真・女神転生オタクくんサマナー外伝 ~ナホトラマン奮闘記~ 作:貴司崎
「それじゃあヤマト、件の『マガツカ』と思われるマガツヒの発生源はこの先なんだな」
「はい、大体こちらの方角に残る1キロぐらいです。道が入り組んでて分かりにくいのでだいぶ時間を食ってますが」
「相変わらずマッパーもCOMPも使えないからサクヤさんが書いてくれた地図とにらめっこして行ったり来たりしながら少しずつ近づいている感じっすねー」
それからもチームDAT一行はマガツヒに溢れる異界の中をヤマト(アオビト)の感覚を頼りにして、そのマガツヒの発生源と思われる『マガツカ』があるらしい場所を目指して可能な限り悪魔との接触を避ける様に隠密しながら進んでいた。
まあ異界の構造が奥に行く程に入り組んでいる上で空間も拡張されているのでマガツカまでの直線距離では1キロ程度でも、実際には何度か大回りしたり道が行き止まりで戻らざるを得なかったり途中で悪魔と遭遇して戦わざるを得ないなどしていたので結構時間が掛かっているが。
「それでこのままボスというか元凶らしき存在がいそうな所まで進むんですか? 外にいる同盟メンバーからの連絡で援軍のキリギリスもそろそろ到着だろうって言ってましたが」
「思ったよりも出現悪魔のレベルが低いお陰もあって順調に進めてはいるし、ここまで来たら元凶の顔や異界の異常原因まで知っておいた方が良いだろう。ダメそうなら【トラエスト*1】で撤収するから。後後発のキリギリス修羅勢供なら外部に渡した情報を得た時点で異界に突っ込んで、最短距離でボス倒そうとするだろうから好きにやらせておけばいい」
「それに
そうして主にヘビクラ隊長及びアンヌ副隊長が決めた方針に従って、とにかくこの異界を占拠して好き勝手している黒幕のツラを拝む事を第一の目的として入り組んだ山中となっている異界を進む彼らはやや拓けた渓谷となっている場所に差し掛かった。
『『『『……アアァァ……ウアァ……』』』』
\カカカッ/
| 軍勢 | マネカタの群れ | LV45 | 破魔・呪殺無効 |
しかし、そこには渓谷の奥の道を塞ぐ様に身体が溶けた様な見た目をした人形──霊山同盟を襲った襲撃者のガイア教団員やマンハンターの成れの果てである【マネカタ】達が呻きながらウロついていた。
「……アレは掲示板で報告があったボルテクス界に巻き込まれた人間の成れの果てらしい【マネカタ】ってヤツか。持ってるスキルが【バインドボイス*2】と【パニックボイス*3】と【雄叫び*4】で数で来られると面倒なんだったか」
「あの背格好や僅かに残っている服を見るに私達を襲撃して来た魔丞・セトの配下となっていたマンハンターの成れの果てみたいですね。……良い様に使われてから切り捨てられましたか」
「あの渓谷の先の方からマガツカらしき反応があります。ボスへの道を守っているんでしょうか?」
「差し詰め中ボスって所か。……だがあのマネカタはあくまでも取り巻きみたいだな。奥に大物がいるみたいだぞ」
そんな光景を少し離れた物陰に隠れながら見ていたチームDATの面々だったが、その中でも魔眼持ちのケンジロウが奥に強い悪魔がいる事に気が付き、他のメンバーもそちらを見るとそこには“岩石で出来た様な外見をしている巨大な人型の悪魔”と“全身から光を放つ巨大な鳥型の悪魔”の姿があった。
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……』
\カカカッ/
| 国津神 | オオヤマツミ*5 | LV48 | 呪殺無効 BS強耐性 氷結・電撃耐性 火炎・幻惑弱点 |
『◼️◼️◼️◼️◼️……!』
\カカカッ/
| 魔神 | ホルス | LV46*6 | 破魔反射 BS強耐性 火炎・電撃耐性 衝撃・呪殺弱点 |
