方霊能組織とは思えないぐらいに有能ね」
「まあ伊達に山に慣れた修験者達が集まっている訳ではありません、少なくとも奇襲からの不意打ちでも受けなければ山の中は我々の庭ですのでこのぐらい出来ます。その上で世情を読めて外部に援軍を頼める判断が出来る有能でまともな地方組織や霊能者が集まっているのが我々『霊山同盟』ですので。……そうやって集まって協力出来なければ今の地方では生き残れませんし、協力出来ないダメな組織は次々と潰れてますけど」
どうやらクッソ有能だった『霊山同盟』さん達のお陰で最悪の事態は免れていたらしい。ちなみにそんな有能な彼等が魔丞率いるとはいえ平均レベル低い襲撃者に敗北したのは、ちょうど霊山の修祓準備の儀式の最中に魔丞の奇襲を受けたからだそうだ。
……ただ色々と疑問に思う事もある、以前ドリフターの元締めやってるらしい【巫女さま】にアオビトが持っていた受胎情報を渡した時に『この世界で受胎儀式は主に魔丞という悪魔人間を作る蠱毒、或いはカグツチを使っての勝者のコトワリによる広域洗脳を行う儀式と言われていて……だから世界の再構成まで出来るって聞いてない(泣)でも確かに理論上は……』とか言ってたから、魔丞が再度儀式を成そうとするのは戦力増強や己のコトワリを叶える為と推測出来るけど、それだとしたら……。
「すみませんサクヤさん、その霊山って普段から沢山の人がいたりしますか?」
「いえ、そもそも危険な霊地でもあるので異界の修祓前にも立ち入り禁止で人避けの結界なども張っていましたから人はほぼ居ませんでした」
「そうですか。……受胎はボルテクス界に巻き込んだ人間をマガツヒに変換する性質があり、基本的にそれらの膨大なマガツヒに加えて取り込んだ異能者同士の蠱毒によって勝ち残った者が力を得る儀式なんですけど、どうして人のいない山奥でやろうとしているんでしょうかね」
「あー確かにそうだな。受胎儀式やるには生贄がない山奥の、しかもまだ機能している地方霊能組織が管理しようとしている所に強襲して異界を占拠するのは不自然か」
受胎儀式が最も有効なのは大量の人間を巻き込んだ時、強力な霊能者を多数取り込んだ時とかだからな。アマラへ繋がりやすい霊地で行う事も重要ではあるが儀式に必要なマガツヒは人間を分解して生成するのが基本だしな。
……そんな疑問を抱いていた所で車内で掲示板を開きながら【魔丞・セト】についての情報を集めていた他の隊員達から声が上がって来た。
「キリギリス掲示板で調べてみたが【魔丞・セト】に関しての情報はいくつかあったぞ。どうやら地方異界及び魔丞マラソン修羅勢がマークして追っているらしく、普通の魔丞と違って壊滅したガイア系勢力の残党やマンハンターの生き残りとかを取り込んで組織的に動いているから注意しろとか」
「魔丞は己の『コトワリ』に縛られるから同じ考えの人間以外とはまともに集団行動出来ない筈だが、それだけソイツのコトワリに賛同している者が多いのか人を率いるのが上手いのか」
「割と大勢力で動いている筈なのに中々捕まえられないから掲示板でも情報募集してたから色々出てくるわね。ただ居場所を把握して襲撃しようとするとその少し前に逃げられるらしいから、予報情報戦に長けてるか知覚系レアスキルでも持ってるのかって推測はあった」
「そういえば我々が儀式を行なっている場所にピンポイントで奇襲を仕掛けて来ていた様な。あそこの霊山はそれなり(ベテラン修験者基準)に経路が複雑なので慣れていなければ奇襲は困難な筈ですが」
どうやら基本的にキリギリス修羅勢の獲物扱いされてる魔丞の中でも【魔丞・セト】は相当に暴れていて、かつ未だに仕留められていないから掲示板でも情報は出回っているらしい。
「元となった人間はエジプト系のカルトで生贄を捧げる事で力を得て神に近付く事を教義としてた組織のトップ格だったが、結構前に一般人誘拐して生贄に捧げてたから有志による討伐隊が組まれて潰されてる。それからは壊滅したカルト勢力同士でつるんで受胎起こして魔丞になったらしい」