奥に佇む二体──【国津神 オオヤマツミ】と【魔神 ホルス】は状態こそ異界内の他の悪魔と同じ様に話が通じそうにない雰囲気だったが、その肉体は通常の個体よりも明らかに巨大化しており、更には身体から高濃度のマガツヒが溢れ出していた。
「オオヤマツミにホルスか。レベル自体は余り高くないんだが妙にデカイな、しかもレベルより強い様に見える」
「アレは通常よりも遥かに多くのマガツヒを取り込んだ結果、強化・暴走状態にある悪魔ですね。この異界で出てきた悪魔と同じ様に話は聞きませんが同レベル帯の通常の個体と比べてステータスが高く、見かけの巨大さから分かる通り特に
「成る程……しかし、私達の祭神であるオオヤマツミまで。この異界は元はオオヤマツミを祀る神社が変質して出来たものですから召喚されるのはやむを得ませんか」
「てことはボス部屋までの番人代わりに配置した感じっすかね。マネカタをデバフ要員にして強化した悪魔で殴るとかされると面倒そうっす」
幸いというか通路を守る様に支持されているのか悪魔の群れは渓谷の中から動かず、姿を隠しているチームDATの面々には気づいていないのでしっかりと観察と準備をする時間を取ることが出来た。
「レベル自体はそこまででもないがマガツヒによる強化を含めれば+10ぐらいで見ておくべきか。……だが倒せない程の戦力じゃない。ケンジロウとヤマトのアナライズで保有スキルも抜けたから手を間違えなければ勝てる。まずはヤマトのチロンヌプで状態異常対策してからマネカタを一層するぞ」
「分かりました、俺と仲魔はバフデバフでサポートに回りますね」
「今回は私も参戦しましょう。一応【テトラジャ*8】は使えますので。ホルスの【マハンマオン*9】はこちらで対策します」
そしてヤマトとサクヤに補助させながら、何も言わずとも連携が出来るぐらいに戦い慣れている残りのチームDATのメンバーでアタッカーとなってまずは早急に面倒なマネカタを排除すると方針を決めた彼等は、隊長の仲間である【デカラビア】の【幻化*10】を利用して敵に気付かれない様に接近してからの先制攻撃を仕掛けた。
「……行くぞ、デカラビア送還! 召喚アナンタ!」
「私を呼んだかサマナー! ではまず開戦の号砲を上げようか!!!」
\カカカッ/
| 龍神 | アナンタ | LV68*11 | 火炎・氷結・電撃・破魔・呪殺・魔力・神経耐性 |
| ・ティタノマキア ・氷龍撃 ・雷龍撃 ・マカラカーン ・マグネストーム ・マグネストーム ・ミナゴロシの愉悦 ・無終なるもの |
| 無終なるもの | 自動効果スキル | 自ターン開始時、連動効果が発動「1ターンの間、味方全体の攻撃力・防御力・回避と命中を20%増加させる」 敵ターン開始時、連動効果が発動「1ターンの間、味方全体の攻撃力・防御力・回避と命中を20%増加させる」 D2出典。 |
そして戦闘開始と共にヘビクラ隊長はデカラビアをCOMPに引っ込めて代わりに多頭の蛇龍型の悪魔──【龍王 アナンタ LV68】を召喚、更にアナンタが保有する強力な専用スキルを行使して味方全体の全能力を向上させた。
……大体
「チロンヌプ何時もの! モー・ショボーとフロストは防御デバフ! 俺もバフを掛ける……マハタルカジャ*12!」
「オッケー! ……でも毎回こればっかりやってる気がするなー」【予防のパウパウ*13】
「人権専用スキル詰め合わせだからでしょー」【マハラクンダ*14】
「ヒーホー! 専用スキルはやっぱり強いホー! と言うわけで我らがフロスト族の秘儀を喰らえホー!!!」
「……フロスト族って本当になんなんでしょうね?」【テトラジャ】
戦闘開始直後にまず最初の手番を渡されたヤマトが全体攻撃バフを、その仲魔であるチロンヌプが味方全体に状態異常防止バリアを、モー・ショボーが敵全体に防御力低下のデバフを掛ける。更にキングフロストは鍛え抜かれた氷捌きによって強大な冷気を放ち、それらが何故かフロスト族の様な形となってマネカタ達に襲い掛かり氷漬けにしながら極低温によってその防御力を下げる。