「なんか俺の勘っスけどコイツからは嫌な感じがするっスねー。書き込みには魔丞になったコイツにキリギリス遠征修羅勢が挑んだけど返り討ちにあったとか、その時に誰かがコイツを助けて修羅勢達を消し炭にしたとか。ちなみに消し炭にされたヤツらは食いしばって頭と心臓守りつつ伏せておいた蘇生・逃走用の仲間使って即撤退したらしいっス」
「アイツらはレベル60〜70程度の悪魔なら安定して狩れるレベルの実力者だから、レベル70程度の魔丞に返り討ちにあうのはあり得なくはないが警戒すべきか。“協力者”とやらがいるなら尚更」
「んー、とりあえず件の魔丞追ってる修羅勢に情報を流しとけ。うまくいけば何人かは援軍に来てくれるかもしれん」
「……本当に貴方達『キリギリス』は凄いですね。やはり協力して外部を頼ろうと決断した我々の方針は間違っていなかった……自主独立とか家の誇りとかほざいていた連中は本当にザマァ」
キリギリスの修羅勢は以前の襲撃の時とか異界攻略動画でも見たが誰も彼もが『まるでメガテンのハード隠しボスをRTA出来る様な重度のメガテニスト』みたいに、超強力な悪魔相手でも最適解を打ち続けて格上狩りが出来る強者揃いってイメージだったから、そんな彼等でも倒される恐れがあるなら気を引きしめていかないと。
……何よりアオビト曰く魔丞を倒せば御厳をドロップするらしいからな! 全力で剥ぎ取らないと(使命感)アオビトが言うには霊基の安定が進んだから神意の解放はそろそろ出来るかもしれんって話だし。
──────◇◇◇──────
『…………さて、これで“準備”は整ったな』
「ガ……ァァ…………!」
\カカカッ/
| 邪龍 | 魔丞・セト | LV80 | 氷結・電撃・衝撃・神経・精神・魔力無効 破魔・呪殺耐性 ??? |
現在占拠されている件の“霊山異界”の中心点となっている霊穴がある場所、そこでは禍々しい翼を背負い頭部が龍の様にも見える醜悪な風貌をした人型の悪魔──【魔丞・セト】が霊穴をマガツヒによって汚染した結果生み出された『マガツカ』を背にその主人として君臨していた。
その肉体からは通常の魔丞と比べても数段上の力が満ちて*1おり、そんな彼を足元で死にかけている多数のマンハンターやガイア教団員の生き残りが虫の息になりながらも恐れと疑問の眼差しで見上げていた、
「……なぜぇ……? 儀式に……協力すれば俺達も魔丞……としての力を得られるってぇ……」
「望んだ世界が……手に入るのは……嘘だったのかァァ……!」
『うん? ああそれは嘘じゃないぞ。……受胎儀式が始まってコトワリに目覚めればお前達でも魔丞になれるし、“俺を含む”儀式の参加者を全員殺せばカグツチによって己のコトワリを叶える権利が与えられる。……だからお前達は俺に敗北したからこうなっているんだが。まあ“我等が神”に捧げられる生贄になれるのだから光栄だろう? せっかくの我が神から賜った強化ドラッグも与えてやったのに』
……死にかけている連中は周囲のレベルが上がりすぎて獲物が居なくなったマンハンターや、セプテントリオンやキリギリスに所属組織を壊滅させられて行き場を無くしたガイア教団員などが『俺の様に魔丞となれば力を得られる』と唆されて魔丞・セトの配下となったのだが結果はご覧の通りである。
まあ魔丞・セトの目的は手駒の確保と己の目的を達成する為に必要なマガツヒ源の確保の為だったのだが、一応もし魔丞になれたら戦ってやろうとは思ってはおり、事前に強化薬と称した『マガツヒ結晶の改造品』を与えて受胎儀式に適応できる確率を上げていたりはしていたのだが。
「……アア……身体ガ…………ガァァ……!』
「溶け……ルゥ……⁉︎ …………アアァ……!』
\カカカッ/
| 軍勢 | マネカタの群れ | LV45 | 破魔・呪殺無効 |
……最も、マガツヒで一時的に力を得た連中は受胎儀式によって高濃度マガツヒ環境となった影響、そして瀕死になった事による肉体へのダメージもあって全員が肉体が溶けて【擬人 マネカタ】という悪魔へと成り果てたが。
『……ふむ、マガツヒを取り込む事で一時的に力を得られて、更に受胎時に適正があれば魔丞となれる特殊加工されたマガツヒ結晶だと聞いていたが、所詮は己のコトワリにすら目覚められずにマガツヒを搾り取られた後の雑兵ではこんな所か。……まあ異界内部の警報装置代わりにはなるだろう、いけ』
『『『『『……アアァ…………』』』』
そうして出来上がったマネカタ達を魔丞・セトはどうでもいい様な物を扱う様に適当な指示を出して異界内部を徘徊させる事とした。
……この魔丞・セトは作り上げたマガツカを支配する事によって異界内部のマガツヒの制御もしており、それによってマガツヒの影響を受けた悪魔をある程度コントロール出来る*2のだ。
『さて、連中が持っていた
準備を終えても儀式が発動しない現状を正確に理解しながらも、魔丞・セトはむしろ好都合だと余裕の笑みを浮かべていた……元より彼はこの場で只の受胎儀式を行うつもりはなかったのだ。それならばもっと人が多い場所を選ぶ。
『元よりあの忌まわしい
どうやらこの魔丞・セトの目的は受胎儀式ではなく恨みを抱いている『キリギリスメンバー』をこの異界におびき寄せて復讐する、更には高レベル霊能者が多い彼等を生贄に捧げて儀式を行う事でありその為に敢えて人の居ない山奥の異界を儀式場に選んだらしい。
ちなみに彼は受胎儀式を行うには不都合な霊山でも儀式を完成させずに留めておくには逆に都合がいいからこそ儀式場として選んだのであり、もし目論見通りにキリギリスがこなくとも地方組織を皆殺しにした上で儀式を実行して別の手段で復讐を遂げるみたいな次の手も考えていたりするのだが。
……何故彼がここまでキリギリスに恨みを抱いているのかというと、それは彼がまだ人間だった頃に属していたカルト組織を壊滅させられた事に端を発する。
『あの連中はふざけた態度のクセにたかが愚者のゴミ共を生贄に捧げた程度で我等に牙を剥きおってからに……! 偉大なる主人の為の生贄になれたのだから本望だろうと言ったら数を頼みにしてかつての組織を潰してその全てを奪ったのだ……! 特に拠点に準備していた神経・精神・魔力の各属性状態異常罠を悠々と突破して来た“あの赤い眼の男”! 我等の崇高な使命を理解せずにかつての部下を惨たらしく惨殺したヤツには必ず誅罰を下さねば……!*3』
まあ、この魔丞・セトが所属していた組織はかつて多くの人間を生贄と称して惨たらしく殺してきたカルト霊能組織なのだが、彼の中でそれは『神の為の崇高な目的』らしいので完全に棚上げされてキリギリスメンバーを目の敵にしているだけなのだが。
……とにかくキリギリス結成初期あたりで潰されたカルト組織から辛うじて生き残った彼は同じく生きていた兄と共に逃げ回りつつ、同じ様に壊滅させられた組織の生き残りと共に何処からか入手した『受胎儀式』を実行して“自分の兄を含めて全てを生贄に”魔丞・セトとして新生したのだ。
『……唯一残った兄、そして短い間ながらも同じ目的を持って行動した同士であった“彼等”を生贄とした時に私は“目的の為になら己の大事なモノを捧げてでも成し遂げねばならない”……『ササゲのコトワリ』へと開眼し、この崇高なる魔丞の力を得た。……そして、今度こそは全てを偉大なる神へと捧げて“大いなる存在”へと至れると再び立ち上がったというのに! あの愚かなるキリギリス共はまたしても!!!』
恐ろしい形相で怒りを露わにしている魔丞・セトであったが、要するに魔丞になって活動を再開しようとしたらキリギリス遠征修羅勢にエンカウントしてしまい『よっしゃ魔丞見っけ。一狩りしようぜ!』『全体物理攻撃で貫通付きの【ヤブサメショット】とか良いスキル持ってるな。とりあえずテトラカーンで様子見しつつバフデバフで』『邪龍セトで電撃・衝撃無効に氷結弱点? じゃあ凍結ハメでいけるかな*4。というか弱点があるとかボスの恥晒しでは?』『破魔呪殺が耐性止まりなら即死入るか?』『流石に魔丞だし状態異常は効きにくいか。……あ、幻惑が効くみたいだから*5オルトロスの【ミラージュブレス*6】でハメられるか』……といった具合に順当にジャイアントキリングされる所だった。