見た目のファンシーさと裏腹に自動効果スキルの恩恵もあってかなりの威力を叩き出す専用スキルを見てサクヤは少し呆れるが、それでも自分の役回りである魔除けの結界をキッチリ張り……そうしてバフデバフが掛け終わったタイミングでヘビクラ隊長が呼び出していた【破壊神 モト】と【魔獣 ケルベロス 】が前に出た。
「合わせろ! メギドラ!」
「分かっている! ハイプレッシャー!」
【万能系スキル→ハイプレッシャー】
| ゴッドハンド | 合体魔法 | 巨大な拳を勢いよく敵全体の頭上に落とし、万能属性で大ダメージを与える。 |
そしてヘビクラ隊長の元で長い間戦ってきた二体は悪魔とは思えぬ連携によって合体魔法を使い、防御が大きく下がったマネカタの群れの頭上に巨大な拳を召喚してから打ち下ろして殆どのマネカタを一掃した。
「マハラギダイン*17っす! とにかくマネカタは早期に潰してついでに火炎弱点のオオヤマツミにもダメージ!」
「ホルスの弱点が衝撃ならば、お前に相応しいカートリッジは決まった!」
【悪魔カートリッジ:シルフ《ザンマ》*18】【フュージレイド*19】
そして残っているマネカタもトモヤが放った広範囲を焼き尽くす火炎魔法とケンジロウの衝撃属性となった銃撃の連射によって掃討されていき、更に二人はそれぞれ弱点を付けるオオヤマツミとホルスに対してもついでに攻撃を加えていった。
……が、過剰なマガツヒによって特にHPが非常に強化された二体は弱点を突かれたとしても“マネカタのついでに”倒せる悪魔ではなく、マネカタが倒されている隙に戦闘体勢を整えてその
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️──ッ!!!』
自己の攻撃力を強化したオオヤマツミの剛腕はその巨体と山の神としての特性も相まって単純に自分の腕が届く距離以上を押し潰す衝撃波となって彼等を襲い、ホルスの方は全身を眩く輝かせて敵全体の動きを鈍らせると共にその口から万物を焼き払う曙光を警告全体に及ぶ広範囲に撃ち放って敵全てにダメージを与えた。
そんなマガツヒによって強化された巨体から放たれた広範囲攻撃の嵐を食らったチームDATの面々は……。
「……おい死んだヤツはいるか? もしいたら返事をしろよ。俺は回避したが」
「死んでたら返事出来ないでしょとかいうお約束の返しはともかく、オオヤマツミの方の物理攻撃は流石に後方にいるヤマト達とサクヤさんがいる位置まで下がれば問題なく回避可能、命中率もそんなでもないから前衛も半分ぐらいは回避済み。まあ回復はしておくけどね。ペルソナ、メディアラハン!」
「アナンタのチートスキルによって防御バフも掛かっていたからホルスの万能攻撃もメギドレベルならレベルが一番低いヤマト達でも耐えられる。やはりレベル通りではないのはHPだけでステータスやスキルは多少毛が生えた程度。それならウチの前衛が落とされる事は無い。……さて、単品で使うのは久しぶりだが、幻惑に弱いならこちらの方がいいだろう。精霊召喚!*24」
ご覧の通り一人も死ぬ事無く無事であった。……まあ、そもそも幾らマガツヒで強化されていてもレベルはチームDATの精鋭の方が上回っており、装備の物理耐性やバフがあれば全体攻撃程度でHPがゼロになる事はあり得ない。
それでもHP減少時に二回攻撃を連続でクリティカルで食らうなどすれば万が一はあるので、敢えて手番を遅らせていたアンヌが全体回復魔法によって全員の傷を癒し、ミツヒロが悪魔になれない小精霊を励起させて敵を撹乱する魔法を使う。
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーッ!!!』
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!?』
そうして召喚された精霊達は幻惑に強耐性があるホルスには弾かれたが、BS耐性の中でも唯一幻惑だけには弱いオオヤマツミには嵌りその周囲の風景を歪めて幻影を見せて錯乱させ*25、闇雲に腕を振り回すだけで隙だらけとなった。
「……さぁて、まだ俺たちの手番は残っているんだよなぁ。アナンタ、やれ」
「使ったのは自動効果だけだから俺はまだ行動していない。ティタノマキア!*26」
『『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!?』』
そこに【ぶっ潰し】は回避していたヘビクラ隊長とアナンタが前に出て二体に迫り、まずアナンタがその複数の蛇の頭部を使って【ミナゴロシの愉悦*27】も乗せた暴力的な噛みつきを二体に見舞って
そしてホルスに食らいついているアナンタの蛇体を【蛇心剣】を構えたヘビクラ隊長が疾走しながら剣に禍々しいオーラを纏わせ、そのまま一気にホルスへと接近して反応を許さずに【黒龍撃*28】を持って斬り裂いて弱点を突き大ダメージを与えた。
「っと、流石に即死は入らないか。……幻影が入ったオオヤマツミにはトモヤとミツヒロで対処しろ! 氷結魔法もあるだろうがお前らなら問題ない、氷結無効付けたケルベロス を付ける。残りはホルスを潰す!」
「「「「了解!」」」」
「ヤマトは防御結界を使って援護! 念の為にデカジャ使える仲魔出してあっちのバフが二段階になったら解除しろ! サクヤさんはテトラジャと回復を! レベル差もあるからこのまま順当に格殺する!」
「了解! キングフロストは引っ込めてパールヴァティ召喚!」
「分かりました」
そして着地したヘビクラ隊長は『HPは多いがレベルが低いからステータスと被ダメージはそこまででもない。バフデバフダメージ軽減をかけておけば仮に4連続で当たっても全滅はしない』と判断して直ぐにメンバーに指示を出す。
指示を出された方も即座に意図を察してそれぞれが行動に移し、オオヤマツミが氷結無効以上の耐性を持つ相手に物理攻撃が当たらず殴られている間にホルスを命中・回避バフデバフを相殺しながらタコ殴りにしていったのだった。
──────◇◇◇──────
『『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……ァァァ』』
そんな感じで強敵ホルスを数とレベル差の暴力でフルボッコにし、返す刀でオオヤマツミを同じくボコってHPをゼロにすると二体は全身から多量のマガツヒを撒き散らしながら地面に倒れたのだった。
……だが、HPがゼロになりマガツヒが抜けてレベルが下がり体躯も小さくなったが【オオヤマツミ】と【ホルス】の肉体は消滅しておらず再び起き上がったのだ。
「うむ、ようやく我を縛っていたマガツヒの影響から抜けられたか。感謝するぞ「チィッ! やっぱり第二形態があったか!」え?」
「どうりでこの異界の中ボスにしては弱いと思ったら。どうせ小さくなってもステータスは倍ぐらいになっているんでしょ!」
「レベルも下がっているみたいだが騙されんぞ! どうせ第二形態になったらハメ技とか使ってくるんだろ!」
「既にパールヴァティに【ヒュギエイアの杯*29】を使わせているので回復ついでに最大HPを増加させます!」
「よし全員初見殺しに注意して戦闘を「ちょっと待ってくれ! 我々にもう戦う意思はないから⁉︎」「我が巫女よ! ちょっと取りなしてくれんか⁉︎」「えーと、もう戦闘をする気は無いみたいですよ?」