まあ、所詮は敗残兵の集まりが行った儀式だった所為か精度が悪く魔丞としても格が低かった彼は、本来なら順当に格上相手のジャイアントキリングされて丁度いいキリギリスの限界突破経験値になる所だった……そこにこの世界へと現れた“とある
『まだだ……まだ私はこんな所で!『じゃあ助けてあげる』
| 火炎プレロマ | 自動効果スキル | 火炎属性で与えるダメージを上昇させる。 |
| 火炎ギガプレロマ | 自動効果スキル | 火炎属性で与えるダメージを大きく上昇させる |
| メギドフレイム+9 | 火炎属性スキル | 敵全体に特大威力(マハラギバリオンより威力は高い)の火炎属性攻撃。相性を無視して貫通する。 真5出典かつ本来なら【魔王 アモン】専用スキルの筈だが……? |
いきなり現れた“何者か”が戦闘を行なっていたキリギリス達に対して太陽神を思わせる程の極大な炎熱攻撃を放ち、凡ゆる耐性を無視してそのことごとくを消し炭にしてしまったのである。
……ただしバフ重ねていて咄嗟に蘇生できる範囲で急所守って食いしばったキリギリス達は『新手とか! マカラ掛けてない時に!』『なんかやばい気がするぞ蘇生チームカモン!』『撤収撤収! 命あっての物種だからくらましの玉をシュー!』『トラフゥゥゥゥゥゥリ!!!』といった感じで新手のヤバさを察知して即撤退したが。
『……この奇襲でも撤退可能。やはりこの世界は明らかに異能者のレベルが高『おお我等が神よ! ようやくお会い出来ましたァァ!!!』……え?(困惑)』
尚、その太陽の輝きを見た魔丞・セトは“その人物”から発せられる
……まあ“その人物”としても現行世界で動く為の伝手が欲しかったので彼の考えを特に否定する事なく部下として扱い、かつての霊能組織に残っていた基盤を受け取る代わりに様々な恩恵を与えたりした。
『我等が神からの恩寵である『写せ身合体』によって氷結弱点を埋め、それに加えて精神・神経・魔力無効を得た*7私に死角なし! 更に我が神より【地獄のマスク】と【奈落のマスク】を賜った*8から二度と状態異常ハメなどを食らう事は無い! 他にも神より恩寵はいくつか得て、更に神の叡智によって生み出されたこのマガツカによって強化された私ならば今度こそ確実にキリギリスのゴミ共を抹殺してその魂を我等が神へと“ササゲ”る事が出来る!”』
その“とある人物”の手によって大きく強化された魔丞・セトはキリギリスに対する過剰な復讐心、そして持ち得たコトワリと己を助けてくれた“とある人物”への忠誠心もとい狂信が合わさった結果、ある種の暴走状態として今回の事件を起こしたのだった。
また、彼が“とある人物”から受け取ったものは恩恵だけでなくマガツカを作れる程のマガツヒの運用技術もそうであり、それによってこの異界には高濃度のマガツヒが充満している他にも複数の罠が仕掛けられていた。
『更にあの雑魚共以外にも私が呼び寄せた悪魔と元から異界にいる悪魔は我がマガツカの影響下で敵対者の排除を行うから悪魔避けも会話も通じん! 加えて異界構造を改変してトラップを多数設置、更にマガツカによる高濃度マガツヒによる探知阻害*9によってCOMPや通常の索敵魔法では異界の構造を把握する事は不可能! そして我が神の叡智によって霊穴に作ったマガツカの効果は異界全体に及ぶ様になっている!!! ……そして力付くで悪魔を排除して私の元に向かおうとしてもそれこそがこちらの
この様に悪魔化が進行して思想がそちら寄りになっている魔丞としては珍しく、自分が強化された事に驕るのではなく幾重にも張り巡らせた罠によって確実にキリギリスをおびき寄せて叩く策を練っていた*10魔丞・セトは高らかに笑う。
……果たしてナホトラマンとチームDATはこの卑劣な罠が張り巡らされた異界を突破出来るのだろうか! そして恐ろしき魔丞・セトの『キリギリス全滅作戦』を阻止する事が出来るのか!