尚、それを見たチームDATの面々は地獄の現環境で培った経験から『第二形態が来たな』と判断して一切の油断をせずに全力戦闘の準備に入ったりしたが、オオヤマツミとホルスが必死で戦闘の意思がないとアピールした事とオオヤマツミ系悪魔の巫女で意思疎通が取れるサクヤが取りなした事で再びの戦闘はどうにか回避されて話し合いに移る事が出来たそうな。
「……ふうん? つまりはオオヤマツミの方は自分を祀っていた霊地を乱すヤツにこれ以上従う義理はなく、ホルスの方はそもそも【セト】に従うのは絶対嫌だからこれ以上思い通りに動く気は無いと」
「まあ呼び出された時にマガツヒを大量に注ぎ込まれて結局は良いように使われていたのだが。おそらく私を支配下に置く事で我に由来するこの異界を支配しやすい状況としていたのだろう」
「俺の場合は『ホルスを支配する』ことで自分の【セト】としての存在を格上げする狙いがあった様だがな。まああんなトチ狂ったセトに従うとか虫酸が走るから、お前達がこの身を汚染していたマガツヒを削って支配から解放した事には感謝するぞ。……そして改めて頼みがある。あの魔丞となったセトがこの異界で成そうとしている事を止めて貰えないだろうか?」
この二体は魔丞・セトが目的の為に呼び出して支配下に置いていたが、それぞれの理由で支配を強力に拒絶していたのでマガツヒが抜けてマガツカの影響から逃れた時点で反旗を翻す事にしたのだ。
「ふぅん? 悪魔が人間に依頼ねぇ。……まあそれよりもお前達はこの異界で魔丞がやろうとしている事について知っている感じみたいだな。オラさっさと持ってる情報を吐くんだよ、その内容と報酬次第ではその依頼を受ける事も考えるぞ(考えるだけ)」
「最近の人間は悪魔に対する態度が厳しい。なんか人間が悪魔から
「まあ“この時期”まで生き残ってる人間ならこのぐらい強かなんだろうよ。……ああだから戦闘はやらんから武器は引っ込めてくれ。今の俺じゃお前達には勝ち目無いし、これは依頼にも関わる事だから情報は全部話す。あのクソセトに対する嫌がらせにもなるしな」
「とりあえず話を聞くだけ聞いてみてはどうですか? 情報は欲しいですし」
「流石は“我ら国津神に連なる神性”を持つだけはあって話が分かる」
悪魔相手の交渉なので慣れているヘビクラ隊長とヤマトが前に出て強気な交渉姿勢をしていたが、徐ろにオオヤマツミがヤマトの方を見てそう言った。
まあヤマトとアオビトも『自分達の大元の神造魔人』の由来は知っていたので、そこまで驚く事もなく話の続きを促したが。
「最も我らに連なる神威を感じるが相当に変わった悪魔な様ではあるな。まあだからこそ我々はお前達に頼み事をしよう」
「俺はさっきの戦闘で後ろでチマチマ支援してただけで、実際にアンタらを倒したのは隊長達だけど」
「最近の人間は人間離れが著しいなぁ。……まあとにかく現在この異界で起きている事を話すぞ。何せ
「何だと? この異界で行われているのは受胎儀式ではないのか? 詳しく話せ」
ただし、そんな緊張した空気もオオヤマツミが語った言葉によって別の意味となってしまったが……とにかくこの異界で起きている事は相当なイレギュラーだと判断したヘビクラ隊長はナホビノ関連は一旦棚上げして話の続きを促す事とした。
「受胎か、近い儀式だと思うが目的は世界の創生ではなくてあくまでも魔丞であるセト自身の強化である様だぞ。ヤツ自身が『マガツカ』と呼んでいたマガツヒの塊をこの異界の霊穴に作り、それと自身を繋げて組み上げたマガツヒや異界内部での戦いや倒した悪魔から発生するマガツヒを自分が取り込んで強化する儀式の様だ。受胎というよりはもっと単純な『蠱毒』の儀式の類いだな」
「ただしそのマガツカとやらの用途はマガツヒを集めるだけでは無さそうでな。……あのセトが俺達を支配下に置いた時に自慢げに話していたんだが、そのマガツカに巫女の生贄を捧げて魔界のより深い深淵へと繋がって、そこから“かつて世界を滅ぼしたセト”の力を汲み上げて自分自身に写せ身として被せるのが最終目的みたいだぞ。もし万が一それが上手くいけばヤツは本当に『世界を滅ぼしうる力』を手に入れる事になるかもしれん。それを阻止して貰いたいってのが俺達の依頼だな」
「……チッ、どうせロクでもない事を企んでるとは思ってたが予想以上にロクでもなかったな」
そう、つまり魔丞・セトがこの異界を作り出した本当の理由は『かつて世界を滅ぼした【セト】の力を自分自身に
加えてそれが上手く行かなくてもマガツカを介してマガツヒを吸収すれば時間が経つ程に自己を強化する事は出来て、ついでに現れたキリギリスを倒せば復讐も成せて蠱毒術式の効果で自分が更に強化されるという一石で二鳥三鳥も取れる様な狙いもあったりする。
「下手にこの異界で戦うとそれだけボスが強化されるのは面倒ね。しかも時間をかける程に敵が強大になる仕様、結果的に戦闘を避けて突入したのは正解だったか。情報の裏取りはいるが」
「世界を滅ぼせるって事は放置したらレベル100オーバーの化け物が世に出る可能性が高いと。……そのぐらいなら最前線組なら倒せるかもしれないけど今は忙しいらしいし、この程度の雑事に彼らの手を煩わせるのは良くないから出来れば阻止したい所ね」
「少なくとも俺の直感ではコイツらは嘘は言ってないっすね。魔丞の企みを阻止した方がいい気もするんで」
「とりあえず外部にこの情報を連絡しておかないとな。後続組が派手に暴れればそれだけ魔丞が強化される可能性もある」
「これだと俺達の手に負えなくなる前に魔丞に凸してぶっ倒すのが一番か? 最悪でも後続組が確実かつ早急に倒せるだけの情報は入手して起きたいし、情報の裏取りにもなるだろう」
「一応ウチの祭神の依頼ですし、元より異界を占拠して霊山同盟に喧嘩を売った魔丞はブチのめす予定でしたから。……それで御二方はどうしますか? 情報は貰いましたが……」
その情報を知ったチームDATのメンバーは即座に今後の予定を話し合い始める。勿論完全に鵜呑みにはしてはいないが『最悪の想定であるレベル100オーバー降臨』を考慮した事もあり、少しは世界崩壊案件にも関わっていた彼等の判断は早く儀式の早期阻止を前提とする作戦を練っていった。
「ウチの巫女は頼もしいなぁ(今の自分よりもレベル高いし)……まあそれよりも依頼を受けてくれるなら報酬は渡さなければな。一応ここも私の神域だったのだから定例通りに御厳を渡しておこう」
「お前さんからは神威の気配を感じるから使い方は分かるだろ? ……それと出来れば俺達を仲魔にしてほしい。このままだと再度マガツヒに汚染されるからな。ダメならセトに操られるとかもう勘弁だからさっさと始末してくれ」
「え? 御厳はありがたいけど……隊長どうしましょう? 俺だけ報酬貰える事になりますけど」
「まずそいつらを仲魔にするかはヤマト自身で決めろ。……俺は今は仲魔増やす予定は無いし、どうせ魔丞は倒す予定だったから報酬に関しても正直情報だけで十分だから気にするな」
「ウチの祭神でもあるので始末はちょっと……」
とまあ、この二体に関しては若干スルーされた後そんなやり取りをしてから、報酬としてヤマトに【御厳結晶(小)】と【御厳結晶(大)】を一つずつ渡した後に彼の仲魔となる事になった。
| 国津神 | オオヤマツミ | LV40*30 | 呪殺無効 氷結・電撃耐性 火炎・幻惑弱点 |
| ・バイナックル ・イナズマキック ・氷龍撃 ・マハタルカジャ ・テトラジャ ・マカラカーン |
| 魔神 | ホルス | LV42*31 | 破魔反射 火炎・電撃耐性 衝撃・呪殺弱点 |
| ・マハンマオン ・白龍撃 ・ディアラマ ・メディラマ ・デクンダ ・リフトマ ・二分の魔脈 |
今のヤマトのレベルなら二体とも契約出来るし、情報を渡してくれた以上は最低限信用出来るだろうと考えての事だ。更に御厳さえあれば仲魔の最大契約数を増やす事も出来るから運用に際しても問題は無い。