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「…………あ、大人数で下手に突っ込むと凶暴化した悪魔に襲われて、それから戦闘を続けたらなんか異界が完全に閉じる未来が見えた。後俺の目でも異界内部が何かに阻害された様に見渡せない」
「俺の【マッパー】でも異界内部が分からない感じっすね。……異界から逃げて来た妖精に話を聞いた所、ここの悪魔はマガツヒに汚染されて凶暴化してるとか。俺の“勘”っすけど長期戦は不味い気がするっす」
「これはマガツカによる探知阻害ですね。アオビ……俺ならマガツカの位置だけなら分かりますが*15。悪魔の凶暴化に関してもマガツカを占拠した悪魔がマガツカを守る悪魔を召喚して嗾ける事があります。妙に動きが早くて避けられないんですよね」
セトが叫んでいた同時刻、占拠された異界に到着したチームDATはその入り口でケンジロウの未来視の魔眼とトモヤの索敵魔法、それとヤマトの中にいるアオビト*16の知識によって異界に張り巡らされたトラップは大体看破されてましたとさ。
……こんな地獄じみた現環境でウルトラ特捜チームムーブやってるチームDATだったが、それには単純な戦闘能力だけでなくこうした情報収集や危険を察知するスキルや技術を各々が持っているので事故が少ないのも理由なのだ。加えて今はマガツヒやマガツカについてこの世界でもトップクラスの知識と経験があるヤマトとアオビトまでいる。
「ふむ、とすると異界内部に霊能者をおびき寄せて狩る罠とかか? 凶暴化させた悪魔達で消耗した所を狩るとか、或いは単に内部の悪魔が強いだけか」
「異界が閉じたのは完全にボルテクス界になったからだとして、条件は悪魔を倒した際に出るマガツヒとか霊山同盟の皆さんの限界とかですかね? サクヤさん、この異界内部と外を繋げる儀式はどのくらい持ちますか?」
「……もって後12時間ぐらいでしょうか。ただそれは今の異界強度の話で更に異界の強度が強化されたら早くに持たなくなる可能性も」
「できればボルテクス界完成と受胎儀式は阻止したいのだけど、迂闊に突っ込めば閉じ込められるし……」
「ただ入り口を開けておける時間にも限りがあるし、大人数で踏み込めば受胎儀式の完成が早まる可能性もケンジロウの幻視ではあるらしいから……」
こうしてチームDATは魔丞・セトの卑劣な企みを見事に看破して、その目論見を打ち砕くべく異界の攻略と受胎儀式完成阻止の為に霊山同盟の者達と現時点で得られた情報の精査と共に異界攻略作戦を練っていくのであった。
あとがき・各種設定解説
チームDAT:情報収集も得意
・全員が何らかの情報系スキルを持っていて、更に長年の付き合いからそれらで集めた異なる情報を組み合わせて真実を見破る事も得意としている。
・なので戦闘以外にも情報収集や調査系の依頼を受ける事も多く、特に異界の事前調査などは帝都ヤタガラスからもよく依頼されるぐらいの実力と信用がある。
霊山同盟:生き残りの地方霊能組織の中でもガチ勢の集まり
・現在でも活動出来ている数少ない地方霊能組織、正確に言えばGP上昇やセプテンによってダメージを受けたがギリギリ生き残った地方ガチ勢な組織や個人が協力関係を結んだ同盟。
・以前からあった修験者系や自然信仰型の霊能組織同士のネットワークが元になっており、そこの比較的若手で世情の理解もしているメンバーが中心となってキリギリスや帝都ヤタガラスなどの外部との協力関係構築や地方組織同士の情報交換などを行なっている。
・組織内には反発する者もいたが外部を頼った者達がどうにか環境に食らいついて大幅に強くなった所為で発言権を失って、現在は避難の名目で都市部に放逐されたか異界で事故死(本当に)したらしい。
・故に残ったメンバーは地元守護ガチ勢のみで構成されたガンギマリ集団であり、トップ層はレベル50代となっていてどうにか霊的治安の維持を行いつつキリギリス掲示板などを利用して形振り構わず戦力強化に走っている(なのでライトオタクも多い)
・キリギリスメンバー中心に外部からのスカウトもやってるけどあくまで常識の範囲内で行なっており、評判が悪くなって外部依頼が受けられなくなる事を恐れているのもあり過激なハニトラとか脅迫とかはしていない(過激じゃなく冗談で済ませられる範囲内でやってないとは言わない)
魔丞・セト:キリギリス被害者の会(総勢1名)
・思考が悪魔寄りになって自らのコトワリを最優先する量産型魔丞としては知恵を絞って策を練ったが、やはり元から外道狂信者で思考が悪魔寄りになって復讐心増し増しなのがネックとなって色々とガバい。
・それでもかつて人間だった頃は組織の拠点設営や罠の設置を担当していた事もあって、異界の改造を短時間で終わらせるなどスペックと実力は本物であり、“とある存在”による強化によって直接戦闘能力も大きく増している。
・尚、彼が崇める“とある存在”に関しては後で語るが、まあ敵対者ポジションにいるドリフターであり本家様の三勢力とは違って個人で自らの目的を達成する為に暗躍している感じを想定しており、戦闘能力は敵側なので多少盛って本家様のそこそこの事件で章ボスを担当できるぐらいの予定。
読了ありがとうございました。
DATメンバーの戦闘は次回予定。今回のボスに関してはまあキリギリスが外道霊能組織をオヤツにしている以上、それに恨みを持つ者もいるよねってキャラをデザインしたが書いてる内に狂信者要素が追加された。