「「コンゴトモヨロシク頼むぞサマナーよ」」
「ああヨロシク。……さて、御厳を使って【神の懐*32】を取ったから二体追加は問題ないとして、残りはこの先の戦闘で役立つのを取るぞ」
『承知した少年。相手が力を引き出している魔丞であれば少しでも戦力を増やした方が良いだろう……とりあえず【神の懐・壱、弐】【溢れるマガツヒ】【種族超越】【道具の知恵】【仇討ち】【一気呵成】【成長の祝い・壱】で良いか。今の仲魔が使えるマガツヒスキルを考えるなら……』
「準備が終わったならこのまま魔丞の所まで行くぞ。どうせ最初から威力偵察まではするつもりだったし、そこに『可能な限り早期撃破』のタスクが追加されただけだ」
そうしてヤマトが新たに神意を取得した所でチームDATのメンバーとサクヤが外部へ魔丞の企みの情報を報告し終え、自分達はこのまま魔丞と戦って可能な限り情報を得る。
そしてもし出来ればそのまま倒して、出来ないのなら全力撤退して後続チームと共にもう一度殴るという大体当初の異界攻略作戦に多少追加した程度の作戦を立てて行動に移す事となったのだった。
あとがき・各種設定解説
チームDAT一行:先手を取って何もさせずに押し潰すのが基本
・ちなみに今回の異界での戦闘は大体先手必殺で潰してるので消耗はそこまで多くなく、だからこそ魔丞へと一気に凸する方針でもいけると判断した。
・ヘビクラ隊長は怪獣使い……もといサマナーとしては非常に優秀であり普通は難しい仲魔と共に前線に出るのも味方の指揮しながらやるし、合体時には何故か“複数要素の混ざり”が出来たりする事が多いので仲魔も結構やばいスキル持ってる。
・神意に関しては神格習合とか用に残しておきたかったが少しでも勝率を高める為、及び魔丞・セト倒せば御厳は手に入るだろうという考えから戦闘に特化した模様。
魔丞・セト:いつから受胎を行うと錯覚していた?
・正確に言えばデビルドーターを人柱にした魔改造マガツカを使ってボルテクス界を模した異界を作り、更にセトをマガツカの主人として深淵から『世界を滅ぼしたセト』の情報を引き出して写せ身合体させる儀式。
・更に異界内部に溢れるマガツヒや戦闘によって発生したマガツヒをセトに流し込んで強化する事も出来て、その特性からまるで蠱毒の様に異界内部で戦闘を行う程にセトが強化される仕組み。
・異界内部の悪魔が比較的弱かったのもマガツヒを魔丞・セトに集中させていたからで、弱い方が扱いやすいし倒されればマガツヒが自分に集まるのでこの方が都合が良かった模様。
・更に何も無くても時間をかければ改造マガツカが汲み上げたマガツヒによってセトは強化されて、注ぎ込んだマガツヒが増えれば『より強いセト』の情報も深淵から追加されるので時間をかける程に強化される。
・尚、この儀式を作ったセトが神と崇める“とある人物”としては『一応この世界の魔丞作る事に特化した受胎儀式をベースにナイトメアなシステムを応用して改造したが、流石に世界を滅ぼしたセトに変性するのは上手くいかないだろう。精々マガツヒを取り込んでレベルが上がるぐらいか』程度の代物。
・なので世界を滅ぼしたセトへと魔丞・セトがなる確率はかなり低いがそんな事は儀式の術式を作った“その人物”以外には魔丞自身も知らないし、放置しておけば超強化された魔丞が生み出される事には変わりないのでチームDATは多少のリスクを押しても早期解決を図った形。
読了ありがとうございました。
状態異常に精神・神経・魔力とかの属性がない新しい作品での状態異常相性に関しては類似状態異常の属性と同じ判定にしてるけど、そもそも毒や魅了とかでも作品ごとに別属性あるから混ざってるオタクくん世界だとどういう判定になるのかは正直分からん。幻惑は類似がP2の幻影しかないから同判定にしたけど見落としがあるなら意見をお願いします。